黒井文太郎に突っ込む(2024年7月10日分)(追記あり)

黒井文太郎
 ハメネイ*1がハニヤ暗殺直後に「報復は義務」と明言したことです。イランは何かを必ずやることになります。

 自国内で「国賓ハマス最高幹部のハニヤ)を暗殺されたら」、面子上、そう言わざるを得ないでしょう。
 そうしないと「イラン国内強硬派へのガス抜き」「ハマスに対する面子維持」ができないし、イスラエルが「イランを舐めて」さらなる暴走する危険性もある。
 当然「何かする」でしょうが、さすがに「前回同様(浅井基文イランのイスラエルに対する軍事行動参照)」全面戦争はしないでしょう。
 またマスコミが報じる

米、イランに報復自制呼びかけ 中東は「重要局面」:東京新聞 TOKYO Web
 ブリンケン*2国務長官は5日、カタールムハンマド首相兼外相、エジプトのアブデルアティ外相とそれぞれ電話会談し(中略)カタール、エジプト両国に対し、イランにイスラエルへの報復攻撃自制を呼びかけるよう求めた。

ロシア大統領、イランにイスラエル民間人の犠牲回避要請=関係筋 | ロイター
 ロシアのプーチン大統領は、イスラム組織ハマスのハニヤ最高指導者の暗殺を巡るイランの対応について、イスラエル民間人への攻撃を控え、抑制的に行うようイラン最高指導者のハメネイ師に伝えた。

等のイランに自制を求める「米国や、親米アラブ諸国(エジプト等)」「ロシア」の「働きかけ(勿論、イランの面子が立つような話)」によっては「あんたらの顔を立てる」として「何もしない可能性」も勿論あります。
 バイデンもこの時期に「中東で紛争激化」では「トランプが『俺が大統領ならこんなことにならなかった』と民主党を攻撃する→大統領選に悪影響」なので必死に動くでしょう。それに期待したいところです。
【追記】
ガザ停戦交渉、行方を見守るためイランが報復攻撃を延期か…エジプトで協議再開の予定 : 読売新聞
 停戦交渉中に報復なんかしたら、ネタニヤフに停戦交渉破棄の口実を与え、彼を有利にするだけですからね。
 とはいえ、

 ハマス幹部は16日、中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラに「(イスラエルが)無理な条件を課そうとして、合意を妨げている」と語った。

であり今後どうなるか予断を許しません。

黒井文太郎
 本日のBSフジ「プライムニュース」で、イランとイスラエルの対立で誰が得するかという話が出ました。
 発言機会はなかったのですが、得してるのはイランですね。中東地域でイスラエルとその支援者である米国に対する批判を拡散することに成功してます。

・「ガザ攻撃で民間人を多数殺害」「イラン国内でハニヤ暗殺」など無茶苦茶なことをやるイスラエル
・それを容認する米国
への批判を「イランが得してる」と表現する黒井のクズさ、あほさには心底呆れます。「米国、イスラエル批判派=全てイラン支持」とネガキャンしたいのか?。
 大体「国内でハニヤを暗殺」されて「面子を潰された」イランが「得してる」とはとても思えません。
 なお、俺が考える「得する人間」はトランプです。「俺が大統領ならこんな事態にならなかった、バイデンだからこうなった」と放言して、選挙で有利になる可能性がある。それを織り込んでのネタニヤフによる「ハニヤ暗殺」ではないか(トランプはバイデンに比べイスラエル寄り)。そうしたネタニヤフの「画策」が成功して、トランプが大統領になれば「イスラエル(というかネタニヤフ)」が得することになります。しかしそうしたネタニヤフの思惑に気づきながら「ネタニヤフ批判がぬるい」バイデン民主党には呆れます。

黒井文太郎
 イランでは下っ端にすぎない大統領に権限などない

 勿論イランの最高指導者は「ハメネイ師」であり、大統領には「限界がある」事は確かです。
 「戦前日本での天皇ハメネイ、首相=イラン大統領」のような関係でしょうが、ここまで軽く扱っていい存在では明らかに無いでしょう。アンチ「イラン」の黒井が結論ありきの話をしてるだけです。
 そもそもハメネイが最高指導者になる前に一時「大統領を務めたこと」は明らかに最高指導者就任に有利に働いたでしょうし、事故死したライシ*3前大統領はマスコミ報道に寄れば「ハメネイ後継(次の最高指導者)」の有力候補の一人でした。黒井の主張通り(大統領など下っ端)だったらそんなことはあり得ない。
 また「イランの選挙管理委員会に当たる組織(保守派の支配下にある)」が「資格審査」の口実で「改革派の出馬」を今回「1人しか認めない(他の改革派は候補者資格を否定、その結果、ほとんどの候補者が保守派)」なんてことをする必要は無いでしょう。
 あるいは保守派批判の盛り上がりによって2回目の決選投票で「改革派の大統領ペゼシュキアン*4」が誕生したりしない。
 勿論「過去の改革派大統領も保守派の厚い壁に阻まれて、あまり何もできなかった」として棄権した国民もいますが、一方で「改革派の当選」に動いた人間もいるわけです。
 保守派も「何処まで妥協するか」はともかく「全く妥協しない」わけにもいかないでしょう。ある程度は規制緩和が起こることを期待したい。

参考

イラン大統領選は「出来レース」か、改革派ペゼシュキアン氏の勝利はハメネイ師の思惑通り?選挙操作の可能性も 慶大・田中浩一郎教授に聞く(1/5) | JBpress (ジェイビープレス)
 「不思議」なのは、6月28日の開票プロセスです。私は今回、イランの指導層が(ボーガス注:保守派の意見が分裂し、保守派が一致団結して押せる候補がいなかったが為に)「改革派に勝たせてもいいか」と半ば諦めの境地にあったのではないかと見ています。
 開票が始まると、けっして前評判の高くなかったペゼシュキアン氏がジャリリ氏*5をリードしたからです。7月5日の決選投票後にジャリリ氏が潔く負けを認め、保守派支持層からの反発も起きていない

 ということで勿論「保守派批判の高まりでペゼシュキアンが当選したこと」は確かでしょうが、
1)あらゆる手段を使って保守派を勝たせてもかえって保守派への批判が強まる
2)むしろペゼシュキアンを当選させた方がいい(彼が当選すれば、国内外の保守派批判が弱まる一方で、彼も最高指導者ハメネイなど保守派の政権有力幹部を無視して好き勝手はできないだろう)
と途中から「保守派」が「保守派の一部に留まる」としてもペゼシュキアンに投票した「片八百長の可能性(つまり、リクルート事件批判に対応して竹下派が一時的に、傍流の海部首相を担いだような話)」が指摘されてますが、仮にそうだとしても「保守派を無理に当選させたらかえって保守派批判が高まる」と逃げ腰になること自体、改革世論の高まりでは無いか?

*1:国防次官、イスラム革命防衛隊司令官、大統領、最高国防会議議長等を経て最高指導者

*2:オバマ政権副大統領補佐官(国家安全保障担当)、国務副長官等を経てバイデン政権国務長官

*3:検事総長、司法第一副長官、司法長官等を経て大統領

*4:保健医療相、国会第一副議長等を経て大統領

*5:外務次官、国家安全保障最高評議会書記等を歴任