今日のロシアニュース(2022年12月3日分)

ウクライナ大統領府、自軍の戦死者「1万~1万3千人」…EUの「10万人」に反論 : 読売新聞オンライン

 ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領府顧問は1日、地元テレビ*1「24カナル」とのインタビューで、ロシアのウクライナ侵略によるウクライナ軍の戦死者に関し、「1万~1万3000人」と述べた。欧州連合EU)の執行機関・欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン*2委員長はウクライナ軍の死者が10万人と述べており、反論した形だ。
 米軍制服組トップのマーク・ミリー*3統合参謀本部議長も11月上旬、露軍とウクライナ軍の死傷者数がそれぞれ10万人を超えたとの見方を示していた。

 ウクライナと戦争する「ロシアの主張(我が軍はウクライナに大きな被害を与えた!)」ならともかく「ウクライナを支援する」EUや米軍の主張が「ウクライナを故意に貶める」わけもないので「10倍も差がある」のは明らかにおかしい。EUや米軍の主張がどこまで正しいかはともかく、これはポドリャクが故意に「極端に過小評価してる」と見なすべきでしょう。
 こうした戦争被害の場合、「公正中立な発表」以外では1)被害を過大に言い立ててロシアを非難する、2)被害を過小に主張して「ロシアの挫折」をアピールし、ウクライナ国民やNATO国民の戦意を高揚し、ロシア国民の厭戦気分を狙うの2パターンが考えられるでしょうが、ポドリャクが選択したのは2)ということです。
 しかしいかに2)をしたいからといって「EUや米軍との温度差(EUや米軍はできる限り正確な数字を発表、または1の立場)」をポドリャクが露呈するのは愚策でしょう。しかも10倍も差があるというのは常軌を逸している。
 勿論、1)フォンデアライエン氏やミリー氏の主張は彼らの個人的見解ではなくEUや米国政府を代表する物であり、2)その主張は「米英仏独など関係各国の情報を元にし、数値発表について米英仏独など関係各国の了承を得たもの」と見るべきでしょう。常識で考えれば「発表前にウクライナにも事前了承を得たはず」ですが、1)ポドリャク顧問が勝手に暴走してるのか、それとも2)ゼレンスキーが事前了解を反故にしたのか。勿論、1)でも、ポドリャクが政府高官である限り、ゼレンスキーがポドリャク発言を容認し、ポドリャクが発言を撤回しない限りは、2)と疑われるでしょう。いずれにせよEU、米国も「ポドリャクはふざけるな」と不快でしょう(またフォンデアライエン氏はメルケル政権国防相などを務めたドイツの大物政治家なのでドイツも不快でしょう)。
 ロシアのぐだぐだぶりも「何だかなあ」ですが、ウクライナもぐだぐだぶりが酷くないか。


中古車のロシア輸出急増、10月3倍超 禁輸は高級車のみ: 日本経済新聞

 政府が対ロシア制裁として輸出を禁じる乗用車は600万円超のみ。大半の中古車は対象外で、車輸出への制裁が骨抜きになっている懸念がある。

 意外な報道なのでメモしておきます。勿論こうなると「米国やウクライナ等の要請」で規制対象の拡大の可能性はあります。


ロシア「10日で制圧」失敗 ウクライナにも誤認―英報告書:時事ドットコム
 勿論この報告が正しいかどうかは分かりませんが、このくらい甘く考えてないと侵攻しないようには思います。


ロシア産原油、価格上限60ドル発動へ 制裁効果に疑問符: 日本経済新聞
G7と豪 ロシア産原油の取り引き価格に上限で合意 制裁の効果は | NHK | ウクライナ情勢
 「日経やNHK」のような批判記事を読まずとも、誰しも、常識で思うのは

◆低価格だろうと購入する時点で、ロシアに幾ばくかの外貨は入る。そもそも購入しなければいい。(どこから購入するのかはともかく)他から購入すればいい
◆「ロシアから購入するな」ならチェックは比較的容易だ。「1バレル60ドル以上で購入するな」では「表では60バレル以下で購入し、別途、裏でロシアに金を流して*4トータルでは60ドルを大幅に超えるような行為」が起きかねない。そうしたチェックは「ロシアから購入の有無」の確認より難しいだろう

ですが、現実問題としてなかなかそういうわけにもいかないのでしょう。だからこそロシアが「なかなか戦争をやめない」と言う面が明らかにあるでしょう。


ロシアで「停戦交渉支持」55% 大統領府実施の世論調査 | 毎日新聞
1)という調査を大統領府が秘密裏にやった
2)しかし停戦派が過半数なので、継戦したい政府にとって都合が悪いので発表せず封印
3)と反プーチン派のメディアが発表
4)なお、プーチン政権は否定
をこういうタイトルをつけるのは不適切でしょう。このタイトルならせめて「と反政府メディアが暴露報道」とか「ロシア政府の発表ではないこと」が分かるタイトルにすべきでしょう。
 その点でロシア 世論調査の結果 軍事侵攻の継続支持 4分の1に低下か | NHK | ロシアとして最後に「か」をつけてるNHKの方が毎日より適切なタイトルです。


ロシアのリベラル派重鎮が退任 大統領選出馬の可能性も | 毎日新聞
 「リベラル派の重鎮」といったところで、アレクセイ・クドリン - Wikipediaによればプーチン政権元幹部(財務相会計検査院長を歴任)であり、プーチン批判派としてどこまで評価できるかは疑問符がつくでしょう。

*1:地元テレビという辺りもはやポドリャクやゼレンスキーは「米国やEUがどう思おうと知ったことか、国民さえだませればいい」「どうせEUや米国はロシアを利する危険を恐れてウクライナ政府を批判できないだろう」「この件でウクライナ国民の中から批判が出ても『ロシアを利するのか!』と居直ればいい」と思ってるのではないかと疑いますね。こうした態度は「ゼレンスキー政権の言うことはどこまで信用できるのか」という疑念を、ウクライナ国民やウクライナ支援国(EUNATOの加盟国など)、ロシア等に与えて、ウクライナ政府を不利にしかねませんが。

*2:ニーダーザクセン州社会・婦人・家族・保健相、CDU(キリスト教民主同盟)副党首、メルケル政権家族・高齢者・女性・青少年相、労働・社会相、国防相などを経て現職

*3:陸軍総軍総司令官、陸軍参謀総長等を経て現職

*4:勿論ストレートに流すとバレバレなので、いくつもダミーをかませて偽装工作した上でしょうが