扇千景(日本初の女性参院議長)の死を契機に「日本初の女性」についていろいろ書いてみる(2023年3/14日分)

扇千景氏死去 「女は駄目」と言われぬよう… 多くの「初」で後輩に道 - 産経ニュース
 以下の「日本初」*1に比べれば扇(日本初の女性参院議長、2004年)など「元芸能人(元宝塚歌劇団)の客寄せパンダ」で正直、大して評価に値しないでしょう。「後輩に道」と言える代物ではない。

日本初の女性一覧 - Wikipedia参照
【誕生年順(誕生年が同じ場合は没年順)】
◆「日本初の女性文化勲章受賞者(1948年)」上村松園(1875~1949年、日本画家)
◆「日本初の女性文化功労者(1958年)」安藤幸(1878~1963年、バイオリニスト)
→兄が幸田露伴(作家)、姉が幸田延(ピアニスト)という文化人きょうだい
◆「日本初の女性博士号(1927年に東大から理学博士)」「日本女性初の紫綬褒章(1955年)」保井コノ(1880~1971年)
お茶の水女子大学名誉教授。1955年、文化勲章候補に推薦されたが、「女性科学者の受賞は前例がない」としてかわりに紫綬褒章を授与(保井コノ - Wikipedia参照)
◆「日本初の女性五輪メダリスト」人見絹枝(1907~1931年)
→1928年アムステルダム五輪の女子800m走で銀メダル。肺炎により24歳で早逝。
◆「日本初の女性芥川賞受賞者」中里恒子(1909~1987年)
→1939年に国際結婚をテーマにした『乗合馬車』『日光室』で受賞
◆「日本初の女性判事」「日本初の女性裁判所長(家裁所長)」三淵嘉子(1914~1984年)
新潟家裁、浦和家裁、横浜家裁所長を歴任。2024年春開始のNHK連続テレビ小説『虎に翼』で、伊藤沙莉が演じる主人公「猪爪寅子」のモデル(来年春の連続テレビ小説 三淵嘉子ってどんな人? NHK解説委員室参照)
◆「日本初の女性五輪金メダリスト」前畑秀子(1914~1995年)
→1936年ベルリン五輪の200m平泳ぎで獲得
◆「日本初の女性直木賞受賞者」堤千代(1917~1955年)
→1940年、「小指」で受賞。脳血栓により38歳で早逝
◆「大手出版社では日本初の女性編集長(1958年、中央公論社婦人公論編集長)」三枝佐枝子(1920~2003年)
◆「日本初の女性の日本学術会議会員(1980年)」猿橋勝子(1920~2007年)
全国革新懇世話人も務めた。1980年に創設された「猿橋賞(自然科学分野で顕著な研究業績をおさめた50歳未満の女性科学者が対象)」にその名を残している。
 米沢富美子*2猿橋勝子という生き方』(2009年、岩波書店)と言う評伝がある。
◆「日本初の女性東大教授(1970年)」「日本初の女性日本学士院会員(1995年)」「学術系としては日本初の女性文化勲章受章者(2001年)」中根千枝(1926~2021年)
→著書『タテ社会の人間関係』(1967年、講談社現代新書)、『家族を中心とした人間関係』(1977年、講談社学術文庫)、『タテ社会の力学』(1978年、講談社現代新書→2009年、講談社学術文庫)、『社会人類学:アジア諸社会の考察』(1987年、東京大学出版会→2002年、講談社学術文庫)など
◆「日本初の女性最高裁判事高橋久子*3(1927~2013年)
◆「日本初の女性国家公務員上級職員(キャリア官僚)の一人(1950年)」「日本初の女性官房長官(1989年、海部内閣官房長官、現時点では唯一の女性官房長官)」森山眞弓*4(1927~2021年)
→森山については資質の問題から生きた時代まで大差があるにしても、あまりの落差に驚く(森山真弓と杉田水脈) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)を紹介しておきます。自民党においては比較的まともな人間と言えるのではないか。
◆「国政政党では日本初の女性党首(1986年、社会党委員長)」「日本初の女性衆院議長(1993年、現時点では唯一の女性衆院議長)」土井たか子(1928~2014年)
◆「日本初の女性事務次官(1997年)」松原亘子*5(1941年生まれ)
◆「日本初の全国紙の女性論説委員長(産経新聞、2005年)」千野境子*6(1944年生まれ)

 なお「俺的にはどうでもいい」「扇がそれほどの代物と思わない」のですが「森、小泉内閣国交相参院議長」ということで

◆女性初の旭日大綬章(2003年、赤松良子労働省婦人局長、ウルグアイ大使、細川、羽田内閣文相など歴任。2023年現在、日本ユニセフ協会会長)との同時受賞)
◆女性初の桐花大綬章*7(2010年、現在では唯一の女性でもある)」

とのこと。
 ちなみにその後、女性の旭日大綬章

◆長尾立子(2004年、厚生省児童家庭局長、社会局長、橋本内閣法相など歴任)
◆清水嘉与子(2007年、小渕内閣環境庁長官
◆石井道子(2008年、橋本内閣環境庁長官
小野清子(2008年、小泉内閣国家公安委員長
森山眞弓(2009年、労働省婦人少年局長、海部内閣官房長官、宮沢内閣文相、小泉内閣法相)
◆南野知惠子(2010年、小泉内閣法相)
広中和歌子(2010年、細川内閣環境庁長官
遠山敦子(2013年、文部省教育助成局長、高等教育局長、文化庁長官、トルコ大使、国立西洋美術館館長、小泉内閣文科相など歴任)
◆川口順子(2017年、森、小泉内閣環境相小泉内閣外相など歴任)
桜井龍子(2018年、労働省女性局長、最高裁判事など歴任)
千葉景子(2018年、鳩山、菅内閣法相)
◆岡部喜代子(2010年、最高裁判事最高裁判事就任時は慶応義塾大学教授)
◆鬼丸かおる(2010年、最高裁判事(弁護士出身))
田中眞紀子(2022年、村山内閣科技庁長官、小泉内閣外相、野田内閣文科相
◆宮崎裕子(2022年、最高裁判事(弁護士出身))

とのこと。見て分かるようにほとんど大臣経験者です。

*1:しかし上記の内、「高橋久子」「森山眞弓」「松原亘子」は労働省出身で、村木厚子厚労事務次官(松原に次ぐ二人目の労働省出身事務次官、2013年)も労働省出身というのは「彼女らが有能なこと」を考慮しても「単なる偶然ではない(労働省が女性にとって働きやすい職場)」のではないか。

*2:1938~2019年。慶應義塾大学名誉教授。1984年の猿橋賞受賞者。著書『人物で語る物理入門(上)(下)』(2006年、岩波新書)など

*3:東大経済学部卒。労働省婦人少年局長で退官後、細川内閣が最高裁判事に任命

*4:1980年、労働省婦人少年局長を最後に労働省を退官し自民党から政界入り。宮沢内閣文相、小泉内閣法相など歴任。大平内閣運輸相を務めた森山欽司は夫

*5:労働省婦人局長、労働基準局長、労政局長を経て労働事務次官。退官後もイタリア大使などを務めた。

*6:産経マニラ支局長、ニューヨーク支局長、外信部長など歴任。著書『紅茶が動かした世界の話』(2011年、国土社)、『インドネシア9.30クーデターの謎を解く』(2013年、草思社)、『日本はASEANとどう付き合うか』(2015年、草思社)など

*7:男性では羽田元首相、村山元首相、森元首相、河野元衆院議長などが受賞(桐花章 - Wikipedia参照)