新刊紹介:「経済」2022年7月号

「経済」7月号を俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。「俺の無能のため」赤旗の記事紹介でお茶を濁してる部分が多いです。
世界と日本
原油高騰とそのゆくえ(萩村武)
(内容紹介)
 何故石油が高騰してるかと言えば「対ロシア石油禁輸」ですね。
 「増産すればいい」。
 ただし「あえて増産しないで高値でもうける」というのも一つの価値観であり、サウジなどは逆に減産に動いてると言います。
 このような中「対ロシア石油禁輸」は「欧米の自主的な行為」にすぎず「安保理制裁」でないため、中には「安値でロシア石油を買いたたこう」とする動き(中国、インド)も出ていると言います。なかなか厄介な問題ではあります。

参考
【詳しく】ロシア軍事侵攻と原油価格 なぜ価格は下がらない? | NHK | ウクライナ情勢


◆フランス大統領選挙(宮前忠夫*1
(内容紹介)
 現職マクロンが勝利したとは言え極右ルペンが決選投票に進み4割も獲得したことはやはり脅威です。
 一方で「左派のメランション」が3位と健闘したことは今後の明るい材料です。


◆アフリカの軍事クーデター(佐々木優)
(内容紹介)
Q&A形式で書いてみます。

 何故最近「ギニア」「ブルキナファソ」「マリ」など、アフリカでクーデターが多発しているのでしょうか?

 「新型コロナの蔓延」「ウクライナ戦争による食糧不足」などで独裁的な長期政権への反発が爆発したとみるべきでしょう。その意味では一概に「違法行為」と非難できない面があります。
 アフリカでは事実上、多くの国が独裁であり、民主的な政権交代システムが機能していません。
 だからこそ政権交代が「軍事クーデター」の形を取りやすい。
 「フランス革命(1789年)」「明治維新(1868年)」「ロシア革命(1917年)」「中国の国共内戦(1949年)」など、「過去の歴史」においても「民主体制」が確立していなければ政権交代(?)は軍事的打倒の形を取ることは珍しくありません。
 その結果、クーデターに対し「消極的な支持」どころか一部では「積極的な支持」すら見られます。クーデターをなくすために「いかにして民主的な政権交代システムを定着させるか」という難問を実現するかということになります。


自民党の「壊憲提言」(金子豊弘)
(内容紹介)
 自民党の敵基地攻撃論が批判されている。
赤旗
主張/「敵基地攻撃」/9条が禁じる戦争そのものだ2022.4.14
「反撃」=敵基地攻撃能力 保有宣言した自民提言/国家中枢攻撃で全面戦争への道/火事場泥棒の大軍拡許されない2022.4.25
敵基地攻撃能力の対象/中国軍の司令部も/穀田氏追及で明らかに2022.5.12
主張/「敵基地攻撃」/米国の戦争で発動の危険明白2022.5.26


特集「低迷の日本経済・転換の課題」
◆やさしく強い日本経済へ(大門実紀史*2
(内容紹介)
 「やさしく=弱者を切り捨てない」「強い経済=好景気、あるいは強い経済力」ということですね。
 「強くても冷たい経済ではいけない」、「しかし冷たい経済はむしろ弱い経済ではないか(弱者に冷たいことで内需が縮小するという話)」「福祉大国・北欧は強くて優しい経済を実現している」と主張されています。
論戦ハイライト/「やさしく強い経済」 首相にせまる/参院予算委で大門議員2022.2.26
やさしく強い経済 VS 新自由主義/内部留保に課税を/党の提案は「一石三鳥」/大門議員が語る2022.3.7
やさしく強い経済へ/大門・本田氏招き 香川革新懇がつどい2022.5.1
経済再生へ「発想の転換を」/香川 大門議員が強調/「やさしく強い経済」の“生みの親”本田教授と語り合う2022.5.6
参院選 対決点鮮明/物価高騰 生活守る党は/共産「やさしく強い経済」/自公は弱肉強食路線2022.5.21


最低賃金大幅引き上げと全国一律制への政策提案(中村和雄*3
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
最賃上げ 思い切って/宮本徹氏「主要国とは大差」2022.5.8
主張/最低賃金引き上げ/日本経済全体の底上げの力に2022.5.16
独、最低賃金1683円に/物価高の救済策 年金も引き上げ2022.6.5


◆中小業者の営業とくらし:消費税は減税、インボイスは中止(中山真*4
(内容紹介)
 副題にあるように消費税減税、インボイス廃止が主張されています。
インボイス 倒産が増/参院予算委 山添氏追及「消費税減税こそ」2022.3.18
主張/消費税インボイス/零細業者苦しめる制度中止を2022.3.21
物価高 3%増税並み/苦境緩和 消費税減税こそ2022.4.27
タクシー業界大混乱/インボイス制度 大門氏が紹介2022.4.28
インボイス廃止せよ/田村貴昭氏 痛切な声に向き合え2022.5.26
主張/インボイス負担増/「死活問題」の声が聞こえぬか2022.5.29


◆高齢者の生活を元気に:年金引き下げを止め、底上げを(吉田務*5
(内容紹介)
 副題にあるように年金引き下げを批判し、むしろ拡充をすべきと主張されています。
主張/2年連続の年金減/暮らし圧迫に追い打ちやめよ2022.1.27
年金減額見直しこそ/「5000円給付」めぐり小池氏2022.3.23
物価急騰 年金減らすな/田村氏、消費税減税検討迫る/参院決算委2022.3.29
論戦ハイライト/参院決算委 田村副委員長の質問2022.3.29
目減り分「自助」求める/共産党は反対 年金改定法が成立2022.5.30
 年金制度の改悪についてろくに報じないテレビには心底呆れます。


◆家賃補助制度の実現へ:コロナ禍での住宅要求(坂庭国晴*6
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
恒常的家賃補助ぜひ/住まい関連3団体が集会2022.5.18
恒久的家賃補助を検討/厚労相 宮本徹議員に答弁2022.5.21


◆日本の食料・農業の再生を:自給率向上と6次産業化を中心に(松原豊彦*7
(内容紹介)
 副題にあるように「自給率の向上と6次産業化」が論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
自給率向上の農政へ/全国食健連が農水省要請2022.5.12
2022参院選/食料自給率向上の政治へ/スーパー前・商店街で いわぶち氏/福島 喜多方・会津若松2022.5.16
自給率向上へ対策を/市町村農業委が会長大会2022.6.1


◆円安と物価高が襲う日本経済(山田博文*8
(内容紹介)
 「円安と物価高」というよりは「円安やウクライナ戦争による輸入品価格の上昇→物価高」というのが適切かと思います。
 これに「賃金の停滞」「消費税等の国民負担の増大」「年金、生活保護等、社会福祉の切り捨て(岸田の主張する軍事費増大が実現されればそうした切り捨てにさらに拍車がかかる)」も加わって、弱者が苦しんでるわけですがそれでも「支持率が今のところ高止まり」ということにはげんなりします。


◆バイデノミックスの脱新自由主義的経済政策(上)(山脇友宏)
(内容紹介)
 バイデンの経済政策について「脱新自由主義」として比較的好意的な評価がされていますが、この辺りは争いがありうるでしょう。
 「共和党の抵抗」はひとまず置くとしても、民主党も「右派と左派」では考えが違うし、バイデンが今後、左派的な路線でどこまで動くかはまだ分からないからです。


◆ポスト・コロナ型ニューディール構想の基礎理論(二宮厚美*9
(内容要約)
 コロナ禍で明らかになったのはいわゆる「エッセンシャルワーク(特に医療、介護、福祉部門のいわゆるケアワーク)」であり、二宮氏の「ポスト・コロナ型ニューディール構想の基礎理論」においては「コロナ収束後も『喉元過ぎれば熱さ忘れる』ではなく福祉の重要性を今後も忘れず、社会、そして経済の重要分野として力点を置いていくべきだ」と主張されています。


◆この国のダメさからどう脱却していくか:若者の「あきらめ」を乗り越える(本田由紀*10
(内容紹介)
 「やさしく強い経済」の提唱者の一人である本田氏の主張は多岐にわたっていてまとめづらいですが、彼女の指摘の重要部分は「優しさ」「助け合い」ですね。いわゆる新自由主義的な考え、「弱者を切り捨てること」「強者にすり寄る、あるいは強者に成り上がること(自分だけは切り捨てられる弱者から逃れようとすること)」でしか「日本経済は強くなれない(あるいは自分は経済的苦境から救われない)」という間違った考えが「自民や維新」の支持の背景であり、そうした考えに対しどう「優しさ」「助け合い」が「きれいごとではなく現実的解決策だ」と訴えていくかが重要だ(勿論新自由主義的考えが普及した今の日本では困難ではありますが)という指摘には全く同感です。


◆大揺れの国際金融市場:コロナ禍とロシアのウクライナ侵略で(英吉利) 
(内容紹介)
 ウクライナ戦争勃発後の「円安ドル高」が論じられていますが小生の無能のため、詳細な省略は紹介します。

*1:著書『あなたは何時間働きますか?:ドイツの働き方改革と選択労働時間』(2018年、本の泉社)、『増補改訂版・企業別組合は日本の「トロイの木馬」』(2019年、本の泉社)

*2:参院議員。党中央委員。著書『「属国ニッポン」経済版』(2003年、新日本出版社)、『新自由主義の犯罪:「属国ニッポン」経済版2』(2007年、新日本出版社)、『ルールある経済って、なに?』(2010年、新日本出版社)、『カジノミクス』(2018年、新日本出版社)、『やさしく強い経済学』(2022年、新日本出版社

*3:著書『「非正規」をなくす方法:雇用、賃金、公契約』(共著、2011年、新日本出版社)、『「働き方改革」という名の「劇薬」』(共著、2016年、学習の友社)

*4:全国商工団体連合会常任理事

*5:全日本年金者組合副委員長

*6:著書『どうする住宅難時代』(1991年、学習の友社)

*7:立命館大学教授。著書『カナダ農業とアグリビジネス』(1996年、法律文化社)、『WTOとカナダ農業』(2004年、筑波書房)、『6次産業化研究入門』(編著、2021年、高菅出版)

*8:群馬大学名誉教授。著書『国債管理の構造分析』(1990年、日本経済評論社)、『金融大国日本の構造』(1991年、みずち書房)、『金融自由化の経済学』(1993年、大月書店)、『国債がわかる本』(2015年、大月書店)など

*9:神戸大学名誉教授。著書『生きがいの構造と人間発達』(1994年、労働旬報社)、『現代資本主義と新自由主義の暴走』(1999年、新日本出版社)、『自治体の公共性と民間委託:保育・給食労働の公共性と公務労働』(2000年、自治体研究社)、『日本経済の危機と新福祉国家への道』(2002年、新日本出版社)、『構造改革とデフレ不況』(2002年、萌文社)、『構造改革と保育のゆくえ』(2003年、青木書店)、『憲法25条+9条の新福祉国家』(2005年、かもがわ出版)、『ジェンダー平等の経済学』(2006年、新日本出版社)、『福祉国家の姿とコミュニケーション労働』(2007年、文理閣)、『格差社会の克服』(2007年、山吹書店)、『新自由主義破局と決着』、『保育改革の焦点と争点』(以上、2009年、新日本出版社)、『新自由主義からの脱出』(2012年、新日本出版社)、『橋下主義解体新書』(2013年、高文研)、『安倍政権の末路:アベノミクス批判』(2013年、旬報社)、『終活期の安倍政権』(2017年、新日本出版社)など

*10:東京大学教授。著書『女性の就業と親子関係』(編著、2004年、勁草書房)、『多元化する「能力」と日本社会』(2005年、NTT出版)、『若者と仕事』(2005年、東京大学出版会)、『若者の労働と生活世界』(編著、2007年、大月書店)、『「家庭教育」の隘路:子育てに強迫される母親たち』(2008年、勁草書房)、『教育の職業的意義:若者、学校、社会をつなぐ 』(2009年、ちくま新書)、『軋む社会:教育・仕事・若者の現在』(2011年、河出文庫)、『社会を結びなおす:教育・仕事・家族の連携へ』(2014年、岩波ブックレット)、『もじれる社会:戦後日本型循環モデルを超えて』(2014年、ちくま新書)、『文系大学教育は仕事の役に立つのか』(編著、2018年、ナカニシヤ出版)、『教育は何を評価してきたのか』(2020年、岩波新書)、『「日本」ってどんな国?:国際比較データで社会が見えてくる』(2021年、ちくまプリマー新書)など