新刊紹介:「前衛」2022年8月号

 「前衛」8月号について「興味のある内容」のうち「俺なりに何とか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れています。「俺の無能」のため「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。「選挙後」では「選挙結果(世論調査では必ずしも議席増ではない)」によっては挫折感から「書く気を失いそう」なのでひとまず選挙前に「簡単に書いてみました」(今後、いろいろと書き直すかもしれない)。
 勿論時期的に「参院選結果」は紙面に反映されていません。次号で報告されることになるでしょう。
◆今月のグラビア『虚構の聖地:戦争視点で歩く奈良』(西田敦*1
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
奈良県:県内の戦争遺跡、掘り起こし写真展 桜井の西田さん、10月12~14日2013.9.30
やまと人模様:「戦跡」を撮る写真家・西田敦さん(57)=桜井市 戦争の記憶、レンズに /奈良 | 毎日新聞2020.9.19


ウクライナ戦争、「民主対専制」か国連憲章にもとづく国際秩序か:この間の国際政治の教訓から(小林俊哉*2
(内容紹介)
 Q&A形式で書いてみます。

 「民主対専制」か国連憲章にもとづく国際秩序か、とはどういうことでしょうか?

 米国は「民主VS専制」と描き出そうとしていますがそれは適切ではないと言うことです。
 問題は「ウクライナ侵攻」が「国連憲章にもとづく国際秩序」に反する侵略だと言うことです。
 これと「民主主義」の問題はまた別問題です。
 例えば国連総会ロシア非難決議で賛成した国は軒並み民主国なのか。そんな事実はどこにもありません。
 非難決議で棄権した国にはインドやブラジル、南ア(BRICSでのロシアとの関係などによると見られる)がありますが「棄権の是非」はともかくこれらの国は「民主主義国家ではない」のか。多くの人間はそうは評価しないでしょう。


◆気候危機克服に向けて再エネ中心の持続可能な社会へ(上)(和田武*3
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
電力不足問題 自公政府の責任重大/原発だのみやめ、再エネ・省エネ推進を/小池氏が記者会見2022.6.28
主張/エネルギーの転換/省エネ・再エネ推進する政治を2022.7.3


◆食料危機のその真相と解決策(印鑰智哉(いんやく・ともや))
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/食料の「安全保障」/自給率引き上げを国政の柱に2022.3.25
主張/日本の食料/本気で増産する農政に転換を2022.7.8


特集『「自由」が危ない:政治による介入を問う』
◆「表現の不自由展」開催が問いかけているもの(岡本有佳*4
(内容紹介)
 政治による介入とは

◆安倍政権による「名古屋・不自由展」への補助金不支給
→例えば補助金不交付撤回を/文化庁前「不自由展」抗議(2019.10.3)参照
◆河村名古屋市長が「名古屋・不自由展」への「公費支出」を撤回したこと
→これに対し、大村愛知県知事が「その考えはおかしい」「県は支出する」として河村と対立。ついには河村が大村リコール運動をしかけ、その過程で「署名捏造」と言う犯罪行為が起きたことはご存じかと思います。
 なお、トリエンナーレ訴訟 名古屋市控訴 河村市長「最高裁までいく」 | 毎日新聞(2022.5.30)ということで河村が控訴したので裁判中ですが「名古屋地裁」で「公費支出撤回は不当であり、全額支出すべき」という判決が下りました。
◆「不自由展・かんさい」について、大阪市が市施設の使用を認めなかったこと
表現の不自由展かんさい、施設利用認める司法判断が確定:朝日新聞デジタル(2021.7.16)が報じるように大阪市の措置を違法とする判断が最高裁で確定しました。

のことです。
 なお「表現の不自由展」については安部晋三の死に「ある種の喜び」と「ある種の屈辱」を感じた、ほか - bogus-simotukareのブログでも言及しました。
 単なる偶然でしかないですが「名古屋・不自由展へのテロを事実上容認した安倍」を批判する記事が前衛に掲載される中での「安倍の暗殺」は実に皮肉な気がします。
参考
「表現の不自由展」東京・国立で開幕 昨年6月からの延期を経て:朝日新聞デジタル2022.4.2
東京で表現の不自由展開幕 10カ月遅れ - 産経ニュース2022.4.2

<民主主義のあした>「表現の不自由展」守った市民と司法:東京新聞 TOKYO Web2022.4.25
 2015年の初展示から「不自由展」に携わり、今月の東京展の実行委員会共同代表を務めた岡本有佳さん(59)は、開催への抗議活動も含めた「いま起きていることや、過去に起きたこと」を見えるようにすることが、表現の自由の土台になる、と語る。(聞き手・佐々木香理)


◆新たな岐路に立つ教科書問題(平井美津子*5
(内容紹介) 
 映画「教育と愛国」公式WEBサイトを題材に、右派による歴史教科書攻撃が「子どもと教科書大阪ネット21」事務局長によって論じられてますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
 なお、今月の『メディア時評』のテレビ『「教育と愛国」が問いかけること』(沢木啓三)でも別途この映画について触れられています。
参考
映画『教育と愛国』2022.5.23
斉加尚代さんに聞いた:強まる教育への政治介入。この国で今、何が起きているのか〜映画『教育と愛国』 | マガジン92022.5.25
教育への政治介入問う 映画「教育と愛国」 16日から神戸・洲本で上映 /兵庫 | 毎日新聞2022.7.6


◆いま大学、学術が直面している危機(駒込*6
(内容紹介) 
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/「私学ガバナンス」/自治も教育・研究も壊す愚挙2021.12.19
高リスク投資の設計/大門議員 大学ファンドを批判2022.5.25


◆「大学ファンド構想」と「チーム甘利」(宮本たけし*7
(内容紹介) 
 赤旗の記事紹介で代替。
大学への不当な政治介入/宮本岳志議員 「チーム甘利」を告発/衆院委で法案可決2022.4.28
「チーム甘利」 大学ファンド私物化か/関係組織の要職占める/徹底調査と報告必要2022.5.11
大学ファンド 私物化狙う/「チーム甘利」実動組織 宮本岳志氏が追及/衆院文科委2022.6.4


◆座談会『一刻の猶予もない深刻な「教員不足」の解決と教師の仕事』(鈴木直樹/波岡知朗/山﨑洋介*8山田一郎)
(内容紹介)
(内容紹介)
 「非正規雇用が多く待遇が悪いこと」が教員不足の大きな要因として「正規雇用を増やすこと」が主張されています。
 なお、けっきょく教員ばかりか自治体ほかも迷惑しただけだ(教員免許の更新) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が指摘するように「免許更新制度の廃止」も大きな理由は「更新制度が教員不足を助長している」と言う認識にあります。
参考
主張/教員不足の深刻化/軍拡やめて教育予算を増やせ2022.7.5


ジェンダー覚書:The personal is political『フェミ科研費裁判判決:学問の自由への政治介入と歴史修正主義を問う』(朝岡晶子)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
フェミ科研費裁判 歴史修正主義に迎合の不当判決/支援者「全部棄却信じられぬ」/京都地裁2022.5.26
 なお、現在、控訴中であり、まともな判決が下ることを願っています。
 勿論この判決の前には「吉見義明氏の不当敗訴」があるのでいささかも油断はできませんが。


◆論点『知床観光船沈没事故:背景に参入規制の緩和』(高瀬康正)
(内容紹介) 
 赤旗の記事紹介で代替。
国の事業許可 検証必要/知床観光船事故で武田議員指摘/参院国交委2022.4.27
知床遊覧船社長の管理者確認/国交省、書類のみか/参院委で武田氏2022.5.11
主張/知床の観光船沈没/国交省のおざなり対応は重大2022.5.17


◆暮らしの焦点『「STOP!インボイス」実質的増税、免税事業者追いこむ制度』(中村僚)
(内容紹介) 
 赤旗の記事紹介で代替。なお、中村氏が「まずは参院選でのインボイス反対派勝利を目指すが、不幸にして賛成派(はっきり言えば自公ですが)が」マスコミ世論調査の予測のように勝利したとしても最後まで諦める気はない」「検察庁法改定阻止(安倍政権)、入管法改定阻止(菅政権)のようなことが絶対にできないとは言えないと思ってる」としている点には同感ですね。
主張/消費税インボイス/零細業者苦しめる制度中止を2022.3.21
主張/インボイス負担増/「死活問題」の声が聞こえぬか2022.5.29


メディア時評
◆新聞『米・NATOウクライナ支援と岸田外交』(千谷四郎)
(内容紹介)
 タイトルだけで予想がつくでしょうが「ウクライナ支援」を支持した上で、これを「国防費拡大」などの口実にしようとする右派新聞(読売、産経など)が批判されています。


文化の話題
◆映画:公開された「百年と希望」(児玉由紀恵)
(内容紹介)
 映画『百年と希望』公式サイトの紹介。
参考
映画「百年と希望」公開/「手を取り合えば社会変えられる」/西原監督ら舞台あいさつ2022.6.19
『百年と希望』西原孝至監督インタビュー(2022年6月20日)|BIGLOBEニュース2022.6.20
声上げ続ける“最古参政党”の姿 ドキュメンタリー映画『百年と希望』 創立100年迎える日本共産党描く 京都みなみ会館で公開 | 京都民報Web2022.7.8


◆演劇:厚み、そして圧巻『無言のまにまに(トム・プロジェクト)』(水村武)
(内容紹介)
 窪島誠一郎*9(但し劇中では、坪島啓一郎)による「無言館」創設をテーマとした演劇『無言のまにまに(トム・プロジェクト)』の紹介。
 なお、この種の劇評では意外ですが、基本的には好意的な評価をしている物の、「窪島や野見山暁治*10無言館への思い」とともに「実父・水上勉への窪島の愛憎」を並行して描こうとして「双方とも、十分描き切れてなかったのではないか」という苦言も呈しています。
【参考:無言のまにまに】
平和の尊さ、舞台から問う 無言館題材の劇、都内で上演始まる|信濃毎日新聞デジタル2022.6.5
無言の罪悪感2022.6.14
『無言のまにまに』を、見ました。 | 倉倉のくらくら2022.6.27
【参考:水上勉

水上勉 - Wikipedia
 1941年に長男(窪島誠一郎)をもうけるが、生活苦のため靴の修繕屋に養子に出し、東京大空襲で行方不明になる。1977年に窪島と34年ぶりに再会し、息子の存在が初めて公になった。


◆スポーツ最前線『サッカー選手を守ろう 過密日程など過重負担の解決を』(和泉民郎)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。なお、下記の記事で分かるようにこれは「ヨーロッパの話」であって日本のJリーグの話ではありません。
 とはいえ、吉田麻也が“過密日程”に訴え「アジア人は非常に苦しんでいる」過去4年で地球8周、AFCへの意見書通らず(ゲキサカ) - Yahoo!ニュースに日本人選手である吉田が出てくることで分かるように今や日本人選手が多数ヨーロッパで活躍していますが。
「もはや現代フットボールではない」度を越えた過密日程にマンU指揮官の怒り爆発!「どうやって戦うんだ」 | サッカーダイジェストWeb2021.5.8
マンC・グアルディオラ監督 過密日程解消へストライキを説く 英紙報道 - プレミアリーグ : 日刊スポーツ2021.12.24
吉田麻也が“過密日程”に訴え「アジア人は非常に苦しんでいる」過去4年で地球8周、AFCへの意見書通らず(ゲキサカ) - Yahoo!ニュース2022.6.8
ベイルが過密日程に警鐘「多すぎる」…自身の将来にも言及「ヘタフェには行かない」 | サッカーキング2022.6.11

*1:著書『大和からもうひとつ つたえたいこと。:奈良・戦災の記憶』(2008年)

*2:九州大学准教授。著書『ロシアの科学者』(2005年、東洋書店ユーラシア・ブックレット

*3:立命館大学名誉教授。和歌山大学客員教授。著書『飛躍するドイツの再生可能エネルギー』(2008年、世界思想社)、『環境と平和』(2009年、あけび書房)、『脱原発再生可能エネルギー中心の社会へ』(2011年、あけび書房)、『市民・地域主導の再生可能エネルギー普及戦略』(2013年、かもがわ出版)、『再生可能エネルギー100%時代の到来』(2016年、あけび書房)

*4:「表現の不自由展・東京」共同代表。著書『あいちトリエンナーレ「展示中止」事件』(編著、2019年、岩波書店)など

*5:「子どもと教科書大阪ネット21」事務局長。著書『「慰安婦」問題を子どもにどう教えるか』(2017年、高文研)、『教育勅語と道徳教育』(2017年、日本機関紙出版センター)、『教科書と「慰安婦」問題』(2021年、群青社)

*6:京都大学教授。著書『世界史のなかの台湾植民地支配』(2015年、岩波書店)、『「私物化」される国公立大学』(2021年、岩波ブックレット

*7:衆院議員。党中央委員

*8:著書『本当の30人学級は実現したのか?:広がる格差と増え続ける臨時教職員』(2010年、自治体研究社)、『いま学校に必要なのは人と予算:少人数学級を考える』(2017年、新日本出版社

*9:著書『信濃デッサン館日記』(1986年、講談社文庫)、『わが愛する夭折画家たち』(1992年、講談社現代新書)、『無言館ノオト』(2001年、集英社新書)、『「無言館」にいらっしゃい』(2006年、ちくまプリマー新書)、『詩人たちの絵』(2006年、平凡社ライブラリー)、『戦没画家靉光の生涯』(2008年、新日本出版社)、『無言館:戦没画学生たちの青春』(2018年、河出文庫)など

*10:窪島の協力者。東京芸術大学名誉教授。著書『無言館はなぜつくられたのか』(窪島との共著、2010年、かもがわ出版)など