今日の産経ニュースほか(2023年6/6日分)

【今村裕の一筆両断】道徳教材から消える『星野君の二塁打』−自己犠牲は時代おくれか− - 産経ニュース
 問題は自己犠牲*1云々ではなく「上(この場合、監督)の言うことを下(この場合、選手)が無条件でハイと受け入れることが正しい」という主旨だと誤解されかねない「星野君の二塁打」は教材としてふさわしくないという話です。
 「納得の上での自己犠牲(例えば野球の送りバント)」ならその自己犠牲が「神風特攻」のような非常識で反人道的な物でない限り、誰も批判しない。
 それにしても

 バントで岩田君を二塁へ送る。これがあのとき、チームで決めた作戦だった。星野君は不服らしかったが、とにかく、それを承知したのだ。いったん、承知しておきながら、かってに打撃に出た。小さく言えばぼくとの約束を破り、大きく言えば、チームの統制をみだしたことになる。チームの統制を乱した者をそのままにしておくわけにはいかない。僕は今度の大会で星野君の出場を禁止したいと思う*2(監督)

という「星野君の二塁打」を美化する産経が

【松竹君の文春新書】
 これ(自衛隊違憲日米安保廃棄の党の立場)があのとき党で決めた方針だった。松竹君は不服らしかったがとにかく、それ(自衛隊違憲日米安保廃棄の党の立場)を承知したのだ。いったん、承知しておきながら、かってに党規約に違反した。小さく言えばぼく(志位)との約束を破り、大きく言えば、党の統制をみだしたことになる。(党規約に違反し)党の統制を乱した者(反党分子)をそのままにしておくわけにはいかない。僕は松竹君を党から除名したいと思う*3(志位委員長)

という志位執行部を非難するのは一体何の冗談なのか?。「松竹君」の場合「星野君」と違って「二塁打=素晴らしい成果」で「チーム=党」に貢献したわけでもないし。
 なお「星野君の二塁打」については以前も

新刊紹介:「前衛」11月号(追記あり) - bogus-simotukareのブログ
 日大アメフト部のタックル事件で、『星野君の二塁打』という小学校高学年の道徳教材が話題になりました。監督の指示でバントを命じられていた星野君は、自分で球を判断して二塁打を放ち、チームは勝利します。ところが、監督は、「チームの輪を乱した」と、バントをしなかった星野君を責めてしまいます。星野君は、自分の頭でどうすればいいかを考えてはいけなかったのでしょうか。

新刊紹介:「前衛」7月号 - bogus-simotukareのブログ
渡辺雅之「日本教科書の危なさが突出し、全体が巧妙化する」ほか - 紙屋研究所
 例えば「ルールを守りましょう」ということは一見すると否定しがたい徳目である。
 有名な「星野くんの二塁打」という教材などはまさにそれだろう(バントをしろという監督の指示に対してそれに従うというルールを破って星野くんはヒットをしてしまう。試合は勝ったが、ルールを破ったことを咎められる)。この教材を教科書で読んで「ルールを守ろう」という徳目を教え込まれる、ということは、
1)「はいはい、ルールを守ればいいんでしょ」という空虚なタテマエを生徒に植え付ける。
2)ルールを絶対視するという態度を育んでしまう。
という2点において危惧がある。

で触れたので紹介しておきます。


LGBT法案9日審議入り 即日採決へ 与党方針 懸念払拭見通せず - 産経ニュース
 会期末(6/21)までまだいくらか余裕があるのに即日採決とは早期解散狙いなのか。
 勿論そうだとしても受けて立つだけですが。
 それにしても「9日審議」なら即日採決はあまりにも不誠実だし、9日に採決したいなら何故もっと早く審議入りしなかったのか。
 早期解散云々だけでなく「野党側(立民、共産、社民)からも、自民党内ウヨからも批判を受けたくない(批判の方向性は逆ですが)→できる限り審議したくない、しかし法は成立させて、LGBTの権利をそれなりに守ったという面子は保ちたい」という不誠実さが透けて見えます。

 維新などは与党案をベースに「性同一性」「性自認」の英訳である「ジェンダーアイデンティティー」に改めた。

 維新らしい意味不明さで全く呆れます。


維新・馬場伸幸代表“政権奪取計画”を独占告白「組むなら菅さん&萩生田さん」「岸田さんはアカンなあ」 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]
1)光文社フラッシュが維新押しのウヨ雑誌だと言うこと
2)維新が「反自民」ではなく「反岸田、親安倍(菅、萩生田など安倍に近い自民の面子との連携)」をアピールしようとしてること
はよく分かります。2)など、「泉の維新すり寄り」の破綻を改めて示していると言っていいでしょう。しかし果たしてこうした「反岸田、親安倍」は日本国民にどう評価されるのか。俺などは改めて「維新の極右性にドン引き」ですが。


「事務所は調査を」 桜井翔さんが性加害問題で発言 - 産経ニュース
 「日テレ『ニュースゼロ』のキャスターなのに何も言わないのか」「ならばキャスターを辞めてはどうか」「日テレも櫻井もふざけてる」等の批判に耐えきれず、ついに櫻井が発言したそうです。
 なお、

「事務所は、話したくない人の口を無理やり開かせることなく、プライバシーを保護した上でどのようなことが起こっていたのか調査してほしい」
「(ボーガス注:ジャニーズ事務所を退所し)新しい人生を歩んでいる人たちを含めて(ボーガス注:性被害を受けてないのに受けているのでは?と)あらぬ臆測を呼び、今回の問題の対象になってしまうことは、何よりも避けなくてはいけない」

というのは全くその通りです。「プライバシー保護」が「調査しないこと」の言い訳では困りますが「調査」は「プライバシー侵害」「憶測」を正当化しません。


【主張】ガーシー容疑者 逃げ得許さぬ前例とせよ - 産経ニュース
 海外逃亡犯(UAEから帰国したガーシー)つながりで「レバノンのゴーン」に悪口する駄文ですが「背景事情が違う」ので「ゴーン等、他の海外逃亡犯も日本警察は捕まえろ」「受け入れ国(レバノン等)はふざけてる、日本をバカにしてる」等といっても何がどうなるもんでもありません。
 どう見てもレバノンは国ぐるみでかばってますからね。「北朝鮮よど号一派」庇護などもそうですが。


【政界徒然草】立憲共産党へ深化か 野党第一党が分かれ道に到達 - 産経ニュース
 緊急事態条項改憲に反対しただけで「立憲共産党」呼ばわりとは産経らしいデタラメさです。共産だけでなく、社民、れいわもそうした「改憲には反対」ですし、世論調査に寄れば自民党支持層ですら「全員賛成」ではなく、勿論反対派はいます。
 そもそも「緊急事態条項改憲への賛否」は共産主義と関係する話でもない。
 むしろ「旧ソ連」など「過去の共産国」の方がそうした「緊急事態条項改憲」的考えには親和的でしょうに。
 なお、「緊急事態条項にあたる戒厳令」があった戦前ですら「民衆暴動である日比谷焼き討ち事件(1905年)」「関東大震災(1923年)」「陸軍のクーデター未遂・226事件(1936年)」の三件しか戒厳令の発動はありません(戒厳 - Wikipedia参照)。
 今の日本において地震はともかく「(緊急事態条項が必要なレベルの)民衆暴動」「自衛隊のクーデター」は考えられないし、地震とて「阪神大震災(1995年)」「東日本大震災(2011年)」でそんな物は必要なかった。

*1:そもそも「星野君」の主旨は自己犠牲でもなければ、「上の命令をハイで聞け」という上意下達でもなく作者の意図としては「結果論でルール違反を容認すると『満州事変を結果論で容認し、あげく自滅した日本』と同じ事になる」という「結果オーライ論」批判でしょう。星野君は二塁打ではなく「凡打でゲッツー」の危険性もあったわけです。

*2:監督と選手では上下関係があり、対等な立場では無いとは言え、この小説において「禁止する」と言う命令ではなく「出場を禁止したいと思うがどう思うか?」「事情がどうあれいったん承知したことを勝手に撤回することは不誠実ではないか?」と監督が聞いていることに注意しましょう。やはりこの小説の主旨は少なくとも作者の主観においては「結果オーライ論批判」であるとみるべきでしょう。

*3:俺的には「異議なし」「反党分子・松竹が党から除名されるのは当然」ですね。