今日の産経ニュース(2023年5/27日分)(追記あり)

LGBT法廃案求め女性デモ 性自認の弊害に懸念 - 産経ニュース

 デモの参加者は約20人にとどまった。

 産経ですらこう書くレベルの「参加者の少なさ」です。「LGBT法で、女性トイレや女風呂にトランスジェンダーを自称する男性変質者の増加の危険ガー」という「デマの垂れ流し」では当然でしょう。


防弾チョッキは米国も逮捕時のみ 「常時」は非現実的 - 産経ニュース大渡美咲

 今回の事件では当初、「女性がナイフで刺された」との通報で、青木容疑者の銃器の所持は不明だった。
 公共政策調査会研究センター長の板橋功氏は「(ボーガス注:銃の所持が認められ)銃器犯罪が頻繁にある米国などと違い、日本では銃器が使われる犯罪は少なく、警察官全員が動きの制限される防弾チョッキを付けるのは現実的ではない」と指摘する。銃社会の米国でも、逮捕などの強制措置を取る際は防弾ベストを着用しなければならないが、他のケースでは、刑事の判断に任されているという。

 「平和ぼけ」と放言するかと思いきや、産経とは思えないまともな記事です。こういうまともな記事だけ書いてれば誰も産経批判をしないのですが。
 今回の件で「防弾チョッキの不着用」は「犯人が銃器を所持していること」を把握していなかったため、「落ち度」とは言えず、「不運」としか言えないでしょう。そもそも銃器でいきなり警官を狙撃して死なせるような無法は普通の人間は躊躇しますし。
【追記】

防弾チョッキを着用していたとしても…複数の警察官殉職は90年以来 長野県警本部長「痛恨の極み」― スポニチ Sponichi Annex 社会
 防弾チョッキは万能ではなく「至近距離から猟銃で散弾を撃たれたら、致命傷を防ぐのは難しい。そんな状況を想定した装備でもない」(警察庁幹部)との声もある。

一つの事件で警察官2人殉職は1990年以来 幹部「教訓導く必要」 | 毎日新聞
 目撃者らによると、2人は現場到着直後にパトカーの窓ガラス越しに銃撃されたとみられ、防護は困難だったとみられる。ある警察幹部は「銃使用の情報がない時でも常に重い防弾チョッキを着て出動することや、パトカーの窓を全て防弾ガラスにするのは現実的ではない」と吐露する。

一つの事件で警察官2人殉職は1990年以来 幹部「教訓導く必要」 | 毎日新聞
 長野県中野市で起きた立てこもり事件のように、一つの事件で警察官2人が殉職する事態は過去30年以上なかった。1990年11月、沖縄市暴力団抗争の警戒中だった警察官2人が組員と間違えられて拳銃で射殺された事件以来とみられる。89年5月には、東京都練馬区の派出所(交番)で警察官2人が元自衛官に刺殺される事件もあった。

 公務中の警官を複数殺害すれば「死刑の可能性が高い」ですからね。普通躊躇するでしょう。
 実際、毎日新聞が紹介する1989年の事件中村橋派出所警官殺害事件 - Wikipediaではまだ執行されてないとは言え、死刑判決が確定しています。
 1990年の沖縄の事件については以下を紹介しておきます。

旭琉会抗争30年「死んでも骨を掘り起こす」 同僚を亡くした沖縄県警、執念の捜査 - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト2020.11.23
 元県警刑事部長の稲嶺勇さん(77)は、今でも後悔の思いが消えない。実行犯の一人の受刑者=殺人罪などで服役中=を立件できたが、犯行を指示したとされる又吉建男容疑者(71)はいまも逃走中で死亡した可能性が高いとされている。

沖縄・旭琉会抗争から30年、2警官殺害の又吉容疑者の捜索続く 強まる死亡説 - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト2020.11.23
 1990年11月、暴力団抗争の最中、対立組織の組員と間違えられ、警察官2人が殺害された事件から23日で30年がたった。県警は実行犯の一人で全国指名手配中の又吉建男容疑者(71)が死亡した可能性が高いとみており、被疑者死亡のまま殺人容疑などで書類送検する方針で捜査を進めている。
 2000年10月には京都府内の病院を受診し、がんの進行で脊髄への転移も確認されていたことから、すでに死亡しているとの見方が強まっている。
 琉球新報の取材に応じた指定暴力団旭琉会幹部は「数十年前に又吉は重病と聞いていた。今はもう生きていないだろう」と語った。

沖縄の暴力団抗争、指名手配の男は今どこに…組幹部「恐らく、生きていないだろう」 殉職警官33回忌 - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト2022.11.24
 1990年の第6次暴力団抗争*1のさなかに、凶弾に倒れ殉職した沖縄県警の比嘉正雄警部=当時(43)=と拝根正吉警部補=当時(42)=の33回忌慰霊式が23日、沖縄署の慰霊碑前で開かれた。

【追記終わり】


【産経抄】5月27日 - 産経ニュース

▼昭和7年5月、青年将校らが首相官邸を襲い犬養毅*2首相を殺害した五・一五事件が起きる。すると、青年将校らには純粋に政党政治の腐敗を憂えて決起したのだと同情が集まり、全国から減刑嘆願書が殺到した。

 犬養暗殺(1933年5月)以前から日本では「山本宣治代議士暗殺(1929年)」「浜口*3首相狙撃(1930年:狙撃の傷が元で濱口は首相を病気退任し、1931年に死亡)」「血盟団事件(1932年2~3月、井上*4前蔵相、三井財閥総帥・団琢磨を暗殺)」と「右翼の暗殺(未遂含む)」が横行していました。
 また、産経が書くような「テロ擁護の風潮」がその後の「永田鉄山陸軍省軍務局長暗殺(1935年)」「226事件(1936年、斎藤*5内大臣、高橋*6蔵相、渡辺*7陸軍教育総監を暗殺)」といったテロを助長したとされます。
 なお、515事件は当初は「襲撃対象は首相官邸、牧野*8内大臣*9官邸、立憲政友会、立憲民政党日本工業倶楽部(当時の財界団体)、華族会館の6ヶ所で、襲撃後は東郷平八郎*10元帥による戒厳令政府を設立し、荒木貞夫*11陸相らによる軍閥内閣を樹立して国家改造を行うというクーデター計画(五・一五事件 - Wikipedia参照)」でその点は「真崎甚三郎*12による軍部内閣」を目指した226事件と似ています。但し、515のメンバーには226ほどの行為をやる力が幸いにもなく最終的には「犬養暗殺止まりで終わった」と言う話です。

▼昨年7月8日の安倍晋三元首相の暗殺事件でも、テロリストの境遇や犯行動機が大々的に報じられるにつれ、民主主義に挑んだ*13犯罪者は一部でカルト宗教*14と闘う英雄のように持ち上げられ、映画化もされた。この風潮が4月に岸田文雄首相を襲った爆弾テロ事件へとつながる。

 勿論「岸田襲撃犯」が「安倍狙撃に勇気づけられたと自白」等の事実は報じられていないので「根拠レスの決めつけ」も甚だしい。
 なお、「映画は未見」なので評価できませんが多くの人間(俺もその一人ですが)は「山上に同情」し「安倍や統一協会に憤激」し「安倍や統一協会の無法を事実上、容認してきた日本社会に対する慚愧の念、山上ら統一協会被害者に対する贖罪の念を感じた」ものの、さすがに犯行を容認してはいません。

▼長野県中野市で男が猟銃などで男女4人を殺害した事件では、まだ動機は判然としない。テロに甘い社会のありようが招いた悲劇でなければよいが。

 報道を見る限り

ふじみ野市散弾銃男立てこもり事件 - Wikipedia(2022年、1人死亡)

等と同様、「政治性は皆無」のようで言いがかりも甚だしい。
 そもそも「テロリスト(クーデター未遂犯)三島を英雄視する憂国忌」をやる右翼連中(産経のお仲間)の方がよほど「テロに甘い」でしょうに良くも言ったもんです。
 また、日本において

憲兵隊による大杉栄伊藤野枝虐殺(1923年)
◆山本宣治代議士暗殺(1929年)
特高による小林多喜二虐殺(1933年)
浅沼稲次郎社会党委員長暗殺(1960年)
刀剣友の会建国義勇軍)による広島県教組本部狙撃や社民党への脅迫状送付(2002年)

など、多くのテロ事件は「右翼の犯行」で「左翼が犠牲者」でした。

*1:1990~1992年にかけて沖縄県で起きた、旭琉会(翁長良宏会長)と沖縄旭琉会(富永清旭琉会理事長が翁長と対立した結果、旭琉会を脱退して結成した新組織)の抗争事件。なお、2011年に沖縄旭琉会が旭琉会を吸収合併している(吸収合併後に「旭琉會」に改称)(第6次沖縄抗争 - Wikipedia参照)

*2:第一次大隈内閣文相、第二次山本、加藤高明内閣逓信相等を経て首相

*3:加藤高明、第一次若槻内閣蔵相、第一次若槻内閣内務相等を経て首相

*4:濱口、第二次若槻内閣で蔵相

*5:第一次西園寺、第二次桂、第二次西園寺、第三次桂、第一次山本内閣海相朝鮮総督、首相、内大臣を歴任

*6:第一次山本、原、田中、犬養、斎藤、岡田内閣で蔵相

*7:陸軍航空本部長、台湾軍司令官、陸軍教育総監等を歴任

*8:第一次西園寺内閣文相、第二次西園寺内閣農商務相、第一次山本内閣外相、宮内大臣内大臣等を歴任。大蔵卿、内務卿等を務めた大久保利通の次男。吉田茂元首相の義父。麻生太郎自民党副総裁の曾祖父

*9:226事件では牧野は実際に襲撃されている。

*10:連合艦隊司令長官、海軍軍令部長等を歴任

*11:皇道派幹部。犬養、斎藤内閣陸相、第一次近衛、平沼内閣文相等を歴任。戦後、終身刑判決を受けるが後に仮釈放

*12:皇道派幹部。台湾軍司令官、参謀次長、陸軍教育総監等を歴任

*13:山上の犯行動機(統一協会シンパの安倍への憎悪)を考えればそうした評価は妥当か疑問です。

*14:勿論統一協会のこと