「経済」12月号について、俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
世界と日本
◆ドイツの総選挙(宮前忠夫*1)
(内容紹介)
ドイツ総選挙で社民党が「第二党(153)→第一党(206)」、緑の党が「第六党(67)→第三党(118)」に躍進。一方、CDU・CSU(キリスト教民主・社会同盟)が「第一党(246)→第二党(197)」と大きく後退した。
社民、緑の党、FDP(自由民主党:第三政党(80)→第四政党(92))」の三党連立政権が成立しメルケル長期政権で長く政権与党だったCDU・CSU(メルケルが長く党首)が野党に転落する見込み。なお、左翼党(社民党離党派が結党)が今回、社民党や緑の党に票を食われ「69(第五党)→39(第六党)」と大きく議席を減らしており、今後の動向が注目される。また、一時、躍進した極右政党「AfD(ドイツのための選択肢)」は「94(第三党)→83(第五党)」と後退しておりAfDに奪われた票を自民党が今回取り返し、「ドイツでの極右政党伸張」に「一定の歯止めがかかった」と見られる(とはいえ、未だAfDは軽視できる政治勢力ではありませんが)。
【2021.11.24追記】
ドイツ3党が連立合意 16年ぶり左派首相、来月誕生へ - 産経ニュース
上で
社民、緑の党、FDP(自由民主党:第三政党(80)→第四政党(92))」の三党連立政権が成立しメルケル長期政権で長く政権与党だったCDU・CSU(メルケルが長く党首)が野党に転落する見込み。
と書きましたが、正式に社民、緑の党、FDP(自由民主党)の三党連立が「社民:首相」「綠:外相」「FDP:財務相」という形でスタートするようです。
【追記終わり】
特集「日本の産業・復活の課題(下)」
◆ワクチン開発に見る日本の医薬品産業(細川孝*2)
(内容紹介)
現時点ではアストラゼネカ、ファイザー、モデルなと違い、新型コロナワクチン開発に失敗している日本の医薬品産業が批判的に評価されている。
◆すすむ地域金融機関の再編(中島康隆*3)
(内容紹介)
地域金融機関の統合について「中小企業の切り捨て」につながる危険性を指摘。そのような切り捨てを許さない運動が必要としている(なお、統合それ自体は否定されていない)
◆法人企業統計に見る日本の産業とその特質(田村八十一*4)
(内容紹介)
統計上、日本の製造業(第二次産業)の労働者数や売上高が減少し、第三次産業の労働者数や売上高が増加していることが指摘される。
つまりは産業空洞化が深刻な問題になっているという指摘である。
◆脱炭素・エネルギーの転換と国内・地域の産業への影響(歌川学*5)
(内容紹介)
温暖化防止のために「脱炭素・エネルギーの転換」が主張されている。
特集「誰一人取り残さない教育を(上)」
◆侵食する教育産業、溶解する公教育:攻防の現段階(児美川孝一郎*6)
(内容紹介)
日本の教育施策が「ベネッセ」など、政権与党と親密な関係にある教育産業の強い影響を受けていることが批判的に言及されている。
赤旗下村文科相と教育産業 蜜月/特区・民営校 受益企業が献金/05〜13年 1800万円超2015.3.19
赤旗都立高入試 英語スピーキングテスト/ベネッセが独占/保護者・教員「情報漏えい心配」2021.6.12
◆「人新世」と唯物史観(下):マルクスとエンゲルスは、地質学をどのように研究したか(友寄英隆*7)
(内容紹介)
新刊紹介:「経済」2021年11月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した(上)の続き。ただし、小生の無能のため詳しい紹介は省略します。
◆現代国家の専制独裁化と「福祉国家」解体に抗して(相沢与一*8)
(内容紹介)
日本や欧米において、新自由主義の立場に立つ保守政権によって、「福祉国家解体(福祉予算削減など)」「専制独裁化(例:管政権による不当な学術会議会員任命拒否)」が進められていることが批判されている。
*1:著書『週労働35時間への挑戦:戦後ドイツ労働時間短縮のたたかい』(1992年、学習の友社)、『人間らしく働くルール:ヨーロッパの挑戦』(2001年、学習の友社)、『あなたは何時間働きますか?。:ドイツの働き方改革と選択労働時間』(2018年、本の泉社)、『増補改訂版・企業別組合は日本の「トロイの木馬」』(2019年、本の泉社)
*3:金融労連委員長
*5:産業技術総合研究所主任研究員。著書『スマート省エネ』(2015年、リーダーズノート)
*6:法政大学教授。著書『若者とアイデンティティ』(2006年、法政大学出版局)、『権利としてのキャリア教育』(2007年、明石書店)、『若者はなぜ「就職」できなくなったのか?』(2011年、日本図書センター)、『キャリア教育のウソ』(2013年、ちくまプリマー新書)、『「親活」の非ススメ』(2013年、徳間書店)、『まず教育論から変えよう:5つの論争にみる、教育語りの落とし穴』(2015年、太郎次郎社エディタス)、『夢があふれる社会に希望はあるか』(2016年、ベスト新書)、『高校教育の新しいかたち:困難と課題はどこから来て、出口はどこにあるか』(2019年、泉文堂)など
*7:著書『「新自由主義」とは何か』(2006年、新日本出版社)、『変革の時代、その経済的基礎』(2010年、光陽出版社)、『「国際競争力」とは何か』(2011年、かもがわ出版)、『大震災後の日本経済、何をなすべきか』(2011年、学習の友社)、『「アベノミクス」の陥穽』(2013年、かもがわ出版)、『アベノミクスと日本資本主義』(2014年、新日本出版社)、『アベノミクスの終焉、ピケティの反乱、マルクスの逆襲』(2015年、かもがわ出版)、『「一億総活躍社会」とはなにか』(2016年、かもがわ出版)、『「人口減少社会」とは何か:人口問題を考える12章』(2017年、学習の友社)、『AIと資本主義:マルクス経済学ではこう考える』(2019年、本の泉社)、『コロナ・パンデミックと日本資本主義』(2020年、学習の友社)など
*8:福島大学名誉教授。著書『社会保障「改革」と現代社会政策論』(1993年、八朔社)、『社会保障の保険主義化と「公的介護保険」』(1996年、あけび書房)、『日本社会保険の成立』(2003年、山川出版社日本史リブレット)、『日本社会政策学の形成と展開』(2016年、新日本出版社)など