今日の朝鮮・韓国ニュース(2022年10月12分)(副題:日経のアホさに心底呆れる、ほか)

北朝鮮を利した自壊説 失われた28年の深層: 日本経済新聞政治部長・吉野直也*1
 勿論「自壊説」を放言してきた典型が

1998年時点での対北朝鮮強硬派の予測する北朝鮮の将来(1) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2010.11.2
20年前の、対北朝鮮強硬派の考えや意見を再度ご紹介(なにが「常識人の常識」だか) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2018.1.2
→ここで批判されてるウヨ連中は当時、
・荒木和博『北朝鮮崩壊、日本大混乱:シミュレーションと提言』(1994年、現代コリア研究所)、玉城素『北朝鮮破局への道:チュチェ型社会主義の病理』(1996年、読売新聞社)などの「自壊説」を書いていたわけです。
北朝鮮が崩壊する前に亡くなったという話(恵谷治氏)(追記あり) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2018.5.23
→恵谷は『北朝鮮はどんなふうに崩壊するのか』(2013年、小学館101新書)を刊行

といった救う会周辺の右翼連中です。勿論、日経は救う会批判などしませんが。

 なぜクリントン政権北朝鮮空爆しなかったのか。米側が踏みとどまった理由は「手を下さなくても北朝鮮は早晩、自壊する」との分析だった。

 「日経はアホか」「(昔のタカアンドトシのギャグ『欧米か!』風に)産経か!」ですね。これが「政治部長」だそうです。日経は大丈夫なのか(呆)。
 北朝鮮が座して死を待つわけがない。空爆などすれば確実に「韓国(場合によっては日本もあり得る)」への報復攻撃となるでしょう。それでどれほどの死者が出ることやら。一番の問題は「北朝鮮の報復による死者の恐れ」であって「自壊」云々ではない。
 報道によれば当時の米国は「最悪の場合は10万人単位の死者が出る」と推定したと言います。そんな死者が出かねないこと(北朝鮮空爆)を当時の韓国政府が認めるわけがない(危惧通りの死者が出たらマスコミや野党の批判で政権が持たない)し、そんな死者が出たらクリントン政権も野党共和党やマスコミの批判で到底政権維持ができないでしょう。米国にとって重い負担となったベトナム戦争の死者数ですら「10万人単位の死者」ではありません。
 それとも日経は根拠もなく「そんな推計は間違ってる」だの「10万人単位の死者が出ても北朝鮮体制打倒のために空爆しろ」だの言う気か?。もしそうなら正気ではないですね。
 そもそも「中露の経済支援」を考えれば「自壊の可能性が低いこと」は明白です。「自壊説」など「空爆しなかった主な理由」ではない。なお、従たる理由(主たる理由ではあり得ないですが)として米朝が対立していた1993~1994年当時の細川内閣(細川首相の佐川ヤミ献金疑惑)、羽田内閣が支持率低迷し、村山内閣も「自社さ連立」で「先行きが不透明だったこと」も「空爆しなかった理由」の一つとしてあるかもしれない。
 そんな政治状況で細川、羽田、村山首相が「米軍の北朝鮮空爆への支援」なんてリスキーな話をやりたがるわけもない(まあ、それ以前に米国も韓国もやりたくないでしょうが)。なお、細川氏は結局『佐川ヤミ献金疑惑』、『国民福祉税騒動(小沢新生党代表幹事とともに強行突破しようとしたが村山社会党委員長、武村新党さきがけ代表(細川内閣で官房長官)の反発で挫折)』のダブルパンチで支持率が低迷し首相を辞任しました。

 元米政府高官は「1994年に北朝鮮空爆しても中国は手出しできなかっただろう*2」と振り返る。

 当時も現在も「中朝間に軍事同盟がある」のに何故そんな理解になるのか。「北朝鮮の先制攻撃に対する米国の反撃」ならともかく「米国の先制攻撃」なら中国が北朝鮮支援として軍事介入する可能性は十分あるでしょう。
 それ以前に「中国の軍事介入が仮になくても、北朝鮮の反撃で何人死者が出るか分からない」のは既に指摘しました。
 それにしても「高官の名前」が出せないのでは、日経がいくら「情報源秘匿が条件だから」と言い訳したところで「日経の捏造(そんな発言をした高官はそもそもいない)」やそこまで酷くなくても「高官の放言(まともな根拠がない放言だから名前が出せない)」を疑われても文句は言えないでしょう。
 一方でケネス・キノネス『北朝鮮:米国務省担当官の交渉秘録』(2000年、中央公論新社)は俺の指摘したようなこと(リスキーすぎて北朝鮮空爆なんかできない)を主張してるわけで「名前を出してるキノネス氏(カーター訪朝後のいわゆる米朝枠組み合意に担当者の一人として関与)」と「日経の『正体不明の元米国高官』」とどっちが信用できるか言うまでもないでしょう。

 ブッシュ政権末期の2008年に北朝鮮の口車に乗り、テロ支援国家指定を解除した。「北風」から「太陽」路線に転じたのである。功を焦って失敗した典型だ。

 高世仁も似たような与太飛ばしています(北朝鮮が崩壊する前に自分の会社を倒産させた無様で無残な話 - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照)が、当時の米国が「アフガン戦争、イラク戦争」で苦しんでいたことを忘れてはいけない(国内外の戦争反対世論を無視して、開戦を強行したブッシュの自業自得ではありますが)。
 明らかに米国にとって「アフガンやイラクに比べ」北朝鮮の重要性は低かった(今もウクライナ戦争に比べれば北朝鮮の重要性は米国にとって低いでしょう。北朝鮮のミサイル発射がろくに騒がれない一因です)。「北朝鮮との対立を緩和し、その代わりにアフガンやイラクに全力投球(ブッシュ)」というのは十分合理性がある。とはいえイラクはともかくアフガンはその後「バイデン政権になるまで米軍が撤退できず」、撤退したらタリバン復権してしまう惨状ですが。


拉致黙殺はメディアの「大誤報」 スクープの阿部雅美氏に聞く㊤ - 産経ニュース
 「1988年」の「橋本敦質問に対する梶山*3国家公安委員長答弁」以前は政府も「北朝鮮拉致疑惑」を認めてないのだから「黙殺」と同業他社(朝日、読売、毎日など)が産経に非難されるいわれは全くないでしょう。
 「梶山答弁(竹下内閣)以降、小泉訪朝まで」の間に

【役職は竹下内閣以後の物を記載】
【首相】
宮沢喜一
 竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相
羽田孜
 宮沢内閣蔵相、細川内閣副総理・外相などを経て首相
橋本龍太郎
 自民党政調会長(河野総裁時代)、村山内閣通産相などを経て首相。首相退任後も森内閣で行革相
小渕恵三
 自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相などを経て首相
森喜朗
 村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相
【外相】
三塚博(宇野内閣)
 自民党政調会長(宮沢総裁時代)、幹事長(河野総裁時代)、橋本内閣蔵相など歴任
河野洋平(村山、小渕、森内閣
池田行彦(橋本内閣)
 宇野内閣総務庁長官、海部内閣防衛庁長官自民党政調会長(小渕総裁時代)、総務会長(小渕、森総裁時代)など歴任
高村正彦小渕内閣
 村山内閣経済企画庁長官、森内閣法相、第一次安倍内閣防衛相、福田内閣外相、自民党副総裁(第二次安倍総裁時代)など歴任

など歴代の首相、外相がもっと何かできなかったか」と日本政府を批判するのならまだしも。


共に民主・李在明代表の主張に与党トップ「朝鮮は日本と戦争していない」「内側から腐って滅びた」-Chosun online 朝鮮日報
 おいおいですね。李在明*4(イ・ジェミョン)「共に民主党」代表の主張の是非はひとまず置きます。
 「日本の韓国侵略」を正当化してるとしか思えない暴言を「反論」として与党幹部(韓日議連会長でもあるそうです)が放言する。

 共に民主党は鄭鎮碩(チョン・ジンソク)委員長の投稿のうち、「朝鮮は日本軍の侵略で滅びたのではない」という部分に対して、「植民史観だ」と批判した。国権侵奪の責任を日帝大日本帝国)ではなく、無能だった朝鮮のせいにする歴史観を示したという意味だ。同党の朴洪根(パク・ホングン)院内代表は「これは浅はかな親日歴史意識であり、執権与党の代表として歴史的な妄言だ」と言った。安敏錫(アン・ミンソク)議員は「日本の極右論理を正当化する議員は直ちに除名しなければならない」と述べた。

と言う野党側の批判は全く正論でしょう。頭痛がしてきます。


【独自】北朝鮮空軍150機出撃、緊急出動した韓国空軍F35Aの機関砲には実弾なかった-Chosun online 朝鮮日報
 仮にそれが事実として「機関砲のないことの是非」はともかくまさか「機関砲がないから北朝鮮が圧勝」ということもないでしょう。むしろこれは「もはや韓国が北朝鮮を現実的脅威と見なしてないこと」の証拠でしょう。


拉致問題啓発の条例制定へ着々 新潟市議会が17日から意見公募 - 産経ニュース
 他の問題はともかく拉致は「外交交渉のみで解決する問題」であって「啓発で解決する問題ではない」ので新潟市議会のバカさに心底呆れます。

*1:1993年、日本経済新聞社入社。政治部次長、ワシントン支局記者などを経て政治部長。著書『「核なき世界」の終着点:オバマ対日外交の深層』(2016年、日本経済新聞出版社)、『ワシントン緊急報告:アメリカ大乱』(2017年、日本経済新聞出版社

*2:実際にはカーター訪朝、米朝枠組み合意で戦争の危機が回避された

*3:竹下内閣自治相・国家公安委員長、宇野内閣通産相、海部内閣法相、自民党幹事長(宮沢総裁時代)、橋本内閣官房長官など歴任

*4:京畿道城南市長、京畿道知事、2022年韓国大統領選挙「共に民主党」候補者などを経て「共に民主党」代表