今日の中国ニュース(2021年12月22日分)

【外交文書】「制裁は民主化につながらず」 天安門事件で欧米説得方針 - 産経ニュース

 1月9日に海部氏*1と会談した西ドイツのコール*2首相は中国の孤立化回避には賛同したが、西独の対中世論が厳しく「対中政策は極めてひかえめなものとならざるを得ず」と説明した。11日に会談したフランスのロカール*3首相も海部氏に同調し、中国への刺激を避けるため約20億ドルの対台湾武器輸出を見送ったと説明したが、冗談まじりに「きっと日本が(欧州航空機大手の)エアバスを購入して穴埋めをしてくれるものと期待している」と迫った。

 ということでドイツやフランスも「中国市場を重視していた」という理由が大きいのでしょうが、中国への制裁に消極的だったわけです。ちなみにロカールが冗談半分に「日本に大量購入してほしい」と言ったエアバス中仏首脳会談 中国、エアバス300機購入 - 産経ニュース(2019.3.26)ということで後に中国が大量購入することになります。
 その効果もあって

外交ボイコット効果ない 仏大統領、五輪政治化に反対:東京新聞 TOKYO Web2021.12.10
 フランスのマクロン*4大統領は9日の記者会見で、米英豪などが決定した北京冬季五輪パラリンピックの外交ボイコットについて「小さく象徴的」な効果しか持たない*5との認識を示し「五輪を政治化しない」よう訴えた。ブランケール国民教育・スポーツ相は既に外交ボイコットはしないと明言したが、政府としては最終決定はしていない。

となるわけです。まさに

経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2013.9.2
「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(追記あり) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2014.5.14
「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(オランダ編) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2014.5.23
経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2014.5.28
「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(英国・インド編) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2014.7.22
「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(ハリウッド編) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2014.8.21
「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(ボーイング・エアバス編) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2015.10.5

ですね。そして「ノルウェーに霞を食えとはいえない(id:Mukke)」と言う話です(分かる人には分かるid:Mukkeへの嫌みです)。
 まあ、「2024年(今から3年後)にパリで夏季五輪がある」ので「外交ボイコットをして、IOCともめたくない」という別の理由もあるらしいですが(IOCのバッハ会長は外交ボイコットに否定的)。


独中首脳が電話会談、デジタル経済など新分野で協力模索へ | ロイター

 ショルツ*6首相は、環境に優しいエネルギーやデジタル経済などの分野で実務的な協力を強化したいと表明。欧州連合(EU)と中国との間の投資協定の早期発効を望むと述べた。

 「ドイツ企業にとっての中国市場の重要性」もあるのでしょう。予想の範囲内ですが「ポストメルケル」になったからといって、反中国ウヨが期待するような「反中国路線」の採用はなさそうです。


中国製EVが攻勢 京都では電気バス運行開始 警戒も - 産経ニュース

 京阪バスは22日、京都市内を走る路線で電気バス4台の運行を始めた。採用したのは、中国の電気自動車(EV)大手「比亜迪(BYD)」の日本法人ビーワイディージャパンの小型バス。
 導入したのは日本市場向けに開発された「J6」という車両で約1950万円。国内メーカー製は7千万円程度とされており、大きな開きがある。京阪バス幹部は「選択肢はBYDしかない」と言い切るほど、条件の差がある。

 産経のような反中国でも無い限り「安くて性能がいい」という経済の論理で選ぶのは当たり前です。


【正論】日本外交の新天地はユーラシアに 文化人類学者静岡大学教授・楊海英 - 産経ニュース

 注目すべきは「チュルク諸国機構」の誕生に伴う中国の一帯一路政策のユーラシア大陸部での伸長に対する歯止めである。
 参加国はトルコと中央ユーラシアのアゼルバイジャンカザフスタンウズベキスタン、それにキルギスの5カ国。格上げと同時に、トルクメニスタンもオブザーバーとして加わった。
 現在、100万人以上のウイグル人が強制収容施設に閉じ込められ、ジェノサイド(民族大量虐殺)の人道的危機を目の当たりにして、チュルク系諸民族は座視することはできなくなっている。

 という楊ですが、中国が加盟国である上海協力機構 - Wikipediaに「カザフスタンウズベキスタンキルギストルクメニスタン」が参加していることを考えればこうした楊の主張は「デマの疑い」が濃厚です。
 ググったら

亡命ウイグル「避難先」で拘束相次ぐ トルコで中国の影響力拡大|【西日本新聞me】2021.3.22
 トルコはこれまでトルコ系イスラム教徒のウイグル族を擁護し、中国の弾圧を批判してきた。迫害から逃れたウイグル族を多数受け入れており、トルコには約5万人が住むと言われる。
 しかし、こうしたウイグル擁護の姿勢は近年陰りが見える。風向きが変わった理由の一つが経済だ。トルコにとって中国は主要な貿易相手国。アジアと欧州の間に位置するトルコは、習近平指導部が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」を支援し、自国の貿易拡大につなげたい考えだ。昨年10月、国連総会第3委員会で米欧など39カ国がウイグルの人権問題に懸念を示す共同声明を出した際も、トルコは加わらず、中国への配慮をにじませた。

動画:習主席、キルギスのジャパロフ大統領と電話会談 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News2021.2.24
 ジャパロフ大統領は「キルギスの経済や社会の発展および新型コロナ感染症への予防と抑制のために中国から提供された支援に心から感謝する。中国はキルギスにとって信頼できる永遠の隣人、パートナーである。今後とも、キルギスは香港や新疆、台湾など、中国の核心的な利益にかかわる問題で『一つの中国』の原則と立場を堅持していく。また、中国企業キルギスへの投資を歓迎し、中国とともに『一帯一路』の質の高い建設に努力していきたい」との考えを表明しました。

http://j.people.com.cn/n3/2021/0725/c94474-9876281.html2021.7.25
 キルギス共和国のサディル・ジャパロフ大統領は23日、首都ビシュケクに設けられているワクチン接種場所で中国国薬集団(シノファーム)の新型コロナワクチンを接種した。
 またジャパロフ大統領は、中国政府がキルギスに新型コロナワクチンを寄贈した件について、感謝の意を述べた。

と言う記事もヒットしました。

*1:自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相を経て首相

*2:ラインラント・プファルツ州首相を経てドイツ首相

*3:フランス社会党出身。ミッテラン政権で国交相農水相、首相を歴任

*4:オランド政権財務相を経て大統領

*5:個人的には全く同感で俺も「九条護憲」「消費税減税」「脱原発」「天皇制廃止」「日米安保廃止」「歴史修正主義南京事件否定論など)批判」等を支持理由に「日本共産党支持者を自認しています」が、外交ボイコットには反対です(外交ボイコットなどの「中国批判」を理由に共産支持してるわけではありませんので)。モスクワ五輪の選手ボイコット(西側限定ですが)ですら「ソ連のアフガン侵攻」を撤退に導いたわけではない。ソ連の撤退は「撤退時期(モスクワ五輪からは大分時期が離れてる)」からもわかりますが、「人的犠牲(兵士の死亡)」「経済的ダメージ(戦費負担)」に耐えきれなくなったことによるものでボイコットは関係ない。

*6:ドイツ社民党出身。メルケル内閣厚労相、副総理・財務相などを経て首相(メルケル内閣は連立内閣なので社民党のショルツが閣僚になるわけです)