竹内久美子の陰謀論(ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)は左翼の陰謀)(追記あり)

 今日の産経ニュース(2022年12/6、7分) - bogus-simotukareのブログの続きです。
 単なる偶然ですが、id:Bill_McCrearyさんもこの人たち(本多勝一氏と進藤栄一氏)大丈夫かと本気で思った(デマ本を真に受けて、ルーズヴェルト陰謀論を本気で信じている馬鹿な人たち) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)陰謀論批判記事を書いていますね。
 勿論普通に考えて「東工大が左翼」「(ダイバーシティインクルージョンを大会テーマとする)東京五輪が左翼」だのありえないのですが、他にも「ダイバーシティ」などでヒットして出てくる記事を見てみましょう。なお、以下では「竹内のバカさ」をあげつらうに過ぎず、「個々の記事の評価」「記事で紹介されているダイバーシティ等に取り組んでいるという自治体(豊島区や国立市)や企業(不二製油や三洋化成工業など)の評価」はしません(俺にそんな能力がないので)。
 まずはダイバーシティ

豊島区が区制100周年に向け「子どもたちが10年後も住み続けたいまちづくり」についてのパネルディスカッション開催(TOKYO HEADLINE WEB) - Yahoo!ニュース2022.11.29
 豊島区が11月25日、西武池袋本店7階催事場特設会場で豊島区制90周年記念事業「子どもたちが10年後も住み続けたいと思えるまちづくり~ダイバーシティインクルージョンの視点から~」を開催した。
 長島氏はまずは「ダイバーシティインクルージョン(D&I)とは何か?」といったところから解説。多様性を認めたうえで社会や体制づくりを進めていく「ダイバーシティ」、それぞれの違いを踏まえたうえで、そういった特徴を生かした形の社会づくり・組織づくりをする「インクルージョン」。この2つの特徴を挙げ、育休・時短勤務・リモートワークといった多様性を生かすための取り組み(インクルージョン)をせずにダイバーシティだけを推進すると生産性が低下するといった研究成果などを紹介しながら、D&Iの推進の重要性を解説した。
 そしてそういった視点から「環境配慮」「教育配慮」「文化・歴史への配慮」「女性への配慮」「特別なサポートが必要な人*1への配慮」「生きづらさを抱えるすべての人*2への配慮」といったD&Iへの具体的な取り組みを紹介し、今回のイベントのテーマに沿い、「すべての子どもたちの視点を入れるまちづくり」のための施策を提案した。

 ダイバーシティインクルージョンは、このように、一部においては「一時期の藤子不二雄我孫子と藤本)」「おでんにからし」のように「ワンセット」「名コンビ」的に理解されてるようです。
 またダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)は

日本はたったの1割…「女性の役員登用」が株価に与える影響(幻冬舎ゴールドオンライン) - Yahoo!ニュース
 ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)という言葉の頭文字を取った「DEI*3」。この3つを推進することは、生産的な労働力を生み出し、従業員、企業、投資家のそれぞれに多くの恩恵をもたらすことから、ビジネスの追い風になると考える企業が増えています。

ということで、一部においては「ワンセット」「名トリオ」的に理解されてるようですがそれはさておき。
 左翼用語(勿論、竹内の陰謀論です)「ダイバーシティインクルージョン」を使ったイベントを開くとは間違いなく豊島区長は「保坂世田谷区長(元社民党代議士)」のような左翼ですね!。
 なんてことは勿論ありません。

 もともとは自民党都議で

区長選 豊島区にしまだ紀子氏 | 日本共産党 東京都委員会2015.4.21
 豊島区長選挙には、「みんなの豊島をつくる会」の、しまだ紀子氏(73)=日本共産党推薦=が立候補しました。他に、現職の高野之夫氏(77)=自民、公明、民主、社民推薦=ら2氏が立候補しました。

という「オール与党相乗り」高野氏のどこが左翼なのか。大体、「自民党王国」日本で左翼政治家が豊島区議(1983~1989年:2期目の途中で辞職し都議選出馬)、都議(1989~1999年:3期目の途中で辞職し区長選出馬)を経て区長6期24年(1999~現在:来年2023年に任期切れ、2022年現在で高野氏も84歳と高齢なのでいい加減、今の6期で終わりではないか?、と言うかいい加減後進に道を譲るべきです)なんてこと(高野之夫 - Wikipedia参照)があるわけもないでしょう。
 まあ

高野之夫 - Wikipedia
 2019年4月1日、LGBTなど性的少数者カップルが婚姻に相当する関係にあると認める「パートナーシップ宣誓制度」を開始

なので彼はリベラル保守かもしれません(だからこそ2015年選挙で民主(当時)、社民も相乗りしやすかったのかもしれない)。そして、そのレベルでも竹内や産経的には左翼かもしれませんが。

ダイバーシティ&インクルージョン | DNP 大日本印刷
 DNPは、多様な社会で暮らす多様な人々に対する最適な価値の開発・提供に注力しています。その実現には、まず私たち自身が、「ダイバーシティインクルージョン(多様性と包摂:D&I)」を積極的に推進することが重要です。

ダイバーシティは必要条件 LIXIL社長が描く「誰もが活きる会社」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 竹内の陰謀論だと「大日本印刷DNP)」「LIXIL*4」も左翼系の会社なのでしょう。普通に考えてそんなわけがないですが。
 次にインクルージョン

国立で「くにたち人権月間」 講座・映画・ワークショップなど市内各所で
 ソーシャル・インクルージョンの理念を基本としたまちづくりを進め、すべての施策の根幹に人権の尊重を掲げている同市
 市長室平和・人権・ダイバーシティ推進係の岩代康平さんは「差別・偏見とひとことでいっても、女性、こども、障がい、在日コリアンアイヌなどさまざま。何気なく暮らしている日常のそばで差別・偏見がある事実をまずは知ってほしい」と話す。

 左翼用語(勿論、竹内の陰謀論です)「インクルージョン」を使ったイベントを開き、組織として「市長室平和・人権・ダイバーシティ推進係」を設置とは間違いなく国立市長は「保坂世田谷区長(元社民党代議士)」のような左翼ですね!。
 なんてことは勿論ありません。

永見理夫 - Wikipedia
 1974年(昭和49年)4月、国立市役所に入庁。福祉部長、市民部長、企画部長などを歴任。2010年(平成22年)3月、定年退職。同年、財団法人くにたち文化・スポーツ振興財団事務局長に就任。2011年(平成23年)5月、国立市副市長に就任。
 2016年(平成28年)11月16日、国立市長の佐藤一夫が肝不全により在職のまま死去。同日付で市長職務代理者に就任。12月25日に行われた市長選挙自由民主党公明党の推薦を受けて立候補。共産党自由党(当時)・社民党の推薦を受けた元市議の小川宏美を破り初当選した。

という自公系の市長のどこが左翼なのか。
 そして最後にダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)をワンセットにした略語「DEI」。

パナソニックや不二製油、職場の壁溶かす合言葉「DEI」: 日本経済新聞
 「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の観点を深め、企業価値創出を担う世界中の従業員に対して、公平に挑戦の機会を用意し……」。
 業務用チョコレートで世界シェア3位の不二製油グループ本社。2021年版統合報告書の冒頭のメッセージに「DE&I」というあまりなじみのない言葉が登場した。
 DEIとも略され、世界の大手企業が人材・経営戦略で注目するキーワード。女性活躍推進など多様性を生かすD&Iをさらに進め、E(エクイティ、公平性や公正性)の概念を盛り込んだものだ。グローバル人事統括担当の宝谷太郎氏は「不利な状況にある人のバリアーを取り除き、すべての人にチャンスがある組織にしたい」と話す。主要国・地域にDEI推進の責任者も置き、それぞれの事情に応じた公正性を確保するための課題の特定などを急ぐ。
 ゲイであることを公表して活動する人気ユーチューバー「かずえちゃん」が、20年8月に就職したのは大手化学メーカーの三洋化成工業だ。人事本部ダイバーシティ推進部の非常勤嘱託社員として、社内研修やワークショップなどで活動。同社も21年からDEIの推進を始めた。パナソニックホールディングスが今夏オンラインで2日間開いた「グループDEIフォーラム」には、延べ1万4千人超の社員がライブ視聴に参加。先進企業は(ボーガス注:DEIの)取り組みを加速している。
 高齢者や障がい者の活躍では先進的な取り組みも目立つ。ダイキン工業は21年に再雇用の対象を従来の65歳までから70歳までに拡大*5
 オムロンは21年度から発達障害などを抱える人材を対象にした「異能人財採用プロジェクト」を始めた。

 竹内の陰謀論だとこの記事に「DEIに取り組む企業」として名前が挙がる「不二製油*6」「三洋化成工業*7」「パナソニック*8」「ダイキン工業*9」「オムロン*10」も左翼系の会社なのでしょう。そしてDEIに好意的なこうした記事を書く日経も左翼新聞なのでしょう。
 普通に考えてそんなわけがないですが。そんなに日本中、左翼企業だったらもっと日本共産党の支持者も多いでしょう(共産支持者としてやや自虐的ですみません)。
 というか上記の記事を見て分かるように「DEI(ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)」というのは「障害や経済的貧困などハンデを持った人」「差別を受けるマイノリティ(LGBT、外国人など)」などが暮らしやすい、働きやすい「弱者に優しい共生社会」を作ろう、それは長い目で見れば企業や国の経済的利益にもなるという話でしかない。
 まあ、確かに左翼もこうしたことは主張していますが、右翼(保守)だってまともな人間は「差別して何が悪い」「何で障害者など弱者に配慮しなきゃいけない」「共生社会など必要ない」とは言わないでしょう。
 各論(具体的な解決策)はともかく総論ならDEI(平たく言えば共生社会)は誰も反対しようがない正論です。そんなものに「LGBT擁護などDEIとは左翼の陰謀」などと悪罵する竹内と産経は気が狂っています。
 それにしても、俺がぐぐって見つけた記事を「産経や竹内が気づいてない」と考えるのは不自然なので明らかに「故意のデマ」なのでしょう。心底呆れます。
【追記】
 小生的には「DEI」については以下のように理解しています。
 まず最初に「インクルージョン(包括性)」ですね。
 「社会の中で受け入れる」ということです。
 これとは逆にあるのが「ナチホロコースト」「独裁国家政治犯収容所」「戦前日本のハンセン病差別」のような「粛清」や「排除」です。
 次に「ダイバーシティ(多様性)」ですね。
 「ダイバーシティ(多様性)のないインクルージョン(包括性)」とは要するに「民族同化(明治新政府アイヌ同化、韓国植民地支配での神道強制など)」のような代物のわけです。
 次に「ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)」があればいいかといえば、そこで「あるべき正義」が必要なわけです。
 それが例えば「エクイティ(公平性)」である。
 極端な話、「エクイティ(公平性)」などの「あるべき正義」を無視すれば、例えば「サウジやイランの同性愛差別」が「これがサウジやイランのダイバーシティなんだ、欧米は内政干渉するな」になってしまう(実際その種の強弁は存在しますが)。
 「ダイバーシティ(多様性)」とは「あるべき正義の実現するための手法」であって、「不正義な現状」が「ダイバーシティ(多様性)」で正当化されるのは「本末転倒」です(何が「あるべき正義」「エクイティ(公平性)」かはひとまず置きます。この点に注意しないと「エクイティ」「あるべき正義」を口実に「ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)」が否定される危険性はありますが、とはいえ「あるべき正義」「エクイティ(公平性)」を無視するわけにも行かないでしょう)。
 「DEI」とは、ある意味当たり前のことしか言ってない。
 俺が朝鮮学校無償化除外に反対するのも「DEIに反する」と思うからです。
 「朝鮮学校を社会から排除しよう(インクルージョン(包括性)の否定)」とし「その結果、その民族教育としての価値を否定(ダイバーシティ(多様性)の否定)」し、「差別的な取り扱い(エクイティ(公平性)の否定)」だから反対している。

*1:高齢者や障害者(身体障害、精神障害、知的障害など)のことか?

*2:貧困者など「特別なサポートが必要な人」より広い概念か?

*3:DEIという言葉でググってヒットした記事も後で紹介しておきます。

*4:2001年のトステム(旧称:トーヨーサッシ)とINAX(旧称:伊奈製陶)の経営統合により誕生したINAXトステム・ホールディングスが「住生活グループ(2004年に社名変更)」を経て2010年にLIXILに社名変更(INAX - Wikipedia参照)

*5:但し、単に定年延長するだけではDEIとは言えないでしょう。

*6:食用油脂などの食品素材加工会社(不二製油 - Wikipedia参照)

*7:日本の大手化学メーカー。界面活性剤、高吸水性樹脂が主力。豊田通商東レの関連会社(三洋化成工業 - Wikipedia参照)

*8:パナソニックのDEIについては「DEI(Diversity, Equity & Inclusion)」とは?- Diversity, Equity & Inclusion - サステナビリティ - パナソニック ホールディングス参照

*9:空調事業の売上高は世界第1位、またフッ素化学製品でもデュポン社に次いで世界第2位のシェアを誇る(ダイキン工業 - Wikipedia参照)。

*10:旧社名は立石電機。現社名は立石電機時代に本社を置いていた京都市右京区花園の通称「御室」(おむろ)による。なお、現在、御室の本社跡地は住宅地となっているが、創業記念碑が建立されている(オムロン - Wikipedia参照)。