常岡浩介に突っ込む(2022年4月10日分)

https://news.yahoo.co.jp/articles/eab6c80a0575c041ff18376ab6da84d7bf813531
 「常岡と類友」が悪口ツイートしていたので気づきましたが、一般論としてなら「停戦のためにあえてロシア批判を自重する(ロシア相手に一定の妥協をする)」という選択肢はあり得ます。そういう意味では「糾弾だけでは問題は解決しない」。
 「死者が何人出ようとウクライナの要求(クリミア返還など)を今すぐロシアに全て飲ませるまでは絶対に停戦しない」つうなら話も別ですが。
 「伊勢崎*1、的場*2対談の具体的内容」への批判に「話を限定する」ならともかく、「常岡ら一部のアンチロシア」のように「停戦のためにあえてロシア批判を自重する(ロシア相手に一定の妥協をする)」という選択肢それ自体を全否定*3するのは誤りでしょう。我々は安全地帯にいるのであり、無責任に抵抗戦争をけしかけるべきではない。とはいえ、一方で「停戦せよ」と「上から目線」で言うのも「傲慢」でしょう。結局のところ「ウクライナ人の選択に任せる」しかないわけですが。

常岡浩介がリツイート
◆石田昌隆
 ウクライナでの戦争で、図らずも、良いサヨク*4の人と、酷いサヨクの人が判ってしまった。これがリベラルの立て直し(情弱な反米サヨク*5陰謀論者の駆逐)に繋がって、自民の対抗勢力が良い形で結集していくことを願っている。

 あまりにも馬鹿馬鹿しいので吹き出しました。今の日本において「プーチン擁護の悪い左翼」なんて超少数派でしょう。

常岡浩介がリツイート
Ikuo Gonoï
 親ロシアのパキスタンカーン首相、不信任決議で同国議会史上初の失職。ロシア・ウクライナ戦争をめぐって人権理事会のロシアの資格停止決議で棄権したパキスタン。これで対ロ姿勢が変わるかもしれません。

 「民主党政権交代しても日米安保が破棄されなかったこと」「安倍が辞めても、日本の対韓国外交に未だ改善の兆しが見えないこと」などでわかるように、1)今回の失職でカーンが完全に政治力を失い、復権の可能性はなく、また、2)パキスタンの対露姿勢はカーン個人の個性に寄るところが大きい(例えば、今後、与党の反ロシア派が台頭する可能性がある、野党は軒並み反ロシアなど)という条件がない限りカーンが辞めても状況は変わらないことは俺のようなパキスタン素人でもわかることです(そもそもカーンの失職理由は経済失政であって対露関係ではない)。
 実際、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220410/k10013575291000.htmlなどは「1,2の条件がない(カーンの復権はあり得るし、対露姿勢も、そもそもカーンの個人的意思による物ではない)」との見方から「変化は望み薄」としています。

常岡浩介がリツイート
池内恵
 番組*6全体で東郷氏は繰り返し、今の段階で(ロシアが多くを占領した段階で)停戦するように米国とウクライナに働きかけろ、と主張していてどこの国の外交官だったのか分からない。

 「ロシアから土地を奪い返さない限り停戦すべきでない」とでも常岡や池内は言いたいのか。
 東郷氏の思惑が何であれ、「ロシアから土地を取り返せる保証がないこと」「むしろ戦争が続くとロシアによる土地強奪が続く恐れがあること」を考えれば現時点での停戦は十分合理的でしょう。そもそも建前ではゼレンスキーも停戦を否定してないし停戦は「終戦ではない」。
 番組を見てないので評価しづらいですが、「池内のツイートが大筋で正しい」としてむしろ東郷氏を批判するとしたら「池内の言うようなこと」ではなく「ロシア側に果たして停戦意思があるのか」「むしろ働きかけるべきはロシアではないか」でしょう。

常岡浩介がリツイート
◆石田昌隆
 NHK日曜討論「相次ぐ市民殺害 深刻化するウクライナ危機」』観た。親露の東郷和彦*7は酷かった。反露の佐々江賢一郎*8もダメだ。小泉悠*9と東野篤子*10は正確に事実を認識している感じ。

 何がダメで、何が適切なのか、具体性皆無なこのツイートこそが「酷い代物」です。常岡もよくもこんな無価値なツイートにリツイートできる。そもそも常岡が「ジャーナリストぶる」のなら常岡自身が「日曜討論」を見て自らの感想を書けばいいのですが、無能な常岡にはその能力以前に意思がないのでしょう。というか最近の常岡は「他人のツイートにノーコメントでリツイートばかり」つうお粗末さですが。

常岡浩介がリツイート
池内恵
 爺さんは駐ソ大使の時に、北樺太ソ連に差し出せば日ソ中立交渉結べるぞと突っ走って、国内の反対もあり断念(後にソ連は中立を破って*11対日参戦・シベリアに強制連行)。孫は北方領土差し出せば日ロ平和条約結べるぞと暗躍。結んでいたら北海道ぐらい取られていそう。

 「爺さん」とは東郷茂徳(東條、鈴木内閣で外相)、孫とは「東郷和彦氏(元オランダ大使)」ですが「何だかなあ」ですね。
 祖父と孫とは言え、彼らの言動に「つながりがある」と見なす根拠はない。コメント欄で指摘もありますが「池内」だって「父親(池内紀)の言動と無理矢理こじつけて、父とセットで悪口」されたら「父親を侮辱するな」というでしょうに良くもこんなことができたもんです。
 そもそも「北樺太南樺太の誤記ではない)をソ連に差し出せば」つうのも「おいおい」ですね。
 ポーツマス条約で割譲された南樺太はともかく、北樺太はそもそも一度も日本の領土になったことがない。
 池内の主張は何のことかと言えば「北樺太に日本が保有している石油油田権益」をあえて放棄すれば、という話です。
 そう書かずに「北樺太が日本の領土であり、それを割譲する」と誤読させようとしている池内のアホさにはげんなりですね。
 孫にしても「二島先行返還」を主張したのであって是非はともかく「北方領土を差し出す」とは言っていない(そもそも政府トップが安倍である以上、一番の問題は東郷氏ではなくて安倍ですが)。
 なお、東郷茂徳の方針の是非はともかく、1)東郷の方針を潰したのは松岡外相であり、彼が日独伊三国同盟を推進して対米関係を悪化させたこと、2)東郷の方針では「ソ連北樺太利権放棄のバーターで蒋介石支援をやめることになっていたが、日本が利権放棄を撤回したことでソ連蒋介石支援取りやめも撤回されたこと*12」を考えれば「東郷の方針が潰れて良かった」で済む話でもない(以上は東郷茂徳 - Wikipedia参照)。
 なお、当たり前ですが、「北方領土の返還を仮に諦めようとも」ロシアが北海道に侵攻するわけもない。池内も良くもバカなことが書けたもんです。そもそも池内*13の専門(イスラム思想研究?、それとも現代中東政治研究?)は「ソ連・ロシア」でも日本現代史でもないのに、東郷茂徳の対ソ連外交について素人がまあ放言できたもんです。 

*1:著書『武装解除』(2004年、講談社現代新書)、『国際貢献のウソ』(2010年、ちくまプリマー新書)、『紛争屋の外交論』(2011年、NHK出版新書)、『日本人は人を殺しに行くのか:戦場からの集団的自衛権入門』(2014年、朝日新書)、『テロリストは日本の「何」を見ているのか』(2016年、幻冬舎新書)など

*2:著書『未完のマルクス:全集プロジェクトと二〇世紀』(2002年、平凡社選書)、『マルクスだったらこう考える』(2004年、光文社新書)、『ネオ共産主義論』(2006年、光文社新書)、『大学生に語る資本主義の200年』(2015年、祥伝社新書)、『「革命」再考』(2017年、角川新書)、『マルクスを再読する』(2017年、角川ソフィア文庫)など

*3:明らかに常岡らの態度はそういうもんです。

*4:何故カタカナで書くのかよくわかりませんが。

*5:こういう表現は「おいおい」ですね。例えば「米軍基地被害批判」などの正当な米国批判(反米)は何ら問題ではないし、米国批判それ自体が「情弱(情報弱者)」「陰謀論者」なわけでもない。石田流に言えば「良い反米(正当な米国批判)」と「悪い反米(不当な米国批判)」があるわけです。「米国従属の忠犬ポチ(親米ポチ)」と認識されかねない表現を良くも平然と使えるもんです。いや実際、常岡や石田は親米ポチかもしれませんが。

*6:NHK日曜討論』のこと

*7:外務省条約局長、欧亜局長、オランダ大使など歴任。著書『歴史と外交 : 靖国・アジア・東京裁判』(2008年、講談社現代新書)、『戦後日本が失ったもの : 風景・人間・国家』(2010年、角川oneテーマ21)、『歴史認識を問い直す:靖国慰安婦、領土問題』(2013年、角川oneテーマ21)、『危機の外交:首相談話、歴史認識、領土問題』(2015年、角川新書)、『返還交渉:沖縄・北方領土の「光と影」』(2017年、PHP新書)など

*8:外務省アジア大洋州局長、外務事務次官、駐米大使など歴任

*9:東大専任講師。著書『軍事大国ロシア』(2016年、作品社)、『プーチンの国家戦略』(2016年、東京堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学』(2019年、東京堂出版)、『現代ロシアの軍事戦略』(2021年、ちくま新書)など

*10:筑波大学教授

*11:東郷が交渉を進めた時期とは全く状況が違うので、こんなことは東郷の交渉路線の否定にはなりません。むしろ批判するなら東郷が「鈴木内閣外相」として「ソ連を仲介とした和平交渉」に期待をかけたことでしょうが、こちらを池内が非難しないのは「昭和天皇や鈴木首相」が「そうした方針を認めてるから」でしょうか。いずれにせよ「昭和天皇が国体護持に固執し」、しかし「ソ連以外に和平交渉仲介を引き受けてくれる国がない」以上、この件(失敗に終わったソ連仲介とした和平交渉)でも東郷を非難するのは酷でしょう。なお、東郷一人の責任ではありませんが、彼は太平洋戦争開戦時の外相であり、彼にも「一定の開戦責任」があります。

*12:別にソ連蒋介石支援をやめて欲しいわけではないですが、そういう意味で東郷の方針は日本に全く利益がないわけではなく、常岡や池内のように簡単に否定できる話でもない。

*13:東京大学教授。著書『現代アラブの社会思想』(2002年、講談社現代新書)、『中東 危機の震源を読む』(2009年、新潮選書)、『イスラーム国の衝撃』(2015年、文春新書)、『【中東大混迷を解く】 シーア派スンニ派』(2018年、新潮選書) など