阿部治平、田畑光永とリベラル21に呆れる(2022年4月14日分)

リベラル21 中国はNATOへ傾くヨーロッパ中立国をどう見ているか(阿部治平)
 タイトルからしてげんなりですね。中国云々以前に阿部とリベラル21はどう思うのか。 
 俺個人は「NATOに限らず軍事同盟に否定的な立場」なので「気持ちはわからないでもないが非常に残念」「今後も中立を堅持してほしい」「NATO加盟などしないでほしい」と思います。
 なお、以上についてはコメント投稿しますが多分掲載拒否でしょう。


リベラル21 中国は本気でプーチンを支えるのか、どんな世界を描いているのか(田畑光永

 最終的にはプーチンが勝つほうに賭けている。勝ってもらわなければ困るのだ。

 呆れて二の句が継げませんね。田畑の言う「プーチンの勝利」が何を意味するのか「キーウ陥落、ゼレンスキー政権打倒による傀儡政権樹立*1」「ロシアの支配地域が『戦争前より少しにとどまる』としても拡大すること」「ウクライナNATO加盟阻止」なのか何を意味するのか「田畑が定義しない*2」のでわかりませんが、普通に考えて「プーチンの勝利」など考えてないでしょう。つうか前も書きましたが浅井基文氏、岡田充氏なども指摘していますが「モディ首相のインド」などロシアに融和的な国は他にもあるのに、田畑のようにそれを完全無視して「中国ガー」とまるで「中国だけがロシアに融和的なような物言い」ではまともな議論になりません。
 勿論「まともな方にはわかるとは思いますが」これは「インドなども融和的だから中国の態度に問題などない」という話ではありません。
 それにしても、我が日本だって「サハリン2の開発参加(三井物産三菱商事)」は継続しており「欧米に比べればロシアへの態度はまだ甘い」のですが、リベラル21が「サハリン2問題」などに触れず「中国非難ばかりする」のはどういうことなのか。「サハリン2問題から注目をそらさせ、岸田政権や日本財界に批判が向かわないようにするかばい手」か。「私たちは日本政財官界の施策擁護(例えばサハリン2の参加継続)を掲げてネット上に御用メディア、リベラル21を創った」というのが本当は正しいのか。

 プーチン旧ソ連(あるいは、昔の大ロシア)の版図を回復することに政治生命をかけている

 「はあ?」ですね。そんなことはできるわけがないでしょう。ウクライナ全土を仮に支配*3したところでそれは「旧ソ連(あるいは、昔の大ロシア)の版図を回復」にはなりません。
 その後「ウクライナ以外の旧ソ連領にも引き続き侵攻する」ということも考えがたい。というと田畑は「少しでも旧ソ連(あるいは、昔の大ロシア)の版図に近づけたい、といっているのだ。揚げ足取りするな」といいそうですが、だったら最初からそう書けという話です。元TBS局員(報道マン)とは思えない駄文です。

 それはおそらく2年後の2024年に迫った大統領選挙で勝つための必要条件なのであろう。そしてその事情は、今の習近平と驚くほど似ている。

 どこが似ているのかさっぱりわかりません。

 習近平は昨年来、「共同富裕」の掛け声で、大儲けしている企業に大きな寄付をさせたり、巨額の罰金をとったり、かと思えば、庶民の不満の的であった金儲け主義の受験産業を実質つぶしたり、さらには中国の社会制度の優秀性を証明するものとして「ゼロ・コロナ」にこだわったり*4、と総書記3選のための人気とり政策を打ち出している。ここでもし、台湾統一に道をつけられたら、毛沢東以来の傑出した指導者として、長期政権への障害物はなくなるだろう*5

 前半の「総書記3選のための人気とり政策」云々(人気取り云々という評価の是非はひとまず置きます)と後半の「台湾統一」云々が矛盾すると思わない辺りが田畑らしいバカさです。「台湾統一」云々がそんなに簡単にできるのならとっくの昔にやってるでしょう。
 特に「プーチン的なやり方での台湾統一」なんかできるわけがない。中国の歴代政権は「1950年代の台湾侵攻」が失敗し、1960年代以降は「独立宣言したら(そして特にそれを欧米が承認したら)侵攻することも辞さないが、そうでない限り侵攻しない」として「独立宣言封じ」のみやってきた。これを撤回して独立宣言もないのに侵攻することは「ロシアと同様の経済制裁や国連総会非難決議」が予想される上に「侵攻などしなかった鄧小平、江沢民胡錦濤」などの歴代政権幹部の面子を潰すことにもなる。

 去る2月4日、冬季五輪の開幕式に北京に足を運んだプーチンから、習近平は武力によるウクライナ再併合の計画を聞かされたかどうかが論議の的となっているが、私はかなり詳細に打ち明けられたと思う。そして習の方はおそらく相当な協力を約束したはずだ。

 なんでそういう理解になるのかさっぱりわかりません。阿部治平や浅井基文氏などは逆に「中国は知らされてなかった」と見ているのに。そしてこれは俺は阿部や浅井氏の見方が正しいと思います。知らされていたら、今のように距離を置かずにもっとずっとロシアに好意的でしょうし、ロシア側も中国の対応に「中国が裏切った」ともっと反発してるでしょう。
 そもそもこの田畑の理解だと

 ゼレンスキー大統領は9日、ドイツの「パブリック・テレビ」の取材に応じ、その際、「米*6、英、独*7、仏、ポーランド、中国、トルコ*8の各国にウクライナの安全を担保する国となって欲しい」と述べたと伝えられた

というのは一体どう理解されるのか。田畑のような中国理解をゼレンスキーがしてないことは確かでしょう。
 なお、海峡両岸論 第137号 2022.04.09発行 - 対米協調するが拭えぬ相互不信 中ロ同盟は復活しない - | ちきゅう座(岡田充氏)も俺や阿部、浅井氏同様「ウクライナ侵攻については事前に中国には話がなく、予想外だったので中国がロシアに不快感、不信感を隠せないし、距離も置いている」という見方です。そもそも海峡両岸論 第137号 2022.04.09発行 - 対米協調するが拭えぬ相互不信 中ロ同盟は復活しない - | ちきゅう座(岡田充氏)も指摘していますが、中露といえば「1960年代には中ソ対立」がありました。田畑のように「何があろうと中露は仲良し」と見る方がおかしい。
 それにしてもリベラル21が偉そうなこと「私たちは護憲・軍縮・共生を掲げてネット上に市民メディア、リベラル21を創った」をほざくのなら「中国が事前にロシアからウクライナ侵攻計画を知らされていたかどうか」について「主張が全く異なる」田畑(知らされていた)と阿部(知らされてなかった)の間で論争が始まってしかるべきでしょうが、今のところ論争はありませんし、今後もないでしょう。
 過去にも「岩垂弘が『コロナはただの風邪』論を批判する」一方で「岡田幹治(故人)や盛田常夫が『コロナはただの風邪』論を垂れ流す』、しかも岩垂や岡田、盛田の間で何の論争も起きないという無茶苦茶なリベラル21ですが本当に呆れます。「存在意義などかけらもない、老人サロン」にすぎないリベラル21は『とっとと消えてなくなって欲しい』ものです。
 なお、以上についてはコメント投稿しましたが、たぶん「いつものように」掲載拒否でしょう。

*1:マスコミ報道を信じる限り、到底実現できるとは思えませんが、もし田畑がこうしたことが「ありうる」と考えてるのであれば、しかもそうした事態が「ありうる」と中国も認識していると考えてるのであれば正気ではない。中国はそんな認識はしてないでしょう。そもそもプーチン自身が「キーウ陥落、ゼレンスキー政権打倒による傀儡政権樹立」を今も目指してるかどうかが怪しい。

*2:おそらく定義した場合、その定義に、その後の議論が「拘束される」から「定義しない」のでしょう。つまりは「プーチンの勝利」が何か曖昧にした上で田畑は「好き勝手な議論を展開したい」のでしょうがそれはもはやまともな主張とは言えません。

*3:どう見ても無理ですが、田畑は「可能」と考えてるんでしょうか?

*4:「是非はともかく」、別に人気取りや「中国の社会制度の優秀性」ではなくそれこそが「コロナ対応として是と思ってる」にすぎないでしょう。

*5:既に「一帯一路」「AIIB」「台湾の反政府デモの無力化」だけでも政治的功績としては相当のものでしょう。なお、わかるとは思いますがこう書いたからと言って俺が「台湾の反政府デモの無力化」を支持しているという意味では勿論ありません。

*6:NATOの盟主

*7:フランスとともにドンバス合意の関係国

*8:現在、ウクライナとロシアの停戦交渉の場を提供