今日の中国ニュース(2022年3月23日分)

【中国ウォッチ】中国、「祖国統一法」検討か─台湾併合へ蔡政権に圧力:時事ドットコム時事通信解説委員・西村哲也
 今のところは「政治的アドバルーン」でしょうね。国際、国内世論の動向を見て法制定するかどうか決めると言うことでしょう。
 法制定する場合でも「軍事侵攻」を意味するわけではなく「政治的圧力」にすぎないでしょうが。
 それにしても時事通信

 先進的工業を擁する台湾の経済発展レベルは中進国の中国よりはるかに高い*1。政治的自由と経済的豊かさを享受する台湾人にとって、自由がなく経済発展レベルも低い中国の支配下に喜んで入る理由はない。

などとして中国に悪口するのには呆れます。中台統一はともかく中国ビジネスの重要性を考えれば「独立を目指してるかのような言動をする」蔡英文のような対立路線は明らかに不適切なのに。そもそも中国側の統一云々は「今すぐ統一」というよりも「対立路線を撤回する」よう蔡英文に求める牽制に過ぎないでしょうに。


自民・河野氏「対露制裁緩めれば台湾侵略も」 - 産経ニュース
 河野が非常識すぎて絶句しますね。第一に「中国の台湾侵攻」などあるわけもない。
 第二に「対ロシア制裁」を考えるにおいて一番大事なことはそんなことではなく「ロシア軍撤退」には何をすべきかという話です。


台湾総統、ロシアのウクライナ侵攻「ひとごとでない」: 日本経済新聞

 超党派議員連盟日華議員懇談会」(古屋圭司会長)は23日、台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と安倍晋三元首相のオンラインによる協議内容を発表した。
 蔡氏はロシアによるウクライナ侵攻を巡り、中国を念頭に「台湾人にとってひとごとではない」と主張した。

 蔡の発言は安倍ら台湾ロビーへのこびへつらい発言でしょう。「中国の台湾侵攻」などまずあり得ない。そのことは蔡も本当はわかってるでしょう。
 「台湾が独立宣言しない限り侵攻しない」と中国は公約しています。蔡が独立宣言しない限り中国が「ロシアに対する国連総会非難決議」「ロシア経済制裁」と同様の「非難決議や制裁」が予想される侵攻をするわけがない。
 勿論「独立宣言すれば話は別」ですが、ウクライナ侵攻でも「米軍投入」などしない米国が「独立宣言による侵攻のリスク」を容認するとも思えない。蔡に対して「絶対に独立宣言するな」「そんなことをするようなら台湾への経済支援を見直す」などの圧力をかけるでしょう。
 かつ台湾世論の多数派は「即時独立」ではなく「当面は現状維持」です。そういう状況で蔡は独立宣言できないでしょう。

 経済分野では蔡氏が環太平洋経済連携協定(TPP)の加入に意欲を示した。

 当然ながら中国は「台湾のTPP加入」に「台湾は中国の一部であり、中国の参加後でなければ台湾参加など認められない」と批判するでしょう。安倍ら台湾ロビーはそうした抗議にどう対応する気なのか。中国ビジネスのことを考えればそうした中国の抗議を無視することは日本にはできませんし、他のTPP加盟国(豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポールベトナム)も同様でしょう。

 安倍氏は早期に台湾を訪問したい意向を伝え、蔡氏は歓迎の意を表した。

 首相時代は台湾訪問などしなかった男がこれです(呆)


台湾で米軍の信頼急落 有事参戦めぐる世論調査 自衛隊に期待43%:朝日新聞デジタル

 「台湾有事には自衛隊が参戦する」と回答した人が43・1%(参戦しないは48・6%)に上ったことが、台湾の民間シンクタンク「台湾民意基金会」の世論調査でわかった。(ボーガス注:ウクライナにおいて米軍が参戦しないからか*2)米軍の参戦を信じる人は34・5%(同55・9%)で、日本に対する信頼を下回った。

 この調査が「信用に値する物」だとして、「自衛隊に期待」というのは意味不明です。憲法九条についてまるで理解がないのか。そして「中国ビジネス」を考えれば日本は中国にそう露骨に対決できる立場でもない。また「ウクライナNATO加盟国ではない」とはいえウクライナにおいて「軍事支援(武器の提供など)はしても参戦しない欧米(勿論、日本は九条の制約でそもそも参戦どころか軍事支援もできない)」を考えれば「日本は参戦しない」と見るのが妥当でしょう。
 とはいえさすがに「参戦しない」回答の方が多いようですが。いずれにせよ大事なことは「中台友好」です。中台関係が友好なら中国としても「侵攻する大義名分」がない。その意味で「独立宣言」などは論外です。


第2回 中国社会主義市場経済体制と農業・農村(梨の木・レジュメ)|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ
 詳しくはリンク先をお読みください。
 俺の認識では浅井論文は「中国社会主義市場経済体制(鄧小平以降のいわゆる改革開放)」で中国は豊かになったが「都市と農村の格差拡大」「農村の過疎化、農業労働者の高齢化」などの弊害(農村問題)も生まれたため「その解決が中国政府において重要課題になってる」という話です。
 当然ながら中国がいかに「一党独裁」とはいえ「国民の一定の支持獲得」は必要であり「農村問題の解決」が必要になるわけです。
 何せ今の習近平指導部は「毛沢東や鄧小平」といった革命第一世代ほどのカリスマはない。「政治的成果」でしか国民の支持は獲得できません。

*1:平均すればそうでしょうが、「豊かな中国人」との比較では中国と台湾に遜色はないでしょう。そして中国は今後「共同富裕(国民総中流化)」を目指しており、それが成功すれば「中国より豊か」とはもはや言えなくなります。

*2:ただしその理屈だと勿論、日本の自衛隊ウクライナで参戦してないので「自衛隊への期待は何?」ではあります。安倍や高市などの台湾ロビーの勇ましい発言の悪影響か?