【最初に追記】
ボクシング女子性別騒動のヘリフ、金メダルに「敵がこの栄光を特別なものにした」 - 産経ニュース2024.8.10
パリ五輪のボクシング女子で性別を巡る騒動の渦中にいる66キロ級のイマネ・ヘリフ(アルジェリア)が9日、決勝で楊柳(中国)に5―0で勝ち、初の金メダルを獲得した。「女性として生まれ育ち、競技をしている。疑いの余地はない。成功を望まない敵や私への攻撃がこの栄光を特別なものにした」と強調した。
自身の性別を巡ってインターネットで誹謗中傷が相次ぎ「ネット上での攻撃は極めてひどかった。いじめはやめてほしい。将来の五輪で同じようなことが起きないように願っている」と訴えた。
国際ボクシング協会(IBA)が主催した昨年の世界選手権では性別適格検査で不合格となり、IBAから「男性」と指摘されていることに「彼らは私が嫌い。なぜ嫌われているかは分からない。自分の尊厳、名誉は何にも勝るものだ」と力を込めた。
金メダリストの性別騒動ボクサー2人が旗手 パリ五輪閉会式、米国はレデッキー - 産経ニュース2024.8.11
大会組織委員会は11日、各国・地域の閉会式旗手を発表し、ボクシング女子で、ともに性別を巡る騒動の渦中で金メダルを獲得したイマネ・ヘリフ(アルジェリア)と林郁婷(台湾)が名を連ねた。
ということで金メダル獲得だそうです。
性別騒動のボクシング女子アルジェリア選手 誹謗中傷で刑事告訴 パリ五輪 - 産経ニュース
パリ五輪のボクシング女子で、性別を巡る騒動の渦中で66キロ級を制したイマネ・ヘリフ(アルジェリア)が、インターネットなどで誹謗中傷を受けたとしてフランス捜査当局に容疑者不詳で刑事告訴したと11日、弁護士が明らかにした。「女性蔑視で人種差別的な行動だ」と批判する声明を出した。
誹謗した連中はそれなりの罰を受けるべきです。
【追記終わり】
「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2024年8/4日分:島田洋一の巻)(副題:パリ五輪女子ボクシングの性別問題ほか) - bogus-simotukareのブログの続きです。偶然、ある「疑惑」を知ったので。
mutevox
IBAはプーチン大統領と近い関係があると言われているロシアのウマル・クレムレフ氏が会長を務めている。 AP通信によると、ケリフ選手は世界選手権でロシアのアザリア・アミネバ選手に勝利した後に失格になった。ケリフ選手が失格になったことで、アミネバ選手の無敗記録が復活した。 IOCは2019年に、ガバナンスや汚職などの問題を理由にIBAを資格停止処分にし、2023年には問題を解決できていないとして、国際統括団体としての承認を取り消している
すすき
> ロシア人のクレムレフ(IBA)会長はプーチン大統領に近く、五輪に対抗するロシア主導の競技大会「フレンドシップ・ゲームズ*1」にも関わっている。
> AP通信は、ヘリフ選手が昨年の世界選手権で、ロシア選手に勝った後に失格になったと報じている。
きな臭くなってきたぞ?。ソースが有料記事で申し訳ない
IOCとIBAの確執 影響 ボクシング性別問題 : 読売新聞
パリ五輪ボクシング女子の性別騒動 「男性並みテストステロン」根拠あいまいのまま決勝に - 産経ニュース
IBAのクレムレフ会長がロシア人で、プーチン大統領に近いことが、問題解決を難しくしている。
性別判断を巡っては7日、米ニューヨークの国連安全保障理事会で応酬があった。ロイター通信によると、露外交官は「五輪で女性選手が暴力にさらされている」と発言。西側がLGBT(性的少数者)問題を押し付けていると主張した。アルジェリア側は、ヘリフを女性だと認めないのは「政治的意図を持つ勢力だけ」とロシアをなじった。
【解説】女性ボクシング選手誹謗中傷の背景。パリ五輪前に両選手を「失格」としたIBAはどんな組織か | ハフポスト WORLD
ケリフ選手と林選手を失格にしたIBAだが、長年ガバナンスや財務面の透明性、審判の不正疑惑などの問題が指摘されてきた。
IBAのクレムレフ会長はロシア出身でプーチン大統領にも近い関係と言われており、2021年にはロシアの国営企業ガスプロムを主要スポンサーとして迎え入れた。
真偽不明ですが、これが事実なら「話は大きく変わってきます」*2。
「トルコの選手の件」は最初から「ロシア選手を有利にするため」の「プーチンの子分(クレムレフ)の言いがかり」というふざけた話ですから。
「台湾の選手の件」も「中国とは友好関係にあるプーチン」が「中国に気に入られるため」に子分「クレムレフ」に「とにかく台湾の選手を失格にしろ」と言ったのかもしれない(「中国がプーチンに依頼した」という話では必ずしもない)。
いずれにせよ
国際ボクシング協会の「排除」を決めたIOC…史上初の制裁が意味するもの(結城和香子*3)2023.6.23
英米の報道などにもよると、プーチン露大統領にも近いとされるクレムレフ氏は2021年、ロシア国営のエネルギー企業「ガスプロム」を単独のスポンサーに迎えた。IOCの警告に、表向きは契約更新をしないと表明しつつ、関係を維持していると見られている。
IBAの実務をスイス・ローザンヌからロシア国内に移し、2022年、ロシアのウクライナ侵略でIOCが発したロシア・ベラルーシ選手の国際大会からの除外勧告を、同年10月に独自に解除した。
ということでクレムレフ会長が「プーチン寄り」であることは確かなようです。
産経も「反ロシアが社是」「IBAにはプーチンの息がかかってる疑いがある」からか、拙記事「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2024年8/4日分:島田洋一の巻)(副題:パリ五輪女子ボクシングの性別問題ほか) - bogus-simotukareのブログで批判した島田(トランプシンパで、トランプはIBAを支持、島田もトランプに同調しIBAを支持)が「男が女子ボクシングに参加していいのか!」とIBA非難してるのに対して、IBAに懐疑的ですね。
五輪ボクシングの性別判断、基準作りが課題に 人権問題、LGBT政治も背景に - 産経ニュース三井美奈*4
騒動の背景には両組織の対立に加え、性発達が一般の人と異なる「性分化疾患(DSD)」選手への明確なルールが示されてこなかったことがある。
騒動をより大きくしたのは、1日に行われた66キロ級2回戦でアルジェリアのイマネ・ヘリフと対戦したイタリア選手が、試合開始からわずか46秒で棄権したことだった。「男性が女性を殴っている」と批判が広がり、同様に57キロ級に出場している林郁婷(りん・いくてい、台湾)にも論議が及んだ。
IOCは「2人はパスポートに女性と記載され、女性として育った」と強調。IBAは2人の試合出場を長年認めてきたのに、昨年の世界選手権の際に「突然、勝手な決定」に出たと批判した。これに対しIBA側は当時、「XY染色体(男性染色体)を持っていることが判明した」と説明したが、詳細は明かしていない。IBAはプーチン露大統領に近いロシア人が会長を務め、IOCとは絶縁状態にある。
一方、LGBT(性的少数者)の権利を巡る政治対立が論議を難しくしているという側面もある。
IOCのバッハ会長は3日の記者会見で、両選手への憎悪がSNSで拡散されていると懸念を示し、「われわれは政治的意図に基づく文化戦争にはくみしない」と強調した。性別判断をめぐる批判は主に、イタリアのメローニ首相らLGBT権利運動に懐疑的な右派から相次いでいるためだ。
特に男尊女卑が根強い社会で、くず鉄を売ってバス代を稼ぎながら練習場に通い、人生を切り開いたというヘリフに対しては、中東やアフリカの女子スポーツ推進で役割が期待されていた。昨年、アルジェリアの国連児童基金(ユニセフ)は国内親善大使に任命しており、アルジェリア・オリンピック委員会は、性別批判は「倫理違反」だと反発している。
ヘリフ、林両選手はともに準決勝進出を決め、五輪のボクシングでは3位決定戦は行われないため、銅メダル以上が確定した。
【性分化疾患(DSD)】
男女それぞれの性の特徴が形成されていく過程での何らかのトラブルにより、精巣や卵巣といった性腺や性器などが一般的な発達とは異なる先天的疾患。
性別の線引きどこで パリ五輪ボクシング女子で波紋 出場資格、公平・多様性のジレンマ - 産経ニュース
パリ五輪女子ボクシングに、世界選手権で女子として出場を認められなかった選手の参加を容認した国際オリンピック委員会(IOC)の判断に波紋が広がっている。さまざまな性のあり方を受け入れる「多様性」が競技にも求められるようになった。男女の性別に基づいた「公平性」と両立できる基準をどのように設ければいいのか、という問いがスポーツ界に突き付けられたといえそうだ。
スポーツとジェンダーを専攻する中京大スポーツ科学部の來田(らいた)享子教授(60)は「筋力に影響を与えるホルモンや染色体などが、競技の優劣を決める要素に、どのように影響しているのかを科学的に検証する必要がある」と説明する。
例えば、ボクシングの勝敗を分けるパンチ力を左右する決定的な要素は、男性に量が多いとされるホルモンのテストステロンなのか。そうした客観的な裏付けを競技ごとに突き詰め、出場基準を導き出さなければならない。だが、「必要な科学的な証拠が出そろっていない」のが現状だという。
公平性と多様性のジレンマは性別だけにとどまらない。
選手同士の年齢も異なれば*5、(ボーガス注:経済先進国の選手と発展途上国の選手、「プロ選手や、企業の支援を受ける選手」と「誰の支援も受けない完全なアマチュア」では)練習環境にも差がある。そうした多様な事情は不公平とみなされていない。
「競技のレベルや特性も踏まえた丁寧な議論が必要だ」。
元フェンシング女子日本代表で、日本オリンピック委員会(JOC)の理事を務めるトランスジェンダーの杉山文野氏*6(42)はこう話す。
「IBAを支持し、IOCに悪口する」島田とは違い「科学的根拠に基づいた冷静な議論が必要とする」産経のスポーツ記事です。また「男性の女性なりすまし」呼ばわりする島田と違い産経記事は「性発達が一般の人と異なる「性分化疾患(DSD)」選手」と認識し「選手に非はない」としています。
産経は「政治記事は例外なく酷い」のですがスポーツや社会面はまともな記事が載ることもあります。
*1:ウクライナ侵攻を理由に五輪から排除されたロシアが「五輪に対抗する国際大会」として計画。ロシア主催のスポーツ大会延期か 組織委「新たな日程協議」:東京新聞 TOKYO Web(2024.7.17)、ロシア独自開催の「フレンドシップ・ゲームズ」、来年への延期提案…参加者不足か : 読売新聞(2024.7.31)によれば今年9月に開催予定だったが延期され、いつ開催されるかは未定
*2:とはいえ「AP通信が疑惑を報じた」と「読売が報じた記事」が「APや読売のガセ」と言うことも考えづらいですが。APや読売はそれなりに信用できるメディアでしょう
*3:著書『オリンピック物語』(2004年、中公新書ラクレ)、『東京オリンピックの光と影』(2014年、中央公論新社)
*4:2011年、読売新聞パリ支局長。2016年産経新聞入社。2017年、産経新聞パリ支局長。著書『安楽死のできる国』(2003年、新潮新書)、『イスラエル : ユダヤパワーの源泉』(2010年、新潮新書)、『イスラム化するヨーロッパ』(2015年、新潮新書)、『敗戦は罪なのか:オランダ判事レーリンクの東京裁判日記』(2021年、産経新聞出版→2024年、産経NF文庫)(三井美奈 - Wikipedia参照)
*5:勿論、多くの場合、若い方が有利でしょう。
*6:2004年、女子フェンシング日本代表。早稲田大学でジェンダー論を学んだ後、その研究内容と性同一性障害と診断を受けた自身の体験を織り交ぜた『ダブルハッピネス』を2006年に講談社から出版(後に2009年、講談社文庫)。2009年、乳房切除手術を受ける。日本フェンシング協会理事、日本オリンピック委員会理事、NPO法人東京レインボープライド共同代表理事等を歴任。著書『元女子高生、パパになる』(2020年、文藝春秋)(杉山文野 - Wikipedia参照)