今日の中国ニュース(2022年10月24日分)(副題:週刊現代のアホさに呆れる、ほか)

【追記】
 講談社だって、今後中国企業と関係しないで経営できるというものでもないだろう(呆れ) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でこの拙記事をご紹介頂きました。いつもありがとうございます。
【追記終わり】
SHEINに原神…「隠れ中国」の進出を経て、2045年までに尖閣&沖縄奪取へ! 中国が今後40年で仕掛ける「6つの戦争」(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)
 週刊現代も良くもここまで酷いデマ記事が書けたもんです。
 日本とて「シャープ」「パナソニック」「ポケットモンスター」「ユニクロ」など、「外国風の会社名、ブランド名、商品名」は多数あるのに何が「中国隠し」なのか。

 9月3日、さいたまスーパーアリーナで「東京ガールズコレクション」(TGC)が開催された。若い女性たちが集まった巨大イベントだが、とりわけ注目を集めたのが「SHEIN*1」というブランドだ。
 価格が安いこと*2で世界の若年層から圧倒的な支持を得ている、1年で1兆円規模に急成長を遂げたモンスター企業である。
 しかし若者たちの多くは気づいていないが、SHEINは中国企業だ。南京*3に本社があり、漢字では「希音」と書く。
「電車の中で若者が夢中になっているスマホゲームも、中国産が目立ちます。数億ダウンロードを誇る人気ゲームの『原神』『荒野行動』など、日本製だと思って遊んでいる人も多い」(ジャーナリストの姫田小夏氏*4
 使っていない10代はいないといわれるSNSTikTok」を運営するのも、北京に本社を置く「ByteDance」という中国企業だ。

 「SHEIN」(ファッションブランド)、「原神*5」「荒野行動*6」(ゲーム)、「TikTok」(SNS)が中国企業だから何だというのか(他にも最近だとハイアール(白物家電)、ファーウェイ(スマホ)、レノボ*7(PC)等もありますが)。そんなことをネタに「尖閣が危ない」等と言い出すのはデマでしかない。それにしても週刊現代・最新号(2022年10月24日号)の目次が

週刊現代 | 講談社
◆「尿漏れ、頻尿のプロ」が教える「尿活」のススメ
◆「ひざ」を治すための53ヵ条
◆60歳過ぎの性豪の「勃起力」を学ぶ
◆70歳からは好き勝手に生きる
◆1976年の日本シリーズ
上田利治*8監督率いる阪急ブレーブス(現・オリックス・バファローズ)と長嶋茂雄監督率いる読売ジャイアンツが戦い阪急が4勝3敗で勝利
サイレンススズカを語ろう
サイレンススズカとは『1994~1998年。1998年(今から約24年前)にバレンタインステークスから毎日王冠まで6連勝を果たしたが、最大の目標であった天皇賞(秋)においてレース中に左手根骨粉砕骨折を発症、予後不良と診断され安楽死となった』という競馬馬です(サイレンススズカ - Wikipedia参照)。
◆切ない「秋うた」ランキング:山口百恵五輪真弓岩崎宏美沢田研二、狩人、アリス*9、ガロ*10
沢田研二(1948年6月25日生まれ、74歳)、谷村新司(1948年12月11日生まれ、73歳)、堀内孝雄(1949年10月27日生まれ、72歳)、五輪真弓(1951年1月24日生まれ、71歳)、岩崎宏美(1958年11月12日生まれ、63歳)、山口百恵(1959年1月17日生まれ、63歳)と「名前が挙がってる歌手」が「軒並み60~70代(そもそも山口百恵に至っては芸能界を引退している)」ではどう考えても若者が読みたがる記事ではない。
 ちなみに【レコチョク】秋うた ベストセレクション週刊現代とは違い「星野源(1981年1月28日生まれ、41歳)」「倉木麻衣(1982年10月28日生まれ、39歳)」「西野カナ(1989年3月18日生まれ、33歳)」「米津玄師(1991年3月10日生まれ、31歳)」など比較的最近の若手(?)歌手(俺が挙げた例だと30~40代)を紹介しています。週刊現代が「若者」をターゲットにすれば「秋うた」で取り上げるのもこれらの歌手になったでしょう。

ですからねえ。明らかに「想定読者層」が「60歳以上のジジイ(しかも反中国デマ記事で分かるようにウヨのジジイ)」です。これらの記事を女性や若年男性が読みたがるわけがない(今回だけで十分だと思うので過去の号まで紹介しませんが過去も似たり寄ったりの『高齢者が対象の記事』です)。もはや「60歳以上の右翼ジジイ」が主要な購読層となった週刊現代も「大手・講談社発行」とはいえ「休刊の日」は近いのではないか。
 週刊現代の「反中国」「高齢者ターゲット」についてはウィキペディアにも以下の記述があります。

週刊現代 - Wikipedia
◆出樋一親編集長時代2004年7月 - 2006年2月
 フライデー編集長だった出樋一親が就任。自民党小泉改革に批判的。対北朝鮮強硬派の安倍晋三官房長官(後に首相)の北朝鮮関係者との関係を暴くなど、硬派なスクープ記事を掲載した。出樋は、その後再びフライデー編集長に就任する。
◆加藤晴之編集長時代2006年2月 - 2008年1月
 2006年に、保守派の加藤晴之が編集長に就任し、現代の論調は左寄り(あるいは野党寄り)から右寄り(あるいは与党・自民党寄り)に大きく変化した。2006年7月から13回にわたって発売分より、「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」と題して、JR東日本労働組合の一つである東日本旅客鉄道労働組合JR東労組)が、革マル派支配下にあると報じた。JR総連JR東労組らは、事実無根として週刊現代とライターの西岡研介*11名誉毀損で提訴し、JR東日本は中吊り広告の契約を解除した。2009年10月26日の東京地裁では「労組を私物化しているとの記述に真実と信じる理由がない」として、JR東労組松崎明・元委員長の訴えを認め、名誉毀損の損害賠償として500万円の支払いを命じた。2012年3月27日、最高裁は上告を棄却し、名誉棄損の成立を認めて講談社などに770万円の賠償を命じた週刊現代側敗訴の判決が確定した。
(中略)
藤田康雄編集長時代2012年6月 - 2013年11月
 日本維新の会結成と前後して維新代表の橋下徹や維新を賞賛する記事が多くなる。同年末の衆議院議員総選挙自民党が圧勝してからは第2次安倍内閣アベノミクスへの賞賛記事も多くなった。
鈴木崇之編集長時代2017年9月 - 2020年6月
 2013年12月、副編集長の鈴木崇之が昇格。一時は藤田編集長時代から一変して安倍批判のカラーが強くなり、2014年東京都知事選挙を巡る記事でも反自公の細川護熙元首相陣営寄りのスタンスが見られたが、2015年に入ってからは、与党議員の醜聞記事は全く見られず、安倍政権(アベノミクス)賞賛記事や、隣国(主に中国・韓国)批判記事、野党(当時の生活の党、民主党など)批判記事が目立つ。2018年からは、ゴシップ路線に事実上ピリオドを打ち、老後生活・終活関連の特集記事を主に連載。
石井克尚編集長時代2020年7月以降
 2020年7月、編集次長の石井克尚が昇格。鈴木編集長時代から続いていた、老後・終活関連記事を引き続き連載。現政権(第4次安倍内閣 (第2次改造)→菅義偉内閣→岸田内閣)賞賛記事と野党・隣国(主に中国・韓国)批判記事は堅持している。また、「新型コロナウイルス」の話題に関しては、政府の対応を無批判で賞賛する一方で、政府の対応を批判するメディア(主にテレビ朝日羽鳥慎一モーニングショー」と番組に出演するコメンテーターなど)に対しては非難するスタンスをとっている。


習近平「見えない日本侵攻」のヤバすぎる実態…!半導体技術者を引き抜き、ハウステンボス買収、豊洲タワマンも中国人だらけ(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)
 上記・週刊現代の「反中国・差別記事」の二番煎じです。
 ハウステンボス中国企業が買収したら何だというのか。豊洲のタワマン(タワーマンション)の客の多くが中国人なら(以下略)、で終わる話です。
 単にそれは「バブル期の日本企業」のように今、中国企業が景気がいいだけの話に過ぎない。

〈6月5日をもって退職することとなりました〉
 同僚から届いたメールを見て、国内大手メーカーに勤める40代の半導体技術者Aさんは「また中国企業か」とため息を漏らした。技術者が次々にヘッドハンティングされて、櫛の歯が欠けるように減っている。
「年収700万円弱だった先輩は、2倍を超える収入を提示されて清華大学系列の半導体メーカー『紫光集団*12』に転職しました。中国企業は年収、福利厚生などの要望を何でも聞いてくれる。日本の企業ではありえない好待遇で、実は私も迷っています」

 単に「中国企業の待遇がいい」だけの話です。
 「はま寿司からかっぱ寿司ヘッドハンティングされた時に不正にはま寿司の機密情報を持ち出し、先日、逮捕されたかっぱ寿司・田辺公己社長(役職は逮捕当時、現在は辞任)」のような「違法行為」をしない限りヘッドハンティングには何の問題もない。

 東芝の家電部門である「東芝ライフスタイル*13」は2016年に、537億円で中国の大手家電メーカー「美的集団」の傘下となった。高級ゴルフクラブメーカー「本間ゴルフ」も、2010年に中国系ファンドの「マーライオン・ホールディングス」に買われた。

 何らかの違法性がない限り、企業買収には何の問題もない。むしろ「中国企業からもどこからも買収されず倒産」になった方がその企業の社員にとっても、日本社会にとっても迷惑です。そもそも「中国企業=中国政府」ではない。
 例えば本間ゴルフは

本間ゴルフ - Wikipedia
 ゴルフクラブの趨勢はチタンなどのメタル(金属製)ウッドが全盛の時代に突入。飛距離の点で有利なメタルウッドに人気が集まる中、パーシモン(柿木材が素材)主流の本間はこの分野で完全に出遅れた上、バブル経済崩壊によってゴルフ市場も低迷し始めた。
 2001年2月には、ゴルフクラブの密輸に関与していたとして大阪支店長が逮捕されたほか、インターネット販売で不当な二重価格表示をしていたとして公正取引委員会から排除命令を受けた。これら事態によって兄の社長が相談役に退き、弟の副社長が社長に昇格した。
 2001年10月には、ゴルフクラブを販売した際に消費税を徴収せず脱税したとして東京地検が法人としての本間ゴルフと相談役に退いた兄を在宅起訴した。2004年8月、弟が社長から代表権のない会長に退き、社長には「兄の長男」の副社長が昇格した。
 2005年6月20日、国内生産に固執するあまり価格競争力が低下していたことや、ゴルフ場の運営撤退によるゴルフ会員権の預託金返還債務を引き続き負わねばならないことから資金繰りが悪化。東京地裁民事再生法の適用を申請、経営破綻した。
 2006年3月14日、本間ゴルフは創業者一族の保有分を含む株式の100%の減資とスポンサー企業として選定した日興コーディアル証券系列の投資会社である日興アントファクトリー(現:アント・キャピタル・パートナーズ)と独立系のマイルストーンターンアラウンドマネジメントを引受先とする10億円の増資を実施したと発表。この方針によって「兄の長男」の社長は退任。創業者一族と本間ゴルフの関係は解消された。
 なお、2006年11月には、新たにゴルフクラブ製造会社を立ち上げた「兄の長男」の元社長が、新会社に製造や開発部門の従業員を引き抜くことなどの企図のもと、同年2月、本間ゴルフ酒田工場に放火したとして山形県警に非現住建造物等放火の容疑で逮捕されている。
 2010年2月、マーライオンホールディングスの傘下に入ることを発表。

なんて状態です。どこも買収してくれなかったら会社は倒産していたでしょう。

 今年8月、長崎の人気テーマパーク「ハウステンボス」が香港を拠点とする投資会社PAGに総額1000億円で買収されることが決まった。
 「ハウステンボス佐世保の米軍基地と海上自衛隊の基地の至近距離にあり、施設の内部から基地を偵察できる。米兵が遊びにくることも多く、防衛にかかわる機密漏洩の危険も指摘されています」(国際ジャーナリスト・山田敏弘氏*14

 以前もこの種のガセネタをウヨが抜かしていましたが、ハウステンボスのある場所から偵察して、米軍基地や海上自衛隊基地の軍事情報が入手できる(常識で考えてできるわけがないですが)ようならそもそもそんな場所に観光施設を作ること自体がおかしい。「中国企業」云々ではない。「理屈」が完全に無茶苦茶です。そもそも「遊びに来るからスパイ活動」云々というなら「米軍や自衛隊」を対象にした飲み屋だって「スパイの巣窟」扱いできるでしょう。
 いずれにせよ、以上のことは全て「習近平氏」とは何一つ関係なく(こじつけですら関係づけることができない)

習近平「見えない日本侵攻」のヤバすぎる実態

なんて話ではない。週刊文春が近年、政治ネタ(例:甘利経済財政担当相(当時)のUR疑惑)や芸能ネタ(例:一部吉本芸人の反社との交遊)でスクープを飛ばすのに比べるとあまりにも無様なガセ記事です。能力以前にスクープを取る気概もないのでしょう。
 大手・講談社の雑誌があまりにも情けない惨状です。「講談社社員でまともな人間」なら「講談社社員であること」や「週刊現代の惨状」が恥ずかしいでしょう。


【正論】中露の「地政学的変動」に備えを 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英 - 産経ニュース

 ロシアの崩壊に乗じて、中国が「偉大な中華民族の復興」を目指し、寸断されたロシア人コロニーを自国領に組み込まない保証はどこにもない*15。現にシベリアに150万人以上の中国人が入植しており、ロシア人と人口の面で逆転するのは時間の問題である。仮に沿海州まで中国領となれば、北海道も守れなくなる。

 楊もよくもまあここまで酷いデマが放言できるもんです(掲載する産経も気が狂っていますが)。楊をまともな人間とは全く思っていませんが、さすがにここまで酷いデマを放言するとは思ってもみませんでした。
 仮に「ウクライナ戦争の敗北」でプーチン政権が崩壊*16したところで、それはロシア崩壊ではないし、ましてや中国がシベリアを強奪するわけもないし、ましてやシベリア強奪後に余勢を駆って「北海道に侵攻するわけもない」。もはやこの男は静岡大学にとって「大学の汚点」でしかない。
 いかに反中国とは言え、

◆『日本陸軍とモンゴル』(2015年、中公新書)
◆『墓標なき草原:内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(2018年、岩波現代文庫)
◆『モンゴル人の中国革命』(2018年、ちくま新書)
◆『モンゴル騎兵の現代史』(2020年、中公文庫)
◆『内モンゴル紛争』(2021年、ちくま新書)
◆『紅衛兵とモンゴル人大虐殺:草原の文化大革命』(2021年、筑摩選書)

等の著書(岩波や中公、ちくまの本はさすがにデマ本ではないでしょう*17)を出し、それなりに評価されてるらしい男が、一方でここまで酷いデマが放言できる神経はおよそ理解できません。まともな人間なら楊に呆れ果て見捨てると言うことも理解できないのか。しかしいい加減静岡大学も「何らかの措置」を取るべきではないか。


【強権確立】(上)習氏の独裁完成 序列2位、李強氏の衝撃 - 産経ニュース

 (ボーガス注:首相就任が内定しているとされ)新指導部ナンバー2として習に続いて姿を見せたのは李強だった。テレビでこの様子を見た北京の経済関係者は「サプライズ人事とはこういうことか」と驚いた。
 中国の首相は、初代の周恩来を除いて全員*18が副首相を経験してきた。来年3月に首相への就任が有力視される李は副首相どころか中央の勤務経験もない。

 人事としての是非はともかくその程度では「習氏独裁完成」とはいえないのではないか。


【主張】習体制が3期目に 独裁暴発の懸念が増した 台湾併吞の野心に備えを急げ - 産経ニュース
 「台湾統一」と中立的に書けばいいところ、軍事併合イメージの強い「併呑」と言う言葉を使うこと自体「反中国の極右偏向が酷い」と言うべきでしょう。
 例えば産経とて「北方領土竹島」について「日本への併呑を目指す*19」とは書かないでしょう。そして「日本への併呑」と書いたら「日本が軍事侵攻するというのか!」とマジギレでしょう。

 3期目の任期が終わる2027年までに最も懸念されるのは、習氏が台湾併吞を狙って戦乱を引き起こすことである。

 いろいろな意味で「はあ?」ですね。
 第一に「台湾が独立宣言しない限り侵攻しない」と公約する中国が「独立宣言がない」のに「ウクライナに侵攻したロシアの苦境」を見て侵攻したがるわけがない。「ウクライナ軍が米国の軍事支援を受ける」ように台湾も米国の軍事支援を受けており*20、侵攻した場合、ロシア同様の苦戦が危惧されますし、ロシア同様に「国連総会非難決議」「G7諸国の経済制裁」が危惧される。
 第二にこうした産経の物言いは「習氏一強」という産経の主張と矛盾します。
 3期目の任期が終わる頃に習氏が「異例の四期目を目指す*21」にせよ「後継者に地位を譲る(その場合、やはり最側近か?)」にせよ「一強」である以上、「台湾侵攻」などという「危険な博打」をする必要に乏しい。「習氏の地位が不安定」なので「侵攻という博打」に出るかもしれないというならともかく。

 党の憲法とされる党規約に「『台湾独立』に断固として反対し食い止める」と明記するとした決定には特段の警戒が必要である。

 台湾独立を画策していると疑われる「蔡英文の反中国姿勢」に対する牽制に過ぎないでしょう。
 それにしても「国旗国歌法」については「今まで慣習上、日の丸、君が代は国旗国歌としていた物を明文化しただけで問題ない」と強弁していた産経(実際には国旗国歌法を口実に卒業式での押しつけ強化)が「今まで党方針で独立阻止としていた物」を「規約に格上げした」程度でよくもここまで騒げたもんです。

 米海軍制服組トップのマイケル・ギルデイ作戦部長(大将)も、中国の台湾侵攻が今年か来年にも起きる可能性を排除できないとみている。

 来年というのも正気ではありませんが今年というのはもっと正気ではない。今年はもう「2ヶ月半しかない」んですが、その2ヶ月半で軍事侵攻するというのか。そもそも「新指導部(常務委員が改選)」発足直後は中国に限らず、通常は「危険な博打」は避けるでしょう。


地位は事実上毛沢東に匹敵か 神田外語大教授・興梠一郎氏 - 産経ニュース
 いまさら中国と対外援助ではりあって勝負になるわけないだろう(日本政府はまだしも、日本のマスコミがそんな見解をたれ流してどうする) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)や拙記事今日の中国ニュース(2022年10月18日分)(追記あり) - bogus-simotukareのブログが批判する国分良成*22など、一部の中国研究者については近年「非常識な反中国論」でその化けの皮が剥がれてる気がしますが、今回の興梠氏*23もそうでしょう。
 習氏の何が「毛沢東に匹敵」してるのか。「革命第一世代のレジェンド」「改革開放の父」「天安門事件を契機に、『学生らに甘い態度で事態を悪化させた』として趙紫陽総書記を打倒した」鄧小平ですら、その地位は「毛沢東に匹敵している」とはとても言えなかったでしょう。
 習氏ならなおさらです。
 彼は劉少奇国家主席毛沢東によって打倒される)や周恩来首相を超える権威を保有した「毛沢東」と違い、「江沢民国家主席」「胡錦濤国家主席」等の長老を公然と無視できる立場ではない。
 「常務委員に習氏に近いとされる人間が多数入った」レベルで「毛沢東に匹敵」とは馬鹿馬鹿しい。
 そして何故「鄧小平に匹敵」ではなく「毛沢東に匹敵」なのか。
 結局「文革での毛へのマイナスイメージ」を利用して習氏をネガキャンしてるだけでしょう。


習近平氏ら第20期中央政治局常務委員が報道陣と会見--人民網日本語版--人民日報

 中国共産党第20期中央委員会第1回全体会議で選出された習近平中共中央総書記と中共中央政治局常務委員に選出された李強*24趙楽際*25、王滬寧、蔡奇*26、丁薛祥、李希*27の各氏

 ということで一部で噂された「党主席ポスト新設、習氏の就任」はありませんでした。当初からそんな計画はなく「反習派のデマ」だったのか(そもそも後述するように、総書記のままでもそれなりの権限があるので主席ポスト新設で無理をする必要は別にないでしょう)、習氏が計画したが完全に断念したのか、今回は断念した物の、今後も「主席ポスト新設」を画策しているのかはともかく。
 産経など反中国の右翼メディアがあれほど「主席ポスト」云々と騒いでいたのにそれには黙りで「習氏側近が引き上げられて、習体制強まる(後述します)」とばかり言うことには心底呆れます。
 それはともかく、赤字の人物が新任、他が留任です。「李克強*28首相」「栗戦書*29全人代委員長」「汪洋*30中国人民政治協商会議全国委員会主席」「韓正*31副首相」が今回「中央政治局常務委員(以下、常務委員)」を退任しました。
 李首相らが常務委員だけでなく首相などの「国の役職」も退任し、その後釜に今回「常務委員に新任された人物」が就任するのか気になるところです(マスコミ報道に寄れば李強氏が首相に、丁薛祥氏が副首相に就任予定)。
 また

【1】常務委員を退任した人物(中国共産主義青年団第一書記出身の李克強首相等)が軒並み「習氏から距離がある」とされる
【2】新任が軒並み「習氏が党総書記に就任する以前の時代(福建省長、福州市、浙江省上海市の党委員会書記等)に部下として仕えたことがあるなど、習氏と深いつながりがあるとされる、いわゆる習派」であること
【3】常務委員入りするのではないかとされていた「胡春華*32副首相(中国共産主義青年団第一書記出身で、同じく中国共産主義青年団第一書記出身の胡錦濤国家主席の支援を受けているとされる)が常務委員入りしなかったこと

から「習氏の力が強まる」という評価が出ていることが実際の所どうなるのかも注目したい。

*1:2008年創業。「中国のZARA」とも呼ばれる。店舗を一切構えず、オンラインのみに特化した販売が特徴(Shein - Wikipedia参照)。

*2:ZARA(スペイン)、H&Mスウェーデン)、GAP(米国)、ユニクロしまむら(日本)などのいわゆるファストファッションですね(ファストファッション - Wikipedia参照)

*3:江蘇省省都

*4:著書『ポストコロナと中国の世界観』(2021年、集広舎)など

*5:中国のゲーム会社miHoYoが開発したオンラインゲーム(原神 - Wikipedia参照)

*6:中国企業のNetEase Gamesが開発したバトルロイヤルゲーム(荒野行動 - Wikipedia参照)

*7:なお、現在、NECパーソナルコンピュータ富士通クライアントコンピューティングはレノボの子会社です。

*8:阪急ブレーブス監督(1974~1988年)、オリックス・ブレーブス監督(1989~1990年)、日本ハム・ファイターズ監督(1995~1999年)を歴任

*9:1970年に谷村新司堀内孝雄矢沢透が結成。1981年に活動停止。2009年に活動再開(アリス (フォークグループ) - Wikipedia参照)

*10:1970年に堀内護日高富明大野真澄が結成。1976年に解散(ガロ (フォークグループ) - Wikipedia参照)

*11:著書『スキャンダルを追え!『噂の真相』トップ屋稼業』(2001年、講談社→2009年、河出文庫)、『マングローブ:テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』』(2007年、講談社)、『襲撃:中田カウスの1000日戦争』(2009年、朝日新聞出版)、『トラジャ:JR「革マル」30年の呪縛、労組の終焉』(2019年、東洋経済新報社

*12:2009年以降、紫光集団に出資した健坤投資集団の趙偉国が紫光集団の社長となり、趙の持つ豊富な人脈を生かして国家開発銀行など中国の政府系金融機関から巨額の資金を調達し、買収や設備投資を積極的に展開していたが、急激な経営拡大がたたり、2020年11月以降に複数回のデフォルトを起こし、2021年7月に企業破産法を申請。北京市第1中級人民法院(日本の地方裁判所に相当)の管理下に入り、裁判所と債権者集団の監督の下で再建を進めている。半導体事業への参入を目指す台湾・鴻海グループ(シャープの親会社)が出資の意向を示している。(紫光集団 - Wikipedia参照)

*13:東芝本社自体が現在、経営危機にあることは言うまでもないでしょう。

*14:著書『サイバー戦争の今』(2019年、ベスト新書)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本』(2020年、講談社+α新書)、『プーチン習近平』(2022年、文春新書)など

*15:あえて言えば、むしろ「(今後の展開によっては)ウクライナがクリミア周辺までぶんどる可能性」の方がまだ高いのではないか。

*16:勿論崩壊するか分かりませんが

*17:とはいえ、こうなると岩波や中公、ちくまも楊の本を出し続けていて果たして「倫理的によい」のか、疑問です。

*18:国務院総理 - Wikipediaによれば華国鋒趙紫陽李鵬、朱鎔基、温家宝李克強

*19:併呑とは「言葉のイメージ(軍事侵攻イメージ)」はともかく意味としては、「呑み込んで合併する」と言う意味しかない(軍事併合を意味しない)ので、「日本への併呑」と言っても一応間違いではないのですが。

*20:しかもロシアの侵攻を契機に軍事支援の額を増やしているとみられる。

*21:その可能性は低いとは思いますが現時点では何とも言えません。

*22:慶應義塾大学名誉教授。前防衛大学校長。著書『中国政治と民主化』(1992年、サイマル出版会)、『アジア時代の検証:中国の視点から』(1996年、朝日選書)、『中華人民共和国』(1999年、ちくま新書)、『現代中国の政治と官僚制』(2004年、慶應義塾大学出版会)、『中国政治からみた日中関係』(2017年、岩波現代全書)、『防衛大学校』(2022年、中央公論新社)など

*23:著書『現代中国』(2002年、岩波新書)、『中国激流』(2005年、岩波新書)、『中国 目覚めた民衆:習近平体制と日中関係のゆくえ』(2013年、NHK出版新書)など

*24:浙江省長、江蘇省党委員会書記、上海市党委員会書記など歴任

*25:青海省長、党委員会書記、陝西省党委員会書記、党中央組織部長、党中央規律検査委員会書記を歴任

*26:台州市党委員会書記、杭州市長、浙江省第一副省長、北京市長、党委員会書記など歴任

*27:延安市党委員会書記、遼寧省長、党委員会書記等を経て党中央規律検査委員会書記

*28:共青団中央書記処第一書記、河南省長、党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相

*29:西安市党委員会書記、黒龍江省長、貴州省党委員会書記、党中央弁公庁主任等を経て全人代委員長

*30:広東省党委員会書記、重慶市党委員会書記、副首相等を経て中国人民政治協商会議全国委員会主席

*31:上海市党委員会副書記(副市長兼務)、上海市党委員会書記(市長兼務)等を経て副首相

*32:河北省長、内モンゴル自治区党委員会委書記、広東省党委員会書記等を経て、現在副首相