今日のロシアニュース(2022年6月27日分)

ロシアにとっては「敵が改めて敵対的な姿勢を示した」くらいでしかないスウェーデン・フィンランドのNATO加盟をトルコが支持した事実が「朗報」扱いされる日本世論から見えるもの: 白頭の革命精神な日記
 「そうした事実は、加盟申請の時点で、ある程度予想されており今、朗報と騒ぐほどのことではない」「NATO加盟は少なくとも『ウクライナ戦争の現場(戦場)』には大きな影響は与えない(今後予想される両国のウクライナへの軍事支援が現在、行われてるNATOの軍事支援を遙かに上回るとも思えないので)」という白頭先生とは別の意味で「やれやれ」ですね。
 それは「(ウクライナはともかく)スウェーデンフィンランドの中立放棄は果たして(両国自身や、日本、国際社会などにとって)朗報なのか?」という意味です。
 以前書いた「以下の記事」を改めて紹介しておきます。なお、「数の大小はともかく」両国においても「NATO加盟反対派」は勿論存在します。

「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年6/2分:巣くう会集会の巻) - bogus-simotukareのブログ
 先日、TBSラジオ森本毅郎スタンバイ」の「日本全国8時です」で元毎日新聞外信部長の伊藤芳明*1が「スウェーデンフィンランドNATO入りして中立国でなくなったらワームビア君救出のような事ができなくなりはしないかという不安を感じる。もしそうなったとして、それはスウェーデンフィンランドや国際社会にとって果たしていいことか?*2」「だから拉致問題を抱える日本人にとってスウェーデンフィンランドNATO加盟はある意味、他人事じゃない。日本が北朝鮮相手に利用できる外交ルートが一つ減るかもしれない*3」「そうした懸念が日本できちんと論じられないのは問題だと思います」云々と語っていたことを今思い出しましたが「俺も伊藤氏に同感」です。
(中略)
 伊藤氏コメントについてはググって見つけた

https://twitter.com/yuukim/status/15272253401032540162022.5.19(木)
◆yuuki
 昨日のTBSラジオ森本毅郎スタンバイ」内の「日本全国8時です」コーナー、水曜コメンテーター・伊藤芳明さん、フィンランドスウェーデンNATO加盟について。
 色々と懸念やデメリットについても解説してくれてるが、こういう報道は本当に少ないな。(ボーガス注:NATO加盟支持に)前のめりになりがちな今こそ丁寧に見るべき観点だと思うが。
「両国のNATO加盟、長期的には(ボーガス注:両国の中立国ブランドが失われて)マイナスの影響が出てくると思う」
「(ボーガス注:中東和平交渉、ワームビア君救出など)仲介役を担ってきた歴史がある」
「スイスと違って秘密裏の交渉もやりやすい」
として具体例をいくつか、どれも知らなかったな

つうツイートを紹介しておきます。
 あと、「メディアの中では比較的リベラルなTBSラジオ」と違い「産経系列、ウヨのニッポン放送」ですが

スウェーデンとフィンランドのNATO加盟申請が「ウクライナとロシアの和平交渉」にどう影響するか – ニッポン放送 NEWS ONLINE
相良)
 「北欧諸国の中立」というブランドは強いです。有名なものだと、「オスロ合意」というものがあります。中東への和平調停もそうですし、アメリカと北朝鮮米朝協議をやっていたときも、スウェーデンで実務者協議が行われています。そのような形で、スウェーデンフィンランドの立場でしか成し得ない中立的な役割があります。
(中略)
 今回は、そのようなブランドを弱めてでも、(ボーガス注:ロシアの脅威から*4)自国の安全保障を守らなければいけないという意識で(ボーガス注:NATO加盟に)踏み込んだのです。

という「伊藤氏の指摘」と「同様の指摘」を紹介しておきます。


リベラル21 中国はウクライナ戦争をめぐる西側の対応をどう見ているか(阿部治平)

 現在までのところ、中国は対露援助を小出しにしてきた。やがては武器を含む大型の援助に踏み切る可能性は否定できない。

 いや、さすがに武器援助はしないのではないか。中国にとって勿論「欧米との関係も重要だから」です。


ゼレンスキー大統領 “ロシア軍 掌握”都市「すべて取り戻す」 | NHK | ウクライナ情勢
 「2月末の全面侵攻以降」に奪われた領土を「全て取り戻す」というならわからないでもない。ゼレンスキーとしても「面子がある」でしょうし、軍事的に可能かもしれない。
 しかし「2月末の全面侵攻以前」、あるいは「ゼレンスキーが大統領に就任する以前」からロシア支配下にあった「クリミア」「ルハンスク」「ドネツク」などを取り戻す、要するに「ウクライナからロシア勢力を全面排除する」というのは現実問題として無理ではないか。
 この記事だけだとその辺りがよく分かりませんが。


年末までにロシア侵攻終結を ゼレンスキー氏、G7参加:東京新聞 TOKYO Web
 安易に楽観論をいうわけにもいかないでしょうが「年末までに片をつけたい」とは「何ともかんとも」です。
 それは【1】ウクライナ政府の見込みですら、最低でも今後6ヶ月戦争が続く恐れがあるということであり、【2】最悪の場合、今年中に片がつかず来年に持ち越すかもしれないということだからです。
 ゼレンスキーが「あえて悲観論をとなえてるだけ」で、実際は「もっと短期で終わること」を望みたいところですが。

*1:著書『アラブ:戦争と生活』(1991年、岩波書店)、『ボスニアで起きたこと:「民族浄化」の現場から』(1996年、岩波書店)、『一目でわかる国際紛争地図』(2002年、ダイヤモンド社)など(伊藤芳明 (ジャーナリスト) - Wikipedia参照)

*2:まあ、それだけがNATO加盟で懸念される問題ではありませんが

*3:まあ今の日本は「北朝鮮外交をやる気がどう見てもない」のでそれ以前の問題だとは思いますが。しかし伊藤氏のような発言を「北朝鮮に甘い」と敵視したあげく「スウェーデンフィンランドなんてパイプはいらない」「北朝鮮が我々の要求をのめば終わる話だ」というのが今の家族会なんでしょうねえ(呆)

*4:俺個人は「ウクライナでのロシア軍の苦戦」を考えれば「ロシアの軍事的脅威」など「スウェーデンフィンランドに限らず」ウクライナ以外の国にとっては「少なくとも当面はない」と思いますが。