今日の産経ニュース(2022年4/3日分)

勝利至上主義に荒療治 小学生の柔道全国大会廃止 - 産経ニュース

 柔道事故の被害者や家族でつくる「全国柔道事故被害者の会」代表の倉田久子さん*1(61)は大会廃止を肯定的に受け止めている。「本来スポーツは楽しい行為であるはずなのに、大会が存在することで小学生の時点で勝利を追い求め、過激な練習を生む土壌になってきた。競技との適切な距離感をつかむための良い転機になるのでは」との認識を示す。

 小生は「廃止はやり過ぎでは」と思いますが意外と賛同意見も多いのか?


茨城・笠間市長選 山口氏が無投票で5選 - 産経ニュース
 無投票で5選とは「不健全」としかいいようがない。いい加減ご当人も後進に道を譲るべきではないか。


【書評】『神になった武士 平将門から西郷隆盛まで』高野信治著 - 産経ニュース

◆将門神社*2平将門
◆菊地神社の菊池武重、菊池武光南朝の武将)
湊川神社楠木正成南朝の武将)
四條畷神社楠木正行南朝の武将。楠木正成の子)
名和神社名和長年南朝の武将)
藤島神社新田義貞南朝の武将)
結城神社の結城宗広(南朝の武将)
上杉神社上杉謙信
◆豊国神社の豊臣秀吉豊国大明神
日光東照宮徳川家康東照大権現
南洲神社西郷隆盛*3

など、「祭神となった武士」を取り上げた本のようです(勿論「太宰府天満宮菅原道真」のように「祭神となった非武士(文官?)」もいます)。
 西郷の場合、薩摩藩士だったとは言え、西南戦争(1877年)での死亡時には勿論、廃藩置県1871年)で藩が消滅してるので「武士の神格化」といえるか少々疑問ですが。
 こうした「武士の神格化」が、近代日本の「児玉神社*4児玉源太郎*5)」「橘神社(軍神・橘周太*6)」「東郷神社*7東郷平八郎*8)」「乃木神社*9乃木希典*10)」「広瀬神社(軍神・広瀬武夫*11)」など「軍人の神格化」につながったと見るべきなのでしょう。
 「武士=軍人」のわけですからね。

【参考:山本五十六*12

山本五十六 - Wikipedia
 山本の生家は長岡空襲で焼失し、現在は山本記念公園となっている。山本が戦死した後、生家の跡地に山本神社を建立して遺徳を称えようという動きがあったが、山本の友人である米内光政*13や堀悌吉*14などが「山本はそんなこと(神社建立)を嫌っていた。神様扱いされたら困るのは山本自身です」と言って強硬に反対した為、話は沙汰やみになった。

【参考:児玉神社と乃木神社

「軍神」児玉源太郎の児玉神社が落ちぶれた理由 一方で、なぜ乃木神社は盛況なのか | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)2019.11.28
 江ノ島にある児玉神社が競売にかけられている。祀られているのは、日露戦争で名を馳せた軍人・児玉源太郎だ。同じく軍人を祀っている乃木神社(東京)は盛況だ。なぜ明暗が分かれたのか。宗教社会学者の岡本亮輔さん*15は「近代以降に新たに創建された神社は氏子を持たず、何らかの形で経済基盤を獲得しなければならない。児玉神社はそれに失敗したのだろう」と分析する。
乃木神社も同様の危機を味わった
 明治期以降に創建され、軍人を祀った神社は同じような危機を味わっている。先に名前の出た乃木希典(1849~1912)を祀った神社も同様だが、現状には大きな違いがある。
 実は乃木神社は、早くから新しい経済基盤の獲得に乗り出していた。鎮座祭の翌1924年乃木神社は結婚式場という神社にとっての新たな市場を掘り起こしていたのである。この時期は、神前結婚式という新しい作法が急速に広まった時期であった。
 現在では、神前結婚式は伝統的な格式ばったものというイメージがあるが、当時は合理的な形式とみなされていた。それまでの婚礼は自宅や料亭で行われ、宴会が数日間続くこともあった。一方、神前結婚式は費用が安く、時間も1時間程度で終わる。また椅子が導入されるなど、実践的な面でも合理的だった。そして、こうした合理性が軍人や官僚といった新たに勃興しつつあった都市のエリートたちに受け入れられたのである。結婚式場としての利用が、現在まで続く乃木神社の活路になっているのである。新たに創建された神社は、(ボーガス注:昔からの氏子がいないので)何らかの形で経済基盤を獲得しなければならない。とはいえ、結婚式場を運営すれば良かったというわけでもない。2007年、青森県弘前東照宮*16が多額の負債で境内の土地と建物が競売にかけられているが、原因はバブル末期に始めた結婚式場の運営の失敗であった。不変のように見える神社も、その時々の需要や立地を勘案し、神社イメージすら作り変えながら続いてきているのである。


【政界徒然草】ウクライナ侵攻受け9条改憲が議論されない理由 - 産経ニュース
 政府見解に従う限り、「専守防衛は合憲→ウクライナ戦争のような事態に現状で対応可能」なので改憲が議論されないのは当然です。
 そもそも今の改憲論の目的は「集団的自衛権の行使(海外での自衛隊武力行使)」であって護憲派も「集団的自衛権の行使」に反対している。
 しかも現状において日本侵攻を行いそうな国もない。北朝鮮にはそんな国力はない。ロシアは「ウクライナ戦争で苦戦してる」のに北海道に侵攻するわけがない。中国は侵攻するとしたら「日本(尖閣)侵攻」ではなく「台湾侵攻」でしょう(台湾が独立宣言でもしない限り台湾侵攻はないでしょうが)。


【主張】日本の防衛費 平和へ思い切った増額を - 産経ニュース
 今だって十分多いのにアホかと心底呆れます。
 そして軍事費を増やせば「社会保障」「科学技術研究費」などを削らざるを得ないことをどう考えているのか。これでよくもまあ「北朝鮮のいわゆる先軍主義」などを「軍事優先で民生を無視してる」といえたもんです。


【主張】生理の貧困 細やかな支援を継続的に - 産経ニュース
 「フェミニストぶりたい姑息な男」と誤解されそうで嫌なのですが、いわゆる「生理の貧困」について俺の考えを書くと「それだけ」にスポットを当てることには反対です。
 第一に「生理の貧困」は「生理用品が買えない」という「狭義」の意味の「生理の貧困」(産経記事は専らこれですが)なら「生活弱者の貧困」の一部でしかない。「生理用品だけ貧困を解決しようとする(無償で生理用品を配るなど)」のは健全ではない。
 第二に「哲学の貧困*17マルクス)」的な、「広義」の意味での「生理の貧困」という場合はその「貧困」は「生理の問題について公然と話しづらい(だから生理用品が買えなくても声を上げづらい)」「生理について現状が望ましい物ではない(生理用品の質が欧米に比べて悪いなど)」などという意味*18であり、これまた「セックスのことは公然と話しづらいのに生理のことだけ公然と話せる」などということはあり得ない。
 ちなみにどうでもいい話ですが、「昔は生理についてはアンネという隠語があったこと」を思い出しました。

参考

アンネ (企業) - Wikipedia
 社名は『アンネの日記』で月経に関する記述があったことに由来する。日本では平安時代以降、長く穢れとして扱われていた月経を『アンネの日記』では“甘美な秘密”と肯定的に表現しており、これがアンネ社の目指す月経観であるとして社長が「アンネ」を社名として提案した。
 1961年「アンネナプキン」発売時のキャッチフレーズは『40年間お待たせしました』である。これは、アメリカでは40年前に既にコーテックスという生理用品が発売され、有経女性の80%が紙綿の生理用品を使っていた事から、アメリカに遅れること40年、の意味である。その後、このキャッチコピーに対して厚生省から、「まるで40年間ずっとナプキンの研究を行っていたかのような誤解を与える」として、改めるようにとの指導があった。そのため『〈アンネの日〉ときめました!』を新たにキャッチコピーとして採用した。
 近年ではあまり使われなくなったが、月経の隠語として“アンネ”という言葉は、この会社名が語源である。

*1:倉田さんについては原因分からなかった頭痛、まさか 柔道部の稽古で次男亡くした母 - 一般スポーツ,テニス,バスケット,ラグビー,アメフット,格闘技,陸上:朝日新聞デジタル(2021.12.2)参照

*2:将門神社 - Wikipediaによれば千葉県我孫子市柏市にある

*3:参議、陸軍大将、近衛都督

*4:神奈川県藤沢市にある神社が最も有名だが、山口県周南市(児玉の出身地)にも児玉神社がある(児玉神社 - Wikipedia参照)。

*5:台湾総督、第一次桂内閣内務相、参謀総長など歴任

*6:日露戦争における遼陽の戦いで戦死。長崎県橘湾は元々は千々石湾と呼ばれていたが、1919年、橘の銅像が出身である長崎県千々石町(現在の雲仙市千々石町)に建立された際、関係者が千々石湾の名称を橘湾と変更するよう申請し、海図作成を行っていた海軍水路部が正式に橘湾と記載するようになったものである(橘周太 - Wikipedia参照)。

*7:東京都渋谷区の神社が最も有名だが、埼玉県飯能市、福岡県福津市にも東郷神社がある(東郷神社 - Wikipedia参照)。

*8:連合艦隊司令長官、海軍軍令部長など歴任

*9:東京都港区赤坂の神社(乃木の自宅跡)が最も有名だが、栃木県那須塩原市(乃木の別邸があった)、京都市伏見区明治天皇陵の麓)、山口県下関市(乃木の出身地)にも乃木神社がある(乃木神社 - Wikipedia参照)。

*10:台湾総督、第3軍司令官、学習院長など歴任

*11:日露戦争中の旅順港閉塞作戦において戦死(広瀬武夫 - Wikipedia参照)

*12:海軍航空本部長、海軍次官連合艦隊司令長官など歴任

*13:連合艦隊司令長官、林、第一次近衛、平沼、小磯、鈴木内閣海軍大臣、首相など歴任

*14:海軍省軍務局長、第1戦隊司令官など歴任。いわゆる条約派だったため艦隊派の大角岑生海軍大臣の「大角人事艦隊派への左遷人事)」によって昭和9年に予備役編入。予備役編入後は日本飛行機社長、浦賀船渠社長など歴任。堀の予備役編入について、友人である山本五十六は「海軍の大馬鹿人事だ(堀と山本は同世代なので年齢的には堀は予備役編入される年齢ではない)」と憤慨していたという(堀悌吉 - Wikipedia参照)。

*15:著書『聖地巡礼世界遺産からアニメの舞台まで』(2015年、中公新書)、『江戸東京の聖地を歩く』(2017年、ちくま新書)、『宗教と日本人』(2021年、中公新書

*16:平成になると境内で運営していた結婚式場への過大投資等が原因で経営難に陥り、2008年には文化財指定の本殿を除く土地と建物を競売にかけて凌いでいたものの、債務整理が進まなかった為に2012年に青森地裁弘前支部から破産手続開始の決定を受けた。因みに法人格を有する神社としては2003年の伊勢山皇大神宮(神奈川県)に続く2例目の破産という。2015年、競売にかけられた本殿は国の重要文化財のため弘前市が収得。政教分離の観点から祭神は黒石市にある黒石神社へ移された。この結果、弘前東照宮は現在、神社としては機能していない(弘前東照宮 - Wikipedia参照)。

*17:プルードン『貧困の哲学』への批判書。『プルードン哲学は貧困』という意味も著書名にはあると言われる。小生は無知怠慢なので未読ですが。

*18:「狭義」のことも勿論大事ですが、最終的には「広義の問題」にも取り組む必要があります。