原知佐子について改めて書いてみる(追記あり)

【追記】
 この拙記事を堀ちえみ主演の大映ドラマ『スタア誕生』が、本日(5月8日)からCSで放送される - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)*1で紹介頂きました。いつもありがとうございます。
【追記終わり】
堀ちえみ主演の大映ドラマ『スタア誕生』が、本日(5月8日)からCSで放送される - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

 原知佐子堀ちえみへのいじめ(仕打ち)が話題になりました。

 と言う原ですが、他にも勿論いろいろ仕事はやっています。
 過去に書いた「原知佐子」紹介記事(?)を改めて紹介しておきます。『女ばかりの夜』での原が「ブログ記事」を読む限り「大映ドラマの女ヒロイン的役柄(いじめられる悲劇のヒロイン)」らしいのには苦笑します(勿論その時代の原はまだ若かったわけですが)。

「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう・パート149(追記・訂正あり) - bogus-simotukareのブログ

http://home.f05.itscom.net/kota2/jmov/2010_01/100163.html
◆日本映画の感想文『女ばかりの夜』
 高校中退で知能指数が高いため、優等生とされた邦子(原知佐子)は(中略)米屋に住み込みの家政婦として就職する。
 美人の原知佐子に、店員(大村千吉)はもうドキドキである。店主(桂小金治*2)だけが身元を知っていたのだが、鬼みたいな奥さん(中北千枝子)にバレたらせっかく超低賃金でこき使える女中がNGになってしまうんじゃないかと思って黙っていた。
 ついに彼女の身元が大村千吉たちにバレてしまう。それまではハレモノのような扱いだったのが、元赤線と分かると「ヤラせてもらえる」と思い込む男たちの下劣さにウンザリな原知佐子である。
 原知佐子はものすごく真面目に更正しようとしていた。健気にも寮長(淡島千景)に頑張る様子を手紙で知らせていたのだが、元は赤線の女だと中北千枝子も知るところとなった。月給が安いのはガマンできたけど、まるで病原菌のような扱いをされて、ついにキレてしまい、(中略)店を出て行ってしまう。
(中略)
 原知佐子は地元婦人会の紹介で志摩バラ園に就職する。そこの奥さん(香川京子)の紹介で(中略)お寺に下宿までさせてもらえた。やっと人の善意に触れた原知佐子だったが、過去の経験がトラウマになっており、朴訥としたバラ園の助手の司クン(夏木陽介)のプロポーズも素直に受け入れられない。
 やっとその気になったら、司クンの実家から「売春婦なんて身の毛もよだつ!ウチの嫁なんてありえない」と手紙が来てしまう。バラ園の経営者で大学教授・志摩(平田昭彦様)も申し訳なさそうだし、司クンも原知佐子のことが好きなのだが、世間の厳しさが身にしみている原知佐子は、そっと身をひく。
 原知佐子がとにかく一生懸命なので見ごたえ充分。そりゃそうだよね、夏木陽介に出会うまでに、言い寄ってきた男が大村千吉とか桂小金治とか、その他大勢だもんね。にわかに信じられない、素直になれない、乙女心がグッと来る。
 原知佐子がノーメイクでガンガン泣くところで思わずもらい泣きである。
 寮の先生・沢村貞子淡島千景*3の凛とした態度が頼もしい。スーツ姿の淡島千景ってカッコいい!。さっすが宝塚!。娘役だけどね。
 社会問題を提起する真面目な映画なのだが、個人的にツボだったのは、奥さんの香川京子に「はい!」って腕を差し出して、時計はめてもらう(ボーガス注:亭主関白の?)平田昭彦様。オマエ、二枚目なら何やっても許されると思うなよ!

珍右翼・高世仁に突っ込む(2021年9/6日分)(追記あり) - bogus-simotukareのブログから一部引用
 ちなみに逝ける映画人を偲んで 2019-2020 | 国立映画アーカイブについて、高世が「何故か名前を挙げてない人間」としては以下の人物がいます。

原知佐子(2020年死去)
 取り上げられた作品は『女子大学生・私は勝負する』(1959年)、『わらびのこう(蕨野行)*4』(2003年、村田喜代子原作、市原悦子主演)。ただし、彼女の代表作というと『1970年代に山口百恵が主演したTBS「赤いシリーズ」での強烈なイビリ役(原知佐子 - Wikipedia参照)』になると思います。

世間に知られ始めた「田中絹代が映画監督だった」と言う事実(2022年3/2版) - bogus-simotukareのブログ

田中絹代監督特集『女ばかりの夜』@早稲田松竹 鑑賞記録 - ひととび〜人と美の表現活動研究室
※内容に深く触れていますので、未見の方はご注意ください。
・「白菊婦人寮」と呼ばれる更生施設。寮生の中には梅毒のせいで脳に影響が出て、他の寮生と違うふるまいを見せる女性が描かれる。これって『はいからさんが通る』に出てきたおひきずりさんに近い人のことでは……。
淡島千景演じる寮長の先生が説明。「ミシンの下請け、袋張り、一つのことに打ち込む根気を養うため」まるで刑務所の刑務作業。その後懲罰として独房に入れられる女性もいるので本当に刑務所。
・店主の妻*5(一応夫*6が店主?)は邦子の経歴を知っていて、こき使う。その上、「自分の洗濯物は分けているんでしょうね」との言葉まで吐かれる。「お堅い店で働いていれば信用を勝ち取れるから」「ああいうのを救ってやるのも社会事業」などとうそぶかれ、安月給で働かされる。大いなる欺瞞。
・寮長の「どうしてもっと自分を大切にしないの」という言葉が空々しく聞こえる。頑張ろうとしても経歴を知られると差別されて、対等には扱われない社会。邦子は「奥さんも旦那さんも感じ悪いな」としっかり認識しているところがいい。人として見ていないことに異議を唱える。NOの行動をとる。誇りがある。
・自由を渇望する邦子。街で客引きをするが、相手は警察だった。また寮に戻り、次の職場へ行かされる。今度は工場。たくさんの女工がいる。ここではお互いざっくばらんに開示しているようなので、早めに自分の経歴をカミングアウトしたが、邦子の想像通りにはならなかった。同年代の女性たちから激しい差別といじめに遭う。
・ぼろぼろの身体の邦子が助けを求めるのは、白菊婦人寮しかない。よほど身寄りがないということがわかる。寮長との会話。
邦子「どう悪いの?男の人が体の自由と頭を売って月給を貰ってるのとどう違う」
寮長「先生にもよくわからないけど、でも邦ちゃん、ちゃんと働くことよ。すぐに男と寝ることを考えない」
邦子「あの女工たちは自分がそれをしないで済んだから、私を蔑むのよ」
 邦子の誇り。自分はその状況、立場に置かれなかったから差別することで安心するという人間の心の仕組みを知っている。またそれを観客に向けても提示する。
・邦子の3軒目の職場、志摩バラ園。経営者夫婦*7と先輩技術者に支えられて、能力を発揮していく邦子。特に先輩の早川*8からはふつうの男の人の優しさにふれていることは大きい。
・早川に惹かれていく邦子が、過去と向き合うことを迫られる。
 早川に告げるかどうか、葛藤する邦子。結局、早川には田舎に親が決めた結婚相手がおり、「元赤線の女など、先祖の名を汚したくありません」と手紙で言われる。
・ラスト、海女になった邦子は、女たちとの仕事の中で助け合いながら生きている。実際にも海女の中には訳ありの人もいた(いる?)のかもしれない。自由になれる場所が見つかってよかったと思いつつ、仕事も過酷ではあるし、そこまでいかなければ、邦子が自分らしく生きられる道はなかったのかとも、複雑な思いになる。
 たまたま同じ日に、NHKの番組「ねほりんぱほりん」で「女子刑務所にいた人」の再放送を見た。かなり『女ばかりの夜』に近くて、衝撃だった。こちらは現代の話だし。
 邦子役の原知佐子*9は、今の時代も人気が出そうな俳優。夫は実相寺昭雄*10
 2021年公開の『のさりの島』、主役の山西艶子役が遺作となっている。これ観てみたい。

 「映画のできの善し悪し」はともかく「こうした映画を撮ろうと考えた田中の人道主義(?)」は高く評価したい。

【追記】
 他にもいろいろ見つけたのを紹介しておきます。

ゴジラまとめ情報 ゴジラボ : 【訃報】女優の原知佐子さん死去 84歳
◆14 :名無しさん@恐縮です:2020/01/20(月)
>16年の映画「シン・ゴジラ」にも出演した。
 ほんの一瞬背負われて線路渡ってるシーンのみだよな
◆29 :名無しさん@恐縮です:2020/01/20(月)
 「岸辺のアルバム」で入院してる人だっけか
 八千草薫が時々見舞いに行く
◆69 :名無しさん@恐縮です:2020/01/20(月)
 「ウルトラマンを作った男たち」で親子共演していた
 原さんは(ボーガス注:実相寺の住む)下宿のおばさん
 娘さん*11はフジ隊員

松本清張映画「黒い画集 あるサラリーマンの証言」を久々に観る | フリーライター Sakamoto Norio ブログ
 1960年公開の東宝映画。
 原作は松本清張の短編「証言」。
 真面目で平凡なサラリーマンが似合う小林桂樹
 しかしちゃっかり同じ課の若い事務員、原知佐子と浮気。
 いつものように彼女のアパートを訪ねると、帰り道に自宅の近所に住む保険外交員とすれ違い、つい挨拶をしてしまう。
 外交員の口から浮気がばれるのではと戦々恐々の桂樹さん。
 ところがその外交員が殺人事件の容疑者として逮捕されてしまう。
 数日後、桂樹さんは西村晃刑事に訪問される。
 外交員とすれ違った時刻を証言すれば外交員のアリバイは成立。
 晴れて無罪となるわけだが、桂樹さんは自分の浮気がばれるのが怖い。
 そういうわけで裁判で証言台に立っても(ボーガス注:外交員に会った記憶がないと)嘘をつく。
 やがて浮気相手の知佐子に縁談が。
 桂樹さんはこれ幸いとばかり関係を清算しようとする。
 ところが知佐子のアパートに住む大学生に気付かれ脅迫される。
 わが身大切、仕方なく大学生に金を払いに行く。
 しかし、アパートで発見したのは血まみれの大学生の死体。
 今度は桂樹さん自身が逮捕される羽目に。
 無実を晴らそうと実は外交員とすれ違った真実から語りだす。
 小心者でどうしようもない男。
 結局真犯人が逮捕され、釈放される桂樹さんだが(ボーガス注:浮気の発覚と「殺人容疑での逮捕」と「裁判での偽証発覚」のトリプルパンチで)仕事も家庭も何もかも失ってしまう。
 因果応報を絵にかいたような傑作映画。
 映画の場合は後半が原作と全然異なり、オリジナル色が強い。
 原作は(ボーガス注:殺人容疑でのサラリーマン逮捕はなく、原が演じた)愛人に男がいて、(ボーガス注:愛人が真実を男に漏らし)その男が真実を(ボーガス注:さらに外部に)漏らしたためにサラリーマンは偽証罪に問われ話は終わる。

原知佐子、ウルトラの星へ : たかの特撮ブログ2020.1.21
 1月19日(日)女優・原知佐子が上顎肉腫のため亡くなった。84歳だった。
 故・実相寺昭雄監督の妻で、ウルトラシリーズにも多く出演した。その名演を思い出してみたい。
 『ウルトラマンレオ*12』(1974)第37話「怪奇! 悪魔のすむ鏡」では、カオルを連れ去ろうとするマザラス星人を演じた。
 実相寺監督の原作・監修のドラマ『ウルトラマンをつくった男たち』(1989)では、三上博史演じる主人公の住むアパートの管理人を演じた。
 『ウルトラマンティガ*13』(1997)第37話「花」では、花見客を装いイルマ隊長を拉致するマノン星人を演じた(実相寺監督作品)。
 『ウルトラQ dark fantasy*14』(2004)第19話「レンズ越しの恋」では、写真家の青年の祖母・矢島静枝を演じた。
 『ウルトラゾーン*15』(2012)第14・15話「東京ジュラ紀」では、怪盗から秘宝を守るため探偵たちを集めた白石深月を演じた。
 『ウルトラマンギンガS*16』(2014)第11話「ガンQの涙」では、ガンQに驚くアパートの大家を演じた。
 『ウルトラマンオーブ*17』(2016)第24話「逆襲の超大魔王獣」では、太平風土記を保管する教授夫人・岸根秋恵を演じた。
 また、ウルトラシリーズではないが、『シン・ゴジラ』(2016)では背負われて踏切を渡る老婆を演じていた。
 今頃、ウルトラの星で実相寺監督と再会しているだろうか。
 1970年代に山口百恵が主演した「赤いシリーズ」での強烈なイビリ役で有名となり、一連の大映ドラマに欠かせない名脇役として一躍有名となった。

不朽の名作『岸辺のアルバム』は「八千草さんじゃなかったら、どうなっていたかわからない」 (1/1)| 介護ポストセブン
 5話で、則子(八千草薫)は膵臓がんで入院中の友人・時枝(原知佐子)を見舞うが、死期を悟った時枝は過去に若い男を買ってセックスしていたことを告白する。彼女は見合い結婚で子どももおらず、義母の介護ばかりでろくに旅行にも行けなかった。
「よく男を買ったねって、自分をほめてやりたいくらいなの。あいつを買った時だけ、私、血が燃えるような気がしたの」
 時枝の言葉が後押しになったのか、則子は心を決めて北川(竹脇無我)と渋谷のラブホテル街へ向かう。

*1:スタア誕生』といえば、ジュディ・ガーランド主演映画の題名でもあります(スタア誕生 (1954年の映画) - Wikipedia参照)。

*2:もともと落語家であったが、1952年、映画『こんな私じゃなかったに』(松竹、監督:川島雄三)に出演し、映画デビュー。その後もテレビドラマや映画の俳優、テレビ司会者(テレ朝ワイドショー『アフタヌーンショー』(1965〜1973年)、日テレ『それは秘密です!!』(1975〜1987年)など)などのタレント活動がメインとなり、落語家としては開店休業状態だったが、1980年代初頭、2000年代から2011年までは落語家としても活動していた(ウィキペディア桂小金治」参照)

*3:1950年に映画『てんやわんや』で、1955年に映画『夫婦善哉』でブルーリボン賞主演女優賞を受賞(ウィキペディア淡島千景」参照)

*4:ググったところ、楢山節考 (1958年の映画) - Wikipedia田中絹代主演)、楢山節考 (1983年の映画) - Wikipedia坂本スミ子主演)のような話のようです(市原や原が勿論、姥捨てされる側)。年を取れば「そういう役をやるのも当然」ですがなんだかしみじみします。

*5:女ばかりの夜 - Wikipediaによれば中北千枝子

*6:桂小金治

*7:平田昭彦香川京子

*8:夏木陽介

*9:1936~2020年。1970年代に山口百恵が主演した『赤いシリーズ』第2作『赤い疑惑』(1975~1976年)では主人公の恋人(三浦友和)の母親として、第4作『赤い衝撃』(1976~1977年)では主人公の義理の姉として、主人公(山口)のイビリ役として存在感を示した。(赤いシリーズ - Wikipedia原知佐子 - Wikipedia参照)

*10:1937~2006年。TBSから円谷プロに出向し、『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』の演出で名を高める。1969年、中篇映画『宵闇せまれば』(大島渚脚本)を自主製作し、映画監督デビュー。1970年、映画製作に専念するためにTBSを退社し、フリーの監督として活動を開始(実相寺昭雄 - Wikipedia参照)

*11:実相寺吾子 - Wikipediaのこと

*12:TBSで放送(ウルトラマンレオ - Wikipedia参照)

*13:TBSで放送(ウルトラマンティガ - Wikipedia参照)

*14:1966年にTBSで放送された『ウルトラQ』のリメイク。テレビ東京等で放送(ウルトラQ dark fantasy - Wikipedia参照)

*15:テレビ神奈川千葉テレビテレビ埼玉サンテレビ名古屋テレビ放送で放送されたバラエティ番組(ウルトラゾーン (テレビ番組) - Wikipedia参照)

*16:2013年に放送されたウルトラマンギンガの続編。テレビ東京等で放送(ウルトラマンギンガS - Wikipedia参照)

*17:テレビ東京等で放送(ウルトラマンオーブ - Wikipedia参照)