今日の産経ニュース(2022年5/28日分)

【主張】訪日観光客の解禁 コロナと共存し回復図れ - 産経ニュース
 自民党応援団・産経らしいですが、一時期に比べれば感染者数が下がってるとはいえ、果たして、このように、どんどん「緩和路線」に舵を切っていいのか、疑問に感じますね。
 まあ、コロナに対する態度が一時期に比べれば「完全になめてかかってる」のは産経や岸田政権だけではなくマスコミの多く*1がそうですが。
 それと、一部のマスコミが「円安で外国人観光客が期待できる(日本に持ち込む外貨が円安によって、日本円での額面が増えるので)」つうのも「何だかなあ」ですね。間違いではないですが「輸入品の高騰」なども考えれば「円安万歳」ではないわけです。つうか過去において「円高は円(日本の経済力)の強さの象徴」などと自慢していたこととの整合性はどうなっているのか。


【産経抄】5月28日 - 産経ニュース

 5月27、28両日は明治38(1905)年、東郷平八郎大将が率いる連合艦隊がロシアのバルチック艦隊に、史上まれな完全勝利を収めた日本海海戦が行われた日だった。(中略)植民地の人々に希望を与えた

 ということは産経のようなウヨにとっては大事なのでしょうが日本人の大多数はそんなことは知りません。
 それにしても赤字部分には心底呆れます。仮に「希望を与えた」としてもそれは「アジア人でも富国強兵で欧米に勝てる」程度の話であり「日本の侵略行為(日露戦争勝利後の韓国植民地化など)」が正当化できる話ではない。

ロシア革命が、(少なくとも革命直後においては)世界の労働者に希望を与えた
◆「中国、韓国の経済発展」が他のアジア諸国に『正しい経済施策をすれば我々も発展できる』と希望を与えた

程度の話でしかない。産経の行為は「中国、韓国の経済発展」を理由に「中国の共産党一党独裁」「朴正熙軍事独裁」を正当化するぐらい馬鹿げている。
 ちなみに5月27日、28日は

5月27日 - Wikipedia
◆1997年
 神戸連続児童殺傷事件
 神戸市須磨区で小学6年男児の切断された頭部が「酒鬼薔薇聖斗」による犯行声明文とともに見つかる。
 これについては例えば見逃した前兆、元捜査1課長が25年間抱く悔い 神戸連続児童殺傷事件 - 産経ニュース(2022.5.25)参照

5月28日 - Wikipedia
◆2007年
 第一次安倍内閣農水相松岡利勝が自殺。現職大臣の自殺は阿南惟幾*2(鈴木内閣陸軍大臣、1945年8月15日死亡)以来。

という日でもあります。

 司馬遼太郎の『坂の上の雲』では、明治天皇からなぜ地味な存在だった東郷平八郎を司令長官に抜擢したのかと尋ねられた海軍相、山本権兵衛*3が答える。
 「東郷は運のいい男ですから」。
 リーダーの運が、時に国の浮沈を左右するというエピソードである。

 勿論本気で「運」などとは思ってないでしょう。能力を評価したに決まっている。
 「話が脱線しますが」ちなみに山本自身は2度も首相になりながら、その首相職を「シーメンス事件(海軍の汚職)」「虎ノ門事件(難波大助による裕仁皇太子暗殺未遂事件)」という「不祥事(?)」で引責辞任する「運の悪い人物」でした。
 また東郷によるロシアへの勝利が「一部のウヨ」によって「我々は大国ロシアに勝った。その栄光を考えれば、米英など恐れるに足りない」ととんでもない方向(対英米開戦)に行ったことを考えれば「東郷の勝利」は今や手放しで礼賛できる話でもない。

 永田町では現在、「岸田文雄首相は運がいい」と語られる。いわく菅義偉前首相が昨年9月の自民党総裁選に出ていれば、今の地位にいなかった。総裁選で高市早苗政調会長が保守層の支持を引き戻さなかったら、衆院選はあんなに勝てていない…。

 吹き出しました。高市云々は何が根拠なのか。
 むしろ衆院選での「極右政党維新」の躍進を考えれば極右層のかなりの部分は、岸田自民から維新に移ったとみるべきではないか。
 そして「運」云々を言うならむしろ「衆院選時にはコロナが沈静化していた」「正月以降、第6波が襲ってきたが、将来はともかく現時点ではかなり沈静化している」ことが大きいでしょうに、何故かそれには触れない産経です。

 当初は厳しいとの見方もあった7月の参院選も、岸田政権に目立った成果はないのに野党のふがいなさ*4も手伝い、(ボーガス注:世論調査での岸田政権の支持率から)順風満帆だとささやかれ始めた。自民党内からは「こんな調子で勝っていいのかと、大半の議員は感じている」(ベテラン議員)との声も漏れる。

 是非はともかく「経済安保法*5」は成立し、「こども家庭庁法*6」も成立の見込みです。いずれも「岸田政権の目玉施策」とされているのに産経曰く「目立った成果はない」。つまりは「改憲に消極的=評価しない」という産経の極右路線が露呈されてるだけの話です。
 勿論産経の言うような「極右路線」を岸田が全面展開すればかえって支持率が下がり、選挙は厳しくなるでしょう。選挙後、岸田が仮に「改憲」をぶち上げるとしても「選挙前」はぶち上げることはまずないでしょう。

*1:産経同様に岸田万歳の国営放送NHK、ウヨマスコミ読売、日経は典型的ですが。

*2:侍従武官、陸軍省兵務局長、人事局長、陸軍次官、陸軍航空総監(航空本部長兼務)、鈴木内閣陸軍大臣を歴任

*3:第2次山県、第4次伊藤、第1次桂内閣海軍大臣、首相など歴任

*4:野党に問題がないとは言いませんが、4630万円誤振込事件で連日お祭り状態の日本のテレビ、予備費11兆円使途不明問題は完全スルー。 - 読む・考える・書くが批判するような「マスコミの腰抜けぶり」が非常に問題だと思いますね。

*5:経済安保法については俺の支持政党・共産は「中国敵視による日中関係悪化の恐れ」「企業活動に不当な制約が加わる恐れ」を理由に批判しています。なお、「中国敵視」という意味では経済安保法は「右翼的な性格」ですが、この程度では産経は岸田を評価しないわけです。

*6:細部はともかく、一応は共産党も「ないよりはマシ」として評価してるとは思います。その点は経済安保法などとは違う。