「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年2/24日分:荒木和博の巻)(追記あり)

【追記】

中満泉*1
 ウクライナが1994年に核兵器を放棄しなければ今日のような状況にはならなかったとの発言が非専門家の間で散見されますが、これは神話です。ウクライナに配備されていた核弾頭は、旧式のもので安全に維持できるものではなく、オペレーショナルなコントロールウクライナにはありませんでした。

 一応ノーコメントで紹介しておきます。
【追記終わり】

戦う覚悟(R4.2.24): 荒木和博BLOG
 6分50秒の動画です。タイトルで読む気が失せます。
 というのもタイトルで予想がつく通り「細部はともかく」戦う覚悟【調査会NEWS3566】(R4.2.23): 荒木和博BLOGと内容はほとんど同じです。
 従って戦う覚悟【調査会NEWS3566】(R4.2.23): 荒木和博BLOGを読めば、この動画を見る必要はない。
 まあ多少違いはあります。
 荒木曰く「ウクライナが核廃棄しなければ今回の事態は起きなかったという主張には一理あるのではないか。核を持つウクライナにロシアは侵攻しただろうか?」(後でこうした主張についてはネット記事を紹介します)
 おいおいですね。「曖昧にごまかしてはいました」がおそらく「『ロシアの北海道侵攻』『中国の尖閣侵攻』を阻止するためには日本の核保有がー」でしょう。
 しかし第一に「ロシアや中国による日本侵攻」の可能性自体が非常に少ない。つうか「シリアやウクライナ」に軍事展開してるのに「日本侵攻」なんて負担が大きすぎて「するわけがない」。そもそも現時点では「ウクライナ侵攻」もロシアにとって比較的負担が小さい「ロシア武装勢力支配地域へのロシア軍の展開」にすぎません。
 勿論、周辺諸国(米ロ中韓)も日本の核保有なんか認めないでしょう。
 第二にこの理屈なら「韓国(北朝鮮の脅威)」「北朝鮮(在韓米軍の脅威)」「台湾(中国の脅威)」の核保有が正当化できる。荒木は正当化するのか、周辺諸国(米ロ中韓)は反対するだろうに(というか台湾、韓国はともかく北朝鮮については既に保有済みなので現在進行形で周辺諸国が反対していますが)という話です。まあ台湾はともかく南北朝鮮については「南北朝鮮の核保有反対」が「アンチ南北朝鮮のウヨ」荒木でしょうが。
 第三にそんなことは「今更言っても仕方がない」し「ウクライナが核保有し続けるべきだったか」といえば「そんなことはない」でしょう。バイデンなど多くの政府首脳もそんな立場ではないでしょう。どっちにしろそんな事が拉致問題と何の関係があるのか。何の関係もない。
 荒木曰く「イラク戦争反対と言って米国大使館前で抗議した左派は、今回、ロシア大使館前で抗議したり、ロシアに渡航してクレムリン前で抗議したらどうか」。
 前者はともかく後者は論外です。今回のウクライナ問題といい、過去の「政敵暗殺疑惑(例:英国公安がロシアの犯行と断定しているリトビネンコ暗殺)」といい、「やばい話ばかりのプーチン」にそんなことをしたら最悪、命の保証がない。つうか、現状では、日本政府がロシア渡航を許可しないのではないか。
 つうか、「なら、お前がクレムリン前でやれよ、荒木」ですね。おそらくそういえば「そんな危ないことができるか」と言い出すバカが荒木でしょうが。これについては似たような荒木のアホ発言として

自分では気の利いたことを言っているつもりで馬鹿なことばかりほざくクズ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 「戦争反対」も結構ですが、永田町で警察に守られながら騒いでいる暇があったら平壌に行ってデモしたらどうでしょうか。
(中略)
 だいたい平壌でデモするんだったら、荒木、お前たちが率先してすればいいじゃん。拉致被害者、特定失踪者を即刻日本に返せってさ。もちろん私は、止めはしないよ(笑)。どうせ平壌でデモをするのなら、日本の集団的自衛権反対のデモをするより、巣食う会や家族会の運動のデモをする方が、よっぽど意味も効果もあるんじゃないの(嘲笑)。
 なに? そんなことできっこないって? だったら冗談でもそんなクズなこと言ってんじゃねえよと思います。こういう愚にもつかない言いがかりをつけて自分は頭のいいことを言っているつもりなのだから、何をいまさらながら、本当にどうしようもないやつです。
 荒木というのは、ほんと自分では気の利いたこと、ユーモア、皮肉を言っているつもりで、こういう愚にもつかない馬鹿げたことばかりほざいていると思います。まあこんなやつを相手にする側の問題でしょうが。いずれにせよ困ったもんです。

を紹介しておきます。
 前者についてはもちろん「やっていい(やらなくてもいいですが)」。
 もしかしたら既に「やってる左派」もいるかもしれませんが。
 ちなみに

「ロシアに経済制裁を」ウクライナ人ら、在日ロシア大使館近くでデモ [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル(本多由佳)2022.2.23
 在日ウクライナ人らが23日、東京都港区の在日ロシア大使館近くで抗議活動をした。ウクライナ国旗を掲げ、一連のロシアの対応を厳しく非難。「戦争反対」「STOP Putin(プーチン)」などと書かれた紙を手に、「ウクライナを守りましょう」と声を張り上げた。
 オクサーナ・ピスクノーワさん(45)=横浜市港北区=は「私たちが声を上げないと、ウクライナで何が起こっているか世界に伝わらない。日本や欧米には、ロシアに対して強力な経済制裁をしてほしい」と訴えた。

「ウクライナに平和を」 出身者がロシア大使館前で抗議活動 | 毎日新聞【加藤昌平】2022.2.23
 抗議活動を呼びかけた練馬区の会社員イーゴリ・イグナティエフさん(24)は、派兵命令のニュースを見て急きょ、この日の抗議活動を決めた。23日に岸田文雄首相が言及した経済制裁については「親露派地域に限られていて、まだ十分でない。ロシアに対しても制裁を広げてほしい」と話した。
 抗議活動には日本人も参加していた。2017年から1年間、ウクライナに留学していた横浜市の女性(27)は「日本の人には、ウクライナの現状を正しく知ってもらいたい」と話した。

「戦争反対」「プーチンを止めろ」、日本に住むウクライナ人が抗議活動 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン2022.2.23
 ウクライナ情勢の緊迫化を受け、日本に住むウクライナ人らが23日、東京都港区のロシア大使館周辺で抗議活動を行った。
 在日ウクライナ人の有志がフェイスブックなどで抗議活動への参加を呼びかけ、同国人のほか、日本人や英国人など各国の約40人が集まった。参加者は「戦争反対」「プーチンを止めろ」などと英語や日本語で書いた紙やウクライナ国旗を掲げ、国歌を歌ったり、「ウクライナに平和を」と訴えたりしていた。

【フォト特集】故郷の平和願い抗議活動 ロシア大使館前でウクライナ出身者ら - 産経ニュース2022.2.23
 軍事的緊張が高まるウクライナ情勢を受け、日本で暮らすウクライナ出身者らが23日、東京都港区のロシア大使館前で抗議活動を行った。「ウクライナに手を出すな」「戦争反対」といったプラカードを持ち、家族や友人が暮らす故郷の平和を願う人の姿が見られた。

ということでロシア大使館前での抗議それ自体なら「在日ウクライナ人&『支援者の日本人』による抗議」があったとのこと。
 また、日本共産党が批判声明なら出しています(ロシアは「独立」承認と派兵指令を撤回せよ/志位委員長が声明参照)。
 いずれにせよ「イラク戦争反対で米国大使館前で抗議するなら今回、ロシア大使館前で抗議しないといけない」「米国には厳しいのにロシアには甘いのか」と言う話ではない。
 そして前者(ロシア大使館前での抗議)について言えば「命の危険もない」でしょうから、荒木らウヨがやったらどうか。既に「やってる」のなら話は別ですが「自分はやりもせずに左派批判」なら醜悪な限りです。どっちにしろそんな事が拉致問題と何の関係があるのか。何の関係もない。
【参考:ウクライナの核廃棄】

【日本の解き方】ウクライナを見ればよく分かる北朝鮮が核兵器手放さない理由 米中両国による非核化は可能か(2/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト2022.2.3
 ウクライナの経緯を見ていると、核兵器を廃棄すると、ここまでロシアからいじめられるのかと思ってしまう。北朝鮮がいくら米国に言われても核兵器を絶対に手放さないのは、(ボーガス注:核廃棄後の)リビア*2ウクライナの例をみているからだろう。

危機のウクライナ、これが同盟のない憂い…北朝鮮と中国も注視 | Joongang Ilbo | 中央日報2022.2.23
 ウクライナ事態が北朝鮮に誤ったシグナルを与えることも懸念される。ウクライナの現在の危機は1994年のブダペスト覚書で核を放棄したためだと判断し、核兵器執着のさらなる根拠になる可能性があるからだ。
 ニューヨークタイムズは5日、「ウクライナは30年前、巨大な核兵器を放棄したことを後悔する」と題した記事で、「ソ連が崩壊した当時、ウクライナはロシアと米国の国家安全保障で数千個の核兵器を放棄した」とし「しかしプーチン大統領のようなリーダーの急浮上を予想できず、現在は核兵器保有していた過去がむしろよかったという世論もある」と伝えた。

ウクライナ外相「米国の安保を信じて28年間 “核放棄”してきた」…「代価を払え」(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース2022.2.23
 ウクライナのドミトロ・クレバ*3外相は「1994年の核放棄決定は、賢明な判断ではなかった」として、米国に対し「当時約束していた安全保障を履行せよ」と求めた。
 クレバ外相は22日(現地時間)米フォックス放送に出演し「当時ウクライナが、核放棄の決定をしたのは失敗だったのか」という質問に、先のように答えた。
 クレバ外相は「過去を振り返りたくはない。過去に戻ることはできない」と即答を避けた。
 しかしその後「当時もし米国が、ロシアとともにウクライナ核兵器を奪わなかったら、より賢明な決定を下すことができただろう」と語った。
 クレバ外相は「1994年、ウクライナは、世界3位規模の核兵器を放棄した。我々は特に米国が提示した安全保障を代価として、核兵器を放棄したのだ」と主張した。
 つづけて「当時我々は『誰かが我々を攻撃したら、米国が我々を助ける国の一つになる』という約束を交わした」と訴えた。
 ウクライナは1994年12月7日、米国・英国・ロシアなどと「ブダペスト覚書」を締結し、当時世界3位規模であった核兵器を放棄するかわりに、領土の安全性と独立的主権が保障されることになった。
 ウクライナは1800余基の核弾頭とICBM大陸間弾道ミサイル)を全てロシアに返還・廃棄し、1996年6月には全ての核兵器をロシアに渡し、非核化を完了した。
 クレバ外相は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ東部の親露分離勢力であるドネツク民共和国とルガンスク人民共和国の独立を承認したことについて「とんでもないことだ」と一蹴し「ウクライナはこれを認めない。全世界もまた認めないだろう」と強調した。


戦う覚悟【調査会NEWS3566】(R4.2.23): 荒木和博BLOG
 タイトルで読む気が失せます。
 「戦う覚悟」なんて精神論で物事が解決するなら誰も苦労しません。
 「例は何でもいい」ですが、精神論で解決するなら

◆旧日本軍は太平洋戦争で米軍に勝利
国共内戦蒋介石が勝利
毛沢東の大躍進は成功
◆荒木が職員だった民社党は今も存続

でしょう。正しい方法論でなければ良い結果は出ません。

 ウクライナ情勢がどうなるのか、刻々と変化していますから予想はしにくいのですが、間違いなく言えるのは結局力が全てだということです。こちらが強いと思えば相手は戦争をしかけない。弱いと思えばしかける。

 この理屈なら「北朝鮮が中露と密接なつながりがあること(中国とは未だに軍事同盟も結んでること)」「北朝鮮が核保有し、ミサイル開発もしていること」もしていることも正当化できるのですが荒木は「正当化するのか」。
 まあ、しないのでしょうが。
 なお、昔と違い、今は「国際的非難」の問題があるので現在では「相手が強いか弱いか」だけでは戦争は起こせません。

 習近平ウクライナにおけるバイデン政権の対応を見ているでしょう。その状況によっては台湾・尖閣も危険にさらされることは間違いありません。

 「ロシアと中国」「ウクライナと台湾、尖閣」「プーチン習近平」は違いがあるので全くそんなことはいえません。
 例えば「中国と国交がある国は台湾とは国交がない(台湾も国連加盟してない)」ですが「ウクライナは国連加盟している」わけです。
 そもそもそんなことが荒木が建前とする「拉致被害者の救出」と何の関係があるのか。何の関係もない。実に馬鹿馬鹿しい。

 話し合いが好きな人は直ちにウクライナとロシアの国境に行ってロシア軍を説得して欲しいものです。

 「話し合いが好きだから」話し合うわけではありません。
 「戦争」のような物騒な結果を避けたいから話し合うだけのことです。
 あるいは「話し合い以外に現実的解決法がない」から話し合うだけの話です。例えば北朝鮮拉致にせよ領土問題(北方領土竹島)にせよ「武力で奪還」など現実的に無理だから話し合うだけの話です。
 なお、現時点において「プーチン・ロシア側はともかく」米国もウクライナも「少なくとも建前では」ロシアとの対話を全否定はしていません。制裁もあくまでも「対話のための制裁」です。

 1990年代の初め、冷戦が終わったとき、私自身もそうでしたが、多くの人が「これでとりあえず理性が支配する世界ができたのではないか」と淡い期待を持ちました。なんだかんだ言ってもロシアは民主化するだろうし、中国も国際的なルールの中で行動するようになるだろう、米国の圧倒的優位は当分続くだろう

 「中露のみに悪口し、米国の政治的優位を希望する」荒木のあほさには呆れて二の句が継げません。ロシアと中国だけが「悪の国家」で他は正義の国家で、米国は「世界の警察官で常に正義」だとでもいうのか。
 荒木にとって米国の軍事行動は「国際的批判を浴びたベトナム戦争イラク戦争」なども含めてすべて正義なのか。「タイやミャンマー、エジプトの軍事クーデター」など中露が関係ない「反民主的、あるいは人権侵害的な出来事」は荒木にとってどう理解されているのか。都合が悪いから「やむを得ない必要悪」と強弁するのか。あるいは「見て見ぬふり」をするのか。それとも「タイの軍事クーデターなどの背後には中露がいる」と陰謀論でも放言するのか。

 北朝鮮に対しては最終的な目標を国交正常化に置いて、拉致・核・ミサイルを包括的に解決する、そのために金正恩と条件を付けずに向き合うというのが政府の方針です。今、この言葉が実現すると思っている人はどこにいるのでしょう。

 決して楽ではなく日本政府の工夫が必要だが「十分実現可能」と俺は思っています。
 実は荒木も「実現可能」と思ってるでしょう。思ってるからこそ奴は「特定失踪者」という「北朝鮮拉致被害者の捏造」を始めたわけです。「実現不可能」と思ってるなら「政府認定拉致被害者」以外に「そんな捏造をしてまで拉致被害者を増やそうと企む動機がない」はずです。

 私自身北朝鮮の体制は早晩崩壊すると思い続けてきました。

 荒木の「北朝鮮崩壊論」について、そういうのは「予想が誤った」「お前の言うことはあてにならん」ということだ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)を紹介しておきますが「荒木はあほか?」ですね。
 まず第一に「北朝鮮体制崩壊」と荒木が建前上の目的とする「拉致被害者救出」と何の関係もない。
 東ドイツ崩壊のような平和的崩壊をすればともかく、「シリアのような内戦状態」になったら救出などできなくなる。
 第二に「中露の北朝鮮への経済支援」を考えたら「体制崩壊」など現実的可能性が低いのは分かりきった話です。

 戦う覚悟こそが戦争を抑止できる

 「戦う覚悟」が「戦争を防ぐために全力を尽くす覚悟」ならそう言ってもいいでしょう。
 しかし「戦う覚悟」が「戦争する覚悟」ならそれは言うまでもなくかえって戦争を助長します。
 戦前、「米国と戦う覚悟」を決めた日本は、勿論、真珠湾攻撃で「戦争に突き進み」多数の犠牲を出して敗北しました。

 本来お慶び申し上げるべき天皇誕生日にこういうことを書かなければいけなくなったのは誠に残念ですが、現実に向き合うことこそが今必要だと思う次第です。

 現実に向き合ってないのは「外交交渉以外に拉致被害者救出の現実的道はないこと」を認めない荒木ら救う会と「救う会」言いなりの家族会の方です。

*1:国連平和維持活動(PKO)局アジア・中東部上級部長、国連開発計画(UNDP)総裁補佐などを経て国連事務次長(軍縮担当)。著書『危機の現場に立つ』(2017年、講談社)、『未来をつくるあなたへ』(2021年、岩波書店)(中満泉 - Wikipedia参照)

*2:米国が支援する反体制勢力によってカダフィ政権が転覆されカダフィも処刑された。

*3:エジプト大使、チェコ大使、カザフスタン大使、外務副大臣アルメニア大使などを経て外相(ドミトロ・クレーバ - Wikipedia参照)