「反党分子」松竹伸幸に今日も悪口する(2023年5/21日分)(追記あり)

00年規約と04年綱領と『シン・日本共産党宣言』 | 松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba

「日本における保守化・右傾化の構造研究会」というものがある。このテーマに関心のある学者・研究者の集まりだ。
 私もこれまで本を出したあと、2回呼ばれた。第1回目は結成の直後であり、『「日本会議史観」の乗り越え方*1』について、2回目*2は『〈全条項分析〉日米地位協定の真実*3』についてお話した。
 昨日、3回目だった。『シン・日本共産党宣言*4』がテーマ。

 松竹が詳細を説明しないし、「サイトもない(ググってもヒットしない)」ようで「メンバーが誰なのか」、例えばメンバーに

【著者名順】
◆『日本は「右傾化」したのか』(2020年、慶應義塾大学出版界)の著者である小熊英二慶應義塾大学教授
◆『女性たちの保守運動:右傾化する日本社会のジェンダー』(2019年、人文書院)の著者である鈴木彩加・筑波大学准教授
◆『日本人は右傾化したのか』(2019年、勁草書房)の著者である田辺俊介・早稲田大学教授
◆『徹底検証・日本の右傾化』(2017年、筑摩選書)の著者である塚田穂高上越教育大学准教授
◆『右傾化する日本政治』(2015年、岩波新書)の著者である中野晃一・上智大学教授
→なお、以上の著書は「右傾化、保守化」でヒットした物を上げただけで俺は未読です。

といった「日本の右傾化」についての著書を刊行した研究者が含まれるのか、松竹が三度も呼ばれるとは

 松竹が事務局長を務める自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会のメンバーで松竹と付き合いがある
伊勢崎賢治東京外国語大学名誉教授*5
◆加藤朗・桜美林大学教授

等と言った「松竹の知人友人」が「研究会メンバーの中心」なのか等、詳細は不明です。
 コメント欄でのご教示に寄れば「研究会」の名前でぐぐると「西川伸一*6明治大学教授」の研究会での出席報告がヒットしますが、彼の出席報告があるだけで研究会の詳細は不明です。
 なお、コメント欄でのご教示頂いた
https://jimdo-storage.global.ssl.fastly.net/file/c453a356-b040-45ee-8f50-fc0d8dc9569e/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E4%BF%9D%E5%AE%88%E5%8C%96%E3%83%BB%E5%8F%B3%E5%82%BE%E5%8C%96%E3%81%AE%E6%A7%8B%E9%80%A0%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A%E3%82%B3%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88.pdfで紹介されてる春名幹男の「田中逮捕・キッシンジャー陰謀論日中国交正常化に反発したキッシンジャー*7が田中逮捕を画策)」は完全なトンデモ、デマですね。こんな本を好意的に紹介しているらしい時点でこの研究会の「信用性」が大いに疑われます(西川氏自身はこの陰謀論に批判的なようですが)。
 それにしても「田中逮捕・キッシンジャー陰謀論」春名氏(元共同通信論説副委員長、その後名古屋大学教授)も

本多勝一
この人たち(本多勝一氏と進藤栄一氏)大丈夫かと本気で思った(デマ本を真に受けて、ルーズヴェルト陰謀論を本気で信じている馬鹿な人たち) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2022.12.8
妙な陰謀論やトンデモ科学にはまると、なかなか逃れられない(ルーズヴェルト陰謀論についての入門書を読んで勉強したい)(追記あり) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2023.3.1
あてにならない人間のデタラメな話を真に受けたり何ら批判しないから、こんな無様で無残な結果になる(本多勝一著『はるかなる東洋医学へ』) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2023.3.9
半藤一利
やっぱり半藤一利氏ってトンデモじゃんとあらためて思った(追記あり) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2022.10.3

の本多氏(元朝日新聞)、半藤氏(元文春)のように「晩節を汚してるメディア人」と言うべきでしょう。後で紹介する「五十嵐氏のような陰謀論批判」を春名氏も知らないわけではないでしょうし、まともな常識があれば五十嵐氏のような指摘は誰でも思いつきます。結局「田中が好き」「キッシンジャーが嫌い」といった感情論で春名氏が話をしているだけではないか。
 この陰謀論については、「以前紹介しましたが」五十嵐仁『戦後政治の実像』(2003年、小学館)も批判していますが。興味があれば五十嵐本をお読み頂ければ幸いです。
 五十嵐氏の陰謀論批判を改めて紹介しておきます。

常岡浩介に突っ込む(2021年2月14日分) - bogus-simotukareのブログから一部引用
 五十嵐仁氏(法政大学名誉教授、全国革新懇代表世話人)も著書『戦後政治の実像:舞台裏で何が決められたのか』(2003年、小学館)で批判しているところですが、こうした「田中逮捕=米国は田中を嫌悪」説には重大な欠陥があります。
 それは「田中は逮捕されても政治力を失わず、それを米国も容認した」と言う話です。
 田中逮捕、自民離党後も田中は自民党最大派閥・田中派のボスとして君臨し、「キングメーカー」「目白の闇将軍」として、大平正芳中曽根康弘を首相の座に据えます。米国が田中を嫌悪していたのならそんなことはありえないでしょう。

今日もkojitakenに悪口する(2022年7/27日分) - bogus-simotukareのブログ
田中角栄逮捕から46年。1976年には頂上作戦ができたのに、今では安倍晋三や自民党に対する批判者までもが周辺の有象無象を無駄撃ちしまくる愚を犯している - kojitakenの日記

 山本*1元記者は「アメリカ謀略」説をとっているが、それはいささか怪しい。

 いささか怪しいどころか、五十嵐仁*2氏の著書『戦後政治の実像』(2003年、小学館)が「田中信者のデマ屋*8(山本)」による「レベルの低い陰謀論」と批判、酷評するようにこの種の「ロッキード陰謀論」は完全なデマ、陰謀論と言っていいでしょう(この種の陰謀論を無根拠にかましていいなら、今回の安倍暗殺とて「黒幕がいる」と放言可能です)。
 まず第一にアメリカが田中を失脚させる理由がない。田中は反米ではない。
 第二に「アメリカが失脚させた」とするまともな根拠が何もない。失脚させた「5W1H(誰(田中が逮捕された1976年当時のフォード*3大統領?)が何故田中を失脚させたのか、いつ、どこ(米国政府の会議?)で失脚させることを決めたのかなど)」がまともに説明されたことは一度もない。
 第三に「失脚」というなら、「ロッキード逮捕以前」に立花隆が報じた「金脈疑惑」による田中の首相辞任自体が「失脚」です。アメリカ謀略説を採るなら「立花隆の記事=米国の謀略ではないのか*4」と五十嵐氏は痛烈な皮肉(勿論本気ではない)を著書に書いています。
 第四に田中は確かに逮捕されましたが、その後も「自民党最大派閥・田中派」を率い、「目白*5の闇将軍」と呼ばれ、大平内閣、中曽根内閣の誕生に深く関わりました。
 米国が本気で田中失脚を狙っていたならそんな「田中の自民党支配」を許すわけがない。
 第五に「ロッキード事件」は何も「田中限定の事件」「日本限定の事件」ではなく、日本では他に橋本登美三郎(佐藤内閣で運輸相)、佐藤孝行(佐藤内閣で運輸政務次官)が逮捕されてるし、エドワード・ヒース(英国首相)やジョヴァンニ・レオーネ(イタリア大統領)といった外国政治家がロッキードから賄賂を受け取った疑いのある灰色高官として名前が浮上しています。また、ロッキード事件は同様の「飛行機売り込み疑惑」である『ダグラス・グラマン事件(岸元首相が議員辞職に追い込まれる)』に発展しています。
 「田中を失脚させる陰謀」云々と根拠レスで言っていいなら、例えばダグラスグラマン事件も「岸を議員引退させるための陰謀」とも根拠レスで言えてしまう。

 また、田中訪中については以下の話もあります。本当にキッシンジャーが田中訪中を敵視していたなら以下のような逸話はあり得ない。ニクソンは大平に「訪中反対」といっていたでしょう。

リベラル21と阿部治平に呆れる(2023年4月8日分)(副題:今日も松竹伸幸に悪口する) - bogus-simotukareのブログから引用
田中角栄 日中国交正常化交渉の舞台裏 台湾断交で開かれた道 | NHK政治マガジン
 元外交官で、北米局長やイギリス大使を歴任した藤井宏昭*6(89)。
 50年前、藤井は大平正芳*7外務大臣の秘書官を務めていた。
 総理大臣の田中角栄*8や、外務大臣大平正芳が訪中した際、大平と行動をともにした。
 都内でインタビューに応じた藤井は、記憶の糸をたぐるように語り始めた。
 大平は速やかにある行動に出る。
 それは、アメリカへの事前の根回しだった。アメリカは、大統領の訪中は果たしたが、まだ中国との国交は樹立*11していなかった。
(元外交官 藤井宏昭)
アメリカより先にかなり重要な外交政策をやるのは戦後の日本では珍しいことなんです。だから大平さんはアメリカのニクソン大統領に仁義を切っておかないといけないと考えた*12。緻密な方ですから。」
 8月末にハワイで田中とニクソンとの首脳会談が行われた。ともに訪問した大平に藤井も同行した。
(元外交官 藤井宏昭)
「大平さんは、往路は非常に緊張していたが、帰りは、よっぽど嬉しかったんですね、アメリカの了解が取れたって。鼻歌を歌ってね。」

 いずれにせよ、松竹なんぞを3回も呼ぶ時点で「ろくでもない団体」と予想はつきます。
 例えば松竹が呼ばれたという「日本会議本」ですがググれば分かるように松竹本『「日本会議史観」の乗り越え方』(2016年、かもがわ出版)以外にも

【著者名順】
青木理日本会議の正体』(2016年、平凡社新書)
上杉聡*9日本会議とは何か』(2016年、合同出版)
◆菅野完『日本会議の研究』(2016年、扶桑社新書
◆俵義文*10日本会議の全貌』(2016年、花伝社)
◆藤生明*11『ドキュメント日本会議』(2017年、ちくま新書)
◆山崎雅弘『日本会議』(2016年、集英社新書)

があります。この「研究会」が松竹以外のこれらの著者を呼んだかと言えばおそらくそうではなく「松竹応援団」なのでしょう。
 何せ松竹を三回も呼んでますからね。
 なお、こうした名前の研究会なら「松竹」ではなく、むしろ「共産党委員長の志位氏」「社民党党首の福島氏」など「左派政治家」を呼んで(あるいは逆に「安倍晋三元首相」等の右翼政治家を呼んで)「右傾化」についての意見を聞くべきでしょうがそうしたことはやったんですかね?
 それにしても今や「こんな無名な団体」に呼ばれたことまで記事にするとは「世間に相手にされない松竹の惨状」がよくわかります。それにしても「呼ばれた!」と宣伝したいなら、「会のメンバーが誰か」ぐらい書いたらどうなのか?。
 「サイトもない(ググってもヒットしない)」ような「謎団体」で、松竹も「団体の詳細な説明をしない」ようでは「呼ばれた!」と言っても世間には全くアピールしないでしょう。

以下、レジメだけ紹介しておく。

 ということで「報告」とやらの詳しい説明はありません。今後出すとか言う本に「詳しく書く」ので「本の売り上げを考えて」詳細な説明はせずに曖昧にしてるのかもしれない。但し、これでは「呼ばれた!」と言っても話題にはなりづらい。
 それにしてもレジメの

なぜ私は共産党をそれほどまでに愛しているのか

には吹き出すと共に呆れます。
 松竹が党を愛してるとはとても思えません(そもそもそんなことが「日本における保守化・右傾化の構造研究」と何の関係があるのか)。
 百歩譲って「主観的には愛してる」としてもそれは「児童虐待親(毒親)の子への愛」「DV夫の妻への愛」「ストーカーのストーカー被害者への愛」のような歪んだ「独りよがりな物」でしかないでしょう。

 新しい政治勢力の出現に寄与*12することは考えていないのかという質問、どこでも出てくるのだけれど、考えていないなあ。

 「考えてない」というより「展望がない」と言うべきでしょう。「その振る舞いから見て」、松竹は「本を出せば党内外から支持者がどんどん出てくる」と甘く考えてたのでしょうが、ほとんど誰も松竹を相手にしない上に「党から除名された*13」状況で「新しい政治勢力の出現」なんてもんを松竹が語れるわけもない。
 松竹が「除名撤回とやらを断念して松竹新党結成」でもすれば話は別ですが「今の惨状(支持表明者が全然いない)ではれいわ新選組山本太郎などと違い、新党成功の見込みがない」ので松竹もそんなことはしない。
 とはいえ「展望がない」とは松竹も恥ずかしくて言えないのでしょうが。
 なお、以上は松竹記事に投稿しますが掲載拒否でしょう。「賛同コメント」しか掲載しない松竹のデタラメさには心底呆れます。
【追記】
 コメント欄でご指摘の中北(1968年生まれ、元一橋大教授)ですが、以下の通り、中央大学は中北以外にも「定年退職前の他大学の教員をかなりスカウトしてる」ようですね(中北より若い人間もいる)。失礼ながら「地方国立大の熊本大」はともかく、「上智や東北大」が「中央より知名度が低い」わけでもないので、中央がよほどいい条件を出したのか?
 「大して愛校心もない」のですが、中央OBとしては「中央生え抜きは?」的な寂しさが多少あります。

中央大学の人物一覧 - Wikipedia参照
◆澁谷雅弘(1966年生まれ、元東北大学教授(租税法))
◆宮城大蔵(1968年生まれ、元上智大学教授)
 専門は戦後日本外交史。2005年、著書『戦後アジア秩序の模索と日本』(2004年、創文社)でサントリー学芸賞受賞。著書『「海洋国家」日本の戦後史』(2008年、ちくま新書→増補版、2017年、ちくま学芸文庫)、『現代日本外交史:冷戦後の模索、首相たちの決断』(2016年、中公新書
◆秋吉貴雄(1971年生まれ*14、元熊本大学教授)
 専門は公共政策学。著書『入門・公共政策学』(2017年、中公新書

*1:2016年、かもがわ出版

*2:これについては「保守化・右傾化の構造」研究会のレジメから・1 | 松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Amebaで松竹が触れていますが、会の詳細については松竹が説明しないので全く不明です。

*3:2021年、集英社新書

*4:2023年、文春新書

*5:コメント欄のご教示により修正しました。

*6:著書『官僚技官』(2002年、五月書房)、『日本司法の逆説:最高裁事務総局の「裁判しない裁判官」たち』(2005年、五月書房)、『最高裁裁判官国民審査の実証的研究』(2012年、五月書房)、『増補改訂版・裁判官幹部人事の研究』(2020年、五月書房新社)、『ある軍法務官の生涯:堀木常助陸軍法務官の秋霜烈日記』(2023年、風媒社)など

*7:キッシンジャー(フォード、ニクソン政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)、国務長官)自身がニクソン訪中をお膳立てし、田中訪中を助長したのに全く奇想天外な陰謀論です。

*8:追記:「デマ屋」は俺の表現であって、五十嵐氏の表現はここまで乱暴な物言いではないですが。

*9:関西大学講師、「日本の戦争責任資料センター」事務局長、「朝鮮人強制連行に関する強制動員真相究明ネットワーク」共同代表(上杉聰 - Wikipedia参照)

*10:1941~2021年。「子どもと教科書全国ネット21」事務局長、日朝協会事務局長等を歴任(俵義文 - Wikipedia参照)

*11:著書『徹底検証神社本庁』(2018年、ちくま新書

*12:追記:「寄与」という表現には吹き出しました。「寄与=誰かが作る新しい政治勢力に松竹が参謀、アドバイザーとして協力する」ということでしょう。つまりは「野党共闘を支援する市民連合(主役はあくまでも野党各党)」「日本共産党を支援する全国革新懇(主役はあくまでも共産党)」みたいなもんであって「主役」とは言いがたい。松竹に好意的らしいこの研究会ですら、「松竹自身が新しい政治勢力として出現」することを期待してないわけです。

*13:しかも除名反対運動も大して大きくない

*14:秋吉貴雄 - Wikipediaによれば2000年(29歳)で熊本大学助教授、2011年(40歳)で熊本大学教授だそうなのでかなり優秀なのでしょう。29歳では助教や講師、40歳では准教授が普通ではないか。