今日のロシアニュース(2022年8月27日分)

ロシア “プーチンの戦争”終わりは? 外交の専門家が分析 | NHK

 ロシアを代表する外交評論家のフョードル・ルキヤノフ氏(55歳)に軍事侵攻開始から半年を前に、ロシア国内でインタビューしました。
(聞き手・権平恒志モスクワ支局長)
軍事侵攻の正当性はどう考えているのか?
 プーチン大統領が演説で「歴史的ロシアの復活」という言葉をよく使うようになったことに注目しています。つまり、ロシアは一部の領土を不当に失っていて、取り戻さなければならないという考え方を導入したのです。プーチン大統領はみずからを帝政ロシア時代のピョートル大帝と重ね合わせ、『ピョートル大帝は何も征服しなかった。彼は領土を取り戻したのだ』と言っています。
 そして自分はその継承者として、ソビエト崩壊後にロシアが不当に失った一部の領土を取り戻さなければならないという理屈に立っています。歴史的にロシアの拡張領域に属していた地域であるウクライナはその主要な部分なのです。

 当初「ウクライナNATO加盟反対」を表看板にしていたことが変化したと言うことでしょう。
 この点【1】当初から「ウクライナのロシア領土化」を目指していたと見るのか、【2】当初は「傀儡政権樹立、NATO加盟阻止」が目的だったが、首都キーウを陥落できず、目的達成がうまくいかず「領土の復活→一部でもウクライナがロシア領土化できれば戦争目的が達成できた」と戦争目的を「より実現可能性の高い方向」にスライドし、「失敗した戦争」の批判を避けようとしたと見るのかでプーチン評価も変わってきますが俺も素人なので何とも評価できません。

半年にわたる侵攻をどうみる?
 このような長期的な軍事作戦を想像していなかったと思います。明らかに比較的、短期間での作戦を見込んでいました。
 具体的な軍事目標はもうなくなっているかもしれません。
 到達すべきラインがどこにあるのか、明確な理解はなく、前進できるだけ進んでいる状況です。どこかのタイミングで、両国が「いまのやり方では何も達成できない」という意識になると思います。そうなれば交渉が始まりますが、いまはまだその段階にまったく達していない状況だといえます。
欧米の経済制裁は効いているの?
 短期的な影響は思ったよりも小さいものでした。ただ、欧米諸国がいうように制裁は徐々に効き、その効果は蓄積していくと思います。
中国とはどこまで接近するの?
 アメリカに感謝しなければいけません*1が、(ボーガス注:中国に敵対的な)アメリカの対中政策が、中国を、ロシアにとってより都合のよい方向に変えています。
日本との北方領土問題を含む平和条約交渉はどうなる?
 ロシアが領土問題の交渉に戻る可能性はすでに非常に低くなったと思います。日本はアメリカ側に立ち、制裁を科し関係を制限するなど明確な立場をとりました。
ロシア国内の反応はどうなの?
 ロシア国内でプーチン政権の危機が起きうる兆しは見られません。政権側は国民の総動員を行っていません*2
今後どうなる?
 見通しはまったく想像できません。ロシア側もウクライナ側も武力によって事態を変えることができると考えています。1950年代初頭の朝鮮半島有事*3の時は確か2年から2年半にわたって戦線は変わりませんでした。双方がもうどうしようもないと理解するところまでいきました。
 どうにかして、この状態までもっていかなければいけません。ただ残念ながら、将来のロシアとウクライナの共存は、いまのところまだ誰にも想像できない状況です。

 「プーチンはゼレンスキー政権打倒、傀儡政権樹立を短期で実行するつもりが、それに失敗し、戦争目的を見失ったあげく、面子が潰れることを恐れて継戦してるだけかもしれない」「短期では制裁はあまり効いてない(だからプーチンも継戦する)が、長期ではロシアのダメージになると思う」「ロシアもウクライナも停戦する気がないが、お互い劇的に戦況を変える力もないと思うので、今の泥沼戦争が当面続くと思う。最終的には朝鮮戦争のように停戦すると思うが、正直結末が見えない」「少なくとも現時点ではプーチン体制に崩壊の兆しはない」「米国が台湾問題などで反中国的な態度を取り続ければ、対抗措置として中国はロシアに接近するだろう。米国の思惑が何であれ、米国の対中国政策は結果としてロシアを利している」など、概ね、「多くの人間の認識、評価」と一致しているように思います。ロシア人でもある程度常識があれば、「ロシアが短期で勝利する」など、あまり景気のいいことも言えないでしょう。


NPT再検討会議 ロシアの反対で「最終文書」採択できず | NHK | ロシア
 ロシアの態度が不当なことを認めた上の話ですが、個人的にはウクライナ原発について触れない「ロシアの飲める案」で妥結するという道はなかったのかと言う気はします。ウクライナ原発にこだわって合意できなかったことは果たして良かったのか。何も「この合意文書に記載しないとウクライナ原発について何もできない」わけでもなければ、「書き込めば事態が劇的に変化する」わけでもない。
 【1】ロシアを「不当な態度」と攻撃できる
 【2】実は合意内容にそれほど乗り気でないので、ロシアが潰してくれるのなら万々歳と内心では思ってる
ということで「核大国(米英仏)」が実は合意文書採択にそれほど乗り気でなかった疑いもあるのではないか、合意不成立についてロシアばかりを批判できないのではないかと俺個人は懐疑的に見ています。
 

*1:[B! ロシア] “プーチンの戦争” 終わりは? ロシア外交の専門家が分析 | NHKの指摘に寄れば、どうも「アメリカのせいで、おかげで(thanks to Amerika)」の誤訳のようです。

*2:ただし「いずれは総動員を行わざるを得なくなるのではないか」という指摘があります。

*3:朝鮮戦争のこと