櫻井よしこらの反中国に呆れる(2023年4月16日記載)

「 中国、国土買収の嵐、超党派で止めよ 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

 中国人女性が沖縄県島尻郡無人島、屋那覇島を買い取っていたと判明したとき、フジテレビの緊急世論調査で99%の人が外資への土地売り渡しを規制すべきだと答えた。

 「反中国回答を引き出すための露骨な誘導尋問」「緊急世論調査というが調査対象は国民全体ではなく、『新報道2001』などフジテレビの右翼番組の視聴者限定(当然、視聴者はウヨが多いのでそういう回答が多くなる)」など*1でなく、「普通の質問で全国民対象」で本当にそんな回答が多数なら「外国人差別も甚だしい」「日本人もそこまで劣化したか」と呆れますね。
 「屋那覇島を購入したことでどんな弊害が生じたのか」、ウヨ連中はまともに説明することもできません。
 そもそもこの屋那覇島、【詳報】無人島の屋那覇島 購入した企業は?島の人たちはいま|NHK 沖縄県のニュースによれば「島の約1/4が伊是名村の所有地」「中国企業所有地の他にも私有地がある」そうなので中国企業が島の土地を全て購入したわけではない。中国企業が好き勝手できる状況にはない。
 しかもこの島、屋那覇島 - Wikipediaによれば、過去に「いわゆる原野商法(鉄道や高速道路、空港ができて、交通が便利になる、観光開発でリゾートホテルができる、将来、土地が高くなる等と騙して二束三文の土地を高く売りつける詐欺商法、例えば原野商法 - Wikipedia「原野商法」再燃! 「土地を買い取ります」などの勧誘に要注意 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン参照)の舞台」となったことで有名だそうなので1)中国企業の買収は、企業が原野商法に騙された物、2)逆に『中国企業自体がこの島を使った原野商法を企むいかがわしい会社』という可能性もある。1)や2)なら「中国の脅威」という桜井等の煽りとは全く異なる話になります。勿論購入経緯が分からないと、その辺りは分かりませんし、1)や2)だとしてそんな恥ずかしい話をこの中国企業が公言するわけもないですが。
 正直、他の「中国企業の土地買収」も「全てがそうではないにせよ」原野商法ケースがかなりあるのかもしれない。

 それから約ひと月、畏友の加藤康子(こうこ)氏*2が上海電力問題を調査する中で、もっと酷い事例を発掘した。

 加藤の発掘とやらが以下です。

【第1031回】再エネ事業で中国の国土侵食を許すな « 今週の直言 « 公益財団法人 国家基本問題研究所加藤康子
 中国共産党フロント企業*3である上海電力が青森県で3件、風力発電事業の認可を受けている。3月、むつ市に立地する2件を視察した。
 1件目は同市関根の使用済み核燃料中間貯蔵施設に隣接する空地であったが、地元では風力発電予定地で上海電力が事業認可を受けていることを知らなかった。それもその筈で、登記を確認すると、土地は日本人名義であり、認可は上海電力という名前ではなく、「SMW東北」という合同会社の名前で下りている。
 2件目の海上自衛隊大湊航空隊基地から車で10分の場所*4でも、同じ合同会社風力発電の事業認可を受けていた。ここも地権者は日本人で、地元の漁業協同組合や材木屋は、上海電力が事業を行うという認識を持っていなかった。

 「それの何が問題なのか?」ですね。
 なお、上海電力の名前を前面に出さないのは、名前を出したところ、過去に「反中国のウヨ連中から攻撃されたこと」に対する「ある種の自己防衛」なのでしょう。とはいえ「調べれば上海電力が出資者とは分かる」程度の話ですが。

【第1031回】再エネ事業で中国の国土侵食を許すな « 今週の直言 « 公益財団法人 国家基本問題研究所加藤康子
 原子力関連施設や自衛隊基地の1キロ圏内は、重要土地利用規制法の対象である筈だ。むつ市関根の風力発電予定地は中間貯蔵施設と道路を挟んで接する土地で、明らかに規制対象になる。重要土地法で規制できないものだろうか。同法を所管する内閣府の担当者に問うと、残念ながら「阻害行為が行われない限り売買や利用を規制できない」という回答だった。風力発電やメガソーラーは阻害行為に該当しないようである。

 そりゃ風力発電やメガソーラーは「阻害行為ではない」でしょう。上海電力のような外国企業でない「日本企業」が同じことをしたとしてここまで加藤や桜井等ウヨも騒ぎ立てないでしょう。

【第1031回】再エネ事業で中国の国土侵食を許すな « 今週の直言 « 公益財団法人 国家基本問題研究所
 再生エネルギー事業から中国共産党フロント企業を外すべきである。領土保全という観点からみて、敵対する国が島嶼部、水源、エネルギー施設やインフラを抑えることは、日中関係がこじれた時、武器を使わない侵略の前哨地となりうる。

 青字部分が無茶苦茶すぎて絶句ですね。上海電力の場合での、武器を使わない侵略とは一体何なのか。日中関係がこじれたら、中国政府の命令で上海電力が「電力供給を不当に打ち切って日本企業に打撃を与える」とでもいうのか。そこまで無茶苦茶なことは中国政府も上海電力もしないでしょう。
 そして「フロント企業」とは何なのか。中国企業なら問答無用で全てフロント企業扱いする気なのか?。それとも「フロント企業の定義」があって、「フロント企業にあたらない中国企業」もありうるのか。その点は加藤や桜井の記事を読んでも全く不明です。
 さて桜井の記事紹介に戻ります。

 政府は使用済み燃料の扱いに万全を期してきた。陸奥湾で荷上げされたキャスクが施設に輸送される際のテロ襲撃も想定して専用道路を整備し、警備要員も訓練してきた。
 万全の安全対策を講じているにも拘わらず、(ボーガス注:むつ市の中間貯蔵施設の)広大な隣接地を上海電力に与えてしまった。こんな馬鹿なことを、なぜ、政府は見逃しているのか。

 おいおいですね。上海電力が中間貯蔵施設を隣接地からテロ攻撃する恐れがあるとでも言う気なのか?

「実はこうした酷い事例はここだけではないのです。むつ市陸奥湾に面したあたりに海上自衛隊の大湊地方隊の基地があります。そこから余り離れていないところにむつ市城ヶ沢という地区があり、漁港や材木屋が目に入ります。この辺一帯の土地も先の貯蔵施設と同じ状況になっているのです」と、加藤氏。
 加藤氏が近隣の人々に取材した。
「大きな材木屋さんの方に聞いたら『自分の所にも(ボーガス注:風力発電の)話が持ち込まれた』と言いました。なんと地元の有力機関、みちのく銀行が話を持ち込んでいたのです」

 上海電力だけでなく、みちのく銀行*5まで袋だたきにしそうな桜井等ウヨです。

「風がないために、風車はひとつを除いてすべて止まっていました」と加藤氏。

 加藤発言が「全くのデマでない」としても、単に「時間帯によっては(風が弱いので)風車が止まっているときもある(但し、風力発電として十分元が取れるだけの稼働はしている)」と言うだけの話ではないのか。

 中国による狡猾かつ計画的な国土買収を阻止する法整備を求めても、(ボーガス注:与党の)政治家も官僚たちも反応は鈍い。

 何が狡猾(ずる賢い)なのかさっぱり分かりません。ただの商業活動でしょうに。

 自民、日本維新の会、国民民主、有志の会など、志ある政治家が主導して中国の日本の国土侵略*6を即刻、止めるときだ。

 公明、立民、共産、社民、れいわ、参政、政治家女子(旧NHK)の名を出さない*7一方で

旧民主党出身のため、立民や国民民主との合同が噂され、いつまで存続するか疑問、メンバーもたった5名

という「有志の会(吉良州司*8が代表を務める衆院院内会派、桜井が評価することで分かるように右寄り)」の名前を出す辺りが桜井らしい。
 なお、「有志の会」のような院内会派は現在、他には「沖縄の風*9」があります(院内会派 - Wikipedia参照)。

*1:デマの多い桜井では「フジテレビの右翼番組の視聴者限定」を「全国民対象」であるかのように思わせようとしているとしても何ら驚きませんが。

*2:産業遺産情報センターセンター長。産業遺産国民会議専務理事。元内閣官房参与(第三~四次安倍内閣)。加藤勝信厚労相(岸田内閣)の義姉。加藤六月農水相(中曽根内閣)の娘。著書『産業遺産』(1999年、日本経済新聞出版社)、『EV(電気自動車)推進の罠:「脱炭素」政策の嘘』(共著、2021年、ワニブックス

*3:フロント企業とはどういう意味なのか、「中国国営企業(あるいは中国共産党の党営企業)」とは何が違うのか意味不明なところが「おいおい」です。恐らく「国営企業(あるいは党営企業)」扱いできるまともな根拠がないのでフロント企業呼ばわりしてるだけでしょうが

*4:隣接地ならともかく車で10分というのは、かなり離れてると思いますが。時速40キロで10分なら約6キロですからね。

*5:青森県下では「青森最大シェア」青森銀行に次ぐ規模の金融機関。なお、2022年に青森銀行みちのく銀行経営統合しプロクレアホールディングスが誕生(青森銀行みちのく銀行はプロクレアの子会社)

*6:この文脈では「中国企業による土地買収」のこと

*7:そうした認識が正しいかどうかはともかく、「名前を出した政党、党派」は桜井等に協力してくれる可能性があるが、名前を出さない政党は「協力してくれない」と見ているのでしょう。

*8:鳩山、菅内閣外務大臣政務官、野田内閣外務副大臣を歴任

*9:沖縄選出の野党共闘系の無所属議員2名で構成(沖縄の風 - Wikipedia参照)