「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年4/12日分:荒木和博の巻)

「韓国」と「朝鮮」南北の言葉の使い方(R4.4.12): 荒木和博BLOG

 韓国で「朝鮮」は北朝鮮をイメージさせるのであまり使わず、北朝鮮で「韓国」は原則使われません。その影響は日本へも。

 5分20秒の動画です。そんな事が「荒木ら救う会」が建前とする「拉致解決」と何の関係があるのかと心底呆れます。
 さて荒木も指摘していますが「李氏朝鮮」「朝鮮日報(韓国の日刊新聞)」「朝鮮総督府」「(戦前日本の)朝鮮軍」(朝鮮の場合)、「征韓論」「大韓帝国」「韓国統監府(朝鮮総督府の前身)」「(戦前日本の)韓国駐箚軍(朝鮮軍の前身)」(韓国の場合)といった言葉でわかるように「朝鮮」「韓国」という言葉にそもそもそういう意味合いはありません(むしろ「朝鮮総督府」「朝鮮軍」の影響で日本では昔は「朝鮮」の方が一般的だったかと思います)。
 さて「その影響は日本へも」という荒木ですが「確かに、最近、韓国語、韓国料理とはいっても朝鮮語、朝鮮料理とはあまり言わないかなあ?(北朝鮮と国交がない影響?)」と思いました。
 また、荒木も動画で指摘していますが、NHKの「韓国語(朝鮮語)講座」は「アンニョンハシムニカ・ハングル講座」という名前でスタートしましたが、これも「その影響は日本へも」の一例でしょう(後でウィキペディアの記述を紹介します)。
 そう言えば、「話が脱線します」が、昔はキムチのことを「朝鮮(韓国)漬物」といっていたことを思い出しました。今でも高齢者だと「朝鮮(韓国)漬物」という人がいますが。
 どっちにしろ「繰り返しますが」こんなことは拉致の解決と何の関係もない。荒木も完全に迷走していますね。

【参考:NHK『韓国語(朝鮮語)講座』】

アンニョンハシムニカ・ハングル講座 - Wikipedia参照
 NHK教育テレビラジオ第2放送1984年度から2008年度まで24年間放送された、韓国語(朝鮮語:以下、全て韓国語と表記)の語学講座番組である。2008年度からはテレビとラジオで講座が分かれ、テレビは『テレビでハングル講座』、ラジオは『まいにちハングル講座』に改められた。
 朝鮮語講座放送の構想自体は、1960年代以降からすでにあったが、朝鮮半島が南北(大韓民国(以下、韓国)、朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)に分断されていることから、タイトルを『韓国語講座』とするか『朝鮮語講座』とするかで局内外の意見が分かれ、実現までにかなりの時間を要した(韓国語とした場合、韓国支持、朝鮮語とした場合、北朝鮮支持と理解され、民団や朝鮮総連などから非難されかねないため)。
 この番組名から「ハングル語」という誤称が生じたが、「ハングル」とは「日本語のひらがな、カタカナ」「中国語などの漢字」「ロシア語などのキリル文字」などに該当する「朝鮮語の表記に用いられる文字表記」の名称であり、言語の名称ではない。
 但し、番組の内容は、韓国国内で使用されている文法や会話表現そのものである。またこの番組が放送を開始して以来、「ハングル」と称する書物が多く出版されたが、これらの多くは文法などが韓国国内で使用される「韓国語」と同じである。ただし「ハングル能力検定試験」は、南北どちらかの文法に統一されていれば正解となる。

朝鮮語の呼称問題 - Wikipedia参照
 1982年に、NHKが語学番組「朝鮮語講座」を作ろうとした際、在日本大韓民国民団(民団)が「韓国語」という呼称を用いるように主張しNHKを非難した一方で、在日本朝鮮人総聯合会朝鮮総聯)が「朝鮮語講座」名称を支持したことで、妥協の産物として文字の名称である「ハングル」を用いた『アンニョンハシムニカ 〜ハングル講座〜』という名前が用いられることになった。
◆「コリア語」
 最近ではこうした問題を回避するため、英語の "Korea" を借用することがある。その例として、 1985年に「やさしいコリア語入門」(柳尚煕 、呉英元著、評論社)が出版されたり、

◆金敬得*1在日コリアンアイデンティティと法的地位』(1995年、明石書店
金賛汀*2在日コリアン百年史』(1997年、三五館)
田中宏*3在日コリアン権利宣言』(2002年、岩波ブックレット)
◆鄭甲寿『<ワンコリア>風雲録:在日コリアンたちの挑戦』(2005年、岩波ブックレット)
朴一*4『「在日コリアン」ってなんでんねん?』(2005年、講談社+α新書)

のように、在日韓国人在日朝鮮人を「在日コリアン」と呼んだり、東海大学大東文化大学上智大学帝京大学文教大学、法政大学などではこの言語を「コリア語」と呼んでいる。

【参考:キムチ】 

キムチ - Wikipedia参照
 昭和後期に入る頃までは、その辛さやニンニクの臭みが日本人の味覚に合わなかったことから、存在は知られていてもあまりなじみのないものであり、キムチという名称も一般的ではなく「朝鮮漬(韓国漬)」と呼ばれることが多かった。一部では珍味とされた。しかし1975年に桃屋から発売された「桃屋 キムチの素」が人気を呼び、また1980年代後半に激辛ブームが起こると消費量が増加、ブームが沈静化した後も一定の販売数を保ち、一般のスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで手に入るようになった。

日 本 の キ ム チ(2)1945年から1960年までのキムチ佐々木道雄*5
 1952年1月発行の婦人雑誌『主婦の友』の付録『経済でおいしいお惣菜料理』に、7種類の朝鮮漬が紹介されているが、その冒頭に、「朝鮮の名物といえば、どなたも漬物とおっしゃるくらい、朝鮮漬の味は格別のものがあります」とある。
 『NHK趣味悠々 キムチへの旅~作って・食べて・知る~』(朝倉敏夫*6ほか、2003年)によると、「昭和30年代後半、つまり1960年代初めには、白菜をベースにとうがらし、にんにくなどを混ぜた〝朝鮮漬〟が、インスタントラーメンと同じ30円だった、と私の友人、熊本県出身の森枝卓士さん*7は言っています」とある。
 1960年2月刊の『世界の家庭料理 ③ 中国料理 Ⅱ 』(中央公論社)は、中国料理だけでなく、朝鮮料理、インド料理、タイ料理、そしてベトナム料理が収録されているが、朝鮮料理の〝漬けもの〟の項には、次のように記されている。
 「漬けものは気候、風土によって熟成するものですから、日本ではずいぶん異なったものにもなりますし、また材料も異なります。(中略)また、気温が高いので、すぐ酸っぱくなりますから、塩を少し余分に用いて作り、また一度に多くは作れません。ほんとうに長い間に熟成された、よい味にはなりませんが、近ごろデパートで朝鮮漬けの売れ行きがよいところをみますと、日本人にも好まれる味だと思われます」

 ということで昔は「朝鮮漬(韓国漬)」と呼ばれていたキムチです。

*1:1949~2005年。弁護士(1976年に司法試験合格、1979年に弁護士登録)(金敬得 - Wikipedia参照)

*2:1937~2018年。著書『朝鮮人女工のうた:1930年・岸和田紡績争議』(1982年、岩波新書)、『異邦人は君ケ代丸に乗って:朝鮮人猪飼野の形成史』(1985年、岩波新書)、『甲子園の異邦人:「在日」朝鮮人高校野球選手の青春』(1988年、講談社文庫)、『ぼく、もう我慢できないよ:ある「いじめられっ子」の自殺』(1989年、講談社文庫)、『在日、激動の百年』(2004年、朝日選書)、『朝鮮総連』(2004年、新潮新書)、『将軍様錬金術』(2009年、新潮新書)、『韓国併合百年と「在日」』(2010年、新潮選書)、『北朝鮮建国神話の崩壊』(2012年、筑摩選書)など

*3:一橋大学名誉教授。著書『戦後60年を考える:補償裁判・国籍差別・歴史認識』(2005年、創史社)、『在日外国人(第三版)』(2012年、岩波新書)など

*4:大阪市立大学名誉教授。著書『<在日>という生き方』(1999年、講談社選書メチエ)、『僕たちのヒーローはみんな在日だった』(2016年、講談社+α文庫)、『在日マネー戦争』(2017年、講談社+α文庫)など

*5:1947年生まれ。著書『韓国の食文化』(2002年、明石書店)、『焼肉の文化史』(2004年、明石書店→2012年、明石選書)、『キムチの文化史』(2009年、福村出版)、『焼肉の誕生』(2011年、雄山閣)など(佐々木道雄 (食文化研究家) - Wikipedia参照)

*6:1950年生まれ。国立民族学博物館名誉教授。著書『食は韓国にあり』(森枝卓士との共著、1986年、弘文堂)、『日本の焼肉 韓国の刺身:食文化が“ナイズ”されるとき』(1994年、農山漁村文化協会)など(朝倉敏夫 (人類学者) - Wikipedia参照)

*7:1955年生まれ。2016年に著書『干したから…』(2016年、フレーベル館)で第22回日本絵本賞を受賞。『全アジア麺類大全』(1986年、旺文社文庫)、『カレーライスと日本人』(1989年、講談社現代新書)、『東南アジア食紀行』(1989年、徳間文庫)、『東方食見聞録』(1990年、徳間文庫)、『世界のインスタント食品』(1993年、徳間文庫)、『食は東南アジアにあり』(共著、1995年、ちくま文庫)、『世界お菓子紀行』(1995年、ちくま文庫)、『ヨーロッパ民族食図鑑』(1997年、ちくま文庫)、『アジア菜食紀行』(1998年、講談社現代新書)、『私的メコン物語:食から覗くアジア』(1999年、講談社文庫)、『森枝卓士のカレー・ノート』(1999年、集英社文庫)、『味覚の探究:美味しいってなんだろう』(1999年、中公文庫)、『週末はヴェジタリアン』(2002年、ちくま文庫)、『すし・寿司・SUSHI』(2002年、PHP新書)、『考える胃袋:食文化探検紀行』(共著、2004年、集英社新書)、『日本の「伝統」食:本物の食材に出合う旅』(2008年、角川SSC新書)など食に関する著書多数(森枝卓士 - Wikipedia参照)