性的少数者の権利でも後れをとる日本 - 高世仁のジャーナルな日々
統一協会は、自民党議員に性的マイノリティの権利には「慎重」に対処するよう政策協定を結ばせていたことが発覚している。今後、自民党においては統一協会の「呪縛」を断ち切れるかが試される。
「神社本庁、モラロジー(麗澤大学の母体)など他のウヨ宗教」「これらのウヨ宗教を母体とする日本最大の右翼団体・日本会議」も同性婚合法化等「性的少数派の権利」には否定的なのでこうした高世の物言いは不適切です。
統一協会と縁切りしたところで「日本会議」や「神社本庁」等と縁切りしなければ自民党の「性的少数派差別」は変わらないでしょう。
そして「党所属議員が靖国参拝や靖国への玉串料奉納をやめる」等がない限り 「日本会議」等と縁切りしたとはとても見なせないでしょう。
まあ、宗教ウヨではない一般日本人だって性的少数派に決して好意的ではないのですが。
ついでに言えば「米国トランプ派」「プーチンロシア(例えばロシアで「LGBT宣伝禁止法」が成立へ テレビ・インターネット・映画など規制対象に | TBS NEWS DIG(2022.10.28))」「イランやサウジ(例えばサウジ当局、あらゆる虹色のおもちゃを押収 「子供の同性愛を助長」|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト(2022.6.30)、LGBTQ活動家など2人に死刑判決、「地球上の腐敗」の罪 イラン(1/2) - CNN.co.jp(2022.9.7))」等が分かりやすいですが、何も性的少数派差別は日本限定でもありません。
映画イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 - Wikipedia*1で知られるアラン・チューリング - Wikipediaの自殺(同性愛差別に耐えられず青酸化合物による服毒死、1954年、英国)がわかりやすいですが、西欧諸国でも同性愛差別は最近までされていました。
台湾を持ち出す辺りが「反中国の高世らしい」と苦笑しました。
俺は性格がひねてるので、ここではググってヒットした【1】台湾以外の比較的、最近の性的少数派の権利擁護の動き、【2】中国の同性愛を巡る最近の動きを紹介しておきます。
「周恩来元首相は同性愛者」暴露本が波紋 中国レジェンドに衝撃(1/2ページ) - イザ!2016.1.23
問題の書籍は、香港の政治評論家でジャーナリストの蔡詠梅氏が著した『周恩来的秘密情感世界』。香港の出版社から発売された376ページに及ぶ周氏の評伝で、なかでも話題を呼んでいるのが周氏のプライベートに関する記述だ。
蔡氏は、周氏が日本留学時代の1918年に記したとされる日記を研究。その結果に基づき、同書の中で、周氏が天津の南開中学に在学していた当時、2歳年下の友人と「恋愛関係にあった」と指摘した。
これが事実だとしても鄧穎超 - Wikipedia*2を妻にしてるのでこの婚姻を「ゲイであることを隠蔽するための偽装」と見なさない限り、周はゲイではなくバイセクシュアルですが。
中国のLGBT運動はどのように広がっていったのか? 北京LGBTセンター事務局長・辛穎さんは語る | ハフポスト PROJECT2019.6.21
中国語ではLGBTを「同志」と言います。香港の劇作家、エッセイストである林奕華(エドワード・ラム)が、1989年に行われた第一回香港レズビアン&ゲイ映画祭で、同性愛のことを「同志」と名付けたのがはじまりです。
そもそもは、ソ連から入ってきた言葉*3で、社会主義の革命の中で一緒に戦う仲間の絆を表しています。林奕華がこの言葉を「LGBT」の中国語訳に当てはめた理由は、比較的大衆が受け入れやすく、中国国内で当時同性愛という言葉が持っていた病理化されたイメージがないことです。
さらに、「革命未だ成らず、同志なお努力すべし*4」(革命尚未成功、同志仍須努力)という言葉がありますが、多くの人にLGBT運動へ参加してほしいというメッセージ性もあります。
同性愛のことを中国語では「同性恋」といいます。これは1919年の「五四運動」の時期に、日本社会から中国に逆輸入された「同性愛」という言葉が転じたものです。清代の小説集『聊齋志異』には女性同性愛のストーリーがあります。ですから、中国では歴史的に「同性愛を語ること」がずっと禁じられていたというイメージをもっている人も多いですが、それは間違いです。
その一方で、(ボーガス注:中国だけでなくアラン・チューリングの自殺など)世界的にあったことですが、中国でも同性愛が「犯罪」そして「病気」とみなされてきた歴史があります。
1984年に流氓(りゅうぼう)罪が制定され、男性同士の性行為も犯罪とされました。1997年になるまで同性愛は犯罪者扱いをされ続けていました。
また中国の精神疾患の診断基準である「CCMD」の1989年に発表された第二版では、同性愛は治療を必要とする病気であるという内容が組み込まれています。これは2001年のCCMD第三版で同性愛の一部が脱病理化されるまで続いていました(現在でもトランスジェンダーは病理化されている)。
1997年に流氓罪が撤廃されます。そして2000年には中国公安部が「性別を選ぶのが公民の個人の権利だ」と宣言します。これはつまり性別適合手術を受けたら、身分証明書上でその性別を変えることができるようになったということです。2001年に一部の同性愛が脱病理化され、メディアでもLGBTに関するイシューが取り上げられるようになることで、LGBTの可視化がより進みます。2003年にはHIVに関する一つの報告のなかで、政府が中国にも男性同性愛者がいることを公式に認めるに至ります。
「俺的に」面白いので紹介しておきます。赤字部分が重要ですね。中国でも性的少数派の人権擁護が次第に進んでるわけです。
ソ連から入ってきた言葉について言えば、正確にはソ連の言葉を日本人共産主義者が「同志」と訳し、それが中国に入ったのだと思いますが。
これについては
同志 - Wikipedia
同性愛者間における呼びかけの言葉として同志が用いられ始め、1990年代以降は中国国内において、古参の共産党員以外ではあまり用いられなくなっている。党内部では2010年代においても「同志」の語が用いられ続けているが、一般社会では誤解を避けるため、革命同志に対しては“先生”か“女士”を使っておいた方が無難である。
なんて記述もあります。
なお、
習近平総書記がベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長に友誼勲章を授与--人民網日本語版--人民日報2022.11.1
習近平中共中央総書記(国家主席)は10月31日、北京の人民大会堂でベトナム共産党のグエン・フー・チョン*5書記長のために盛大な授与式を行い、中華人民共和国「友誼勲章」を授与した。
習総書記は演説で「友誼勲章は中国共産党及び中国人民のグエン・フー・チョン書記長及びベトナム人民への友情を代表するものであり、中国とベトナムの『同志であり兄弟』という深い情誼を象徴しており、共に素晴らしい未来を追求するという両党及び両国民の切なる希望を包含している。(後略)」とした。
と中国共産党で「同志」が用語として健在なのは勿論、日本共産党においても「昔に比べれば使用頻度は減ったかもしれません」が「同志」でググれば
第4回中央委員会総会/志位委員長の幹部会報告2021.11.29
中央役員のみなさん、全国の同志のみなさん、おはようございます。
等がヒットしますし
同志 - Wikipedia
日本共産党は、委員長が党大会や党中央委員会総会の幹部会報告などの場で党員を「同志」と現在でも呼んでいる。また、新しく日本共産党に入党した人間は、「(姓名)同志 あなたの入党を心から歓迎します」と書かれた「入党承認証」を受け取る。
だそうなので、未だに使用されてることが分かります。
ちなみに「意味合いは違う」とはいえ、岸田首相、松野官房長官も同志国と連携し中国に対しても責任ある行動求める=ウクライナ情勢で官房長官 - ロイターニュース - 国際:朝日新聞デジタル(2022.3.15)、日豪「準同盟」鮮明に新安保宣言…対中抑止へ軍事面で連携、岸田首相「同志国における中心の柱」 : 読売新聞オンライン(2022.10.23)ということで「同志国(日米安保の米国を含むことは明らかだが他が何を意味するかは曖昧で不明、岸田発言に寄れば自衛隊と合同軍事演習をした豪州も含むようだが)」と言う表現で「同志」と言う言葉を使っていますね。いずれにせよ岸田らにおける「同志国」表現は「明らかに中国を敵視し、その結果としての同志国(米国や豪州)との軍事連携強化を意味しており」日中友好や平和主義の観点から非常に不適切です。
「同性婚を認めて」中国の民法改正めぐり要望続出。SNSで異例の盛り上がり、歴史を変えるか? | ハフポスト WORLD2019.12.23
中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が、民法の婚姻に関する規定について国民から意見を募集したところ、同性婚を認めるよう求める声が多く寄せられていたことが分かった。これは、全人代の法制工作委員会が12月20日に開かれた記者会見で発表した。
中国では、ネット空間を中心にLGBTQの人たちが声を上げるケースが増えている。2018年には、まさに今回盛り上がりを見せたウェイボーが「同性愛コンテンツを削除する」と決定。「#我也是同性恋(私も同性愛者だ)」とハッシュタグをつけた抗議の投稿が相次ぎ、ウェイボーは撤回を余儀なくされた。
この騒ぎの最中に、共産党機関紙「人民日報」が掲載したのが「同性愛は精神病ではない」という文章だ。
この文章では、世界保健機関(WHO)に遅れること11年、2001年に中国国内でも同性愛が「精神障害」の項目から削除されたことに触れている。その上で「同性愛を差別せず、権益を保障することは現代社会の基本原則だ」とまで言及している。
残念ながら続報が見当たらない(と言うことは合法化されてない?)のですが、今や中国でも「これ」です。
大事なのは「反政府派の暴露報道」ではなく「全人代法政工作委員会」という「中国政府機関」が「こんな嘆かわしい意見があった」という批判の形ではなく「客観的な事実の指摘」として公表したと言うことです。
「楽観主義者である俺の願望込み」ですが、まだ同性婚が認められないとしても、「国民世論や国際社会の声」「同性婚容認の台湾への対決意識」等から、いずれは中国もその方向に行くのではないか(既に共産国キューバは今年2022年に同性婚を合法化しました)。中国を「共産党一党独裁」や「香港デモへの抑圧」等を理由に「反民主主義、反人権」と見なす事は「一面の真実ではあるが一面的すぎる」と言うべきでしょう。
まあ、こういうことを書くからid:Mukkeやid:noharra、id:kojitakenに「中国シンパ」認定されるのでしょうが。
タイで同性婚が事実上合法化、台湾に次いでアジアで2番目 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)2020.7.10
タイ政府は7月8日、同性カップルの結婚を事実上認める、「市民パートナーシップ法案」を承認したと発表した。この法案が成立すれば、タイは台湾に次いでアジアで2番目に同性カップルの権利を認める国家となる。
この法案は、同性婚を認めるものではないものの、同性カップルが養子を迎える権利や、配偶者の財産を相続する権利を認める内容となっている。
チリ 同性婚を合法化/圧倒的多数の賛成で可決/中南米で7カ国目2021.12.9
チリの議会は7日、同性婚を合法化する法案を圧倒的多数の賛成で可決しました。
ローマ教皇「子どもの性的指向 親は責めてはならない」 | LGBTQ | NHKニュース2022.1.27
ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は信者との一般謁見で「子どもたちに異なる性的指向などがあっても親は責めてはならない」と呼びかけ、海外メディアは教皇がLGBTQなどの性的マイノリティーに寄り添う姿勢を示したと伝えています。
スイスで初の同性婚 喜びの挙式(AFPBB News) - Yahoo!ニュース2022.7.4
スイスで1日、同性婚が合法化され、同性カップルが初めて結婚式を挙げた。同性婚は昨年の国民投票で承認され、LGBTQなど性的少数者の権利をめぐる状況を変えていた。
同性婚は2001年、オランダが世界で初めて合法化。スイスは西欧諸国で同性婚を認めていない数少ない国の一つだった。
シンガポール、同性愛行為を禁じる刑法条項を撤廃へ - BBCニュース2022.8.22
シンガポールのリー・シェンロン*6首相は21日、同性愛行為を犯罪とする刑法の条項を近く廃止すると表明した。これにより、実質的に同性愛が合法化される。
但し刑事処罰されなくなるだけでシンガポールにおいて同性婚が合法化されるわけではありません(その意味では日本と同じような状況)。
キューバ、同性婚を合法化 国民投票で過半数が賛成: 日本経済新聞2022.9.27
キューバで25日、同性婚の合法化を含む「家族法」改正案の賛否を問う国民投票が実施された。キューバ大統領府は26日、暫定結果で過半数が賛成に投じたと発表した。キューバでは革命後に同性愛者が差別を受けた時期があるが、近年は同性婚の容認を求める声が高まっていた。
キューバの選管当局によると、有効投票数の66.87%が賛成票だった。
キューバが同性婚を合法化 改正家族法に大統領署名 - 産経ニュース2022.9.27
キューバのディアスカネル*7大統領は26日、国民投票で可決された改正「家族法」に署名、同性婚が正式に合法化された。国営メディアなどが報じた。男性同士のカップルのための代理母出産なども認められる。
「キューバを過大評価をする気は全くない」ですが、いかに共産党一党独裁だろうが国民意識を無視することはできないと言うことでしょう。「独裁なら、強権発動で何でもできる」ような変な理解をしてる人間がたまにいますがそんなことはない。
国民の反発が高まれば最悪(?)、「韓国の李承晩政権」「フィリピンのマルコス政権」「ルーマニアのチャウシェスク政権」「リビアのカダフィ政権」などが民衆蜂起などで崩壊したように「政権は崩壊」するわけで国民を完全に無視することなどたとえ独裁でも無理です。アメ無しで、鞭だけでの統治なんかできるわけがない。
裏返せば、日本で同性婚が合法化されないのは「国民多数が同性愛者に差別的だから」でしょう。「統一協会」「神社本庁」等といった「性的少数派を差別」するウヨ宗教団体の政治力は無視できませんが、彼らのせいだけにできる話でもない。
スロベニア、同性婚を合法化 東欧初 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News2022.10.5
スロベニア議会は4日、同性婚と同性カップルによる養子縁組を合法化する改正法案を可決した。同性カップルに男女のカップルと同等の法的権利を認めた国は東欧では初めて。
同国の憲法裁判所は7月、同性カップルの結婚と養子縁組を禁じる法律は差別に当たるとして、議会に対して6か月以内の法改正を命じていた。
メキシコ 全州同性婚合法化/最後の2州で法案可決/LGBTなど性的少数者「歴史的な日に」2022.10.29
メキシコで最後まで同性婚を認めていなかった二つの州が25、26日、相次いで同性婚を認める州民法改正案を可決し、これによりメキシコの32州すべてで同性婚が合法化されました。
同性婚を合法化したのは南部ゲレロ州と北部タマウリパス州。
メキシコでは、同性婚を認める連邦法はありません。このため、LGBT団体や人権組織が十数年前から州ごとに合法化を勝ち取る運動を開始。
2015年、最高裁が同性婚禁止は違憲との判断を示したことで、合法化の波が加速しました。昨年末までに24州に合法化が広がり、今年に入って8州が同性婚を承認。その結果、同性婚が合法でないのはゲレロ、タマウリパス両州だけになっていました。