総裁選・代表選の争点とNHK【調査会NEWS3850】(R6.8.29)|荒木和博ARAKI, Kazuhiro
「自民党総裁選や立憲民主党の代表選で拉致問題が争点にならないのか」というお話をときどき聞きます。正直「なりません」としか答えようがありません。
例えば税金の話であれば上げるとか下げるとか政策の違いもあるでしょう。しかし拉致問題になった場合「あきらめましょう」という候補者はいるはずがなく、聞かれればおそらく誰でも「拉致被害者の一刻も早い帰国を目指します」と答えるに決まっています(「拉致被害者救出のために自衛隊を使います」という人がいてくれれば違いはでますが)。
総裁選・代表選で拉致問題は争点にならないのか(R6.8.29)|荒木和博ARAKI, Kazuhiroの文字起こし版です(従ってこの駄文を読めば総裁選・代表選で拉致問題は争点にならないのか(R6.8.29)|荒木和博ARAKI, Kazuhiroの動画を見る必要は無い)。
まあ正確に言えば「争点となったとは言えない」でしょうが、過去に石破*1が「安倍三選」総裁選において、出馬し「平壌に常駐事務所設置」を主張したことがありますが、ろくに話題にもなりませんでした(なお、救う会や家族会は石破を非難)。
それはともかく「未だに自衛隊救出論かよ」と荒木には呆れますが、「バーター取引」を主張する人間がいれば争点になるでしょうね。しかし、「バーター取引」を否定する家族会や救う会を恐れて政治家からそういう主張がされない。
全く困った話です。
今思えば
金正恩委員長が拉致被害者を解放する可能性は? – ニッポン放送 NEWS ONLINE
有本*2)
第三国で「拉致被害者の方々とこちらからご家族が行って、会って、そこで偶然行方不明だったのが見つかった」というテイでいいから返さないかという話があったということがありました。これを森さんが当時のイギリスの首相のブレアさんに頼んで、その場所として濃厚だった一つがシンガポールです。旧イギリス領ですね。
森さんはブレアさんに直接日英首脳会談の席で持ちかけたのです。だけどそれが日本のメディアで大騒ぎになって、こんな秘密の作戦を他国の首相にべらべら喋るなんてとんでもないと、森さんはバッシングを受けてしまった。メディア報道がこのプランを潰してしまったという側面もあるのですが、あの当時は日本の総理がとんでもないということにされてしまった。
拉致解決、阻むは「内なる敵」か 「森首相の失態」と同じ構図の「安倍倒閣運動」(1/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト
私は月1回、森喜朗*3元首相の話を聞いている。メディアに毒された人には、にわかに信じ難いだろうが、森氏は驚くほど聡明な人物だ。80歳の病後とは思えぬ記憶力、話の構成力に加え、モノマネまで交える巧みな話術は、現役政治家でもかなう人を私は知らない。
目からウロコなエピソード満載なのだが、9日は「北朝鮮と拉致問題」について聞いた。
森氏が首相時代の2000年10月、全国紙2紙が、北朝鮮の日本人拉致に関する「森首相の失態」を報じた。英国のブレア首相(当時)との会談で、「日本人拉致被害者を第三国で行方不明者として発見する案があったと暴露」と書き、「こんな重大事をペラペラしゃべるなんて」という外務官僚の嘆きを載せ、「首相の資質に欠ける」とたたいたのだ。
新聞報道を受け、テレビなども「森首相は無能だ」などと騒いだ。これは今日展開されている、メディアによる「モリカケ政局」「安倍倒閣運動」と、同じ構図ではないのか。
世界随一の諜報機関を持ち、当時、北朝鮮との国交樹立間近だった英国の首相に、日本の首相が協力を頼んだことは、果たして問題だったのだろうか。
今振り返ると、むしろ日英トップの会話の中身が、容易にメディアにリークされたことの方が大問題ではなかったか。もしこれが、拉致問題解決策を模索していた首相を陥れんがための、何者かとメディアによる連係プレーだったとしたらどうか。
という「第三国で発見論」を主張した森氏は「(神の国発言など他の問題はともかく)その点ではまともだった」と思います。
それにしても日本保守党「有本」が「フジサンケイグループ」ニッポン放送や夕刊フジでコメントなら「森さんは北朝鮮に甘い」と非難しそうなのに逆であるのが興味深い。
経済制裁は効いているのか(R6.8.22)|荒木和博ARAKI, Kazuhiro
令和6年8月22日木曜日「荒木和博のショートメッセージ」第1581号。ときどき聞かれる質問です。「どうせ抜け道があるんだから意味がない」という人もいますが、そうではないと思います。
勿論「制裁(安保理制裁*4でアレ、日本の独自制裁でアレ)が痛くないわけはない」のですが、荒木ら救う会の言う「制裁で拉致解決」と言う意味では「効いてない」のは明らかです。何せ小泉政権時代から20年以上制裁して「拉致解決(拉致被害者帰国)」という意味では何の成果もない。
勿論そうなるのは「中露の経済支援(荒木の言う抜け道*5)があるから」です(そもそも北朝鮮との間に国交が無いこともあり、制裁前においても北朝鮮と日本の間の貿易額は「中露と北朝鮮」「日本と韓国」等と比べそれほど大きくないというのもありますが)。「制裁派」荒木が未だに「そうではないと思います」と強弁したところで「制裁で拉致解決」の見込みが無いことは明白です。
現実的には「制裁解除や経済支援」とのバーター取引以外に解決策はないでしょう。
なお、こうした発言を荒木がするのは
けっきょくこれも、誰かが死なないと事態が動かないということの一例ではないか(北朝鮮拉致問題に関するマスコミの論調変化) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)(2024.5.29)等の論調変化に焦ってるからでしょう。
*1:小泉内閣防衛庁長官、福田内閣防衛相、麻生内閣農水相、自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相等を歴任
*2:著書『中国茶・香りの万華鏡』(2003年、小学館文庫)、『中国はチベットからパンダを盗んだ』(2008年、講談社+α新書)、『なぜ、中国は「毒食」を作り続けるのか』(2009年、祥伝社新書)、『中国の「日本買収」計画』(2011年、ワック文庫)、『「小池劇場」の真実』(2017年、幻冬舎文庫)、『日本保守党』(百田尚樹との共著、2024年、飛鳥新社)等
*3:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)等を経て首相。「文相経験者」「ラグビーワールドカップ日本招致委員会会長、日本プロスポーツ協会会長、東京五輪組織委員会会長(但し、女性差別発言で五輪委会長を辞任)などスポーツ界の要職を歴任したこと」で「スポーツ界のドン」と言われる。また首相退任後も「自らが会長を務めた清和会から3人の首相(小泉、福田、安倍)を輩出したこと」で未だ自民党に無視できない影響力を持つとされる(森喜朗 - Wikipedia参照)
*4:但し安保理制裁は核、ミサイル開発を問題にしており、拉致を問題にはしていませんが
*5:他にも抜け道はあるのでしょうが一番大きいのは恐らく「中露の支援」でしょう。