今日の中国ニュース(2022年9月6日分)(副題:リベラル21と阿部治平に呆れる、ほか)

【堀内恭彦の一筆両断】ハウステンボス売却 国土を守る法整備急げ - 産経ニュース
 産経なら予想の範囲内ですが心底呆れます。ハウステンボス中国企業が買収したから何だというのか。
 長崎県佐世保市といった現地関係者はこんなバカなことではなく「中国企業に経営能力があるのか」などもっとまともなことを論じています。


香港”絵本で扇動”として出版の5人に禁錮1年7か月の実刑判決 | NHK | 香港 抗議活動
 「狼=中国、羊=香港」という判決の事実認識が正しいかどうかで、評価は変わります。
 正しいのなら「そのような描き方をすることの政治的是非はともかく犯罪として処罰すべきではない」。
 間違いなら「そもそも認識が間違ってる」。その辺りどうなのかがこの記事だけではよく分かりません(恐らく前者なのだと思いますが)。


リベラル21 中国はなぜ日中関係の緊張を緩めようとしているか(阿部治平)

 習近平中国国家主席は8月22日、新型コロナウイルスに感染した岸田文雄首相に見舞いの電報を送った。

 社交辞令としてそのくらいのことはするでしょう。「中国はなぜ日中関係の緊張を緩めようとしているか」というご大層な話ではない。
 一方で岸田の方も首相が習主席にメッセージ 中国・四川省地震お見舞い - 産経ニュース(2022.9.6)のわけです。

 8月17日になって、秋葉剛男*1国家安全保障局長と楊潔篪*2中国共産党政治局員が天津で約7時間にわたって会談した。

 「中国が軟化した」と中国が日本に頭を下げてきたかのように描き出す辺りが「反中国」の「阿部&リベラル21」らしい。
 仮に中国が先に働きかけたとしても*3、日本が会談に応じてる以上「中国が軟化」したと描くのは明らかにおかしい。

 ペロシ訪台以前も現在も、諸外国*4の要人が台湾を訪問しており、台湾に有利な国際世論が形成されつつある。

 客観的に見てそんな事実はどこにもないでしょう。一部の「台湾ロビー政治家」が訪台してるに過ぎません。
 下院議長ペロシも「小物ではない(大統領、副大統領が執務不能な場合は下院議長が大統領に就任*5)」とはいえ「バイデン政権高官」ではなく「議会の人間」でありバイデンも「三権分立の立場から行くなとは言えない」と言い訳が一応できる。
 勿論、そうした訪台は「中国にとって不愉快」でしょうが「中国との国交断絶、台湾との国交樹立」といった深刻なレベルにまで行かない限り「ある程度大目に見れる」。そしてそこまで深刻なレベルに行く可能性はさすがにほとんどない。

 中国にしてみれば、日本が台湾に傾斜しつつある現状は決して良いことではない。日本を含めた西側諸国が一致して台湾に連帯を示さないよう(中国包囲網を築かないよう)、早めに楔を打ち込みたいのである。
 そこで秋葉・楊会談が成立したのだろうとわたしは思う。

 馬鹿馬鹿しいので吹き出し、そして呆れました。
 まず第一にこの阿部文章は「僕(阿部)が考える中国の会談動機」しか書いておらず「僕(阿部)が考える日本の会談動機」について書いていません。そんなに反中国分子として「日本に頭を下げる弱腰の中国」という構図を描きたいのか?
 第二に「中国包囲網」云々という要素はあるかもしれない。
 しかし

◆中国にとって、日本は隣国で重要な貿易相手国
◆今年(2022年)は田中訪中による国交回復(1972年)から50周年*6天皇訪中(1992年、宮沢内閣)から30周年の記念すべき年*7で、日中国交正常化50周年記念慶典(実行委員会・日本側として最高顧問「福田康夫元首相」「二階俊博元幹事長」「御手洗富士雄日本経団連名誉会長、キャノン会長」)などの記念イベントもあるので、中国としてもそうした「メモリアルな年」で日中対立は外聞が悪い

と言う要素を阿部が全く無視し、記事内で一言も触れないのには「はあ?」ですね。
 なお、以上の文を阿部記事に投稿しましたが狭量な阿部は恐らく「掲載拒否」でしょうし、掲載した場合も何一つ応答はしないでしょう。自称リベラルが聞いて呆れます。

*1:外務省国際法局長、総合外交政策局長、外務審議官、外務事務次官などを経て国家安全保障局長兼内閣特別顧問

*2:米国大使、外相、国務委員(外交担当)などを経て中国共産党政治局員、党中央外事活動委員会弁公室主任

*3:今のところその辺りはよく分かりませんが

*4:といってもそのほとんどは米国や「米国に同調している西欧」にすぎません。

*5:ただし「ジョンソン(ケネディ暗殺)」「フォード(ウォーターゲートによるニクソン辞任)」という「副大統領の大統領就任」は前例があっても「下院議長の大統領就任」は現時点で前例がない

*6:なお、沖縄返還から50周年でもあります。

*7:当初は勘違いから「福田内閣の日中平和友好条約(1977年)から45周年」と書きましたが、これは「1978年のこと」なので来年(2023年)で45周年になります。