珍右翼・黒坂真に突っ込む(2022年1月15日分)

◆黒坂のツイート

黒坂真
 不破哲三「私の戦後60年」(新潮社刊行、p215)によれば、昭和63年3月に橋本敦参議院議員横田めぐみさんの件を国会で取り上げた事になっています。これは不破さんの宣伝にすぎません。横田さんの拉致が明らかになってきたのは平成9年1月下旬ですから。

 小生も「私の戦後60年」の初版を持ってるので確認しましたが、最初読んだときはうかつにも気づきませんでしたが確かにそう書かれています(その後、増刷の際に、訂正された可能性がありますが)。そしてこれは「いつもの黒坂のデマ」とは違い、確かに黒坂の言うように「事実誤認」だろうと思います(1988年3月26日/参議院予算委員会での橋本敦議員の質問(抜粋)参照)。新潮社の校正はなかったのか、不破氏が執筆に当たり、党職員に校正をさせなかったのかと疑問に思いますが、まあ、黒坂が必死に印象操作するような「故意のデマ」ではなく事実誤認でしょう。そんなデマを故意に飛ばす必要性はどこにもありませんので(むしろ「故意のデマ」常習なのは「南京事件否定論」「河野談話否定論」などの黒坂らウヨの方です)。
 黒坂以外こんなことで不破氏を非難しない*1のは1)「ただの勘違い」で説明がつく話だし、2)橋本氏が「李恩恵問題」「3件のアベック失踪」を質問し、宇野外相、梶山国家公安委員長に「北朝鮮拉致疑惑」を認めさせた功績という「不破氏の話の本筋」には何ら影響しないからです。
 なお、

1997年6月5日/参議院法務委員会での橋本敦議員の質問(抜粋)
◆橋本敦君
 いわゆる日本人拉致事件の問題でありますが、私はもう十年も前にこの問題について予算委員会で質問をさせていただきました。当時の国家公安委員長、今の梶山官房長官は、昭和五十三年以来一連のアベック行方不明事件、恐らくは北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚でございます、解明が大変困難ではあっても、事態の重大性にかんがみて、今後とも真相究明に全力を尽くしますとおっしゃっていただきました。自来、長い年月がたちました。との問題について家族の人たちは、拉致された子供たちのことも気にしながら、声を上げずに辛抱してまいりました。しかし、今日になってもその音さたが、政府の責任で解明されるという方向に進まない、そういう気持ちの中で苦慮しておられましたが、たまたまその中で、御存じのように横田めぐみさんの事件が新たに問題になって、これが明らかになってまいりました。そこで、北朝鮮に拉致された人々の家族が三月二十五日に家族会を結成されまして、新聞、テレビでも大きく報道されたところであります。
 この横田めぐみさんの情報が入りまして、いち早くお父さんに御連絡したのは私の部屋からでございましたけれども、「文芸春秋」でお父さんはそのときのことをおっしゃって、娘が姿を消して二十年、「初めて耳にした娘の消息に、私の身体はショックと驚きで震えました。」と、「議員会館のある永田町に向かう途中、次第に「娘は生きていた」という喜びが湧き上がってきました。」、そして、「一刻も早くめぐみを救出できるなら自分の命さえ惜しいとは思いません。代われるものなら代わってやりたいと思うのは、子を持つ親なら誰でも同じではないでしょうか。」と、こうおっしゃっていますが、まさに家族の皆さんはそうだと思います。
 警察庁に伺います。これまで北朝鮮の拉致と見られる、認定された事件の件数と人数はどうなっておりますか。
◆説明員(米村敏朗君*2
 お答えいたします。
 私どもの方でこれまで北朝鮮による拉致の疑いのある事件と判断しておりますのは七件、十人でございます。なお、これ以外に未遂であったと思われるものが一件、二人であると判断しております。
◆橋本敦君
 昨日も池田*3外務大臣は外務委員会で、省庁間の連携を密にしていかないといけないので、各省の協議を密にして早急に相談を進めていきたいと答弁なさったことが報道されました。
(中略)
 そこで、この問題で最後に法務大臣にお願いしたいんですが、池田外務大臣も御答弁がありましたが、各関係省庁の連絡ということになりますと、人権を預かる法務大臣も大事なその中のお一人でございます。法務大臣として、警察庁あるいは外務大臣、あるいは国家公安委員長、あるいは官房長官等とこの問題について御協議をぜひ進めていただきまして、適切な対策なり方法なりを見出していただきますように、連絡体制の強化、対策本部でも結構でございますが、一段の努力をぜひ法務大臣に私はお願いして、この件の質問は終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(松浦功君*4
 委員御指摘のとおり、大変重要な問題でございます。関係機関と十分に連絡をとって、いかなる方法が最も効果的であるかということについて前向きに検討を進めていく必要があるんではないかと思っております。最大限の努力をお約束申し上げます。
◆橋本敦君
 ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。

ということで、横田めぐみさん拉致疑惑が浮上してからの橋本議員の質問(1988年の李恩恵質問とは、別の1997年の質問)では彼女について触れています。
 不破氏はおそらく「1989年の質問(宇野*5外相、梶山*6国家公安委員長に「北朝鮮拉致疑惑」を認めさせた、ただし、安明進証言以前のためめぐみさんには触れず)」「1997年の質問(橋本内閣に『1988年の梶山国家公安委員長答弁』は今どうなってるのかと問いただす。安明進証言以前のためめぐみさんに触れる)」をごちゃ混ぜにしてしまったのではないか。
 黒坂も「早い段階での橋本質問を評価する」のではなく、不破氏のただの勘違いに因縁とは呆れたバカです。
 なお、不破氏は著書において「1988年の橋本質問」で触れた失踪として他に「3件のアベック失踪事件(新潟の蓮池夫妻、福井の地村夫妻、鹿児島の市川修一氏と増元るみ子氏)」を取り上げています。これらは勘違いである「めぐみさん」云々と違い全て、「1988年の橋本質問」で触れられており、北朝鮮も小泉訪朝時に拉致を認めています。また、不破著書では触れられていませんが「1988年の橋本質問」では「李恩恵疑惑(田口八重子氏と推定される)」「富山のアベック拉致未遂」も取り上げられています。

*1:ウヨですらこんな非難をするのは黒坂ぐらいではないか。

*2:警視庁公安部長、警察庁警備局長、警視総監など歴任

*3:宇野内閣総務庁長官、海部内閣防衛庁長官、橋本内閣外相、自民党政調会長(小渕総裁時代)、総務会長(森総裁時代)など歴任

*4:自治事務次官。橋本内閣で法相

*5:田中内閣防衛庁長官自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*6:竹下内閣自治相・国家公安委員長、宇野内閣通産相、海部内閣法相、自民党幹事長(宮沢総裁時代)、橋本内閣官房長官など歴任