首相を今時「天皇の臣下」と言い出すリベラル21のバカさに心底呆れる(9/29分)

リベラル21 安倍政治の恥ずかしさ思い出そう(小川洋*1

 安倍氏は自らを保守主義者・愛国者だと自認し、右翼団体も安倍を熱心に支持していたわけだが、真の愛国者ならありえない、皇室を蔑ろにする多くの言動がみられた。
 例えば、新たな「令和」の元号について、臣下の身でありながら、勝手に解説をしたことだ。元号とは中国においては皇帝が時間を支配する象徴的行為である。現日本国憲法では、内閣の権限となってはいるが、古来、元号の制定は天皇の行為であるから、時の首相はあくまで黒子として振舞うべきだ。しかし安倍氏は記者会見やテレビの前で談話を発表し、とくとくと、元号の意図するところの「解説」した。これは天皇の地位を侵す行為であった。

 小川とリベラル21の「名誉」のために断っておけば
1)河野談話否定などの歴史捏造主義
2)モリカケ、桜などの公私混同、権力乱用
など「まともな批判」ももちろんあります。ただし今回は「小川のアホ発言」を批判することのみをします。
 しかし、まさか

私たちは護憲・軍縮・共生を掲げてネット上に市民メディア、リベラル21を創った

と自称するサイトで「安倍は皇室を愚弄している」などという「右翼言説を読まされる」とは思ってもみませんでした。
 つうか今時「臣下」て(呆)。
 吉田茂首相が「臣茂」と署名し「戦前か!*2」「時代錯誤だ」と批判され、吉田が「何が間違ってるのか」と反論し、さらに批判されたことは有名ですが、こういう小川のような御仁は「吉田は間違ってない」と言うのか(呆)。
 なお、『吉田茂、皇室』でググったら原彬久*3吉田茂:尊皇の政治家』(2005年、岩波新書)なんて本がヒットしました。読んでみると面白いかもしれない。
 ちなみに吉田と違い、「臣栄作」とは署名しなかったようですが、昭和天皇というのも、時代錯誤な人だ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が紹介する「吉田学校の生徒(吉田の側近*4)」佐藤栄作首相の脳内も「吉田同様」に「臣栄作」だったのかもしれません(勿論、佐藤自身も台湾ロビーであり「臣下だから天皇の言葉をマイヤー大使に伝えた」というだけの話ではありませんが)。そうなると佐藤の実兄「岸信介」や佐藤派の後継者「福田赳夫」も「臣信介」「臣赳夫」だったのかもしれない。あるいは吉田の孫である麻生は「臣太郎」なのか、どうか。
 あるいは、増原内奏問題 - Wikipediaの「増原恵吉・田中内閣防衛庁長官」は完全に「臣恵吉」でしょう。
 それはともかく、

 現日本国憲法では、内閣の権限となってはいるが、古来、元号の制定は天皇の行為であるから、時の首相はあくまで黒子として振舞うべきだ。しかし安倍氏は記者会見やテレビの前で談話を発表し、とくとくと、元号の意図するところの「解説」した。これは天皇の地位を侵す行為であった。

てねえ(呆)。
 確かに「前近代(特に武家に実権が奪われる鎌倉時代以前)」において天皇は国王であり、「明治~昭和戦前」においては国家元首であった。しかし今は象徴であり「政治権限はない」。政治権限があるのは当然、首相です。元号を定めたのもまさか「天皇」ではないでしょう。『平成』の竹下にせよ、『令和』の安倍にせよ、皇室の意見など聞かなかったでしょう。むしろ聞いたら憲法違反です。
 天皇元号の解説なんかしたらそれこそ憲法違反でしょう。安倍でなくてもそんなことは天皇にやらせるわけがない。
 安倍が元号の解説をしたことについて「元号を政治利用している」「『平成』制定の時の竹下首相はそんなことはしなかった」と批判するならまだ解りますがまさか「天皇の権限を犯してる」ねえ。
 天皇も小川のような物言いは「いい迷惑」でしょう。天皇一家が小川のような「右翼思想の持ち主」とはとても思えないからです。しかしこういう「小川の右翼思想」のどこが

私たちは護憲・軍縮・共生を掲げてネット上に市民メディア、リベラル21を創った

なのか?

*1:著書『なぜ公立高校はダメになったのか:教育崩壊の真実』(2000年、亜紀書房)、『消えゆく「限界大学」:私立大学定員割れの構造』(2016年、白水社)、『地方大学再生:生き残る大学の条件』(2019年、朝日新書)など

*2:とはいえ、「吉田は戦前から外務次官、駐英大使などのキャリアがある」し戦前において吉田は「昭和天皇の臣下だった」点で多少は同情の余地はあります。

*3:東京国際大学名誉教授。著書『日米関係の構図:安保改定を検証する』(1991年、NHKブックス)、『岸信介:権勢の政治家』(1995年、岩波新書)、『戦後史のなかの日本社会党:その理想主義とは何であったのか』(2000年、中公新書)、『岸信介証言録』(編著、2014年、中公文庫)、『戦後政治の証言者たち』(2015年、岩波書店)、『戦後日本を問いなおす』(2020年、ちくま新書)など(原彬久 - Wikipedia参照)

*4:吉田内閣郵政相、建設相など歴任