中国の覇権主義、大平外相が予言 「低姿勢、50年後変わる」―日中国交正常化:時事ドットコム
「中国は低姿勢だったが、50年たったら態度はガラッと変わる。大きく経済発展して日本を見下すようになるよ」。
9月29日の共同声明調印式を終え、中国から帰国する日本航空特別機の中で、大平は娘婿でもある秘書官の森田一(88、後に森内閣運輸相)にこう語り掛けた。
当然ながら「大平(当時、田中内閣外相、後に首相)が当時そう発言した」というまともな根拠がなければ「中国が経済大国化した今、後智恵で発言を捏造した」と疑われても文句は言えないでしょう。そしてこの記事を読む限り「後智恵の捏造」を否定できる根拠は何一つ提出されていません。
【本ナビ+1】作家 江上剛 『中国の「よい戦争」 甦る抗日戦争の記憶と新たなナショナリズム』 拡散されるご都合主義的歴史 - 産経ニュース
『中国の「よい戦争*1」:甦る抗日戦争の記憶と新たなナショナリズム』なる本がどんな本なのかは読まないと何とも言えません*2が、この本をネタに「習近平政権」を反日云々と罵倒する江上*3が「レベルの低い反中国右翼(恐らく『戦前日本の侵略戦争』批判も自虐反日呼ばわり)」であることはよくわかります。実際には安倍政権以降の日本政府が「極右・反中国」的なのですが。
半世紀前の9月29日、田中角栄、周恩来の日中両国首相が、共同声明に署名し、国交が正常化された。その日を大いに祝おうと、最高顧問には、福田康夫元首相、二階俊博元自民党幹事長、唐家璇元中国国務委員らおなじみの顔がずらりと並ぶ。
で予想通り悪口雑言の反中国産経です。
ちなみに福田康夫氏は父赳夫氏が首相時代に日中平和友好条約(今から44年前の1978年、来年で45周年)を締結したと言うことで中国との縁があります)。
なお、産経は何故か名前を出しませんが最高顧問には御手洗冨士夫・日本経団連名誉会長、キャノン会長が名を連ねています。
楽しみなのは、元首相の挨拶だ。何しろ福田家の人々は代々、アジアを大事にし、スピーチがうまい。父親の赳夫元首相も国交正常化から2年後*4に、ある「慶典」に招かれ、「アジアに偉大な宗教指導者現る。その名は文鮮明である」とやって万雷の拍手を受けた。
康夫氏への皮肉のつもりなのでしょうが、日中友好と関係ない(中国と統一協会の間にパイプがあるわけではない)し、「少なくとも現時点では」康夫氏にその種の統一協会との癒着があると報じられてるわけでもない。
むしろ産経が持ち上げる安倍晋三の方こそ「祖父・岸元首相」「父・安倍元幹事長」と三代にわたって統一協会と癒着していたのによくもいったもんです。そもそも福田赳夫の「統一教会との癒着」も「福田の親分・岸」から譲り受けた要素が大きいし、その慶典の「名誉実行委員長」は岸なのに。
なお、産経の言うアジアを大事にしについては以下を紹介しておきます。
福田赳夫 - Wikipedia参照
アジア開発銀行の設立やフィリピンのマニラで発表された福田ドクトリンなど、アジア重視外交を表明した。
慶典には、羽生結弦さんもゲストとして登場し、トヨタやニトリなど日中の有名企業50社が、スポンサーとして名を連ねている。でも、3社が匿名になっている。こんな意義ある式典を応援するのに、なぜ名前を隠すのだろう。世の中には、五輪*5スポンサー*6になるため賄賂*7まで贈っている企業もあるというのに。
皮肉のつもりらしいですが、余計なお世話です。
なお、羽生さん、日中国交正常化50周年式典起用理由は「若い人達の模範」内容は「シークレット」(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュースは協賛企業(産経の言うスポンサー)として「キャノン」「全日空(ANA)」「三菱商事」の名をあげています。
抄子も親中派の端くれとして列席の栄に浴したかったが、招待状はいまだ来ていない。
「反共、反中国、親台湾」産経が親中派でないのは言うまでもありませんし、この種の式典での招待状は「重要人物」にしか行かないのだから来なくて当たり前です。何の皮肉にもなってない。
*1:基本的に「侵略への抵抗」は日中戦争に限らず、どこの国でも「良い戦争」として語られるでしょう。
*2:江上の紹介を信じれば「レベルの低い反中国&戦前日本擁護本」にしか見えませんが、版元がみすず書房なのでさすがにそんなことはないと思います。江上の誤解ないし故意の曲解でしょう。
*3:著書として『成り上がり:金融王・安田善次郎』(2013年、PHP文芸文庫)、『クロカネの道:鉄道の父・井上勝』(2017年、PHP研究所)、『住友を破壊した男・伊庭貞剛伝』(2019年、PHP研究所)などの経済小説
*4:当時は田中内閣蔵相
*7:建前上は「賄賂を送る方がおかしい」ので何の皮肉にもなっていません。