「家族みんなでキャリア考える」 妻の海外赴任に同行した〝駐夫〟 元記者の小西一禎さん - 産経ニュース
産経がこういう記事を書くことが意外なのでメモしておきます。なお、小西氏には『猪木道:政治家・アントニオ猪木*2』(2021年、河出書房新社)、『妻に稼がれる夫のジレンマ』(2024年、ちくま新書)と言う著書があります。ちくま新書が今回の話と関係しますね。
参考
TBSラジオの人気長寿番組に出演しました » 小西一禎 オフィシャルサイト2024.3.5
1990年にスタートし、朝の首都圏で聴かれている人気長寿番組「森本毅郎・スタンバイ!」に出演しました。
年度替わりの本番シーズンを控え、「転勤」をテーマに、駐夫グループ「世界に広がる駐夫・主夫友の会」代表としてお声がけ頂き、インタビューにお答えしました。「現場にアタック」というコーナーになります。
孤独に悩む「転勤妻」と増える「駐夫」 | TBSラジオ2024.3.5
春は転勤の季節ですが、夫の転勤についていく妻「転勤妻」にとっても、転勤は大変です。
そんな転勤妻が集まるコミュニティがあるんです。
「転勤妻サポートBOOK」という本*3も作ったという転勤族の妻のためのキャリアコミュニティ「kinocom」の代表・山口由香子さんのお話です。◆山口由香子さん
主人と結婚して転勤で香川県に住んで、東京転勤になって今ベトナム。ベトナムに来てから、オンラインでさまざまな方のお話を聞いていく中で、一番多いテーマがキャリアの悩みで、孤独ということを悩みとして持たれていました。自分自身も香川に行った当初は孤独だったので、今の自分だったらそういった方々を繋げることができるんじゃないかと思って、キャリアに関して考えていくコミュニティ「kinocom」を2021年の6月に立ち上げました。(メンバーは)今40名くらい。30代~40代くらいの方が、8割、9割方で、海外に住んでいる駐妻の方が3割。残りは国内で転勤されている方になります。
一番多いのはキャリアにおける悩み。コロナを経てリモートワークが普及してきているので、転勤族の人にとっては、いつでもどこでも働けるようになってきた追い風もある一方で、転勤先に支店がないから、辞めなければならない。海外に行くとリモートでは難しいとか、今就職できたとしても何年先に夫の転勤があるか分からない、次いつどこにいくか分からない、長期のキャリア形成ができないっていうことが難しいところかなと思っています。せっかくできた友人関係も振り出しに戻ってしまいますし、土地勘も分からない、周りに転勤族がいなければ共感してもらうことも難しいという中では、孤独を感じて、うちにこもってしまう方も多いのは現実かなと思います。やはりキャリアに関する悩みが多く「転勤妻」という肩書きがついただけで、就職もなかなか難しいのが現実なんです。山口さんは以前、総合人材サービス会社で中途採用の支援をしていましたが、実際に、転勤妻で仕事のブランクがある方が応募してときに書類選考で落ちてしまうケースを何度も見ていたといいます。
労働力不足が叫ばれる中で、働きたくても働けない、働く機会がないという人がたくさんいることをもっと知って欲しいし、それはもったいないので、もっと転勤妻たちも働きやすい社会になれば、と話していました。
一方、悩んでいるのは転勤妻だけではありません。駐在員の夫「駐夫(ちゅうおっと)」という言葉を作り「妻に稼がれる夫のジレンマ」の著書を持つジャーナリスト 小西一禎さんのお話です。◆ジャーナリスト 小西一禎さん
(ボーガス注:小西『妻に稼がれる夫のジレンマ』(2024年、ちくま新書)で)10人の元駐夫にインタビューしたんですが、男性の働き方・生き方は、なかなか途中下車が許されない、単線で片道のキャリア形成しか容認されない雰囲気はあるのかなと。そこでパートナーの転勤で、キャリアを中断する悩みは根深いものがあると思います。女性がこれだけ社会進出して、当然女性も転勤がある。いずれ直面する道だったと思うんですよ。男性がキャリアを中断する、その原因が女性の転勤ですね。それが「駐夫」という人たちが体現したわけですが、キャリアを中断した後に、どうやってキャリアを再び立ち上げていくのか、そういった決断をする男性に注ぐ目線は、まだまだ決してあたたかいとは言い切れないと思います。男性側の悩みとしては、キャリア中断後のその後の道に加えて、夫が妻についていくことに対して、社会の目は厳しいし、環境も整っていないということ。男性がいつでもキャリア中断を踏み切れる土壌づくりがされていれば、女性も自分が転勤になっても伸び伸びと仕事が続けられます。男性だけが働き続けるという考えはジェンダー平等の観点からもよくないし、まだまだ凝り固まった「性別役割意識」にとらわれている現実を知ってほしいと話していました。
*1:プロフィール » 小西一禎 オフィシャルサイトによれば1996年入社、2020年退社
*2:1943~2022年。元プロレスラー。新日本プロレス創設者。元参院議員(1989~1995年、2013~2019年)(アントニオ猪木 - Wikipedia参照)
*3:これについては例えば“転勤妻”の手助けに 川崎の女性らがサポートブック作成 | NHK(2024.4.23)参照