今日の産経ニュース(2022年11/29分)(副題:自民党長野県議の妻殺害疑惑)

【産経抄】12月2日 - 産経ニュース

 ニューヨークに住む男が妻を殺害し、愛人の協力を得てアリバイを作り上げる。ところが、思わぬ事態が発生して…。1960年に雑誌に発表された短編小説が、日本でもファンが多いテレビドラマシリーズ「刑事コロンボ」の原型となる。
▼刑事が主人公となるよう脚本が書き換えられて、8年後に放映されたのが第1作の「殺人処方箋」だった。社会的地位の高い犯人が完全犯罪をもくろむものの、風采が上がらずさほど優秀そうでない刑事にアリバイを見事に崩される。
コロンボ刑事の名セリフがシリーズの特徴をよく言い表している。
「犯人は頭がよくても殺しには素人ですからね。ところがあたしらにとって殺しって奴(やつ)は仕事でしてね」
▼長野県塩尻市で、県議の丸山大輔容疑者(48)が、妻を殺害した容疑で逮捕された。丸山容疑者は当時、現場から約60キロ離れた長野市内の議員会館に泊まっていた、と主張していた。
▼しかし長野県警は、ついにアリバイのほころびを見つける。防犯カメラの映像の解析などから、車で会館と事件現場を往復していたのを突き止めた。移動が発覚しないよう、高速道路や幹線道路を避け、山道を選んだ丸山容疑者のアリバイ工作は失敗だった。

 「深夜に移動し、その事実を隠す」「幹線道路や高速道路を使えば早いのに何故か山道(目撃者を避けるため?)」が事実ならやはり「怪しい」と疑わざるを得ません。まあ、ミステリ小説だと「企業からの収賄のために密会」「秘密の愛人との密会」など「隠したい事実がある」のでこう動いたが実は「殺人は無実(単なる偶然か、県議の密会予定の事実を知り故意にその日に殺害したのかはともかく)」なんて設定は普通にありますが、現実にはそんなこともないでしょう。


自民長野県連が丸山大輔容疑者を除名方針 - 産経ニュース
 推定無罪に配慮して「逮捕では除名せず、起訴か(確定判決ではなく一審判決だとしても)有罪判決で除名か」あるいは「武士の情け」で「すぐに除名ではなくまずは離党勧告し、離党(勿論、証拠不十分による検察の不起訴処分*1か裁判所の無罪判決が出ない限り復党はあり得ないと通告)するように説得(説得に応じない場合に除名)」かと思っていましたが、「逮捕時点でも除名の方向」のようです。
 【1】「田中*2元首相のロッキード事件」等と違い「個人的犯行」である点、【2】田中ほどの大物政治家ではない点は除名しやすい点ではあるでしょう。


県議逮捕を受けて自民党長野県連が会長談話を発表 - 産経ニュース

 多くの皆様にご心配をおかけしていることに対し、自民党長野県連を代表し、お詫び申し上げます。

 清原亜希は、いかなる点でも謝罪する必要がないし、謝罪などしてはいけない - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)と同じで真犯人だとしても個人的な犯行ですが、「政治家」という性格を考えれば、謝罪は仕方がないのでしょうね。

 丸山議員は来春の長野県議会議員選挙への出馬を表明しており、選挙にも影響せざるを得ない状況ですが、詳細が判らないため、まずは捜査を見守ってまいります。

 「推定無罪(今のところ犯行は認めてない模様)」なので現時点ではこう言うでしょうが、とはいえ、さすがに「選挙前に無罪判決が確定」という「明らかな冤罪」でもない限り、「来春の長野県議会議員選挙への出馬」で自民も公認するわけにも行かないでしょう。場合によっては「党除名」「離党勧告」もあり得るでしょう。
 さすがに長野県警も「冤罪だった場合」の自民党の「逆上の恐れ」を考えればそれなりに証拠を固めて逮捕に動いたでしょうからやはり「容疑は堅い」のではないか。
 マスコミ報道を信じれば「犯行の夜は長野市議員宿舎に当然いた、塩尻市の自宅には行っていない(犯行時間は深夜と推定)」と言っていたのに「密かに夜間、宿舎を抜け出していた(そしてそれを隠していた)」のだから失礼ながら「怪しいこと」は事実です。
 なお、国会議員だと現行犯でない限り「会期中の不逮捕特権(但し会期外なら特権はないし、会期内でも国会が逮捕許諾請求を認めれば逮捕できる、逮捕許諾請求が認められる可能性が高いことから前途を悲観して、許諾請求の裁決前日に自殺したのが有名な新井将敬)」がありますが地方議員にはありません。
 逮捕許諾請求が認められた事例としては

逮捕許諾請求 - Wikipedia
昭和電工事件の芦田均*3前首相
◆炭鉱国管疑獄の田中角栄*4(後に首相)
◆ゼネコン汚職事件の中村喜四郎*5元建設相
◆やまりん事件の鈴木宗男*6元北海道・沖縄開発庁長官

などがあります。

【参考:国会議員の現行犯逮捕】

共産党議員の「現行犯逮捕」/1952年の事件とは2005.3.12
 自民党中西一善衆院議員の逮捕に関連して、「国会議員の現行犯逮捕は三人目。最初は日本共産党議員」などと報道され、党本部にも問い合わせがきています。この「事件」とは次のようなものです。
 一九五二年五月十七日午前、弁護士でもあった日本共産党林百郎衆院議員(長野県選出、故人)は、「辰野事件」(注)と呼ばれる、日本共産党員をねらった謀略・弾圧事件の公判に、担当弁護士として出席するため、長野県伊那市にある地裁支部に駆けつけました。
 林氏は、前夜に国会活動を終え、夜行列車を乗り継いで到着しましたが、列車の都合で開始時間に間に合いませんでした。着いてみると、裁判所の正面玄関のガラス戸は鍵がかけられており、弁護士が建物に入ることを不当に妨害していました。
 林氏が、とにかく戸を開けるようにと呼びかけながら、裁判資料の入った風呂敷包みをもったままガラス戸をたたいたところ、たまたまガラスが割れたものです。逮捕は、それを見ていた警察官が、器物損壊の現行犯だとしておこなったものでした。
 これは、裁判所の妨害のもとでおこった不当な弾圧事件です。
(注)辰野事件
 戦後の米軍占領下、長野県でおきた日本共産党への大規模な謀略・弾圧事件です。辰野警察署などを爆破・襲撃する計画をつくりあげ、長野県警は多数の警官を動員し、同町の公道を歩いていた二人の党員を別々に逮捕。これを皮切りに、一九五二年四月から一年余りの間に、合わせて十三人を逮捕、起訴しました。七二年十二月の東京高裁判決で全員の逆転無罪が確定しました。

不逮捕特権 - Wikipedia
 国会議員が現行犯逮捕された例として林百郎衆院議員(日本共産党)が1952年5月17日に器物損壊罪で現行犯逮捕された例、楢崎弥之助*7衆院議員(日本社会党)が1964年11月13日に公務執行妨害罪で現行犯逮捕された例、中西一善衆院議員(自由民主党)が2005年3月10日に強制わいせつ罪で現行犯逮捕された例の3例がある。

*1:とはいえその可能性は低いでしょうが。警察も県議逮捕という重大事案については事前に検察に相談してるのではないか。

*2:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*3:幣原内閣厚生相、片山内閣副総理・外相などを経て首相

*4:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相などを経て首相

*5:宇野内閣科学技術庁長官、宮沢内閣建設相を歴任

*6:橋本内閣北海道・沖縄開発庁長官、小渕内閣官房副長官など歴任

*7:社民連書記長、副代表など歴任