「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年9/4日:荒木和博の巻)

チャンネルAJER(ゲスト 清滝仁志駒澤大教授): 荒木和博BLOG

 チャンネルAJERで担当している「救い・守り・創る」。今回のゲストは駒澤大学の清滝仁志教授です。民社党についてお話ししていただきました。これは公開の前半で、後半は会員制ですが、流行病についてちょっと突っ込んだ話をしています。そちらもご覧戴ければ幸いです。

 14分11秒の動画です。もちろん説明文で解るようにこの動画は拉致問題は全く関係ありません。会員になってまで見る気はないので「後半については見ていません」。従って「流行病(コロナ?)についての話」とやらが何かは不明です。もちろん「医療、政治」等でググる

・結城康博*1『医療の値段:診療報酬と政治』(2006年、岩波新書)
・真野俊樹*2『入門医療政策』(2012年、中公新書)

などという著書がヒットすることで解るように、「医療分野の政治研究」はありますが、清滝氏はそういう方ではなさそうなので、「コロナは風邪」荒木と一緒に与太でも飛ばしてるんじゃないか。
 ちなみに動画での荒木発言によれば清滝氏は1966年生まれ、元農水官僚だそうです。「はあ?」ですね。
 1)法学部政治学科出身で政治研究に進む、2)農水官僚が農業研究に転じる、のならともかく「農水官僚が政治研究に転じた」上、その研究対象が「日本の農業政策(農水省や農協など)」ではなく、「消滅した極右政党・民社党」というのは「理解に苦しむ代物」ですね。もちろん「民社党」だって農業政策はあるでしょうが民社党労働農民党 - Wikipedia(1926~1928年)、日本農民党 (1926-1928) - Wikipedia(1926~1928年)、労働者農民党 - Wikipedia(1948~1957年)などと違い「農民政党」を強くアピールしていたわけでもない。
 労働農民党 - Wikipedia(1926~1928年)のメンバーには後に旧民社幹部となった「右派」水谷長三郎*3もいますが、「共産党に近い立場の左派・山本宣治」もいるので「労農党イコール旧民社のルーツ*4」とは言えない。
 清滝氏曰く「私は北九州出身だが、北九州は比較的民社党が強い。そういうことで興味を持った」そうですが。
 もちろん

ナチス研究者はネオナチではない
文革研究者は文革支持者ではない
暴力団研究者は暴力団員ではない

ように「研究者とは必ずしも研究対象のシンパ、支持者ではない」のですが、「元民社党職員の極右活動家」荒木と対談するような御仁なので「民社党が消えて残念だ」「今こそ民社党の存在が求められる」などとシンパ発言しまくりです*5。要するに「右翼」です。

清滝 仁志 (Hitoshi Kiyotaki) - マイポータル - researchmap
・政策研究フォーラム常任理事
  政策研究フォーラムは旧民社系の右翼団体

清滝 仁志 (キヨタキ ヒトシ,KIYOTAKI Hitoshi) | 駒澤大学 研究者情報データベースを参照
【単著】
・『純理自由主義者 河合栄治郎』(2019年、啓文社書房)
 猪木正道*6、関嘉彦*7、土屋清ら河合の弟子が多数、民社党イデオローグを務めたことで旧民社では河合は神聖視されている(但し河合本人は戦前に死去しており、民社党の結党には当然無関係)。
【論文】
・『民主社会主義者中村菊男*8の学問と実践』・改革者2019年12月号
 改革者は「旧民社系のウヨ団体」政策研究フォーラムが刊行するウヨ雑誌。中村(慶應義塾大学名誉教授)は旧民社のブレーンの一人。
・書評:篠田英朗*9憲法学の病*10』・改革者2019年10月号
・書評:湯浅博*11『中国が支配する世界:パクス・シニカへの未来年表*12』・ 改革者2019年2月号
・書評:福富健一*13共産主義の誤謬*14』・ 改革者2017年6月号
・書評:長谷川三千子*15『九条を読もう!*16』 ・ 改革者2016年2月号
・書評:倉山満*17明治天皇の世界史*18
・書評:加藤達也*19『なぜ私は韓国に勝てたか 朴槿恵政権との500日戦争*20

ということで業績(?)や経歴(?)ももろに右翼的です。湯浅、福富、長谷川、倉山なんて右翼活動家であって研究者と言える代物ではない。
 それにしても民社党について「理論政党」と言い出すのには吹き出しました。社会党日本共産党に比べて旧民社が理論的とはとても言えないでしょうに。堂々と「産経文化人と旧民社はかなりかぶる」と清滝氏が言ってるのにも絶句ですね。勿論間違ってはいませんが「自称民社政党が右翼新聞・産経とズブズブ」なんてことに疑問を感じないのか?


「釜山が陥落したらお前たちは家族まで人民裁判だ」(R3.9.4): 荒木和博BLOG
 5分44秒の動画です。動画タイトルだけで見る気が失せます。
 動画タイトルだけで

義勇兵への寄せ書き【調査会NEWS3492】(R3.9.3) : 荒木和博BLOG
 姜大允さんはこの中で韓国に向かう前の話について次のように言っています。
 「朝鮮総聯の連中が我々に『明日か明後日になれば釜山まで全部陥落する。そうなれば朝鮮人民共和国で統一になるんだ。明日明後日にな。そうなればお前たちはもちろん、家族まで全部人民裁判に回して殺してやるからな』、朝鮮総聯の連中がそう言ったんですよ」

の二番煎じであることが解ります。
 ということでまず第一に「過去の二番煎じ」と言う意味で、この荒木動画は見る価値がない。
 第二に「こんなこと」は荒木の「建前上の活動目的」である「拉致被害者の帰国」と何一つ関係ないという意味で見る価値がない。
 第三にこの「姜大允」発言が「事実である」とする証拠が何もないという意味で見る価値がない。
 正直、そんな無茶苦茶なことをいう「朝鮮総連の人間」なんか本当にいるんですかね?
 ちなみに「話が脱線します」が、「人民裁判」と言っても「最近の若者」は「意味不明」でしょう。
 正直、俺も「無知な人間」なので最初この言葉を聞いたときは

リンカーン『人民の人民による人民のための政治』(ゲティスバーグ演説 - Wikipedia参照)
人民戦線 - Wikipedia

などの「プラスイメージ」から「陪審制のこと?」と勘違いしていました。
 まあ、人民裁判つう場合の「人民」つうのは

中華人民共和国
人民公社
 まあ、人民公社も「鄧小平の改革開放」で「完全に昔の話」になりましたが。

といった感じの意味合い(中国共産党的?)がありますが。
 まあ、陪審制も「ろくでもない人間が陪審員」だと「人民裁判」になりますが。
 そのあたり痛感させられるのが名作映画十二人の怒れる男 - Wikipediaでしょう。
 実は小生、「そういう話だ」とは聞いていますが、この映画を未だに見たことがありませんが。
 さらに「話が脱線します」が

映画十三人の刺客 - Wikipedia(1963年)
NHK大河ドラマ鎌倉殿の13人 - Wikipedia(2022年放送予定)

なんてのを考えると「12人」「13人」つうのは「登場人物の設定」として「収まりがいい」んですかね。

*1:淑徳大学教授。著書『介護:現場からの検証』(2008年、岩波新書)、『国民健康保険』(2010年、岩波ブックレット)、『介護入門』(2010年、ちくま新書)、『孤独死のリアル』(2014年、講談社現代新書)、『在宅介護』(2015年、岩波新書)、『介護職がいなくなる:ケアの現場で何が起きているのか』(2019年、岩波ブックレット)など

*2:多摩大学教授。著書『賢い医者のかかり方』(2003年、講談社+α新書)、『入門医療経済学』(2006年、中公新書)、『「命の値段」はいくらなのか?』(2013年、角川oneテーマ21)、『日本の医療、くらべてみたら10勝5敗3分けで世界一』(2017年、講談社+α新書)、『医療危機』(2017年、中公新書)、『治療格差社会』(2018年、講談社+α新書)など

*3:片山、芦田内閣商工相、右派社会党政策審議会会長、民社党国会議員団長を歴任。

*4:ルーツの一つではあるのですが、1)労農党出身でない旧民社メンバー、2)山本宣治のような左派もいるので「ルーツ」というのは問題があるでしょう。

*5:こんなことを言ったところで「消滅した」以上「国民から求められてなかった」わけですが、このシンパ発言では、清滝氏からは「何故求められなかったのか」という反省は生まれてきそうにありません。

*6:京都大学名誉教授。著書『評伝吉田茂』(1995年、ちくま学芸文庫)、『日本の運命を変えた七つの決断』(2015年、文春学藝ライブラリー)、『新版増補・共産主義の系譜』(2018年、角川ソフィア文庫)、『独裁の政治思想』(2019年、角川ソフィア文庫)、『ロシア革命史』(2020年、角川ソフィア文庫)、『軍国日本の興亡:日清戦争から日中戦争へ』(2021年、中公文庫) など

*7:東京都立大学名誉教授。一時、民社党参院議員を務めた。

*8:著書『星亨』(1963年、吉川弘文館人物叢書)、『政治文化論』(1985年、講談社学術文庫)など

*9:東京外国語大学教授。著書『平和構築入門』(2013年、ちくま新書)、『国際紛争を読み解く五つの視座:現代世界の「戦争の構造」』(2015年、講談社選書メチエ)、『集団的自衛権の思想史』(2016年、風行社)、『ほんとうの憲法:戦後日本憲法学批判』(2017年、ちくま新書)、『紛争解決ってなんだろう』(2021年、ちくまプリマー新書)など

*10:2019年、新潮新書

*11:国家基本問題研究所主任研究員。産経新聞客員論説委員。著書『歴史に消えた参謀:吉田茂の軍事顧問・辰巳栄一』(2018年、文春文庫)、『全体主義と闘った男・河合栄治郎』(2019年、産経NF文庫)、『アフターコロナ・日本の宿命:世界を危機に陥れる習近平中国』(2020年、ワック)など

*12:2018年、飛鳥新社

*13:著書『東條英機天皇を守り通した男』(2008年、講談社)、『重光葵:連合軍に最も恐れられた男』(2011年、講談社)、『日本共産党の正体』(2019年、新潮新書)など

*14:2017年、中央公論新社

*15:埼玉大学名誉教授。日本会議代表委員。著書『からごころ:日本精神の逆説』(1986年、中公叢書→2014年、中公文庫)、『民主主義とは何なのか』(2001年、文春新書)、『バベルの謎:ヤハウィストの冒険』(2007年、中公文庫)、『日本語の哲学へ』(2010年、ちくま新書)、『神やぶれたまはず:昭和二十年八月十五日正午』(2016年、中公文庫) など

*16:2015年、幻冬舎新書

*17:著書『嘘だらけの日米近現代史』(2012年、扶桑社新書)、『間違いだらけの憲法改正論議』(2013年、イースト新書)、『嘘だらけの日韓近現代史』、『嘘だらけの日中近現代史』(以上、2013年、扶桑社新書)、『帝国憲法の真実』、『保守の心得』(以上、2014年、扶桑社新書)、『嘘だらけの日露近現代史』(2015年、扶桑社新書)、『政争家・三木武夫田中角栄を殺した男』(2016年、講談社+α文庫)、『歴史戦は『戦時国際法』で闘え:侵略戦争日中戦争南京事件』(2016年、自由社ブックレット)、『日本人だけが知らない「本当の世界史」:なぜ歴史問題は解決しないのか』(2016年、PHP文庫)、『嘘だらけの日英近現代史』(2016年、扶桑社新書)、『日本国憲法を改正できない8つの理由』(2017年、PHP文庫)、『嘘だらけの日仏近現代史』、『日本一やさしい天皇の講座』(以上、2017年、扶桑社新書)、『国民が知らない上皇の日本史』(2018年、祥伝社新書)、『嘘だらけの日独近現代史』(2018年、扶桑社新書)、『13歳からの「くにまもり」』(2019年、扶桑社新書)、『桂太郎:日本政治史上、最高の総理大臣』(2020年、祥伝社新書)、『ウッドロー・ウィルソン:全世界を不幸にした大悪魔』(2020年、PHP新書)、『保守とネトウヨ近現代史』(2020年、扶桑社新書)、『嘘だらけの池田勇人』(2021年9月刊行予定、扶桑社新書)、『ウルトラマンと日本人(仮) 』(2021年11月刊行予定、PHP新書)など

*18:2018年、PHP新書

*19:産経新聞ソウル支局長、編集委員等を経て、現在、内閣情報調査室内閣審議官兼情報分析官

*20:2016年、産経新聞出版