今日のロシアニュース(2021年9月24日分)

プーチン政権に打撃 ノーベル平和賞、世界の強権に警鐘: 日本経済新聞
 「打撃ゼロ」ということもないでしょうが、日経が言うほどのダメージはおそらくないでしょう。
 例えば「アウンサンスーチー」が1991年に平和賞を受けてもミャンマー軍事政権は彼女を軟禁し続けたわけです。2016年にはスーチーの国家顧問(外相兼務)就任を認めた物の、結局、2021年に再度クーデターで彼女を打倒しています。「2000年の大統領就任」から20年以上に及ぶ「プーチン体制」はノーベル賞一個で簡単に揺らぐほど、やわではないでしょう。


女性記者殺害から15年 事件未解決とロシア独立系紙:時事ドットコム
 ちなみに、この事件は「英国警察がプーチン政権の犯行と断定したリトビネンコ暗殺」と異なり、「黒幕が誰か全く不明」と言う点に注意が必要です(なお、実行犯は逮捕され処罰されてはいる)。黒幕は「プーチン政権」かもしれないし、そうではなく「マフィア」など別のグループが黒幕かもしれない。
 なお、今年のノーベル平和賞を「ドゥテルテ政権に批判的なフィリピンのジャーナリスト」とともに「プーチン政権に批判的なロシアのジャーナリスト(ポリトコフスカヤとも親しい関係らしい)」が受賞したことをここで指摘しておきます。
 選考委員会としては

◆1971年
 デタント外交のブラント・西ドイツ首相
◆2000年
 南北首脳会談の金大中・韓国大統領

など、「一定の成果を上げた人間」を選びたかったのでしょうが、「今回はそうはいかなかった」ようです。ドゥテルテ政権もプーチン政権も「健在」である*1以上、これらのジャーナリストの批判は現時点では「評価に値する勇気ある行為」とは言えても「十分な成果を上げた」とは言いがたいでしょう。

参考

アンナ・ポリトコフスカヤ - Wikipedia参照
 2011年8月25日、ロシア捜査当局は、ポリトコフスカヤ殺害を指揮したとして、モスクワ警察の元警視ドミトリー・パブリュチェンコフを逮捕した。パブリュチェンコフはモスクワ警察第4捜査課長だった2006年に、何者かに金をもらい、犯行グループを集めて殺害を実行させたとして、2012年に懲役11年の有罪判決を受けている。また、2014年5月22日には、ルスタム・マフムドフら実行犯2人に終身刑、残り3人に懲役12~20年の実刑判決が言い渡されている。
 依然としてパブリュチェンコフに金を渡した黒幕は明らかになっておらず、ポリトコフスカヤの長男イリヤら遺族や支援者は、暗殺を命じた人物を突き止めるよう露当局に真相究明を改めて求めている。


ウクライナで大統領補佐官へ暗殺未遂…疑念の目を向けられるロシア「事実と反した感情論」(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
 さすがにロシアもそこまで無茶苦茶ではないのではないか。


択捉島の学校で毎朝ロシア国歌|【西日本新聞me】

 ロシアが実効支配する北方領土択捉島の紗那(ロシア名クリーリスク)にある公立学校で9月の新年度から、軍出身の校長が独断で毎朝ロシア国歌を流し教員や児童ら全員に起立姿勢で静聴させる校則を導入したことが23日、分かった。ロシアの学校で通常こうした習慣はない。
 軍歴20年以上で大佐予備役のゴルバチョフ校長は地元記者に「子どもが国の象徴を知り、敬意を払って悪いことは何もない」と主張した。
 地元紙のインスタグラムには「何のために子どもの脳に偽の愛国心を植え付け、学校を軍に変えるのか」「軍人が校長になれるのか」などと批判的なコメントが付いた。

 校長の主張が「日本国内の君が代万歳右翼(産経新聞など)の主張」に、批判派の主張が「君が代強要を批判する共産党など左派、リベラル派の主張」によく似ていますが、産経などの感想を聞きたいもんです。
 たぶん「ロシア国歌と君が代(日本国家)は違う」と強弁するのでしょうが。

*1:特にドゥテルテが「政界引退」を表明し、次の大統領選挙で「反ドゥテルテ派の当選の可能性」も十分あると言われるフィリピンに対し、ロシアにはそうした反プーチン派の政権獲得の可能性は全く見えません。