「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年10/22日:荒木和博の巻)(追記あり)

【最初に追記】
 新潟で、北朝鮮・拉致問題・北朝鮮への帰国(帰還)問題に関する映画の上映会がある(都合をつけて、行ってみようかと思う) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でこの拙記事を紹介頂きました。いつもありがとうございます。
【追記終わり】
12月4日5日新潟で「北朝鮮人権映画祭」(R3.10.23): 荒木和博BLOG
 6分50秒の動画です。この映画祭に価値を認めるにしても、少なくとも「拉致被害者の帰国」には関係ないわけです。
 いい加減「荒木は拉致解決につながるまともな話をしろよ!」「拉致被害者救出がお前の建前上の活動目的だろ?」と言う話です。映画祭のチラシが掲載されてるので上映映画がわかりますが、ググって内容がある程度わかった物だけ「いくつか紹介する」と、以下のような映画です。

【公開年順】
◆海を渡る友情(1960年公開)
 一時、社会党参院議員(1971~1977年*1)を務めた望月優子氏(1917~1977年)が監督。望月氏今井正監督の映画『米』(1957年公開)でブルーリボン主演女優賞受賞(望月優子 - Wikipedia参照)。1)今井正監督の映画「米」で望月氏と共演し、2)また、望月氏の妹*2と結婚*3し、望月氏の義弟となった加藤嘉(1913~1988年)が出演している(加藤嘉 - Wikipedia参照)。いわゆる「帰国事業」を描いた映画で、もちろん、1960年代ですので、帰国事業に好意的な映画です。
 東映教育映画の制作であり、つまりは「当時はそういう時代だった」ということです。もちろん東映が左翼的な企業の訳もない(望月氏や加藤は明らかに左派ですが)。
 何せその後の東映

プライド・運命の瞬間 - Wikipedia(1998年)
 東条英機元首相を美化
宣戦布告 (小説) - Wikipedia(2002年)
 北朝鮮が日本に侵攻するが「憲法九条の制約ガー」という設定の『改憲を煽るウヨ映画』
永遠の法 - Wikipedia(2006年)
 「幸福の科学」制作のアニメ映画
俺は、君のためにこそ死ににいく - Wikipedia(2007年)
 監督・石原慎太郎。神風特攻を美化。

なんて「ウヨ映画」「幸福の科学映画」に手を出して左派から批判されますし。
 それはともかく、どうせ荒木らウヨが望月氏らに悪口雑言するのでしょうが、建設的な行為とはとても言えません。勿論、そんな行為は拉致被害者帰国と全く関係ない。
絶唱母を呼ぶ歌 鳥よ翼をかして - Wikipedia(1985年公開)
 テレビ朝日江戸川乱歩の美女シリーズ」などの井上梅次が監督。統一教会による制作とされる。なお、統一教会制作、井上監督の映画としては他に暗号名 黒猫を追え! - Wikipedia
(1987年公開、柴俊夫*4が刑事役で主演、榎木孝明*5が犯人役(北朝鮮工作員))がある。
金日成の子どもたち(2020年公開、韓国映画

東欧に送られた北朝鮮孤児たち 朝鮮戦争の悲劇、映画に:朝日新聞デジタル
 朝鮮戦争で親を失った北朝鮮の孤児約1万人が一時、ルーマニアなど東欧5カ国に送られて暮らしていた。当時の生活ぶりを、韓国のドキュメンタリー監督、金徳栄さん(54)が約15年かけて取材し、映画「金日成の子どもたち」としてまとめた。北朝鮮の孤児と、現地の子どもや教師たちとの生活は、長いケースで8年にわたった。金さんは孤児たちの当時の様子を、東欧で暮らす元同級生や元教師たちへのインタビューでたどっている。

北朝鮮も知らない…東欧に送られた北朝鮮孤児たちの「隠された歴史」(金 敬哲) | 現代ビジネス | 講談社(2/4)
 3年以上続いた朝鮮戦争では450万人の犠牲者が出たが、最大の被害者は子どもたちだった。
 朝鮮戦争は、北朝鮮と韓国に、合わせて10万人もの戦争孤児を残した。そして韓国と北朝鮮は、これらの戦争孤児問題の解決方法を異にしている。韓国は、米国や欧州などの西欧諸国に孤児を養子に出す方式を選び、北朝鮮は東欧の社会主義国家に子どもたちを送り「教育を委託する」方式を選んだ。

だそうで、その「子どもたちを描いた映画」です。なお、新刊紹介:「歴史評論」3月号(その2:今井正『キクとイサム』、森村誠一『人間の証明』について、ほか:ネタバレあり) - bogus-simotukareのブログ今井正映画「キクとイサム」(1959年公開)を取り上げましたが、イサムも「米国に海外養子に行く」という落ちでした。単なる事実の指摘であって当時の南北朝鮮政府を免罪しているわけではありませんが、「貧困国」において「海外養子」という選択肢は「普通」であり「昔の日本もそうだった」ということは心にとどめておきたい。
◆めぐみへの誓い(2021年公開)
 荒木ら救う会が制作。横田めぐみ拉致事件を描いた。


金氏朝鮮【調査会NEWS3517】(R3.10.22): 荒木和博BLOG

 昨日21日は札幌で「拉致被害者救出のため今までと違うツッコミ方を発信する10.21札幌ハイブリッド集会」が開催されました。

 「今までと違うツッコミ方」という表現で「荒木記事(集会報告)」を読む気が失せます。
 実際「荒木記事」によれば予想通り、集会はくだらない代物のようです。1時間16分の動画も貼り付けてありますが「見るだけ時間の無駄」と思い、見ていません。「5分程度のミニ動画」なら見てもいいのですが。
 何がくだらないか。まず第一に「荒木ら救う会の建前上の目的」は「北朝鮮に突っ込むこと」ではなく「拉致被害者を救出すること」のはずです。
 「拉致被害者救出につながる突っ込み」ならいいのですが、荒木では「単に北朝鮮を馬鹿にしてどや顔してるだけではないのか」という懸念があります(つうか、やはり、その懸念通りのようですが)。
 第二に「今までと違う(新しい)」かどうかなんてことはどうでもいい。
 実際は「新しい」とどや顔することが何ら「新しくないこと(当人が知らないだけで世間にはそんなことはありふれてること)」は珍しくありません。実際、荒木の場合も「何ら新しくなかった」ようですがそれはひとまずおきます。
 例えば、例は何でもいいのですが「老舗ラーメン店」がメニューをリニューアルした結果「味がまずくなった」のなら新しくすることは何ら意味がない。「創業当時から続く、今まで通りの伝統的ラーメン」を出した方がよほどましです。
 「ラーメンがうまくなった」時のみ「新しくなったこと」には意味があるわけです。

 さて、タイトルの「今までと違うツッコミ方」というのが朝鮮王朝(李氏朝鮮)と北朝鮮を比較してみようということで、今回は私の友人で朝鮮半島研究者・大学教員・予備自衛官・鉄道趣味と四つが一致する唯一の友人、水野俊平北海商科大学教授に来て戴きました。
 そこでお話しいただいた朝鮮王朝と現在の北朝鮮の姿は見事に一致し、正直驚いてしまいました。
 私は相手が山賊だと思った方が良いと言ってきましたが、朝鮮王朝(金氏朝鮮)を相手にして交渉すると思って考えてみるのも良いかも知れません

 荒木のような「トンデモ右翼」と同席して恥じないのだから水野某も「荒木の同類」の「嫌韓国ウヨ」なのでしょう。なお、水野については以前「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年10/17日:荒木和博の巻) - bogus-simotukareのブログで言及しました。
 それにしても、馬鹿馬鹿しい。
 何が馬鹿馬鹿しいか。第一に荒木らウヨ連中は

萩原遼*6北朝鮮金王朝の真実』(2012年、祥伝社新書)
◆五味洋治*7『女が動かす北朝鮮金王朝三代「大奥」秘録』(2016年、文春新書)

ということで、以前から北朝鮮世襲を理由に「金王朝(金一族の王朝)」呼ばわりしていたくせに

 朝鮮王朝(李氏朝鮮)と北朝鮮を比較してみよう

のどこが「今までと違う」のか。「今までと同じだろ?」ですね(勿論、問題は拉致解決に役立つかどうかであって「今までと違うかどうか」ではないですが)。
 第二に「李氏朝鮮北朝鮮が似ている」ということが仮に事実だとしてそんなことが「荒木ら救う会の建前」である「拉致被害者帰国」と何の関係があるのか。何の関係もない。
 かつこれは北朝鮮に悪口しているだけではなく、「李氏朝鮮にも悪口」し、「そんな朝鮮を日本は植民地統治で近代化してやったのだ」とどや顔してるのだろうと言うことは予想がつきます。全く韓国民に対して無礼にも程があります。
 それにしても

 私は相手が山賊だと思った方が良いと言ってきましたが、朝鮮王朝(金氏朝鮮)を相手にして交渉すると思って考えてみるのも良いかも知れません

ねえ。
 荒木は誰かに

◆王朝と思おうが山賊と思おうが、荒木さんたち救う会の勝手だが、具体的にどういう北朝鮮外交を考えてるの?
◆禅問答みたいなこと言ってないで、もっと具体的にわかりやすく言ってよ。

と聞かれたらどう答える気なのか?。といったらおそらくまともに答えられないでしょうが。山賊だの、王朝だの言うのは単に北朝鮮を馬鹿にしているに過ぎないからです。
 まあ、ウヨの荒木だと「李氏朝鮮相手に明治新政府がした江華島事件のような砲艦外交北朝鮮相手にやればいい」と言い出しかねませんが。

*1:当初、愚かにも勘違いから誤記していましたが、コメント欄のご指摘に従い修正しました。

*2:今井映画「米」(1957年)での共演が結婚のきっかけ。「米」では「父と娘」を演じ、実際の年齢も加藤(1913年生まれ、「米」当時は44歳)と妻(1935年生まれ、「米」当時は22歳)では22歳の差があった。

*3:加藤は4度結婚しているが最後の4度目の結婚が望月氏の妹。

*4:1947年生まれ。1970年、日本テレビのドラマ『ゴールドアイ』で本名の「柴本俊夫」名義で俳優デビュー。1971年、『ゴジラ対ヘドラ』で映画初出演(柴俊夫 - Wikipedia参照)

*5:1956年生まれ。1984年、NHK連続テレビ小説『ロマンス』(主演)でテレビデビュー(女性が主演することが多い連続テレビ小説では数少ない男性主演)。代表作としてフジテレビ『浅見光彦シリーズ』(1995~2002年、主演・浅見光彦役、14作)など(榎木孝明 - Wikipedia参照)

*6:1937~2017年。著書『ソウルと平壌』(1998年、文春文庫)、『拉致と核と餓死の国北朝鮮』(2003年、文春新書)など

*7:著書『北朝鮮と中国』(2012年、ちくま新書)、『金正恩が表舞台から消える日:北朝鮮・水面下の権力闘争』(2021年、平凡社新書)など