回顧『2021年の訃報』(2022年1/6分)(副題:改めて安倍と家族会、救う会を批判する、他)

 リベラル21 回顧と追悼小原紘 (個人新聞「韓国通信」発行人)を見て俺も「2021年の訃報」についていろいろと書くことにします。基本的には「死去順」ですが若干そうでないところもあります。カテゴリー「安倍晋三」ですが勿論「安倍の訃報」ではありません(苦笑)。どういう意味かは読めば分かると思うので説明はしません。
高石邦男 - Wikipedia(1/3死去:1930年生まれ、享年91歳)
 リクルート事件で有罪判決を受けた「元文部事務次官」のこの男が亡くなったのも昨年でした。
 なお、この男の側近の一人で「リクルートの過剰接待」で早期退官に追い込まれたものの、後に愛媛県知事として復権した加戸守行 - Wikipedia(1934年生まれ、享年85歳)は既に一昨年に死去しています。


左藤恵 - Wikipedia(1/9死去:1924年生まれ、享年96歳)
森山眞弓 - Wikipedia(10/14死去:1927年生まれ、享年93歳)
 過大評価はしませんが
 左藤氏:
 海部内閣法相時代に「死刑廃止派として在任中は死刑執行はしない」と明言し、その通りにしたこと
 森山氏*1
 海部内閣官房長官時代に相撲協会の女人禁制を批判したこと(その後、太田房江大阪府知事(当時)なども同様の批判をしますが)
自民党議員でありながら、自民批判派からも澤藤統一郎の憲法日記 » 仏教者としての信念から、死刑執行をしなかった法務大臣がいた。資質の問題から生きた時代まで大差があるにしても、あまりの落差に驚く(森山真弓と杉田水脈) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)と一定の評価を受ける御仁でした。
 左藤氏と比べると「大臣就任前に死刑廃止議連メンバーだった」くせに

千葉景子 - Wikipedia参照
 法相就任後、死刑廃止議連を脱退。2010年7月28日には、民主党政権下では初の死刑執行となる死刑囚2人(熊谷男女4人殺傷事件及び宇都宮宝石店放火殺人事件*2における死刑囚)の刑執行を行った。
 かつて所属していた同議連は「死刑は国家による殺人行為」と強く抗議し、千葉との面会を求めたが拒否された。当時、同議連の会長だった亀井静香*3は「死刑をすべきではないという信念を持っていた(千葉)法相なので、考え方を変えるのなら、国民に説明しないと(いけない)」と主張の変遷を批判。社民党党首の福島瑞穂は、「政府内で大きな議論もなく、死刑が執行されたことは本当に残念だ。結局、自民党時代の政治と何も変わっていない」と、死刑制度に対する議論を行っていないことに対する批判を展開させた。

という「鳩山、菅内閣の千葉法相」には「軽蔑と憤怒の感情」を禁じ得ません。
 それはともかく、左藤氏、森山氏は他にも大臣経験(例:左藤氏は中曽根内閣郵政相、羽田内閣国土庁長官、森山氏は海部内閣環境庁長官、宮沢内閣文相、小泉内閣法相(金正男が国外退去処分になったときの法相です。また、彼女は左藤氏と違い法相時代に名古屋保険金殺人事件 - Wikipediaの長谷川敏彦*4などの死刑執行書に署名しています))はあるのですが、

公立高校の教員のサッカー指導者としては、最後・最大の超大物だったかも(小嶺忠敏氏の死によせて) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 記事の見出しにもあるように、小嶺氏は、世間ではあくまで「国見高校の指導者」ですね。彼も国見高校を去ったのが2007年1月初旬ですから、もう15年も前の話なわけですが、当然ながら彼は「長崎総合科学大付高」や国見の前任の「島原商業」の監督であるより国見高校の監督なわけです。

と同様、彼らについて取り上げられる「大臣としての言動」は

元衆院議員の左藤恵氏死去 96歳、法相として死刑執行に反対:時事ドットコム2021.1.10
 海部内閣で法相に就任したが、真宗大谷派の僧侶であることを理由に死刑の執行命令書に署名を拒み、議論を呼んだ。

左藤恵氏が死去 元法相: 日本経済新聞2021.1.10
 90年12月~91年11月に海部内閣の法相に就任。真宗大谷派の僧侶で在任中に死刑を執行しなかった。超党派死刑廃止推進議員連盟の会長も務めた。

森山真弓氏死去、93歳 女性初の官房長官:時事ドットコム2021.10.18
 在任中に大相撲の内閣総理大臣杯を自ら授与することを日本相撲協会に打診したが、土俵が女人禁制であることを理由に拒否された。

森山真弓元官房長官が死去 - 産経ニュース2021.10.18
 女性初の官房長官に抜擢された。(ボーガス注:平成)2年の大相撲初場所で土俵上での表彰の意思を示したが拒否され、日本相撲協会に土俵の女人禁制撤回を申し入れたこともあった。

ということでやはり「海部内閣法相での死刑署名拒否」「海部内閣官房長官での相撲協会批判(たまに法相時代の金正男国外追放)」ですね。
 公立高校の教員のサッカー指導者としては、最後・最大の超大物だったかも(小嶺忠敏氏の死によせて) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)をまねすれば

 記事の見出しにもあるように、左藤氏は、世間ではあくまで「海部内閣の法相(死刑執行拒否)」ですね。当然ながら彼は「中曽根内閣郵政相」や「羽田内閣国土庁長官」であるより「海部内閣法相」のわけです。

 記事の見出しにもあるように、森山氏は、世間ではあくまで「海部内閣の官房長官相撲協会の女人禁制批判)」ですね。当然ながら彼女は「海部内閣官房長官就任前に務めた環境庁長官」や「宮沢内閣文相」「小泉内閣法相」であるより「海部内閣官房長官」のわけです。

という話です。
 また公立高校の教員のサッカー指導者としては、最後・最大の超大物だったかも(小嶺忠敏氏の死によせて) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)で思いついたのですが、森山氏は「官僚出身の自民党議員としては、最後・最大の超大物(官房長官、法相を歴任)の一人だったかも」とふと思いました(今の自民では、小泉、安倍、福田、麻生元首相、岸田首相など幹部連中は世襲議員がほとんど*5なので。彼女も夫・森山欽司*6の地盤を継いでるとはいえ、労働省婦人少年局長を務めたエリートなので一般的な世襲議員とはやはり違うでしょう)。
 それにしても、今、そういう「自民批判派からも一定の評価をされる自民党議員」ってどれほどいるのか。「自民もレベルが落ちた」とげんなりします。
 なお、二人とも海部内閣閣僚という点が興味深い。
 二人とも、海部内閣当時においては「失礼ながら」大物議員とはいえず「法相や官房長官につくこと」は難しかった(なお、森山氏は現時点で「日本初」&「日本唯一」の女性官房長官です)。
 それがなれたのはリクルート疑惑で竹下首相が辞任に追い込まれ、「安倍晋太郎幹事長」「宮沢蔵相」「渡辺政調会長」など幹部連が一時的(後に宮沢氏は首相、渡辺氏は宮沢内閣外相として復権。なお安倍晋太郎は宮沢氏らが復権する頃には既にガンで病死)とはいえ「政治的謹慎」を余儀なくされたからです。まあ、そもそも海部首相自身が首相候補扱いされていた「安倍(三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任)」「宮沢(池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相など歴任)」「渡辺(福田内閣厚生相、大平内閣農水相、鈴木内閣蔵相、中曽根内閣通産相自民党政調会長(竹下総裁時代)など歴任)」と違い、「自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相」しか要職経験が無く、リクルート事件発覚以前は「首相候補」と見なされていませんでしたが。
 しかし「リクルート事件で竹下*7辞任」が今や「モリカケ、桜」でも安倍*8長期政権です。「日本政治の劣化」に絶句しますね。「安倍晋三と比べるのも失礼」「当たり前すぎて、言うのも愚か」ですが、竹下は安倍よりずっとマトモですしねえ(安倍批判1回目)


立花隆 - Wikipedia(4/30死去:1940年生まれ、享年80歳)
 「田中角栄*9金脈研究(後に立花『田中角栄研究全記録』(1982年、講談社文庫)に収録)」で名を残した御仁ですね。
 但し、その後、

◆『日本共産党の研究』、『中核VS革マル』(以上、1983年、講談社文庫)
◆『農協』(1984年、朝日文庫)
◆『アメリカジャーナリズム報告』、『アメリカ性革命報告』(以上、1984年、文春文庫)
◆『宇宙からの帰還』(1985年、中公文庫)
◆『脳死』(1988年、中公文庫)
◆『脳死再論』(1991年、中公文庫)
◆『脳死臨調批判』(1994年、中公文庫)
◆『サル学の現在』(1996年、文春文庫)
◆『臨死体験』(2000年、文春文庫)
◆『「田中真紀子」研究』(2002年、文藝春秋
◆『シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界』(2004年、文藝春秋
◆『小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力』(2009年、朝日新聞出版)
◆『武満徹・音楽創造への旅』(2016年、文藝春秋

などの著書を書いたとはいえ「田中金脈」を超える仕事が出来たとはいえず*10、「ぱっとしなかった」のは立花にとっても不本意ではあったでしょう。彼については2か月弱死が伏せられていたのだから、立花隆もたぶん世間的には「過去の人」だったのだろう(外地・旧植民地で生まれたり育った人たちもどんどん亡くなっている) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)を紹介しておきます。
 しかし「金脈問題で田中辞任*11」が今や「モリカケ、桜」でも(以下略)(安倍批判2回目)


橋本敦 - Wikipedia(8/29死去:1928年生まれ、享年93歳)
飯塚繁雄 - Wikipedia(12/18死去:1938年生まれ、享年83歳)
 これについては国会で、早い時点で北朝鮮拉致の可能性を指摘し政府側の答弁を引き出した橋本敦氏の死に際して、その件が必ずしも報道されていないことが拉致風化を物語る - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)けっきょくのところ「巣食う会」にものを言えない人だった(拉致被害者家族会前代表飯塚繁雄氏の死によせて) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)を紹介しておきます。
 まあ「梶山*12国家公安委員長、宇野*13外相答弁」を引き出した橋本氏に感謝せず、安倍に感謝するような家族会には心底呆れますね(安倍批判3回目)

国会で、早い時点で北朝鮮拉致の可能性を指摘し政府側の答弁を引き出した橋本敦氏の死に際して、その件が必ずしも報道されていないことが拉致風化を物語る - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 なんで救う会巣食う会)が橋本氏がお亡くなりになったことを報じないかといえば、それは橋本氏というより日本共産党への敵対心の故なのでしょうね。それでいて、安倍晋三みたいな役立たずのクズには最大限の支持をしているのだから、こいつらどんだけ恣意的でデタラメで、無礼千万な連中だというところです。

という「右翼集団・救う会」への忖度なのでしょうが救う会(珍右翼が巣くう会)は勿論家族会にも心底呆れます救う会批判1回目)。俺はもはや家族会には何一つ同情していません。「軽蔑」「憎悪」「憤怒」といった負の感情しかない。


盧泰愚 - Wikipedia(10/26死去:1932年生まれ、享年88歳)
全斗煥 - Wikipedia(11/23死去:1931年生まれ、享年90歳)
 ということで去年は「光州事件の関係者」2人が死去しています。全死去については荒木和博も、朴正煕や全斗煥をそんなに高く評価するのなら、拓殖大学の紀要や極右雑誌でないまともな学術誌に彼らの時代制約もふくめて論じる論文でも投稿したらどうか - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)を紹介しておきます。荒木和博もいつもながら呆れたバカです救う会批判2回目)


三遊亭圓龍 - Wikipedia(8/20死去、1939年生まれ、享年82歳)
川柳川柳 - Wikipedia(11/17死去:1931年生まれ、享年90歳)
三遊亭圓丈 - Wikipedia(11/30死去:1944年生まれ、享年77歳)
 ということで三遊亭円丈*14『御乱心:落語協会分裂と、円生とその弟子たち』(1986年、主婦の友社→後に、加筆修正の上『師匠、御乱心!』と改題して2018年、小学館文庫(御乱心 落語協会分裂と、円生とその弟子たち - Wikipedia参照)で描かれた「落語協会分裂劇」の関係者が複数死去しています。
 川柳が円丈の兄弟子(三遊亭を離脱して柳家小さんの弟子になったため亭号が変わった)、円龍が弟弟子です(入門順で兄弟子、弟弟子になるので年齢が上でも円龍が弟弟子になるわけです)。
 なお

三遊亭圓窓 - Wikipedia参照
 1940年生まれ。2021年に、弟弟子の三遊亭圓龍(8月20日)、兄弟子の川柳川柳*15(11月17日)、弟弟子の三遊亭圓丈(11月30日)が亡くなったことに伴い、6代目三遊亭圓生*16(1900~1979年)門下最後の存命者となった。

だそうです。
 また著名落語家としては
柳家小三治 - Wikipedia*17(1939年生まれ、享年81歳)が昨年10/7に死去しています。


デズモンド・ムピロ・ツツ - Wikipedia(10/7死去:1931年生まれ、享年90歳)
フレデリック・ウィレム・デクラーク - Wikipedia(11/11死去:1936年生まれ、享年85歳)
 ということで去年は南ア・アパルトヘイト関係の著名人が二人亡くなっていますね。アパルトヘイトも完全に過去の歴史になったような気がします。

*1:海部内閣官房長官小泉内閣法相などを歴任。著書『非常識からの出発:女性官房長官激動の6か月』(1990年、小学館)、『法務大臣の八八〇日』(2004年、河出書房新社

*2:この宇都宮の事件については浪費をする人間というのは、想像以上にひどい - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)を紹介しておきます。

*3:村山内閣運輸相、橋本内閣建設相、自民党政調会長(小渕、森総裁時代)、国民新党代表、鳩山、菅内閣金融等担当相など歴任

*4:長谷川については、大塚公子『その日はいつなのか。死刑囚長谷川敏彦の叫び』(2001年、角川文庫)、原田正治『弟を殺した彼と、僕。』(2004年、ポプラ社)参照

*5:なお、俺はこうした世襲議員については「バカ(例:安倍や麻生)でも議員になれる」と否定的考えです。

*6:田中内閣科学技術庁長官、大平内閣運輸相など歴任

*7:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*8:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*9:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)など経て首相

*10:少なくとも、金脈研究ほどには話題になりませんでした。

*11:まあ、いわゆる「狂乱物価」も辞任理由の一つではありますが。

*12:竹下内閣自治相・国家公安委員長、宇野内閣通産相、海部内閣法相、自民党国対委員長(海部、宮沢総裁時代)、幹事長(宮沢総裁時代)、橋本内閣官房長官など歴任

*13:田中内閣防衛庁長官自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*14:著書『落語家の通信簿』(2013年、祥伝社新書)

*15:著書『寄席爆笑王:ガーコン落語一代』(2009年、河出文庫

*16:著書『噺のまくら』(2019年、小学館文庫)、『明治の寄席芸人』、『寄席楽屋帳』、『寄席切絵図』、『寄席育ち』(以上、2021年、岩波現代文庫

*17:著書『落語家論』(2007年、ちくま文庫