今日の産経ニュース(2022年10/7分)

宮崎勝参院議員が公明会派入り 熊野正士氏辞職で繰り上げ当選 - 産経ニュース
 セクハラ疑惑で辞任した後釜が「自動的に同じ公明の議員」というのは実に釈然としないものがあります。何か制度改正すべきではないか。


国会序盤戦は野党ペース 自民・高木国対委員長の手腕に疑問符も - 産経ニュース
 統一協会問題での自民党のデタラメさが問題であって「高木の国対運営」などと言う小手先でどうにかなるものではないでしょう。岸田にそれができるとは思っていませんが「細田議長の辞任」「萩生田政調会長、山際大臣の更迭」でもしたらどうか。
 「山際が麻生派であり、更迭した場合麻生副総裁が岸田下ろしをしかねないと恐れてる」「細田や萩生田が安倍派であり、切った場合、安倍派が岸田おろし(以下略)」なんて報道もありますが、何ともみっともない岸田です。それでは完全に「安倍派と麻生のロボット」ではないか。


「保守層にも支持される運動が必要」 立民・岡田克也幹事長インタビュー - 産経ニュース
 「動機が何であれ」代表時代は「海江田前代表の右より路線(今の泉的な路線)」を「共産党を含む野党共闘」に切り替えた岡田なので、幹事長として泉の路線に牽制を行うかと「多少期待してました」がどうもそうもうまくいかないようです。
 こんなことを言ってふらついてるからこそ「保守派にもリベラルにも信用されず支持されない政党」になって「選挙でも負けている」と自覚したらどうなのか。「保守派にも支持される」どころか今の立民は「共産、社民のような左派は勿論リベラル派」すら「絶対的な堅い支持がある」とはとても言えないでしょう。
 私見では「政治で大事なこと」は「自分は政治家として何をしたいか、何をすべきか、何ができるとと思っているか」という「信念」であって「支持されるかどうか」はあえて言えば「どうでもいい話」です。まず「何が信念なのか」示してみろと言いたい。それとも「権力さえ握れれば信念なんかどうでもいい」のか。
 だから民主党政権時代「沖縄基地県外移設(反故にしたため、社民党が反発し政権離脱)」「八ッ場ダム中止公約(中止せず続行し、2020年4月から運用開始:八ッ場ダム - Wikipedia参照)」「消費税増税しない公約(自民、公明との三党合意で増税)」などと平然と公約をいくつも反故にしたのか。
 勿論岡田も民主党政権時代「鳩山、菅内閣外相」「民主党幹事長(菅代表時代)」「野田内閣副総理・行政刷新担当相」だったので「公約違反の当事者」です。


【産経抄】10月7日 - 産経ニュース

 「これ電通入ってますからね」。
 ワイドショーのコメンテーター*1の事実に基づかない暴言は論外にして、今月1日の東京新聞もすごい。
▼「あたたかな、ほほえみに、最後の一瞬、接することができました」(ボーガス注:菅の弔辞の一部)。
 菅氏が病室に駆けつけたとき、安倍氏は心肺停止状態だった。(ボーガス注:微笑みなどあったか)医学的には疑問だとする医師のコメントを記者が引き出している。
 文春新書に著名人の弔辞を集めた一冊*2 がある。
「道半ばにして倒れた君を思うとき、雷鳴は君の悲痛の叫びであり…」。
 急逝した小渕恵三元首相に対する村山富市元首相の追悼演説の冒頭部分である。「科学的には疑問」などと茶々を入れても一笑に付されるだけだ。 

 まあ「微笑みはなかった」でしょうね。菅が【1】お涙頂戴のためにありもしない微笑みをでっち上げたのか、【2】菅の目には微笑んでるように見えたのかはともかく。そして村山氏の「雷鳴」云々(比喩であることは明白)と菅の「微笑み」は意味が大きく違うでしょうに。

 菅氏の弔辞では、岡義武*3著『山県有朋*4』から歌が紹介されていた。安倍氏が生前読んだ最後のページにはマーカーが引かれていた*5
「そんな奇遇があるんですね」。
 昨日の朝日新聞のインタビュー記事で文庫版の解説者*6が、見つけたのは別人*7と匂わせながら皮肉っぽく語っている。 
 件(くだん)の文春新書には、昭和35年10月にテロの凶刃に倒れた浅沼稲次郎社会党委員長に対する、池田勇人首相の追悼演説も収められている。
 「沼は演説百姓よ」。
 浅沼氏の友人が作った詩を見つけ出し、名スピーチに仕立てたのは元新聞記者の秘書官*8だったが、誰も問題にしなかった。
▼菅氏の弔辞ができるまでのいきさつはどうあれ、名演説として歴史に残るはずだ。

 実は

「山縣有朋の歌」は安倍元首相自身がJR東海・葛西会長の追悼で引用したものだった|LITERA/リテラ
 葛西氏といえば、安倍元首相の最大のブレーンと言われていた極右財界人で、第一次安倍政権下の2006年には国家公安委員や教育再生会議委員*9に就任。
 葛西氏が亡くなった*10とき、安倍元首相は葬儀で弔辞を述べたのはもちろん、さまざまなメディアで追悼の言葉を発したが、そのとき、持ち出していたのが、今回、菅氏が紹介した山縣の歌だった。
 安倍元首相は、首相在任中の2014年12月27日にホテルオークラの日本料理店「山里」で葛西敬之JR東海名誉会長(当時)、北村滋*11情報官(当時)と会食しているが、その席で正月休みの読書におすすめの本を葛西氏に尋ね、葛西氏から件の岡義武の『山縣有朋*12』を薦められたと報じられている。ちなみに、岡は葛西氏の東大時代の恩師で(中略)葛西氏が山縣有朋を信奉しているのも有名な話だ。
 実際、安倍氏は2022年6月24日発売の極右雑誌「WiLL」(ワック)8月号に掲載された櫻井よしこ*13との対談でも、葛西氏をしのび、葛西氏が山縣有朋を敬愛していたこと、葛西氏から岡義武の『山縣有朋』を薦められたことなどを語った上で、「まさに、私たちが葛西さんに贈りたい歌です」として、この歌を紹介していた。

だそうです。
 つまりは「生前読んだ最後のページにはマーカー」云々は「菅の作り話」の疑いが強い。
 一方、池田は

池田勇人君の故議員淺沼稻次郎君に対する追悼演説 - Wikisource
 沼*14は演説百姓よ
 よごれた服にボロカバン
 きょうは本所の公会堂
 あすは京都の辻の寺
 これは、大正末年、(ボーガス注:浅沼が参加した)日労党*15結成当時、淺沼君の友人がうたったものであります*16。(ボーガス注:社会党)委員長となってからも、この演説百姓の精神はいささかも衰えを見せませんでした。全国各地で演説を行なう君の姿は、今なお、われわれの眼底に、ほうふつたるものがあります。(拍手)

と演説しましたが、「私(池田)が友人の詩を見つけた」等と嘘をついて「浅沼との親密関係アピールしてない(単に詩の存在を指摘しただけ)」ので「私が本にマーカーが引いてあるのを見つけた(嘘の疑い濃厚)」として「安倍との親密関係アピールをした菅」とは全然違う。
 それにしても「葛西さんの追悼の時に安倍氏山県有朋の歌を引用していたことを思い出しました」で済むことを感動逸話に仕立てるために「作り話」を始めるのだから菅も呆れた馬鹿者です。それをかばう産経もバカですが。

*1:謝罪に追い込まれた上、テレビ朝日から出社停止10日の懲戒処分を受けた玉川徹のこと

*2:『弔辞:劇的な人生を送る言葉』(2011年刊行)のこと

*3:1902~1990年。東大名誉教授。著書『国際政治史』(以上、岩波現代文庫)、『近代日本の政治家』、『転換期の大正』、『明治政治史』(以上、岩波文庫)、『独逸デモクラシーの悲劇』(文春学藝ライブラリー)など

*4:岩波文庫

*5:後述しますが本当にマーカーが引いてあったとしても「生前読んだ最後のページ」ではなく「葛西の弔辞を作る上で安倍が参考にする」ためのマーカーでしょう。

*6:『デモクラシーの整理法』(2020年、岩波新書)などの著書がある空井護北海道大学教授のこと

*7:後述しますが「安倍本人」だそうです。なお、安倍はこの歌の存在を葛西に直接教えてもらった可能性があるのでそういう意味では「別人=葛西」といってもいいかもしれない。

*8:西日本新聞記者だった伊藤昌哉 - Wikipediaのこと

*9:他にも「安倍に近いと思われる右翼」としては「浅利慶太劇団四季代表)」「中嶋嶺雄国際教養大学理事長・学長)」が委員に就任(教育再生会議 - Wikipedia参照)

*10:葛西の死去については死もまた社会貢献である(葛西敬之の死についての感想。あと三村会頭の発言になんとなく「ほめ殺し」の雰囲気を感じる) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)を紹介しておきます。

*11:徳島県警本部長、警察庁警備局警備課長、警備局外事情報部外事課長、兵庫県警本部長、警察庁警備局外事情報部長、内閣情報官国家安全保障局長(内閣特別顧問兼務)など歴任。

*12:陸軍卿、内務卿、第一次伊藤内閣内務相、首相、第二次伊藤内閣司法相、枢密院議長など歴任。元老の一人

*13:国家基本問題研究所理事長、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」共同代表という右翼活動家。安倍政権下において一時、中教審委員を務めた。

*14:浅沼の愛称

*15:日本労農党社会党の前身の一つ)の略称

*16:日本経済新聞の連載自伝コーナー『私の履歴書』の浅沼の回からの引用