「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年3/17日分:荒木和博の巻)

盗っ人に「三分の理」がない拉致問題(R4.3.17): 荒木和博BLOG

 ロシアのウクライナ侵攻にももちろん*1何分かの理はあります。理が全くないのが北朝鮮による拉致です。

 7分程度の動画です。タイトルと説明文だけで見る気が失せます。実際見る必要は全くありません。
 第一に「北朝鮮の拉致は道理がない」「そのことは北朝鮮も認識しているから、小泉訪朝で拉致を認めるまで北朝鮮はその事実を否定してきた」「拉致を認めても末端の暴走だ、政府中央は知らなかったと言い訳した」などと悪口して拉致解決(拉致被害者帰国)と何の関係があるのか。何の関係もない。 
 いわゆる「バーター取引論」も「北朝鮮に三分の理」という話ではない。それ以外に解決法がないと思うからそう主張している。
 福田赳夫内閣のダッカ事件での「人命は地球よりも重い」という超法規的措置赤軍派の解放と身代金支払い)と話は変わらない。あれだって「赤軍派の行為に道理はない」「犯罪者に金を払うのか」と悪口しても人質が救えるわけではない。
 第二に「ロシア云々」と拉致解決(拉致被害者帰国)と何の関係があるのか。何の関係もない。むしろ「荒木はロシアをかばうのか?」と常識人が救う会から距離を置いてしまう。
 それにしても、荒木は「ウクライナ(あるいはウクライナを支援するG7諸国)との関係ガー」「国際世論(国連総会でのロシア非難決議可決)ガー」「国民世論ガー(日本国内でロシア擁護は少数派、ロシアに甘いと批判されるれいわ新選組鈴木宗男ですら公然とロシア擁護はしない)」「中国や北朝鮮ガー(ロシアの侵攻を容認したら中国の台湾侵攻、尖閣侵攻や北朝鮮の韓国侵攻*2が危惧される)」として「国会のロシア非難決議や岸田政権のロシア経済制裁を支持する」というのだから何故ロシアをかばうようなことを言い出すのか、「意味不明」です。
 これが「ロシアにもロシアの言い分があるから、ウクライナNATO加盟しないなど、飲めるロシアの要求は飲んで、プーチンの面子も立てて、とにかくロシア軍を停戦させて、最終的にはウクライナから撤退させよう」「大事なのは戦争で失われる命をなくすこと(福田内閣超法規的措置的な考え)。我々の目的はプーチン政権打倒ではない(結果的にプーチンが失脚するとしても)。制裁は停戦と軍撤退をプーチンに促すためにやってる」と荒木が言うなら「一理あります」が荒木だからそうではないのでしょうね。
 なお、俺は「ロシアに道理がある」とは思いませんが「一番大事なのは停戦とロシア軍撤退。そのためならNATOに加盟しないと確約するなどウクライナが妥協することもやむを得ない。制裁も、停戦やロシア軍撤退をプーチンに迫るためでプーチン政権打倒が目的ではない」とは思っています。拉致問題での「バーター取引論」も俺においては話は同じです。「一番大事なのは拉致被害者帰国」と思うから「バーター取引」といっている。
 第三に予想の範囲内ですが「戦前日本に三分の利があると思う。ハルノートとか米国の対応にも問題があった」「連合国のやったことは正しいのか。米国の東京大空襲、原爆投下やソ連のシベリア抑留は正しいのか。あれらは国際法違反の蛮行ではないのか」として荒木が日中戦争、太平洋戦争を正当化するから呆れます。
 そんな事が拉致解決と何の関係があるのか。「日本にも言い分がある」とあの戦争を居直っても「救う会は非常識右翼」として常識人が距離を置くだけです。そしてどこの世界に「原爆投下やシベリア抑留に問題はない」という日本人がいるのか。

【参考:ダッカ事件

ダッカ日航機ハイジャック事件 - Wikipedia
 法務大臣福田一*3は、超法規的措置の施行に対して強硬に反発した。福田は施行が決定された後に抗議辞任した(後任は瀬戸山三男*4)。

【きょうの人】「人命救うことが優先だった」 ダッカ事件で人質解放交渉 旭日重光章を受章 アブドゥル・ガファー・マームドさん(83)(1/2ページ) - 産経ニュース2017.4.29
 日本政府は人質の解放と引き換えに日本赤軍メンバーなど6人を釈放し、現金600万ドル(当時のレートで約16億円)を支払った。日本政府の対応を批判する意見もあったが、「福田氏は偉大な男だった。何をやっても批判はあるが、生命が失われなかったことに批判はないはずだ」と振り返る。今回の受章に「日本人が40年前の仕事を覚えていてくれて、うれしい」と話している。

 バーター取引(超法規的措置)でダッカ事件の人質を救出した福田赳夫首相の息子が「小泉訪朝当時の福田康夫官房長官」であることにはある種の因縁を感じます。
 日朝平壌宣言での「経済支援約束」を理由に救う会や家族会に悪口された康夫氏は「『犯罪者に金を払うのか』と一部から批判があった親父の気持ちがよくわかる」「親父も俺も、救出にはこれしかないと思ったからこうしたのだが」と複雑な思いだったのではないか。

*1:何が「勿論」だかさっぱりわかりません。「ウクライナABC兵器を開発しロシア攻撃を画策」という怪しい話まで持ち出してるのがプーチンなのに。当初のように「NATO加盟反対」を理由に「軍事圧力をかける」にとどまり、侵攻しなければともかく全面侵攻までした今「道理がある」とはいえないでしょう。結局「戦前日本が中国の抵抗や英米の支援を甘く見た」ようにプーチンが「ウクライナの抵抗やG7諸国の支援を甘く見た」という話でしょう。

*2:「ねえよ、バカ」で終わる話です。そこまで中国も北朝鮮も非常識ではないでしょう。似たり寄ったりのことは松竹伸幸も抜かしてたので「反党右翼分子」松竹伸幸のバカさに呆れる(2022年3月14日記載)(追記あり) - bogus-simotukareのブログで松竹を批判しましたが

*3:田中、三木内閣自治相、福田内閣法相、衆院議長など歴任

*4:佐藤内閣建設相、福田内閣法相、中曽根内閣文相など歴任