今日の中国ニュース(2022年5月29日分)(副題:バチェレ国連人権高等弁務官への不当な非難に呆れる)

国連人権弁務官8月で退任へ バチェレ氏「個人的理由」 - 産経ニュース
 彼女なりに最善を尽くしても悪口雑言されるのではやる気を失ってもおかしくはないでしょう。勿論、辞任理由の実際のところは分かりませんが。


人権団体、国連弁務官の辞任要求 中国の残虐行為「不問」に 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
 改めて書きますがバチェレ氏への言いがかりも甚だしい。「追及がぬるかった」というならまだしも、少なくとも彼女は「不問」になどしていません。


国連高官「調査ではない」 ウイグル巡りにじむ対中配慮 : 日本経済新聞
 国連はこうした調査で「強権を発動できる」ほどの力はないでしょう。
 中国の協力を得ざるを得ない。そして中国側が「調査でない」としており、実際「調査と呼ぶには問題がある(国連側が自由に調査できたわけではない)」のなら「調査ではない(国連)」というのは「ある意味当然」です。
 「調査ではない」以上、「今回の訪問で問題がすっきり解決したわけではない(今後も別途、調査などがあり得る)」とも国連はしていますし、「配慮」云々と非難される話ではない。


ウイグルの国連視察に失望の声 「中国側のプロパガンダに」 アメリカも「人権状況評価できず」:東京新聞 TOKYO Web
人権活動家「融和的」と批判 国連高官の新疆視察 - 産経ニュース
国連は「一切信用できない」 亡命ウイグル族がデモ―トルコ:時事ドットコム
中国に利用された国連高官 ウイグル視察に批判噴出:時事ドットコム
 バチェレ国連人権高等弁務官は中国の主張を支持してるわけではないので言いがかりも甚だしい。
 「中国に妥協して、今後のウイグル現地調査の可能性を残す」か「完全に対決する(現地調査の可能性が低くなる)」かは後者が正しいと言える話ではない。
 というかバチェレ氏*1(チリ民主活動家出身、父親をピノチェトクーデターで殺され、自らもピノチェトに迫害された)の経歴を考えれば「ピノチェト独裁を容認した連中(例:米国)にそんなことを言われる筋合いはない!。私は中国に懸念表明した。しかし米国はその程度のことすらピノチェトにしたのか!」「私だって父の仇であるピノチェトを犯罪者として裁きたかった。でもピノチェトを擁護する陸軍の力が強いがために裁けなかった。その悔しさがあんたらに分かるか!。現実問題、中国国内で自由な調査なんか今すぐできるわけがないだろう!」と彼女も内心憤慨してるのではないか?。
 つうかバチェレ氏のような立場の人間に良くも酷いことが言えたもんです。俺なんか「ピノチェト・クーデターを美化した民社党のような腐れカス政党が日本に存在して本当にすみません。日本人として屈辱に耐えません」とバチェレ氏に対して思わずにはいられないのに。
 つうかこう言ったら何ですけど、「亡父の仇ピノチェトを裁きたくても裁けなかった」バチェレ氏のような方(まあ例は誰でもいいんですが)のことを考えたら、拉致被害者家族会、岡村勲、「名古屋闇サイト事件遺族の母親」とか「どんだけ自分勝手なんだろう」、世の中仕方ないことなんてたくさんある改め世の中どうしようもないことなんてたくさんある(再説) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)とつい思ってしまいます。
【参考:バチェレ氏】

ミシェル・バチェレ - Wikipedia
 1951年生まれ。父親はチリ空軍のアルベルト・バチェレ准将。1970年にチリ大学医学部に入学したが、軍人ながらサルバドール・アジェンデ政権に協力した父親が1973年9月11日のチリ・クーデターの際アウグスト・ピノチェトに逮捕され、1974年3月に拷問死を遂げた。彼女自身も1975年、母親とともに逮捕され拷問を受けた後、オーストラリアに亡命、その後旧東ドイツに移ってフンボルト大学医学部に入学した。
 1979年、軍政下のチリに帰国しチリ大学に復学、反政府活動を再開する。1983年医学部を卒業。
 リカルド・ラゴス*2を政権の下で2000年から2002年まで厚生大臣、さらに2002年から2004年まで国防大臣を務めた。女性の国防大臣は、チリのみならずラテンアメリカ史上初である。
 2006年1月15日に行われた大統領選挙決選投票で過半数を制し、チリ初の女性大統領に就任した(2010年3月11日まで)。
 大統領就任から1年も経過しない2006年12月10日に「亡父の仇」ピノチェトが死去したが、この際には国葬を断固拒否する一方で、陸軍による葬式は認めている。
 日本の民社党は、ピノチェトによるクーデターを当時、反共主義の立場から肯定した。バチェレ当選後の2006年1月17日、旧民社党青年部出身者が中心の社会主義青年フォーラムは、バチェレ当選に歓迎の意を表明するとともに、旧民社党のクーデター肯定は「過ちを犯した」とする見解を発表した。ただし、社会主義青年フォーラムは、民社党後継組織の民社協会からは離れているため、民社協会はこの見解に関係していない。
 2008年5月23日には南米諸国連合の初代議長に選ばれた。
 2010年1月17日に実施された大統領選挙では、中道右派セバスティアン・ピニェラ上院議員が与党候補のエドゥアルド・フレイ・ルイスタグレ元大統領(在任1994~2000年)を52%対48%の得票率という僅差で破り、チリで20年間続いた中道左派政権はバチェレの代で終わりを迎えた。
 大統領退任後の2010年9月14日に潘基文*3国連事務総長より、国連女性機関*4の初代事務局長に任命され、同年9月19日に就任した。2013年3月15日に国連女性機関事務局長の辞任を発表、同年11月に行われるチリ大統領選挙への出馬を表明した。2013年12月15日の決選投票では62.59%の得票率を得て大統領に返り咲き、当選。
 2017年12月の大統領選挙では立候補せず、後継候補で無所属(左派)のアレハンドロ・ギジェルを推していたが、中道右派セバスティアン・ピニェラが当選した。
 2018年8月、アントニオ・グテレス*5国連事務総長より、国連人権高等弁務官に指名され、国連総会で承認された。

 まあ、しかしグテレス氏(元ポルトガル首相、現在、国連事務総長)といい、バチェレ氏(元チリ大統領、現在、国連人権高等弁務官)といい「有能」なんでしょう。「日本の元首相」で「それだけの人間がどれほどいるのか」と思うと暗澹たる気持ちになります(勿論、安倍や麻生は論外)。


国連人権高等弁務官、中国に同調か ウイグル視察も権威付けに加担 - 産経ニュース
 産経らしいですが「批判がまだ甘い」ならともかく、
国連人権高等弁務官 ウイグル自治区視察 中国に「懸念を提起」 | NHK | 中国
ウイグル対応「見直しを」 国連人権トップ、制約だらけの訪中終える:朝日新聞デジタル
ウイグル訪問終えたバチェレ氏、中国に「対テロ」政策の見直し促す…香港巡り「深い懸念」 : 読売新聞オンライン
新疆の人権「懸念と疑念を中国に提起」 国連弁務官、訪問終える | 毎日新聞
と同業他社が報じるのに「産経だけ」が「中国に同調」とはどう見ても産経は常軌を逸しています。ウイグル統治について「懸念を提起(NHK、毎日)」「見直しを求める(朝日、読売)」のどこが同調なのか。

*1:チリ厚生相、国防相、大統領、国連女性機関事務局長などを経て、現在、国連高等弁務官

*2:ピノチェト軍事政権が崩壊した1990年に文部大臣に、1994年に公共事業大臣にそれぞれ就任。2000年3月の大統領選挙で当選(リカルド・ラゴス - Wikipedia参照)

*3:韓国副外相、国連大使、外相(盧武鉉政権)、国連事務総長などを歴任

*4:国連女性機関が『月曜日のたわわ』全面広告に抗議。「外の世界からの目を意識して」と日本事務所長 | ハフポスト NEWSを契機に「赤松健参院選自民党候補)」「山田太郎自民党参院議員)」といった「表現の自由戦士」に攻撃されたことで最近、日本でも注目された。例えば赤松のこの機関への悪口雑言については国連女性機関による「月曜日のたわわ」全面広告への抗議表明について|赤松健|note参照

*5:ポルトガル首相、欧州理事会議長国連人権高等弁務官を歴任した後、2017年から国連事務総長