「どうする家康」雑感(2023年4月23日)(追記あり)

 「実際の家康がどうだったのか」はともかく今回は「従来の浅井、朝倉攻め(姉川合戦)」とは大分描き方が変わっています。
 かなり「今までと違う描き方をしよう」というチャレンジ性が感じられる(その是非はひとまず置きます。前も書きましたが「どうする家康」の視聴率苦戦の理由はこうした「チャレンジ性」が今のところ「従来の描き方に慣れた層」に支持されてないのでしょう)。
 「従来の家康の描き方」では彼は「姉川合戦での織田軍参加」に何の躊躇もなかったと思います。
 しかし今回は「信長の軍事的優位(浅井、朝倉に加担しても負ける可能性が高い)」と「いつまでも信長に家臣扱いされる事への反感*1」で「信長」「浅井、朝倉」どちらにつくかを相当に悩んでいます(最終的には勿論、信長につき、姉川合戦は信長が勝利しますが)。
 「明智光秀佐久間信盛柴田勝家滝川一益丹羽長秀羽柴秀吉等の家臣とは違い、建前は対等な同盟者」でありながら、「実際には信長が家康を家臣扱いしていること」への「家康の反感」が描かれています。
 そして信長もそうした「家康の反感」「浅井の裏切りへの加担の恐れ」に気づきながらも、ドラマにおいて彼は「家康への家臣扱い」を変えません。
 「本能寺の変もこうした信長の傲慢さが一因ではないか」と思われる描き方です。
 さて、今回は「家康の姉川合戦参戦(家康が領地に不在)」を「好機」とばかり、「隣国」の武田信玄が「家康の領土」遠江進撃を画策しているシーンで終わります。次回は実際に進撃するのでしょう。予告編でも「信玄は信義に反する」と家康が憤激していました。
 正直、信玄の描き方はこのドラマにおいて明らかに好意的ではない。
 信玄はこのドラマでは「弱肉強食はこの世の習い」「自国を防衛できない武将はそのこと自体が悪」「そんな武将(実際に打倒した今川氏真、打倒しようとして打倒できなかった家康など)を打倒して俺が代わりに領土支配して何が悪い。俺が侵攻しなくても別の武将が侵攻するだろう。そして俺が代わりに支配した方が(他国による領土侵攻の恐れが減るので)領民も幸せだ」という主旨のことを平気でうそぶきます。
 「時代が違う」とは言えこうも堂々と侵攻正当化とは「プーチンか?」と言いたくなります。
 そんな信玄が、彼の死後「武田勝頼自害」と言う形で織田氏に子孫を滅ぼされるのも実に皮肉ですが。
【4/30追記】
 4/30放送では、「弱い武将は害悪(完全な弱肉強食主義)」「その弱い武将を滅ぼして何が悪い、むしろ善行」と家康を挑発したあげく、「だが、お主が武田家の家臣になれば、領地支配を(武田家家臣の形で)認めてやる」「但し、刃向かえば容赦なく潰す」と放言する信玄。
 「信玄の武力」に怯えながらも、「信長との同盟」を続け、信玄に対抗する道を選ぶ家康です。

*1:なお、「実際がどうだったのか」はともかく、浅井長政の裏切りも、大河においては「信長は義兄」とはいえ「建前は対等な同盟者」でありながら、「実際には信長が長政を家臣扱いしていること」への「長政の反感」が大きな要因とされています。