珍右翼・高世仁に突っ込む(2022年7/2日分)

戦争とアイデンティティ2 - 高世仁のジャーナルな日々
 高世記事に関係なく俺の考えを書けば「戦争と(国民、民族や個人の)アイデンティティ」には「時に大きな関係がある」でしょう。
 例えば戦後日本において「憲法九条」が「いわゆる解釈改憲の問題」はあるにしても、とにもかくにも「今まで維持されてきた(そして自衛隊の海外での軍事力行使もなかった)」のは「あの無謀で悲惨な太平洋戦争」という「戦争経験」があることは明白でしょう。
 一方、戦前日本において「対米開戦」にまで至った理由の一つは「シベリア出兵」を除けば日本には「敗戦経験」がなく、シベリア出兵も多数の軍費と人命を無駄にしたとはいえ、「シベリアから撤退しただけで(太平洋戦争での米国のように)日本がソ連に逆侵攻され、ソ連の支配を受けたわけではなかった」ことが大きいでしょう。「日清戦争による賠償金と台湾の獲得」「日露戦争による南樺太満州利権(満鉄など)の獲得」「第一次大戦参戦によるパラオ獲得」という「戦争の成功体験(領土の拡大など)」しかないことで「米国を甘く見る」傾向が助長されてしまった。

 プーチンの核使用の可能性が取りざたされる

 さすがに「NATO軍投入」を阻止するため、つまり「ウクライナ支援を武器支援に限定するため」の「フカシ」「ハッタリ」でしかないとは思います。ただし「NATO軍投入」したら「もしかしたらやるかも?」と思わせるところが「プーチンの怖さ」ではあります。
 まあ、プーチンの恫喝がなくても「NATO軍投入」までやるかは疑問ですが。NATO軍投入をやれば確実に「NATO加盟国の自国民(英米仏独など)」に犠牲が出るからです。そこまでの覚悟がNATO加盟各国にあるようには見えません。

 岸田文雄総理は常々広島出身*1を売りにして核禁条約国と核保有国との「橋渡し」をすると言っているが、会議に参加もしないで「橋渡し」などできるのか

 ICANがそうした批判をし、TBSラジオ森本毅郎スタンバイ」でも、伊藤芳明氏がICANの岸田批判「出席拒否でどう橋渡し役をするのか?」「既に核保有国・米国の使い走りではないのか?」を紹介した上で「全く同感だ」と言っていましたが俺も同感です。

 ロシア軍の犠牲者のなかで少数民族の比率が異様に高い。
 この主な理由が、契約軍人制度にあると「国際報道」(NHK)が報じている。
 ブリヤート共和国はロシアの85ある連邦構成主体(うち共和国が22ある)のなかでも貧しい地域だ。
 ある家族からウクライナ戦争の犠牲者が出た。亡くなったのは元教師。教師の月給が2万円ほどで、家族を養っていけなかったので、契約軍人に応募した。給料は教師の6倍だった。
 ロシア軍は徴集兵より契約兵がはるかに多いのだ。
「ロシア軍は約70%を契約軍人が占めていて、あとは徴集兵だ。」(Business Insider)
 そこで起きているのが少数民族としてのアイデンティティの高まりとロシア国家への忠誠心の低下だ。
 ブリヤート人モンゴル族の一部で、顔立ちは私たち日本人によく似ている。NHKのニュースでは犠牲になった兵士の葬儀はチベット仏教で執り行われていた。

 明らかに「いわゆる経済的徴兵制」の一種ですね。
 経済的徴兵制については布施祐仁*2経済的徴兵制』(2015年、集英社新書)と言った著書があります。
【参考:ブリヤート人

アグワン・ドルジェフ - Wikipedia
 1854~1938年。ブリヤート人チベット仏教僧。ダライ・ラマ13世の教師(なお、現在のダライは14世)。1913年、チベット・モンゴル相互承認条約をチベット側の代表として締結。 スターリン政権下の1937年、モンゴル及び日本のスパイ容疑で逮捕され、翌1938年に獄死


戦争とアイデンティティ - 高世仁のジャーナルな日々

 欧州などでは選挙の主な争点にエネルギー転換と気候変動、(本当の意味の)SDGsの政策が上がるが、日本ではそれが全くない。この問題は次の有望産業をどう育てるかということに直結している。つまりは、次世代の働き口をどう確保するのかだ。いま乗り遅れると大変なことになるのだが・・・。

 珍右翼・高世仁に突っ込む(2022年6/28日分) - bogus-simotukareのブログでも書きましたがSDGs(持続可能な開発)を「エコロジー」の観点から見るのは一面的ですし、ましてや「エコロジー→グリーン産業(高世)」のように言うのはもっと一面的でしょう。
 少なくとも建前は「グリーン産業発展のためのエコロジーSDGs」ではない。
 勿論SDGsには

SDGs(持続可能な開発目標)17の目標&169ターゲット個別解説 | 一般社団法人イマココラボ(以下、目標の引用は全てこのサイトからです)
【目標12:つくる責任、つかう責任】
12.3
 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。

といった「エコ部分」もあります。
 しかし一方で「非エコ部分」もあります。「SDGsの非エコ部分」については、「引用が長くなりますが」例えば以下の通りです(いくつか赤字強調してみました)。「具体的な目標があるもの」をいくつかあげてみました。

【目標1:貧困をなくそう】
1.1
 2030年まで*3に、現在「1日1.25ドル未満で生活する人々」と定義されている「極度の貧困」をあらゆる場所で終わらせる。
→「1ドル360円時代(一番最初)」ですら「1.25ドル=450円」であり「絶句」ですね。今が「130~140円程度」なので「1.25ドル=170~175円程度」ですね。
【目標2:飢餓をゼロにする】
2.1
 2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
【目標3:すべての人に健康と福祉を】
3.1
 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
3.2
 全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、 2030年までに、新生児及び5歳未満児の「予防可能な死亡」を根絶する。
3.3
 2030年までに、エイズ結核マラリア*4及び「顧みられない熱帯病*5」といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症*6及びその他の感染症に対処する。
3.4
 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
3.6
 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
→「2020年まで」なので、この目標は既に期限が来ています。達成できたかどうかはググった限りでは不明です。
【目標4:質の高い教育をみんなに】
4.6
 2030年までに、全ての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力*7を身に付けられるようにする。
→平たく言えば「文盲(最近は差別表現と言うことで「非識字」などと表現されることが多いが)をなくす」つうことですが我々日本人からすれば「絶句」ですね。しかし国際的には「重要な課題」なのでしょう。
 なお、「日本では恐らく識字率は100%に近いであろう」とはいえ

識字率とは?日本の識字率が100%ではない理由と世界のランキング
 日本では小学校・中学校に無料で通うことができるため、識字率100%だと考える人は多くいます。しかし、日本の識字率は100%だとされていません。
 日本の識字率が100%じゃない理由は、戦中・戦後に子ども時代を過ごした世代の識字率が低いためと言われています。現在は義務教育が行き届いているため、子どもや若年層に非識字者はほとんどいません。

だそうです。
【目標5:ジェンダー平等を実現しよう】
5.3
 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、(ボーガス注:ジェンダー平等に反する)あらゆる有害な慣行を撤廃する。
→我々日本人からすれば「児童婚、強制結婚?」と「絶句」ですね。しかし国際的には「重要な課題」なのでしょう。
【目標8.働きがいも経済成長も】
8.7
 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。
→我々日本人からすれば「子ども兵?」と「絶句」ですね。しかし国際的には「重要な課題」なのでしょう。
【目標16.平和と公正をすべての人に】
16.2
 子供に対する虐待、搾取*8、取引*9及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。

 以上は「貧困撲滅(目標1)」「福祉充実(目標3)」「教育充実(目標4)」「ジェンダー平等(目標5)」「いわゆるディーセントワークやワークライフバランス(目標8)」などであって「エコロジー」ではない。
 珍右翼・高世仁に突っ込む(2022年6/28日分) - bogus-simotukareのブログでも書きましたが、日本マスコミの「SDGs」云々はあまりにも「エコロジー」に偏ってる上に、そのエコロジーも「脱原発」のような「政府、企業批判」から逃げ「エコバッグ(レジ袋はできる限りもらわない)」「フードロス(食べ物は残さず食べよう)」「リサイクルショップの活用」など「個人の心がけ」ばかりに行ってはいないか?
 勿論「心がけ」は大事です。でも環境問題は「政治の問題」でしょう。心がけで全てが解決する話じゃない。
 勿論「エコロジー」は大事です。でもSDGsは「エコ限定」じゃない。
 「交通事故を減らすために自分も安全運転」「児童虐待の疑いを感じたら警察や児童相談所に通報」つうんだって「SDGs」のわけです。SDGsには「交通事故や児童虐待の撲滅」が入っていますので。
 なお、以上の目標は、「数値目標(餓死の撲滅(ゼロにする)(目標2)、三大感染症エイズ結核マラリア)の撲滅、交通事故死者数を半減(目標3)、文盲の撲滅(目標4)、強制結婚や女性器切除の撲滅(目標5)、強制労働、児童労働の根絶(目標8)、児童虐待、児童強制労働、児童人身売買の撲滅(目標16))」など、ある程度具体的な目標ですが、

【目標3:すべての人に健康と福祉を】
3.5
 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
【目標16.平和と公正をすべての人に】
16.5
 あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。*10

など、かなり抽象的な目標もあります。

 ETV特集ウクライナ危機~市民たちの30年」(4月30日)では、16歳まで日本で育ち今はキーウからyoutubeウクライナの情況を発信しているボグダンさん(35歳)が流暢な日本語で心境を語ってくれた。
「『ロシアを怒らせた』という表現が、僕たちからすると分からないんですよ。だって僕らは別にロシアの資産じゃない。ペットでもないですよね。ロシアの属国でもないわけですよね。独立国家じゃないですか。」
「国民全体がボランティア。それがウクライナの強さ。だからロシアに負けない。正しい方向に進んでいるんだなということを毎日感じながら前進してます。」
 ロシアがウクライナ侵攻に踏み切ったのにはウクライナにも「落ち度」がある、もっとうまく立ち回ってロシアを怒らせないやり方もあったのではないかという意見の人*11に聞かせたい言葉だ。

 「ボーガスはロシア擁護」と言う誤解を恐れず、あえて言えば赤字部分について「気持ちは分かる」んですが「正義は勝つ!」で勝てるのなら苦労はしません。
 場合によっては「涙を呑んで停戦する」覚悟がいずれ必要になるかもしれない。

*1:「広島選出国会議員からの首相」としては岸田以前には「池田勇人」「宮沢喜一」がいます。

*2:著書『日米密約・裁かれない米兵犯罪』(2010年、岩波書店)、『ルポ・イチエフ:福島第一原発レベル7の現場』(2012年、岩波書店)、『自衛隊海外派遣:隠された「戦地」の現実』(2022年、集英社新書)、『日米同盟・最後のリスク:なぜ米軍のミサイルが日本に配備されるのか』(2022年、創元社)など

*3:以下、多くの目標で設定期限が「2030年(今から8年後)」になっています。果たして8年後にこれらの目標はどれだけ達成できるのか。そして「8年後に新しいSDGs」でしょうがそれは果たしてどうなるのか。なお、話が脱線しますが「2030年(今から8年後)までに拉致被害者をたった一人でも救出する」つう目標を立てても「今のままではたった一人の帰国でも無理なんだろうな、それでも救う会は勿論、家族会も『北朝鮮が悪い』と悪口するだけなんだろうな」と思って気が重くなります。

*4:俗に「三大感染症」と呼ぶようです。

*5:これについては顧みられない熱帯病と三大感染症について | Eisai ATM Navigator参照

*6:コレラ赤痢チフスなど「水を主な感染源」とする感染症のこと(水系感染症 - Wikipedia参照))

*7:昔風に言えば「読み書きそろばん」です。

*8:児童強制労働(児童買春、児童ポルノを含む)のことです

*9:人身売買(性的な売買を含む)のことです。日本だって「安寿と厨子王森鴎外が「山椒大夫」として小説化。森小説を元に溝口健二が1954年に映画化、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得)」つうことで昔はそういうことがあった。ええ、俺は「おっさん」なので「安寿と厨子王」を知っています。最近の若者は多分知らないでしょうが。

*10:「安倍のモリカケ、桜」「甘利のUR疑惑」などはこれに明らかに抵触しています。まあ、「汚職撲滅」はSDGs以前の話ですが

*11:高世にとって具体的に誰なのか?