清張も「アレ」に手を出していた - kojitakenの日記
【ネタバレあり】松本清張『ガラスの城』、宮部みゆき『ペテロの葬列』『理由』を読む - KJ's Books and Music
アレとは「いわゆる叙述トリック」、作品は「ガラスの城」です。
以前小生も以下の通り、この作品に触れています。
「本格ミステリ」の意味がわからない(ネタバラシあり)【追記アリ】 - bogus-simotukareのブログ
一般には日本では「本格のライバル」としては長い間「社会派」というものがいてその雄が松本清張だったわけです。
ただ清張の代表作「点と線」はアリバイトリック崩しもの*1だし、短編小説「一年半待て」は一般に「本格派扱いされる」クリスティの「検察側の証人」の「清張流換骨奪胎*2」のわけです。短編「紐」も「アリバイトリック崩しか」と思わせて*3最後の落ちが「え、そういうトリックなの?*4」というのは何か「いわゆる本格ぽい気がします」けどね。
「ガラスの城」なんて叙述トリックもの*5もあります。ガラスの城 (松本清張) - Wikipedia
「三上田鶴子の手記」と「的場郁子のノート」の二部構成となっている。2-5 「新本格」以降 - 新・叙述トリック試論(孔田多紀) - カクヨム
押野武志*6「不連続殺人事件:本格ミステリと叙述トリック」(二〇〇六)も作品論。
松本清張『ガラスの城』(一九六二~六三)をとりあげます。同作は第一部が「三上田鶴子の手記」、第二部が「的場郁子のノート」という、手記形式の二部構成有沢翔治の読書日記 : 松本清張『ガラスの城』(集英社)
いくつかのトリックが使われているのですが、目次を見た瞬間に一つは察しがつきました。読み進めていくと案の定、「信頼できない語り手」でした。そもそも手記やノートが出てきたら、いや、一人称の推理小説は叙述トリックをまず疑ってかかるべきです。つうことで「第三者の立場からの叙述」というありがちな書き方ではなくわざわざ「手記」を使ってる、てことで勘の鋭い人は「これはアクロイド殺しみたいな叙述トリックか?。叙述トリックが使いたいから手記なのか?」と勘づくかも知れませんけど。俺は気付かなくて「え、叙述トリックなの?」とびっくりですよ。相手が「社会派」「非本格扱い」される清張なので「油断してた」てのもありますけど、まあ、俺はミステリでは犯人あてとかできなくてすぐミスディレクションに引っかかりますね。
まあ、「砂の器」なんかは一応謎解きとは言え本格とは言えないかなとは思いますけど。