[B! 文化] ちばてつやさん、文化勲章に笑顔「漫画が悪書ではなく文化の一つになったということ」 皇居で親授式:東京新聞 TOKYO Webでの拙ブクマ
揚げ足取りすれば「国民栄誉賞(長谷川町子*1)」「文化庁メディア芸術祭(2022年で終了)マンガ部門」の時点で既に国のお墨付きがあると思うが
「マンガは悪書」時代だったら、残虐描写が多い沙村広明『無限の住人』は「第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞(1997年)」を受賞することはなかったでしょう。
他にも弘兼は防衛省の紐付き*2だし、外務省が広報にゴルゴ13を使ったこと*3もあるし。
もはや、ちばが文化勲章をもらわずとも「マンガ=悪書」の時代は既に昔の話です(エログロ描写などで「悪書扱いされるマンガ」が一部にあるとしても)。まあ「マンガというサブカル」において「国のお墨付きってそんなに欲しいかなあ」と言う気もしますが。
なお、ちばの文化勲章受章に比べ、つげ*4の旭日中綬章受章があまり騒がれてないように見えますが、それはやはり、彼が
つげ義春 - Wikipedia参照
◆1970年代からは体調不良もあり年に数作という寡作なペースとなる。
◆1987年の『別離』を最後に新しい漫画作品は発表していない。
からなのか。
なお、
つげ義春 - Wikipedia
◆つげファンである竹中直人監督による『無能の人』(1991年公開)映画化を皮切りに石井輝男監督の『ゲンセンカン主人』(1993年公開)、『ねじ式』(1998年公開)、山下敦弘*5監督の『リアリズムの宿』(2004年公開)、片山慎三*6監督の『雨の中の慾情』(2024年公開)と作品が映画化
◆2013年、雑誌『芸術新潮』(新潮社)2014年1月号にて「大特集デビュー60周年・つげ義春・マンガ表現の開拓者」が特集され、4時間に及んだロングインタビューが掲載された。『芸術新潮』が漫画家を特集するのは、手塚治虫(1928~1989年)、水木しげる(1922~2015年)、大友克洋(1954年生まれ)に続き4人目。
◆2017年、日本漫画家協会賞大賞を受賞
◆2020年2月1日、欧州最大の漫画の祭典であるアングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞を受賞。フランスで授賞式に臨み「漫画界のゴダール」と紹介される。
◆2020年4月より講談社から『つげ義春大全』全22巻が刊行開始、翌2021年3月に完結した。刊行を渋るつげを説得し、企画を実現させたのは、息子でマネージャーのつげ正助(1975年生まれ)であった。
◆2022年3月1日付けで日本芸術院の新設分野「マンガ」の新会員として、ちばてつやと共に選出*7され、3月1日の会員辞令伝達式に出席し「私は一介の漫画家でしかありませんから、教養も何もなくて」などと挨拶
だそうです。1987年の休筆後も、つげ評価はむしろ高まっていったわけです。
なお、単なる偶然にすぎませんが、つげの妻「藤原マキ」が今年
故藤原マキさん「私の絵日記」再注目…米「漫画のアカデミー賞」受賞 : 読売新聞2024.9.17
漫画家のつげ義春さん(86)の妻で、1999年に亡くなった藤原マキさんが家族の日常を描いた『私の絵日記』(ちくま文庫)の英訳版が、米国の漫画賞「アイズナー賞*8」の最優秀アジア作品賞に輝いた。
という栄誉を得たとのこと。
*1:1920~1992年。死後、国民栄誉賞受賞(長谷川町子 - Wikipedia参照)
*2:例えば『島耕作』作者・弘兼憲史さん、防衛省『広報アドバイザー』にネット再び非難の声「意味合い変わる」「確信犯」:中日スポーツ・東京中日スポーツ(2024.10.22)参照
*3:例えば「ゴルゴ13」で海外安全対策呼びかけ 外務省HP:朝日新聞デジタル(2021.3.24)参照
*4:1937年生まれ。著書にマンガ『蟻地獄・枯野の宿』、『無能の人・日の戯れ』、『義男の青春・別離』(以上、新潮文庫)、『紅い花/やなぎ屋主人』、『大場電気鍍金工業所/やもり』、『鬼面石/一刀両断』、『近所の景色/無能の人』、『ねじ式/夜が掴む』、『腹話術師/ねずみ』、『四つの犯罪/七つの墓場』、『李さん一家/海辺の叙景』(以上、ちくま文庫)、エッセイ『つげ義春日記』(講談社文芸文庫)、『貧困旅行記』(新潮文庫)、『苦節十年記/旅籠の思い出』、『つげ義春の温泉』(以上、ちくま文庫)等
*5:1976年生まれ。2007年、『天然コケッコー』で報知映画賞監督賞を最年少受賞(山下敦弘 - Wikipedia参照)
*6:1981年生まれ。2022年、『さがす』で報知映画賞監督賞を受賞(片山慎三 - Wikipedia参照)
*7:なお、2024年3月に、ちば、つげに続く3人目の「マンガ」分野の芸術院会員として萩尾望都を選出(例えば小川洋子さん、萩尾望都さん、吉田都さん…日本芸術院新会員に12氏:朝日新聞デジタル参照)
*8:アイズナー賞 - Wikipediaによれば過去にも日本の漫画家としては、大友克洋『AKIRA』(2002年:最優秀国際作品賞)、手塚治虫『ブッダ』(2004年:最優秀国際作品賞)、浦沢直樹『20世紀少年』(2011年:最優秀アジア作品賞)、水木しげる『総員玉砕せよ!』(2012年:最優秀アジア作品賞)等が受賞