今日の産経ニュース(2022年6/7、8日分)

菅前首相の高校生向け講演中止 神奈川県立高 - 産経ニュース
 「大人対象の一般的な講演」ならともかく、「学校講演」では菅だけ呼ぶのはやはり政治的中立性や教育の観点で問題であり、菅以外にも多様な人間を呼ぶのでないなら、中止は当然のことだと思います。ただし、中止を決定したのは学校側ではなく、「菅側」であり表向きの理由は「スケジュールがつかない」だそうですが、実際は批判を恐れたのでしょう。勿論批判は正当な行為であり、言論抑圧ではありません。


【日本の道統】倫理退廃と戦った乃木希典の殉死 - 産経ニュース
 乃木の自決を美化するとは、産経らしい非常識さです。
 乃木*1(1849年生まれ)と同世代の政治家、軍人には勿論「東郷平八郎*2(1848年生まれ)」など殉死しなかった人間もおり、「生きて大正天皇に忠義を尽くすのが本当の忠臣ではないか」という乃木批判は当時からありました。


【産経抄】6月8日 - 産経ニュース
 引用はほとんど省略しますが

大峯泰広氏死去 元警視庁捜査1課理事官 - 産経ニュース
 連続幼女誘拐殺人事件(昭和63~平成元年)で宮崎勤死刑囚の自供を引き出したほか、地下鉄サリン事件(7年)など一連のオウム真理教事件で、土谷正実死刑囚らの取り調べを担当。昭和から平成の著名事件で取調官として活躍した。

という「大峯氏」を「伝説の刑事」として美化する産経ですが、「刑事捜査はチームプレー」であって「十津川警部シリーズ(西村京太郎)」のような「特定個人の手柄」ではないでしょう。「大峯氏の話」も恐らくは相当に誇張されてるでしょう。真面目な警察関係者はこういう記事にむしろ「スタンドプレーを助長する」と「苦々しい思い」ではないか。
 なお

▼捜査1課で最後に取り組んだのが、平成12年に起きた世田谷一家殺害事件である。
▼「伝説の刑事」はやり残した大仕事を、後輩たちに託した。

と書く産経ですがよほどの僥倖がない限り、あの事件はもはや解決しないでしょう。


防衛力「5年以内に抜本的強化」骨太の方針要旨 - 産経ニュース
 タイトルが実に「軍拡大好き右翼」産経らしいですがそれはさておき。

▽給付型奨学金*3と授業料減免を必要性の高い多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ拡大する。

 本当にそうするならアンチ自民の俺でも「それなりに評価します」が、そんなことが『予算的に』軍事費増額と一緒にできるのか(ウヨ政党・自民が本当にやりたいのは軍事費増額の方だけだろ?)と思います。
 正直「実現可能性無視」で「ウヨが歓びそうなこと(例:軍事費増額)」も「ウヨ以外の野党支持層(例:俺)ですら歓びそうなこと(例:授業料減免拡大)」もごたまぜに入れて「とにかく選挙に勝てばいい、選挙後にごまかそう」としてるようにしか見えません。
 いずれにせよ「選挙前の空手形(例:授業料減免拡大)」でしょうが向こうが「骨太の方針」を出してきた以上、野党(勿論、共産含む)としても「選挙前に早急に批判すべきは批判する」必要がある。


【ビジネス解読】資産所得倍増プランに期待と不安 外債投資拡大で円安加速の恐れも - 産経ニュース
 既に「中産階級ならともかくワーキングプアには投資できるような資産などない」という批判が出ていますが「資産所得増加→投資で資産を増やせ」というのが酷い。
 昨日のTBSラジオ森本毅郎スタンバイ」の「日本全国8時です」でもコメンテーターの山田惠資氏(時事通信)が「自民党総裁選や昨年の衆院選での岸田さんの主張は給与所得増加だったはず。資産所得増加と言い出したのは、どういうことなのか。給与所得増加を諦めたのなら重大な政策転換で、総裁選や衆院選で言ったことが結果的に嘘になる。そもそも岸田さんの『新しい資本主義』が対象にしてるはずの非正規若年労働者にそんな投資できる資産なんかない」と言う趣旨の批判をしていましたが全く同感ですね。
 これで「支持率が高止まり」というのはおよそ理解できません。

*1:第2師団長、台湾総督、第11師団長、第3軍司令官、学習院長など歴任

*2:佐世保鎮守府司令長官、舞鶴鎮守府司令長官、連合艦隊司令長官、海軍軍令部長東宮御学問所総裁など歴任

*3:今の奨学金のメインが「貸与型(返済義務がある)でしかも有利子型」で批判が強いことは有名な話です。