国家基本問題研究所の安倍美化に突っ込む(2022年7/16日分)

【第942回】安倍氏の遺志を継ぐことが首相の務めだ « 今週の直言 « 公益財団法人 国家基本問題研究所
 岸田は「安倍後継」を訴えて総裁選に勝利したわけではないので「安倍の遺志」に拘束される理由はどこにもありません。

 安倍氏暗殺の現場を撮った動画には、わが国の弛緩しきった姿が写されている。現場にいた警備担当のプロフェッショナル達は何の反射行動も取れず、突っ立っていた。彼らが慌てて動いたのは、2発目の弾で安倍氏が倒れてからだったのが動画から見て取れる。
 その姿は日本国憲法前文と9条に重なる。

 言いがかりにもほどがあります。「警備の不備(警察の油断?)」と「憲法九条」と何の関係があるのか。
 そもそも憲法九条のない国でも「原首相暗殺(1921年)」「犬養首相暗殺(1932年)」「ケネディ大統領暗殺(1963年、米国)」「ケネディ司法長官(ケネディ大統領の弟)暗殺(1968年、米国)」「サダト大統領暗殺(1981年、エジプト)」「インディラ・ガンジー首相暗殺(1984年、インド)」「パルメ首相暗殺(1986年、スウェーデン)」「ラビン首相暗殺(1995年、イスラエル)」など政治家暗殺はある(今回の安倍の件と単純比較はできないでしょうが)。
 大体その理屈なら銃声がしても、「何が起こったか分からなかった」のでしょうが、何の反射行動も取れず、突っ立っていた安倍はどうなるのか。一発目は外れたらしいので、安倍が即座に伏せれば犯人も二発目で安倍を射殺できなかった可能性がある。安倍も「その姿は日本国憲法前文と9条に重なる*1」のか?、と言えば「安倍氏を馬鹿にするな」と言い出すのでしょうね。でも、桜井の理屈なら安倍だって「平和ぼけ」でしょうに。


安倍氏がインドに遺したもの 近藤正規(国際基督教大学上級准教授) « 国基研ろんだん 国基研ろんだん « 公益財団法人 国家基本問題研究所
 「ICUにもこんなウヨ教員がいるのか?」とタイトルだけで大笑いです。勿論、安倍の首相在任中には「日本の経済支援」などを目当てに、インド政府も社交辞令でいろいろ言ったでしょうが、少なくともそれは、国基研が強弁するような「安倍首相の中国封じ込めにインドも協力した」と言う話ではない。

 モディ氏と安倍氏の付き合いは、モディ氏がまだグジャラート州の首相であった時代に遡る。同州の宗教暴動で大量の死者を出した責任を問われ、米国に入国することも許されなかったモディ氏と、首相になったばかりの安倍氏が交流することに、日本の外務省は異を唱えたが、安倍氏が押し切ったとされる。

 「大量の死者を出した」だと「今回の奈良県警」のような単なる過失(警備の不手際)のようですが、実は「支持者相手に上院襲撃を扇動したトランプ」のように「支持者(ヒンズー過激派)相手にモディが暴動を扇動した」という疑惑がある事に触れない辺り、国基研らしいゲスさです。

 戦後の東京裁判で日本無罪論を主張したインドの故パール判事の孫に面会するためコルカタまで日帰りで足を運んだが、この強行軍が災いしてか、安倍氏はインド滞在中に健康を崩し、帰国後に入院して首相を辞任した。

 吹き出しました。第一次内閣での辞任を未だに「病気辞任」と強弁する気らしい。それも「政権維持のストレスで体調不良」ならまだしも「インドで健康を害した」。インドに対して失礼でしょう。

 第二は、日印原子力協定を結んだことである。核拡散防止条約(NPT)に署名していない核保有国であるインドとこうした協定を結ぶことは、安倍氏のリーダーシップなしには不可能であった。

 おいおいですね。そういう行為が「印パの対立を助長しないか」「NPT体制を形骸化させないか」という懸念はないのか?。「パキスタン親日国インドの敵で中国(ウヨにとって反日国)の支援を受けているから日本の敵だ」とでも思ってるのか?。

*1:そもそも安倍が自らの警護に気を使っていれば「背後にSPが少ないこと」に懸念を表したでしょう(そもそも背後が壁になっており襲撃できない場所で演説したかもしれない:まあ、安倍的には自己アピールのため、全方位から見える場所が良かったのでしょうが、それは勿論警護が難しい)。結局「襲撃があっても離れた距離からの狙撃ではなく刃物によるモノだから簡単に取り押さえられる」「襲うときは安倍氏を威圧するために前からだろう(まあ安倍への怒りを襲撃時に安倍に知らしめたいというならそうでしょうが、確実に殺すのなら、今回のように「後ろから」だろうが構わないわけです)」などと思い込んで後ろからの狙撃の可能性を無視したのは奈良県警だけでなく安倍も同じだったろうという話です。