今日の中国ニュース(2022年2月21日分)

日本企業が今こそ中国事業を見直すべきこれだけの理由【江上剛コラム】:時事ドットコム
 筆者の名前でググったところ

◆『怪物商人:大倉喜八郎*1伝』(2013年、PHP研究所
◆『成り上がり:金融王・安田善次郎*2』(2013年、PHP文芸文庫)
◆『天あり、命あり:百年先が見えた経営者・大原總一郎*3伝』(2016年、PHP研究所
◆『クロカネの道:鉄道の父・井上勝*4』(2017年、PHP研究所
◆『住友を破壊*5した男・伊庭貞剛*6伝』(2019年、PHP研究所

といった著書がヒットしたので「ビジネス小説作家」ですね。コメ欄で指摘がありますが「PHPからの刊行が多い」のが興味深い。
 ビジネス作家でも

城山三郎
◆『野性のひとびと:大倉喜八郎から松永安左衛門*7まで』(1981年、文春文庫)
◆『 「粗にして野だが卑ではない」:石田禮助*8の生涯』(1992年、文春文庫)
◆『ビッグボーイの生涯:五島昇*9その人』(1997年、講談社文庫)
◆『わしの眼は十年先が見える:大原孫三郎*10の生涯』(1997年、新潮文庫)
◆『もう、きみには頼まない:石坂泰三*11の世界』(1998年、文春文庫)
◆『部長の大晩年:永田耕衣*12の満開人生』(1998年、朝日新聞社
◆『運を天に任すなんて:人間・中山素平*13』(2003年*14新潮文庫)

などは一般出版社からの刊行が多い。

 1月14日付の日本経済新聞に「キリン、中国飲料の合弁解消へ」との記事が掲載されていた。
 キリンホールディングスが、中国の飲料大手との合弁事業を1000億円前後で、中国ファンドに売却するというものだ。
 世界的ビールメーカーであるバドワイザーは、巨額の広告費を費やし、中国市場でシェアを獲得していた。
 また、オランダのハイネケンは、中国人の見栄を張りたい国民性にうまく食い込み、高級ビール市場で大きな地位を獲得していた。

 でキリンはその勝負に負けただけの話です。
 「勝っていれば」中国からは撤退しなかったでしょう。勿論一方で「中国で大儲けしている日本企業」もある。
 結局のところケースバイケースでしかありません。
 「キリンが撤退したこと」は「だから中国事業に魅力がない」という話ではない。
 なお、

キリン、中国の清涼飲料事業から撤退 - 産経ニュース2022.2.16
 キリンHDは、2017年にブラジルのビール事業、21年にはオーストラリアの清涼飲料事業を売却。

キリン、ブラジル事業の売却発表 ハイネケンに770億円で: 日本経済新聞2017.2.13
 キリンホールディングス(HD)は13日、ブラジルのビール・飲料事業子会社ブラジルキリンを、オランダのハイネケンに770億円で売却すると発表した。ブラジル経済の低迷や同業他社との競争激化で低迷が続いていた。世界3位の市場に進出後、わずか6年で撤退する。今後は市場成長が期待できる東南アジアに投資を集中する。

キリンHD、豪飲料事業の売却完了: 日本経済新聞2021.1.25
 キリンホールディングス(HD)は25日、オーストラリアの乳飲料事業の売却手続きが完了したと発表した。豪乳業大手のベガ・チーズに5億6000万豪ドル(約450億円)で売却した。

ということであり、キリンが撤退した海外事業は「中国だけではないこと」を指摘しておきます。

 「台湾有事」のことを考えておかねばならない。

 「台湾が独立宣言しない」限り「その可能性はほとんどない」ので馬鹿馬鹿しい話です。そもそも政情不安を理由にするなら「軍事独裁ミャンマー(キリンが撤退)」「ウクライナ問題のロシア」「タリバン政権のアフガン」「内戦状態のシリア」などがよほどそれに該当するでしょう(これらの国の中には日本企業が進出してない国もあるかもしれませんが)。中国はさすがにそこまでひどくないでしょう。なお、「あの文革の時」ですら日本企業は進出していたかと思います。


【世界を解く-E・ルトワック】中国は対インドで戦火を開く - 産経ニュース
 有料記事なので途中までしか読めませんが「根拠は何だ?」ですよね。当たり前ですが、「国際的批判」など様々な不利益を考えたら戦争はそう簡単にできる行為ではありません。


王毅部長が新疆問題に言及「事実を前に嘘は自壊する」--人民網日本語版--人民日報

 王*15部長はまた、「中国は、バチェレ*16国連人権高等弁務官による新疆視察訪問を含む訪中に対し、すでに歓迎の意を表している。中国側は現在、バチェレ氏及び国連人権高等弁務官事務所と詳細な日程を定めるべく協議している。バチェレ氏が訪中時に平和と安定を保ち、各民族人民が和やかに共生する新疆も目にするものと私は信じる。事実を前に、様々な嘘や虚偽情報は自壊するものと私は信じる」とした。

 ひとまずはバチェレ氏の訪問がどうなるかを注目したい。


【主張】北京五輪閉幕 IOCは過ち繰り返すな 日本勢の勇躍には拍手を送る - 産経ニュース

「歴然と人権侵害をしている国に五輪(の開催権)を与えるのは極めて無責任だ」。
 スピードスケート男子2冠のニルス・ファンデルプール(スウェーデン)が地元紙にこう語ったのは帰国後だ。

 以前

今日の中国ニュース(2022年2月13日分) - bogus-simotukareのブログ
 呆れて二の句が継げません。
 中国批判するのは彼の自由です。しかし「北京五輪に出場して金メダルを取った人間」が「帰国後」に人権問題を理由に「中国で五輪を開催すべきでなかった」というのには「はあ?」ですね。
 ならば何故出場したのか。本心、そう思ってるのなら「あえて表彰台で『北京で五輪は開催すべきでない!』と抗議するためにメダルを目指した*17」のでないなら「出場する意味」はないでしょう。帰国してからそんな批判をしても「卑怯者でしかない」。
 「極めて無責任」なのはこの御仁ではないのか。
 「中国での五輪開催には反対しない。そもそも出場してメダルを取った私にそんな資格はない。しかし、中国の人権問題は批判する。北京五輪に出場したからといって『未来永劫、中国批判できない』なんてのはおかしい」というのなら理解できますが。
 正直「そんなに北京五輪が間違った五輪だと思うのならならば、君のメダルを剥奪する」とIOCに言われても文句は言えないのではないか。

と書きましたが「今も同意見」ですね。
 「メダルがほしくて」あるいは「メダルを取ってくれという周囲の希望を拒否できなくて」出場したのなら「北京で五輪を開催すべきでなかった」発言は俺の価値観では「無責任な発言」です。そう言いたいのなら「出場拒否すべき」だし、出場しメダルまで取ったのなら「出場しメダルまで獲得した以上、北京五輪開催の是非については何も言わない(ただし人権問題での中国批判はする)」のが責任ある態度でしょう。

*1:1837~1928年。大倉財閥創立者大倉喜八郎 - Wikipedia参照)

*2:1838~1921年安田財閥創設者(安田善次郎 - Wikipedia参照)

*3:1909~1968年。倉敷絹織(現在のクラレ)社長、倉敷紡績(現在のクラボウ)社長を歴任(大原総一郎 - Wikipedia参照)

*4:1843~1910年。鉄道局長、鉄道庁長官など歴任(井上勝 - Wikipedia参照)

*5:伊庭は「住友中興の祖」といわれる人物であり、ここでの「破壊」はいわゆる「創造的破壊」のことです。

*6:1847~1926年。住友本店支配人、住友総理事を歴任(伊庭貞剛 - Wikipedia参照)

*7:1875~1971年。東邦電力社長(松永安左エ門 - Wikipedia参照)

*8:1886~1978年。三井物産社長、日本国有鉄道総裁など歴任(石田礼助 - Wikipedia参照)

*9:1916~1989年。東京急行電鉄社長、会長を歴任(五島昇 - Wikipedia参照)

*10:1880~1943年。倉敷絹織(現在のクラレ)社長、倉敷紡績(現在のクラボウ)社長を歴任。社会、文化事業にも熱心に取り組み、倉紡中央病院(現・倉敷中央病院)、大原美術館、大原奨農会農業研究所(現・岡山大学資源生物科学研究所)、倉敷労働科学研究所(現・大原記念労働科学研究所)、大原社会問題研究所(現法政大学大原社会問題研究所)、私立倉敷商業補習学校(現岡山県立倉敷商業高等学校)を設立した。(大原孫三郎 - Wikipedia参照)

*11:1886~1975年。第一生命保険社長、東京芝浦電気(現・東芝)社長、会長、アラビア石油会長など歴任(石坂泰三 - Wikipedia参照)

*12:1900~1997年。三菱製紙高砂工場製造部長などを務めサラリーマン勤務をする傍ら(1955年に定年退職)、俳人としても活躍(永田耕衣 - Wikipedia参照)

*13:1906~2005年。日本興業銀行(現:みずほフィナンシャルグループ)頭取、会長など歴任(中山素平 - Wikipedia参照)

*14:中山の没年が2005年であることを考えるとどれほど自由に小説がかけたのだろうかと疑問には思います(関係者への取材を考えれば没後でも自由にかけるものでもないでしょうが)

*15:駐日大使、中国共産党中央台湾工作弁公室主任(国務院台湾事務弁公室主任)などを経て国務委員(外交担当)兼外相

*16:チリ厚生相、国防相、大統領、UN Women(国連女性機関)事務局長などを経て国連人権高等弁務官

*17:ただしそれをやると「最悪、中国政府による身柄拘束やIOCによるメダル剥奪の恐れがある」のでやれとは言いませんが