今日のロシアニュース(2023年6月11日分)(副題:ダム崩壊事件&TBSの偏向報道に呆れる、ほか)

ダム決壊作戦の誘因はどちらの側に強かったか?――「水の武器化」はロシア軍かウクライナ軍か―― | ちきゅう座
 この論文が「どちらが有利になった」と評価してるかについてはあえて触れません。
 私見を言えば「これこれこういう証拠があるからロシア(あるいはウクライナ)の犯行」というならともかく「どちらが有利になったか」で「ロシア(あるいはウクライナ)の犯行」と決めつけることはやめるべきでしょう。「結果的に有利になったこと」は犯人であることを必ずしも意味しないからです。
 この「結果的に有利になった奴が怪しい」理論では「本能寺の変の黒幕は、天下人になった豊臣秀吉」「ケネディ暗殺の黒幕は大統領に昇格したジョンソン副大統領」「朴正熙暗殺の黒幕はその後、大統領になった全斗煥」になってしまう。
 しかも今回の場合「ロシアもウクライナも大した利益がなかった」と見る見解が強いからなおさらです。


ロシア“41に分裂”の現実味 求心力がなくなったプーチンにあるのは遠心力【報道1930】 | TBS NEWS DIG

 ロシアは21の共和国から構成される連邦国家だ。民族は実に195に及ぶ。
 ロシア連邦が、ウクライナ戦争で敗れた場合、ソ連が崩壊した時同様15~20の国に分裂する可能性を指摘するのはイギリスのシンクタンク『王立国際問題研究所』のアッシュ氏だ。
 アッシュ氏の予測よりも辛辣な分裂地図を表したのは、ウクライナ・キーウでコンサルタント会社を運営するマガレツキー氏。戦後ロシアは41の国に分裂するという。

 報道特集では無いとは言えTBSのジャーナリズムは今もまだ死んだまま:「ウクライナ国営放送日本語版」に成り下がったTBS『報道特集』と金平茂紀氏: 白頭の革命精神な日記と言う批判が該当するTBSのトンデモぶりです。
 勿論「将来的には」1)ロシア敗北→2)プーチン失脚→3)ソ連崩壊のようなロシアの崩壊(というか、チェチェンなど一部の少数民族自治区の独立)があるかもしれない。しかし少なくとも現時点ではそんな兆候は何処にもないでしょう。
 1)自体がまだ「どうなるか分からない」上に、仮に1)が起こったとしても、それは必然的に2)にはならないし、2)も必然的に3)にはならないでしょう。
 特に酷いのが「英国王立研究所」ならまだしも「個人のコンサルタント会社」という怪しげな物を平気で持ち出してることです。


プーチン体制崩壊の予兆か?ロシアで「民間軍事会社」乱立の3つの事情 | TBS NEWS DIG (1ページ)
 これまたTBSのトンデモぶりを示す記事でしょう。「引用は省略しますが」ワグネル以外の「民間軍事会社の乱立」を「プーチン体制崩壊に備えて、身の安全を守るため、自分の手駒となる私兵部隊をプーチンの部下たちが整備している」と勝手に解釈した上で「プーチン体制崩壊の予兆か?」とまでタイトルに書くのはまともではないでしょう。


【記者発】ナディアばあちゃんのアイデア ワシントン特派員・大内清 - 産経ニュース
 ナディアと言えば俺的にはふしぎの海のナディア - Wikipedia(1990~1991年にNHKで放送)のヒロインですがそれはさておき。

 現地で宿泊させていただいたお宅で、おばあさんのナディアさん(63)が言う。
「この戦争は日本にとってチャンスよ。いまのうちにロシアから領土を取り返しなさい」
 先の大戦終戦直後にソ連(当時)が不法占拠した北方領土のことだ。ウクライナが露軍と戦っている間に日本が北方領土を奪還すれば、ロシアを挟み撃ちにできるじゃないの―というわけだ。
 私はオロオロしつつ「日本は北方領土の返還を諦めていません。でも、憲法で武力による紛争解決*1を放棄しているんです」というような説明をした。

 産経の捏造ではなく事実だとしても、本気で言ってるとはとても思えず、日本人に対するこびでしょう。
 馬鹿馬鹿しいと思いますが、「実害もない」のでナディアさんについては大目に見てもいい。大目に見れないのはこんな与太を記事にする産経です。
 「丸山穂高か!」と心底呆れます(丸山については例えば北方領土を戦争で奪還するというのがここまで批判されるのなら、拉致被害者の自衛隊による救出というのももっと批判されるべきだ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照)。
 例えばアルゼンチンは「フォークランドマルビナス諸島)の領有権」を諦めてはいませんが軍事侵攻なんかしない。それは勿論「軍事的な勝利が難しい」ということもありますが、それ以前に「侵略」と言う国内外の批判が予想されるからでしょう。「小競り合い」はあり得ても、今時、領土紛争を軍事的に解決しようとする国はまずない。
 しかしこういう「丸山穂高レベルの発言」を聞くと「それが事実ならウクライナは大丈夫なのか?」と思いますね。まともな損得勘定をせずにただ反ロシア感情だけで戦争を継続してるのか?。ならば、そんな感情論で行動する「バカの集団」がウクライナであるならば「ウクライナに明るい未来はない」と思います。戦争を継続するにしてもそれはあくまでも「冷静な計算」に基づくべきです。


ダム破壊は「計画以上の結果」ロシア軍の音声か ウクライナ当局が公開
 勿論「声紋鑑定の結果、ロシア軍幹部のAと判明」等の堅い証拠でもない限り
1)ウクライナの捏造
2)ロシア軍兵士の放言(よく知らんけど、ウチの軍がやったらしいぜレベル)
の可能性は否定できないでしょう。これだけではとても「ロシアの犯行」とはいえないかと思います。
 というか、ウクライナ側も「こんな怪しげな代物」を出して、焦って「ロシア犯行説」を確定しようとしなくてもいいでしょうにねえ(苦笑)。

*1:憲法九条云々以前に「国際法違反の侵略」でしょう。また、そんなことをウクライナNATO諸国が希望してるとも思えない。