珍右翼・高世仁に突っ込む(2022年3/4日分)(副題:ロシアのウクライナ侵攻)

日本人はウクライナの戦いを理解できるのか - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 「侵略への抵抗」という「大雑把な理解」ならわかるでしょうが「ロシアとの長年の複雑な関係」という意味では「わからない」のでしょうね。

岸田総理はざっと以下のような答え。
 退避勧告を発出し、目的の如何を問わず、渡航の自粛をお願いしている。報道の自由も大事ですが、他の目的も含めて渡航をおやめいただきたいというお願いをしている。いまウクライナは大変な命の危険の中にあります。緊迫した状況ですので、ぜひご理解とご協力をお願いします

 岸田の立場ではこういうのは当然ではないか。非難される話では全くないでしょう。なお、岸田発言「お願い」からもわかるように「渡航自粛」であって「渡航禁止」ではないことに注意しましょう(なお、韓国、ウクライナ渡航禁止 退避呼び掛け - 産経ニュースによれば韓国政府は「渡航禁止」だそうです)。勿論「自民党や外務省の反感を買ってその後の取材がしづらくなる」つう不利益はあるかもしれませんが、「行こうとすれば」行くこと自体はできるでしょう。
 むしろ「是非はともかく」日本マスコミが取材を避けるのは日本政府の退避勧告よりも「死人を出したくないから」でしょう。
 死人が出れば、「取材を行って良かったのか?」という批判を受けるかもしれない。遺族に対して「経済的補償やメンタルケア」もしなくてはいけない。入社希望者が減るかもしれない。

 以前、このブログで、日本人は、自分の国を守る*1ために戦うという人の比率が世界でダントツに低いことを紹介した。私はこれは決していいことではないと思う。

 前も指摘しましたが、俺の考えでは「悪いことでは全然ない」ですね。
 というのもその質問は「日本で戦争が起こったら戦うか」という「何だかな(呆)」な質問だからです。
 「日本が侵略を受けたら」という質問ではない。「戦争が起こったら」では「日中戦争、太平洋戦争」のような「日本から始めた戦争」「日本が避けようとすれば避けられた戦争」も入ってしまう。
 「日本から始めた無謀な戦争」で多数の人的犠牲(東京大空襲、広島、長崎の原爆など)を出したことを考えれば「自分の国を守るために戦うという人の比率が世界でダントツに低い」のは「当然の話」です。なぜならその「守る戦い」が戦前日本のような「偽りの戦い(戦う必要のない、回避可能な戦い)」の疑いがあるからです。 
 おそらく、「ナチスドイツの始めた戦争で悲惨な目に遭ったドイツ」など「日本と似たような過去(自国政府の始めた無謀な戦争で国民が酷い目に遭った)がある国」は低くなる傾向があるのではないか。
 一方で「宗主国との戦争で独立を達成した(例:ディエンビエンフーの戦いベトナム)」「侵略者を撃退した(例:ナチスドイツの攻撃を耐えきった英国)」など「栄光の歴史」が戦争にある国は逆に高いのではないか。
 そもそも今の日本において「侵略される可能性」がどこにあるのか。
 「ロシアの北海道侵攻」「中国の沖縄侵攻」などあるわけもない。

 私は玉川氏の意見には反対だが、玉川さんの意見は実は日本人の多数派ではないかと思う。

 いや、そんなことはないでしょう。
 「ウクライナとロシアで何とか和平ができないか」「国際的な制裁でロシアが戦争意欲を失って撤退しないか」ならともかく「ウクライナが降伏すればいい」という意見は決して多くはないでしょう。何せどう見てもロシアの侵攻は無法であり、一方、ウクライナにおいて降伏世論が高いとは思われない。
 だからこその「衆参でのロシア非難決議」ではないのか。
 そもそもその高世の理屈なら「ベトナム反戦運動」はどう理解されるのか。ベ平連などは「ベトナムが米国に降伏すればいい」なんて言わなかったわけです。
 高世が「降伏主張」が「多数派」と決めつける根拠は何なのか。
 高世の紹介が事実なら、玉川氏の主張は「犠牲が多くなる」から「蒋介石は日本軍に降伏しろ」「ホーチミンは米軍に(以下略)」レベルの暴論ですからね。そんな主張が日本人多数派とはとても思えません。
 しかし高世を信じれば玉川氏はゼレンスキーを「降伏を遅らせて国民を無駄に死なせたヒトラー昭和天皇」のように理解してるようで呆れます。
 とはいえ「降伏しろ」とは思いませんが、「ウクライナの個別具体的な対応」は「果たして妥当なのか」つう議論はありうるとは思います。
 例えば「撤退しないで玉砕戦術*2」などというのはアンチロシアでも多くの人間は支持しないでしょう。

*1:この場合の「守る」とは「戦争」という意味であり「モリカケ疑惑追及」や「環境保護」などといった話ではないことを指摘しておきます。「モリカケ疑惑追及」という意味なら「不正とは戦わない」という態度はまずいですが。

*2:ウクライナがそういう戦術を現在とってるという話ではなく、もしそうした戦術を取るならば俺は批判するという話です