今日の朝鮮・韓国ニュース(2022年4月5日分)(副題:山本栄二『北朝鮮外交回顧録』(ちくま新書)刊行、ほか)

訪朝6回、街を散策して気づいた変化 元ベテラン外交官が語る、北朝鮮と向き合うコツ:朝日新聞GLOBE+

 日本の外交官として6度、北朝鮮を訪れた山本栄二・前駐ブルネイ大使(64)が3月、「北朝鮮外交回顧録」(ちくま新書)を発表した。 日朝外交は2014年秋以降、ほぼ断絶状態にある。北朝鮮と様々な交渉を重ねた経験から、山本氏は「対話をつながないと何も始まらない」と語り、日朝連絡事務所の必要性を説く。(牧野愛博*1
 「連絡事務所ができても自由な行動はできないでしょう。でも、外務省や党の関係者と話したり、食事をしたりして意思疎通はできます。街の情報も手に入ります
 山本氏によれば、北朝鮮が過去、日本に大きく接近したきた時期は2度あった。1990年の金丸訪朝と2002年の日朝首脳会談だ。山本氏は「圧力が大事だといいますが、実はこの二つの機会に日本から北朝鮮に圧力をかけたことはありませんでした」と語る。
「金丸訪朝団が実現したのは、当時のソ連北朝鮮への経済支援を打ち切ったからです*2日朝首脳会談は、米国のジョージ・W・ブッシュ政権が北朝鮮悪の枢軸と呼び、アフガニスタン侵攻などの姿を見せた*3からです」
 現在の国際情勢をみた場合、日本に北朝鮮の外交方針を変更させるほどの影響力がないように見える。山本氏は「日朝関係を動かすためには、国際政治の地殻変動が必要かもしれません。でも、その変動が起きたとき、一気に解決できるように準備をしておくことが必要です。最低限のコンタクトは必要でしょう」と指摘する。
 日本の北朝鮮外交に厳しい状況が続くだけに、政府の関係者や国会議員らは、山本氏の指摘に耳を傾ける必要がありそうだ。

 赤字強調は俺がしましたが「全く同感」です。にもかかわらず「連絡事務所設置に反対する家族会」は「頭がおかしい」というべきでしょう。おそらくは山本氏についても家族会は「田中均氏と同様に」悪口するのでしょう。
 しかし「小泉訪朝から20年に及ぶ拉致敗戦」で「まだその声は小さい」とはいえ徐々にこうした声が増えつつあるように感じます。


北朝鮮との交渉を14年間担った元外交官の証言 | 話題の本 著者に聞く | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
 会員限定記事なので全く読めませんが参考に紹介しておきます。

山本栄二 (外交官) - Wikipedia
 延世大学校ソウル大学校に留学。韓国大使館二等書記官、外務省北東アジア*4課首席事務官、韓国大使館公使など歴任

という「朝鮮半島外交との縁が深い」山本栄二氏(2021年に退官)の著書『北朝鮮外交回顧録』(2022年、ちくま新書)の紹介記事です。正直、救う会や家族会の無茶苦茶さを考えれば、「今だから明かせる極秘情報」などはなく、良く言えば「無難なこと」、悪く言えば「つまらないこと」しか書いてないかと思いますが。


【神奈川】川崎市バスにめぐみさん写真 拉致問題に関心を : ニュース : 神奈川 : 地域 : 読売新聞オンライン
 そんな写真に何の意味があるのか。そんなことで拉致が解決するなら誰も苦労しません。馬鹿馬鹿しくて心底呆れます。


北朝鮮キム・ヨジョン氏 2日に続き韓国非難の談話発表 | NHK | 北朝鮮情勢
 「韓国から先制攻撃されれば」場合によっては核攻撃もあり得るとしている点に注意しましょう。さすがに「先制攻撃での核使用」なんて野蛮なことは言わないわけです。そしてこれは「こうした発言をしていい」とまでは言いませんが「先制攻撃回避の政治的牽制」でしょうね。この発言それ自体はそれほど大騒ぎする話でもないでしょう。

*1:朝日新聞編集委員朝鮮半島)。元朝日新聞ソウル支局長。著書『北朝鮮秘録』(2013年、文春新書)、『金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日』(2017年、講談社プラスアルファ新書)、『ルポ 絶望の韓国』(2017年、文春新書)、『北朝鮮核危機!全内幕』 (2018年、朝日新書)、『ルポ「断絶」の日韓:なぜここまで分かり合えないのか』(2019年、朝日新書)、『韓国を支配する「空気」の研究』(2020年、文春新書)、『金正恩と金与正』(2021年、文春新書)

*2:なお、金丸訪朝が1990年9月24~28日、いわゆる三党共同宣言が9月28日、韓国とソ連の国交樹立が9月30日です(1990年 - Wikipedia「一緒に泥舟を漕ごう」金丸訪朝から30年 対北朝鮮外交の活路はどこに:朝日新聞GLOBE+日朝関係に関する日本の自由民主党、日本社会党、朝鮮労働党の共同宣言 - データベース「世界と日本」参照)。

*3:なお、「アフガンのタリバン政権がビンラディン同時多発テロをおこしたアルカイダの指導者)をかくまってる」として米軍のアフガン侵攻のきっかけとなった同時多発テロが2001年9月11日、アフガン侵攻開始が10月7日、「悪の枢軸(イラン、イラク北朝鮮)」発言が2002年1月29日、小泉訪朝が9月17日です(2001年 - Wikipedia2002年 - Wikipedia参照)。

*4:北東アジアとは日本、中国、南北朝鮮、モンゴルのこと(場合によってはロシアも含む)